アラサーエリちとお姉ちゃん大好き妹亜里沙   作:のののえみ

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QU4RTZって自発的にグループを作りそうなノエマっちしかいないよね

 後攻の方が有利なんだから、DiverDivaの二人には後攻にと言ったんだけれども「自分の有利な状況で勝利してもしょうがない」と果林ちゃんに拒否されたので、僭越ながら後攻は自分に。

 

 ステージ下ではスイスから帰国してしばらく経ったエマちゃんが隣に立ち「なんで勝負することになってるの?」とほんわかと尋ねられたので「かれこれこういう経緯で」と言ったら「わたしもグループとか組んでみたいなあ」と。

 

 とはいえDiverDivaは結成されてしまったし、A・ZU・NAもひとまずステージに立つ予定はないけど集まっている。

 栞子ちゃん、ランジュちゃん、ミアちゃんも「では三人でグループを組もう」と話し合っているご様子。

 

 残るメンバーは四人だから、二人のユニットを二つ作るか、四人でひとまとまりになってもらうか。

 

 「だったら四人で集まる、作詞作曲ができる人のツテもないし」と、エマちゃんは、和やかな口調とはまるで違う本気の瞳で「四人組の結成を宣言」した。

 

「他のみんなから余り物が集まったって言われるんじゃない?」

「残り物には福があるっていう言葉が日本にはあるでしょう? そうなるように最高に幸せになれるグループを作ってみせるよ」

 

 よく考えてみればカナちゃんもかすみちゃんも璃奈ちゃんもエマちゃんの琴線を揺らす甘やかされキャラ。

 

 なぜだか私を含めて自分の近くにいる人は妹みたいに考えているエマちゃんの「可愛い女の子を周囲に集めて甘やかしたい」との願望が叶えられるだろうか。

 

「果林ちゃんと愛ちゃんに勝つつもりなの?」

「ロートルだけど、まだまだひよっこに負けるつもりはない」

「だったら、絵里ちゃんに勝つのは余り物のわたしたちかも」

「ロートルなんであんまり働かせないでちょうだい?」

 

 昆虫料理からユニットの結成、そしてぶっつけ本番のステージ――トレーニングをしていたとはいえ、私を含めてのお客さんの前に立った時に、彼女たちの表情は緊張していた。

 

 ファンからは気がつかれてなかったかもしれないけど、できたてほやほやのユニットではコミュニケーションにも、コンビネーションにも問題があるご様子。

 

 果林ちゃんに後輩のミスをフォローするのは自分との考えがあるのか、愛ちゃんがとちった時に、何とかしてカバーをとの決断は失敗だったと思う。

 

 愛ちゃんの「自分のミスは自分で何とかしないと」の判断まで先読みしておかないと。

 

 ミスをしたことに対しての焦燥感から、呼吸が乱れて歌えない部分もあったし、うまくごまかせたと思ってるかもしれないけど、二人の身体がぶつかってしまうこともあった。

 

 見上げているエマちゃんに「頑張れ」と応援されてしまったステージは、 デビューイベントとしては上々だったけど、彼女たちが期待するほどの割れんばかりの歓声は得られなかった。

 

 ステージ横である程度のパフォーマンスができたと喜んでいる二人に「先輩のステージを見ておきなさい」と挑発するコメントをしたら「アラサーに片足突っ込んでるんだから無理をしないで」 と、見事な返り討ちにあってしまった。

 

 ユニット組んで間もない二人にはわからないかもしれないけど……ステージで周囲のことを考えている余裕はない。

 パートナーがミスをしたとなれば、では自分がフォローしようっていうのも素敵な姿勢だけど、そうではなくパートナーを信じて自分のできることに全力を尽くすべき。

 

 μ'sのメンバーでは凛が花陽を放っておけなくて、自分が彼女の動きをフォローしようと熱心に取り組んだ時期があり、花陽も「何とかして凛ちゃんに迷惑をかけないようにしよう」と頑張ってしまい――結果的には両者の動きが悪くなる悪循環に陥った。

 

 それを解消したのが私ではなく、ニコだったのが恥ずかしい話ではある。

 や、解決策は浮かんでいたけど「凛を無視して」なんて指令を花陽に出せたのがニコだけだったので。

 

 

 まあ、ニコにも「これは絵里の指示だから」と付け加えられたので、私も問題の解消に協力したと言ってもいいかな?

 

「今日はフォローする相手もいないし、フォローしてくれる仲間もいないけど……恥ずかしくない動きはしておかないとね」

 

 ステージの下に立っているファンが……今までのパフォーマンスを忘れてしまうような、もちろん過去の自分を含めて、今ステージに立っている絢瀬絵里のことだけを考えてしまうような。

 人の考えを全て塗りつぶしてしまうような、圧倒的な力を持つモノを披露できるように……努力してきたつもり。

 

 スクールアイドルを頑張っている皆を見て、年寄りの冷や水と笑う同年代の仲間と頑張ってきたけど。

 

「スクールアイドルではない人間のパフォーマンスを見ていただきありがとうございました! これからの時代はみんなが彩っていくつもりでよろしく!!!」

 

 荒くなった呼吸で言葉が乱れてしまいそうになるけど、若人に向けてのメッセージは飛ばせたと思う。

 歓声の差が如実に表れていたので、彼女たちも敗北したと察したのだろう「失礼なこと抜かしました」と頭を下げたけど。

 

「大丈夫よ、あなた達が披露するのはプロのアイドルがやることじゃなくて、スクールアイドルがやることだから。スクールアイドルが大好きっていう気持ちを持ってこれからも頑張って」

 

 なにせプロのアイドルでは落第を食らってしまうようなμ'sが、プロとして活躍することになるA-RISEに勝利できたんだから、スクールアイドルとして何かがしたいっていう気持ちは、スクールアイドルを応援してくれるみんなにとって何よりも大切なことなんじゃないかなって思うし。

 

 ――でも、交流を深めるために愛ちゃんは昆虫料理にまで頑張らなくても良かった。

 

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