アラサーエリちとお姉ちゃん大好き妹亜里沙   作:のののえみ

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この設定いったい誰が覚えてるんだろうなと疑問に思いつつも

 夏休みに入る前、侑ちゃんが沈痛な面持ちで語ることには。

 幼なじみの歩夢が同好会の二人に気に入られて気に入られて、困っていると。

 

 大好きなスクールアイドル活動をご両親から許されて、生徒会長とスクールアイドルの二足の草鞋こそバレていないものの、時折眼鏡をかけていても半分優木せつ菜っぽい態度をとるので、書記の双子ちゃんからは正体がバレている。

 真面目な副会長さんがまるで正体に気がついていないので、あえて露見させないと約束してくれたけど。

 

 ……ステージ衣装を身につけた、三つ編みと眼鏡姿の彼女を中川菜々として認識した以上、何をどうあがいたところで正体が露見する可能性はゼロに等しいんじゃないかと推測するけど。

 

「このままじゃ歩夢……倒れちゃうかもしれないので」

 

 部長の栞子ちゃんではなく私を頼ってきたのは、一年生の彼女には荷が重いと。

 確かにせつ菜ちゃん一人の対応なら彼女でも可能だけど、歩夢ちゃんを気に入ったのは二人。

 一人だけでも説得は困難なのに、さらに続けて自身が苦手とする下ネタをふんだんに使ったトークをするお嬢様の対応まで任せられれば。

 

「学生間の問題は学生間で解決すべきと言いたいところだけど……」

 

 ひとまず、説得が容易そうな生徒会長に声をかけていただくことにした。

 彼女の場合強く布教をすれば、自身の望まぬ結果を招くと知っている。

 

 何せ歩夢ちゃんにアニメの布教活動をする前に、愛ちゃんに積極的に声をかけていた。

 友人関係が幅広い彼女に布教すれば、自身の好きなアニメがいろんな人に伝わるとの下心もあったのか、愛ちゃんが断らなかったのをいいことに、かなり熱烈に活動を続けていた。

 

 が、幅広い友人を相手にしている彼女が、自分の好きなものを積極的に薦めてくる相手の対応を心得ていないわけがなく。

 せつ菜ちゃんと同じレベルでアニメに親しみがある璃奈ちゃんに協力を求め、布教活動のための信心グッズを持ってきた彼女に「それならりなりーが持ってるから」と。

 

 二人の仲の良さを知っている彼女は「是非自分のグッズを持ってください」とまでは言えず、信仰の押し付けはいつのまにか下火になる。

 

 が。

 

 桜坂しずくちゃんの下ネタハラスメントに、苦笑いしながらも、やめてくださいとか、そんなこと言わないでと、否定的な発言をしない歩夢ちゃんを見て「次に信仰をすすめるのは彼女がいい!」と。

 

 人のいい彼女は、真面目に勧められたアニメをちゃんと見て、感想もせつ菜ちゃんが気に入るものであり。

 

「……歩夢ちゃんが侑ちゃんに助けてほしいと言ったのなら」

「そうなんですよね……」

 

 友人関係にあれこれと口を出すのなら、やっぱりそうな責任を負わなくちゃいけない。

 歩夢ちゃんを見る限り、幼なじみとして(あるいはそれ以上に)侑ちゃんに熱意を向ける彼女に、侑ちゃんから告げ口があった結果守られたとの認識が生じれば、互いの依存度はますます高まりあい。

 それに関わったとなれば、かすみちゃんの私に対する評価が、奈落の底まで転落する。

 

 彼女の中では、特に何もしていないのに尊敬されている人らしく。その通りでしかないんだけど、釈然としない思いからの評価の低さだ。

 私なんぞの評価が低いのは当たり前と思えど、それを真姫や海未に知られようものなら「首の骨を折ろう」と判断するかもしれない。

 

 私の評価が低いのは個人の考えに由来するものだから、二人がどうこう言う筋合いはない――だけども、不当に貶めるとなれば「首の骨を折りましょうか」と結論づけられてしまう。

 カールを口の中に放るみたいに、首の骨を折れば黙りますよねと、おっかない表情など浮かべないでいただきたいので。

 

 少々話が展開してしまったけど、その場は歩夢ちゃんが助けを求めるようなら積極的に話に介入する。と結論付け。

 結局彼女が助けを求めてきたのは、夏休みに入ってからしばらく、愛ちゃんが昆虫料理に苦しんだ後にしばらく経ってからだった。

 

 

 

 歩夢ちゃんが「助けてほしいの」といいつつ早朝に部屋に上がりこみ。

 寝ぼけ眼でおはようと言った彼女に、勢い余ったのか歩夢ちゃんは幼なじみを押し倒すようにベッドへと突撃し、侑ちゃんも一気に頭が覚醒した。

 

 かれこれ事情を伺ってみると、しずくちゃんにお屋敷に遊びにきませんか? と誘いをかけられ「どうして自分が?」と首を傾げたけど、理由を尋ねることもできず。

 そのすぐさま後に「私もお呼ばれされてまして!」とせつ菜ちゃんから、メッセージが届き彼女は肝を冷やした。

 

  以前からお嬢様は真姫に並々ならぬ執着をし、何とかして屋敷に呼び出し、あらゆる全てを盗みたいと考えてらした。

 

 そこで彼女はせつ菜ちゃんが「真姫の主演したアニメを見ていたことを」思い出し、中の人を交えてのアニメ鑑賞会を開くことにしよう! とイベントを企画。

 

 まずは生徒会長さんに「かれこれこういう企画を」と告げ、生徒会長さんも「中の人を交えてのアニメの鑑賞会ですか!!!」と、しこたまテンションを上げる。

 数時間後には真姫にアニメの鑑賞会を企画してましてと、しずくお嬢様のお屋敷でそれを行うの隠して誘いをかけた。

 

 が、私なんぞよりも数倍頭の切れる彼女が、魂胆を把握しないわけもなく「そういえば、あのふたりは歩夢ちゃんに執着してたな」と考え。

 「感想が気に入るものだったから」と歩夢ちゃんが参加をするなら自分も参加をすると返答。

 

 二人も「歩夢さんなら何があっても参加してくれるはず」と考えて、 彼女の許可を取る前から「参加してくださるそうです」と返事。

 

 

 何か条件を突きつけられてもOKを出せば構わないでしょう、二人の中にはそんな打算もあった。

 

 二人の考えの通り歩夢ちゃんは「侑ちゃんの参加を条件とし」その侑ちゃんが「絵里ちゃんもヘルプに入ってくれないかな」と頼み込んできて。

 

 西木野真姫は絢瀬絵里の参加を見込んで、せつ菜ちゃんの呼びかけに「歩夢ちゃんの参加を希望した」んだけども……二人に言ってもしょうがない。

 

 お屋敷に顔を出せば普段の20倍くらいおめかしをした西木野真姫の姿があり、その姿を眺めた侑ちゃんが「まるで絵里ちゃんが来てくれるって分かってるみたいな服」と指摘。

 彼女は苦笑いをしつつも、否定も肯定もしない。

 

「二人が私のことを好きになってしまうくらいかっこいいところを見せてあげるから」

 

 好きなものを叫ぶのはいいし、好きなものに向かって頑張るのもえらいけれど、それを人に迷惑をかけるくらいやってしまうのは、きっと悪い事だから……真姫にはぜひにも頑張っていただきたい。

 

 私が屋敷に顔を出した瞬間、使用人の皆様は「アレがお嬢様をくるわせたやつか」みたいに敵意が全開だったし、歩夢ちゃんや侑ちゃんには高級な茶葉を使ってるんだろうなぁって麦茶だったのに、私には麦茶に擬態させた雑巾の絞り汁がコップに入れられて出された。

 

 ケド、一目で真姫には看破され「絵里」と厳しい口調で呼びかけられたけど。

 私は苦笑いをしながら一気に飲み干す。

 「喉が渇いていたから美味しいわね」となんなく言ってのけ。

 

 とても残念なことに理亞ちゃんの作るお菓子の方がよほど酷い味をしているし、凛の作る料理よりもえぐい味もしない。

 

 真姫が苦笑いしながら「そんなに一気に飲み干してしまうと体に悪いわよ」と言い、侑ちゃんも真姫の態度から異変に気がつき「自分のを飲む?」と言ってくれたけど「主催がお待ちかねだから」と、二人が待っている部屋へ向かうことを提案。

 

 あまりに強引に話を進展させたので、真姫も「分かったわ、腕っ節に自信のある人を呼ぶ」と、スマホで連絡を取った。

 

 

 せつ菜ちゃんがアニメの内容を解説している間にやってきたのは。

 

 腕っぷしに自信アリ。

 

 女性を落とすことにかけては右に出る者がいない――

 

 できれば、学生たちには手を出さないで欲しい、桜内梨子さんその人だった。

 

「美味しそうなケーキね」

「食べる?」

「絵里ちゃんの食べかけなんていらないわ」

 

 どう見てもケーキにしか見えないセッケンの味がする産物を、一目で正体を看破し、うまい理由をつけて食べるの回避するって、どういう人生を歩んでいたらそんな洞察力を身に付けられるの?

 

 あと、ココに来てからそんなに経ってないのに、もう使用人の女の子オトしたの? 千歌ちゃんに報告するわよ?

 

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