アラサーエリちとお姉ちゃん大好き妹亜里沙   作:のののえみ

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そして絢瀬絵里は人生初のナンパをされる

 ランジュちゃんとエマちゃんは以前から知り合いのご様子――スクールアイドルがやりたいとエマちゃんが頼ったのが理事長なるエピソードありけり。

 エマちゃんが留学を受け入れてくれる先を片っ端から探していたところ、返信したのがニジガクの理事長様だったと。

 

 娘のランジュちゃんとはその当時からの付き合いらしく、二人して日本語が流暢なのは一緒にしたトレーニングの賜物であるとか。

 

「お~よしよし~」

 

 ランジュちゃんも背が高いけれども、エマちゃんはそれを凌駕する体格なので、彼女につつまれるように「あ~」と、ランジュちゃんは声を出しながら、そこかしこを毛繕いのようなスキンシップ。

 当初は、ランジュちゃんの位置に果林ちゃんが入りたかったけれども、もう一人の留学生によって問題は解決した。

 

「本当に抱きしめ甲斐があっていいわね」

 

 ミア・テイラーちゃん――ランジュちゃんが連れてきた作曲の天才――なんだけれども、公に提供された作品はなく。

 私や理事長が未だに彼女の声を聞いたことがないとネタにできるほど、限られた人としか交流ができない。

 

 が、交流する事は嫌いではないのか、果林ちゃんに人形を扱いされていても嫌がることもなく、されるがままになっている。

 

 栞子ちゃんはこの両名の日本での生活をサポートする係に落ち着き「立派にするべ!」と意気込んでいるけれども、今のところサポートする機会はほとんど訪れていない。

 学園生活が始まったら、そのような機会も訪れるだろうか――なお、三人諸々、春から高校一年生になる。

 

 ミアちゃんはステイツの大学を飛び級で卒業しているそうなので、そもそも高校に通う必要が? と首をひねったけれども、理事長が「勉強以外にも学ぶことがあるでしょうから」と。

 

 あと、相手とコミュニケーションも取れないし、会話すらままならないけど大学って卒業できるんだ――と、話を聞いた穂乃果がポツリと漏らし「ステイツってすごい」「絵里もステイツになればいいんじゃないですか」と、無茶ぶりをされたけれども「ステイツになるってどうすればいいの?」

 

 

 学園の寮に新しいマスコットが入ったけれども――私も休日にはお出かけをする――理事長が「絵里ちゃんは休みの日くらい、誰かと出かける予定はないの?」と、娘に誘われて私の作った夕食に舌鼓を打ちながら、爆弾発言をかまし、エマちゃんには「絵里ちゃんはまだまだこれからなんだよ!」とフォローしてくれたけれども、アラサーはその発言で止めを刺された。

 

 波が寄せるように笑い声が寮内を包み込んだけれども、まあ、みんなが笑ってくれるならいいことである。

 三年生の一部が退寮し始め寂しくなっていた時期であるから、なんとなく、重い空気もあったものだし、だからというわけではないけど、気兼ねなく笑っていられる時間を大切にしたいと。

 

 退寮する子に「μ'sの曲を歌ってほしいです」とリクエストをされ「餞別代わりになるようなものじゃないけど」と応じ、内心どんな曲が来るのか楽しみで仕方がなかった。

 

 カラオケに行きたいなと、メッセージアプリにてグループのメンバーに送れば「絵里ちゃんの歌はステージの下で聞きたいなぁ」と穂乃果に反応され、各人からも似たような返答が届き、温めていた「南ことりの歌マネ30連発」はいまだに披露できてない。

 

 や、真姫がアニメのオーディションに行ったら、南ことりに似たキャラクターで受かってしまい、役作りに苦労していると言うので「やはり本人を研究するしかない」と私は結論を出し、二人して「研究させてください」と頭を下げたら「忙しいんじゃボケナス」と怒られ、仕方なしに「モノマネで妥協しよう」と。

 

 西木野家に泊まり込み二人して「南ことり」になりきって生活を送り、真姫の演技は多くの関係者からご好評を預かったとか。

 

 なお、真姫に関しては「仕事で必要な事だったから」と許してくれたことりも、絢瀬絵里のものまねに関しては「馬鹿にしてんのか」と怒り心頭になり、めちゃくちゃ怒られてしまった――や、自分のモノマネが似ていたら許してあげると言うので、許されたい一心で全身全霊のモノマネを披露し、同席していた海未が「完璧じゃないですか」と言ってくれたんだけれどもね? ちょっと馬鹿にしてる感があったみたいでね? 真っ赤になった彼女に殴られながら、いつか役に立てば良いなあと思っていた。

 

 その時の経験が役に立ったかどうかはわからないけれども、一曲目のリクエストが「ぶる〜べりぃ♥とれいん」だったので、全身全霊で南ことりに寄せて曲を披露させていただいた――聞いたみんなは、似てる~と言いながら涙してくれた――できれば泣ける曲で泣いて欲しかったけれども。

 

 私らしくていいのかもしれない――

 

 

 さて、いつもの通り話が飛んでしまったけれども、真姫に「同人誌を見に行きましょうよ」と誘われたので「私にも休日に出かける用事があるんだ!」とアムロになった気分で独り言をつぶやき、学生のみんなに「ファッションセンスあるね!」とネタにされる姿になった。

 

 や、以前も語った通りにことりの言う通りにしているだけなんだけれども、最近ようやく「ことりならこうするでしょう」でそれなりの格好ができるようになった。

 

  果林ちゃんには「なるほどなるほど、そうすればいいんだ」と天啓を得たみたいで、ファッション雑誌だけではなく学術書を読む余裕もできたとか――来年度は受験生だから、そろそろ補習の常連としても卒業していただきたいし、歓迎したいではあるけれども。

 

 真姫の待ち合わせ場所にたどり着き、彼女を待っているとイケイケ系のお兄ちゃんから「可愛いねぇ」と誘いをかけられたので「もうすぐ30だけどいいの」と反応したら「30はキツいなあ」と返答され、お兄ちゃんは撤退していた――近年稀に見る成果でうれしくなる。

 

 到着した真姫に「ナンパされちゃった」と言ってみると「は?」とシリアルを食べてる途中に牛乳の上にハエが乗ってた時みたいな顔をして「ついに妄想と現実の区別がつかなくなったの?」と言うから「さっきね、男の人から声をかけられて」と。

 

「迷子になったと勘違いされたの?」

「どうしてもナンパされたって信じてくれない?」

「や、なんでそんなに嬉しそうな顔してるの?」

「一人で歩いてて初めてナンパされたものだからつい」

 

 そうなのだ――何て声をかけてくるとすれば、お年寄りとか迷子とか道に迷った人とか――あんな風に「ナンパって実在するんだ!」と認識するに至り、つい嬉しくなってしまって。

 

「え? 生まれて初めて?」

「実在するのねぇ、漫画とかアニメとかでは見たことがあったけれど、あんな風に女の人って声をかけられたりするものなのね」

「……ところで、今日は付き合ってくれるのよね?」

「もちろん、学生寮だからお持ち帰りはできないけど、おすすめがあったら紹介してほしいわ」

 

 ひとまず声をかけられたイベントは忘れ、真姫にお付き合いしようと決める――当然成人向け同人誌は持ち帰ることができない、どうしてもと言われれば考えるけれども。

 

 かなりコアな同人誌を持ってきた真姫に「人体っていうのはすごいのね」と感服した――そんなイベントをこなしつつ休憩として入った喫茶店にて、この度のイベントのほんとうの目的を知ることになる。

 

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