アラサーエリちとお姉ちゃん大好き妹亜里沙   作:のののえみ

41 / 125
そして絢瀬絵里は高咲侑の添え物で新入部員を入手する

 新聞部の皆様も同好会の皆に着目していたみたいで、話を持っていったらすぐさま了承してくれたと果林ちゃんは喜んでいた。

 彼女が行けば了承してくれる判断は知っていたけど、使いっぱしりのようなマネをしたのに、果林ちゃんの承認欲求は満たされたみたいで――なんだか心が痛い。

 

 誰が行くのかとの判断は同好会の皆に任せていたけど、侑ちゃんとの結論になろうとしていたので、話に割り込ませてもらった。

 残念ながら新聞部の皆様には「高咲侑」の名前は通用しないからと、下手すると同好会の部員であることすらわかってもらえないからと。

 

 歩夢ちゃんには少々憮然とした表情を浮かべられてしまったし、かすみちゃんには「絵里先輩は何も分かっていませんね」と、直接言われてしまったけれども。

 

 部長会議に出席するであるとか、委員会の会合に出席するであるとか、侑ちゃんの知名度がこれから上昇する機会があれば、いくらでも部活間の交流に精を出していただきたい。

 

 侑ちゃんの代打として果林ちゃんは張り切ってくれたみたいで、私の言葉というよりもエマちゃんの「任された仕事はちゃんとやらなくちゃだめだよ」の言葉が効果的だったみたいだ。

 

 その言葉を聞いた当初は、憤懣やるかたない表情を浮かべていたのに、部屋から出た瞬間、彼女は急停止し「新聞部の部室の方角が分からないのかも」と、考えた私がついていくと。

 

 先ほどまでとはまるで正反対な表情を浮かべて「新聞部の人に断られたらどうしよう」と胸に重りでも抱えたみたいな顔をする。

 彼女の肩を叩きながら「同好会で一番話がつきやすいと判断したんだから、自信持って行きなさい」と言うと、彼女は新聞部とはまるで違う方角に行こうとしたので、僭越ながら案内させていただいた。

 

 なお、どうしてもどこかで何かの話をつけなければいけない時には、かわいそうだけれどもランジュちゃんと栞子ちゃんに任せるしかない。

 

 生徒会長の中川菜々さんには「そうした状況にならないように留意してもらいたい」とお願いしてある――彼女は苦笑いしながら「同好会が大きな問題を起こさないように期待しています」と、ばっちり意図が分かったらしい。

 

 生徒会長にも「同好会の肩を持ちすぎないように」と言うべきか言わざるべきか考えたけど、今のところ他の生徒会役員に疑問を抱かれるような、同好会への態度は浮かべていない様子なので、言葉は控えておいた。

 

 誰かしらが優木せつ菜ファンになってしまったり、スクールアイドル好きになったら彼女の肩身が狭くなる――出来れば今後も生徒会役員の人たちには「スクールアイドル? 何それ」と、以前までの浦の星の生徒会長みたいになっていてほしい。

 

 よもやその生徒会長みたいに「スクールアイドルマニア」になってもらっても困る――同好会の意見が簡単に生徒会を通過してしまえば、理事長の娘でやたらと周囲に権力者と誤解されがちな、ランジュちゃんの肩身まで狭くなってしまう。

 

 ステージのイメージから「やたら高圧的で上から目線」「自信過剰でナルシスト」との風評もあるけれど、ステージの上での彼女はあくまでもパフォーマンスの一環でそうしているだけで、ランジュちゃん自身がそのような性格ってわけじゃない。

 

 それらのイメージに加えて、権力者、生徒会にも話を簡単に通せるとか言われてしまうと、さすがに立場がない。

 

 国際交流科もある学園で、あらゆる外国の人たちに向かって下ネタを連呼するお嬢様の立場がないのは自業自得として考えておく。

 

 

 

 PVの作製を頼んでいる情報処理学科に侑ちゃんと顔を出す――今までは、栞子ちゃんとかミアちゃんと一緒に向かっていたけれども、今回からは部長として顔を広げるために、侑ちゃんに協力してもらう。

 

 物珍しいものがいっぱいあるのか、侑ちゃんもキョロキョロと周りを見回しているから「触ると爆発するものがあるって」と、冗談を言うと「そんなことないですよね」と、言うかと思いきや、侑ちゃんはすごく怯えた表情を見せた――「冗談ですごめんなさい」と頭を下げるほかなく。

 

 「絵里さんが言うと冗談に聞こえませんでした」と彼女が苦笑いするので、やたらと冗談が本気に受け取られてしまうから「どうして?」と逆に尋ねてみると「冗談とか言いそうにないじゃないですか」

 

 そんなに真面目に見える顔つきをしているのか、と窓に映った自分の顔を眺めてみるけど、どう見たってポンコツの生徒会長にしか見えない――や、生徒会長じゃなくなって10年も経っているから、ポンコツにしか見えないと正しいかもしれない。

 

 右腕扱いの栞子ちゃんならともかく、ミアちゃんが顔を出したのかと言うと。

 レスバで敗走したのは問題じゃなかったんだけど、使った設備が学校のパソコンだったので、学科の子からクレームが入ったわけで。

 

 謝罪ついでに「二度とこんな事はしません」との誓約書を書いた時に、天王寺璃奈ちゃんと仲良くなったのだ――二人に目立った会話はなかったんだけれども、波長が合ったのか、それともテレパシーで会話でもしていたのか。

 

 同じ学部の宮下愛ちゃんにも「今日は、ミアっち来ないの?」と、連れて来てない時に言われたので、情報処理科に顔を出す時にはできるだけ彼女と一緒に来るようにしていた。

 

「……」

 

 情報処理科の教室の中に璃奈ちゃんがいて、私達が入ってくると彼女はパソコンから向き直り、ぺこりと頭を下げる。

 どうやらミアちゃんがくるものと思っていたようで、少し残念そうではあるけど、私が「同好会の部長の高咲侑ちゃん」と言うと。

 

「天王寺璃奈です」

 

 表情があまり変化しないから、怒っているとか、何を考えているのかわからないとか、侑ちゃんが考えているかなと眺めてみると、彼女は途端に目を輝かせて「璃奈ちゃん! よろしく! 私、高咲侑! 突然だけどスクールアイドルやってみない?」と、本当に唐突なスカウトした。

 

 彼女もさすがに驚き「どうして?」と言わんばかりに首をかしげるので「とっても可愛いから!」と、侑ちゃんはさらに部活への勧誘を進めた。

 

 璃奈ちゃんがどういう態度をとるかなって見てみたけど、断る姿勢は見られなかったので、ひとまず場の流れに任せる。

 そのうち愛ちゃんがひょっこり顔を出して助け舟を出してくれるかもしれないし。

 

 学生間での問題は学生同士で解決するべき――解決できないような問題があれば、大人が顔を出せばいい。

 

 大人でも解決できないような問題を持ってきて理事長を困らせたでしょと、オトノキの皆様に指摘されたら絢瀬絵里は頭を下げて「もう二度とあんなことはしません」と誓約書を書かねばいけない。

 

「お、りなりーが楽しそうにしてる。アタシ、宮下愛、キミは?」

 

 

 侑ちゃんが積極的に話しかけて、璃奈ちゃんが頷くという交流が続いてからしばらく、愛ちゃんがやはりひょっこりと顔を出し、ギャル流のコミュニケーション技術なのか、おそらく初対面であるのに積極的なボディタッチと、距離を近づけての交流に「これがコミュニティお化けの才覚か」と、驚愕した。

 

 ああいう風に距離を近づけたら人と仲良くなれるのか、と、考えた私も、知らない人にああいうことするのはちょっと怖い、と考えたので、海未や真姫にネタばらしをせずにやってみたら。

 二人から「婚約届にサインしてもらえる?(頂けますか?)」と、脅迫されたので「二度とやりません」と謝罪するしかなかったし。

 

 ギャル流の交友技術は、どうやら百戦錬磨のギャルでしか通用しないよう――今度丁寧にコツを教えていただきたい。

 

「私、高咲侑! 今ね、璃奈ちゃんをスクールアイドルにスカウトしてたんだ!」

「スクールアイドル? ああ、もしかして同好会の人?」

 

 私が彼女のことを部長と紹介すると、愛ちゃんは「部長から直接スカウトされるなんてすごいねりなりー」と、ちょっと困ったふうな璃奈ちゃんの頭を撫でる。

 それを見た侑ちゃんがティンと来たと言わんばかりに、

 

「愛ちゃんもスクールアイドル同好会に入ってほしいな!」

 

 同好会のためのPV製作を情報処理科に頼みに行ったら、情報処理科での初仕事の部長がスカウトをおっぱじめた。

 そのような仕事を頼んだ覚えはないし、顔を合わせて数分でスカウトされると思ってなかったんでしょう、愛ちゃんも驚いた表情を見せている。

 

 誰に対しても仲良く余裕のある彼女に、そんな事されるとは思わなかったと言わんばかりの驚いた表情を浮かべさせる。

 侑ちゃんってのは本当によく似ている――生徒会長の中川菜々さんには謝罪をしておかなければいけない。

 

 高咲侑ちゃんはきっと、学園を巻き込むような大騒動を起こすに違いないと――それはきっと、秋葉原で行なったSUNNY DAY SONGの披露と似たような、誰もが喜ぶ素敵なイベント。

 

 スクールアイドルのお祭りみたいな……祭典て言った方がいいかな、彼女がいい名前を考えてくれるに違いない。

 年寄りは彼女が困ったことにぶち当たったら手を差し伸べればいい。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。