アラサーエリちとお姉ちゃん大好き妹亜里沙   作:のののえみ

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後日、しずくちゃんと距離が遠かったゆうぽむは頭を下げて謝罪しました

 粘土みたいな味のするおせんべいを食べていると、真姫がしずくお嬢様に「ご両親にご挨拶を」と言って「そろそろ我慢の限界かなぁ」と、私ばかりが他人ごとだった。

 

 侑ちゃんは「なぜお家の人は嫌がらせしてくるんだろう?」と態度を硬化させ、歩夢ちゃんは侑ちゃんの様子を不審に思ってしばらく。

 彼女が私の顔ばかりを見ているので「そういえば絵里ちゃんは、この家の人から恨まれてたっけ」と思い出し。

 

 「口に入れない方が」と声をかけてくれたけど「大丈夫」と首を振った。

 

 相変わらずニジガクの生徒会長アニメの実況を続け、なんでそんなことを知っているのかみたいな知識も披露してるし、お嬢様もこの方の演技がと、真姫に流し目を向けながら(スルーされている)マシンガントークを繰り返している。

 

 私がなんてこともない姿勢をとっているので、持って来られる食材は徐々に食べ物から離れている――最初の雑巾のしぼり汁でも、人が食べればお腹を壊す代物だとは思うけど。

 

 その点、理亞ちゃんや凛には感謝しなければいけない――人間が食べればお腹を壊す代物どころでは、私はどうにもならないから。

 さすがに毒物を仕込まれれば、これは食べられないと遠慮するつもりだけど、そこまで行けば逮捕されるレベルだ。

 

 誰の指示でこんなことをしているのかは知らないけど、梨子ちゃんが次々に使用人の方々を落としているので、そろそろ犯行の主催者に行き当たるとは思っている。

 

「私の両親は、何回目かの新婚旅行に行ってまして、もしかしたら弟か妹ができるかもしれませんね」

 

 と、ご両親に挨拶がしたいと半ギレの真姫にお嬢様が何てことのない調子で答えた――ほんわかな笑みを浮かべながら、好きな人に声をかけられたのが嬉しいと言わんばかりに。

 

 ……明らかに不自然だ、せつ菜ちゃんもそうだけれど、侑ちゃんや歩夢ちゃんが怒りを携えて隠しきれてないのに、それは承知の上と言わんばかりにヲタトークや、演技についての発言を繰り返している。

 

 いかに空気の読めない部分があるとはいえ、熱心なものに熱意を向けると周りが見えなくなるとはいえ、ここまで人の感情に鈍感な子じゃない。

 

 あえて自分たちにヘイトを集めている? 何が目的でそんなこと? 意図が見えない――何かを考えていることはわかるけど、何を考えているのかまでは分からない。

 

 真姫や梨子ちゃんが私への嫌がらせで我を忘れているから、彼女たちが何を考えているんだろうと尋ねることはできない。 

 そろそろ梨子ちゃんが握っているフォークがひん曲がってしまう、おいくらの代物かは分からないけど、私の借金が増えるような事態は避けておきたい。

 

 ほら、貯金の一部分は妹の結婚のための資金にするつもりだし……あ、お前のために使うつもりはないのかって言われそうだけど、使うつもりもなければ使う相手もいないからね……。

 

「サプライズが大好きな両親ですから、何も言わずに出かけたり、何も言わずに帰ってきたりするのがよくあるんですよ」

 

 「だから今日も気が付いたら帰っているかもしれませんね」と言い、破天荒なご両親だから、しずくちゃんも多少人とは違う部分を持っているのかと。

 

 

 その後もしばらく鑑賞会は続き、せつ菜ちゃんが「お腹が空きましたね、私が料理を作りましょう」と、殺害予告をしたので、真姫や梨子ちゃんが「外に食べに行きましょうよ」と提案。

 

 嫌がらせのレパートリーが尽きたのか「これさっき食べたな」と言いながらも、相変わらず人が食べればお腹を壊す代物を頂き。

 

 主催の二人以外は一日のカロリー摂取が心配になるほど、桜坂家の使用人の方々から提供されるデザートを貪り食べていた。

 

 

 そこの金髪ポニーテールだけに――とはいかないんでしょう。

 私の食べているシロモノを他の人に食べさせたくないらしいからね。

 

 ちなみにせつ菜ちゃんがお腹がすきましたねと言ったのは、しゃべっているのもあるけど、提供されるものを摂取していないから。

 しずくちゃんも同様に「食べることよりも優先するべきことが」と言っていたから、お腹がすくっていうのもよくわかる。

 

 真姫や梨子ちゃんやゆうぽむの両者はそ空腹どころじゃないとは思うけど、せつ菜ちゃんの劇物だけではなく、使用人の方々の更なる嫌がらせを私に対して実行させたくないんだ。

 

 さかんに外に食べに行くのを強調していると、しずくちゃんが「ちょうどよく、父と母が帰ってきたようです」なんて。

 

 その言葉に明らかに使用人の方々が戸惑った表情を見せる――お嬢様から「私たちの対応は構いませんよ」と普段とは違う冷徹な口調で言われたの機に、騒がしい調子でこの家で一番偉い方の対応に追われる。

 

 そして周囲から知人以外の気配が消えたと察すると、

 

「だいじょうぶですかっ!?」

 

 と、しずくちゃんとせつ菜ちゃんが駆け寄ってきた――大丈夫とは何事か、戸惑ってしまって「頭の不出来さには自信があるけど」と言うと、二人は泣きそうな表情をしながら。

 

「食べているものですよ! 何で口に入れちゃうんですか!」

「ん?」

 

 声を上げたのは真姫で、梨子ちゃんは何かを察したのか唇の端を上げて「二人は後で説教」と不穏な事を言ったけど……できれば学生の皆様に手を出して欲しくはない。

 

「すみません……以前から、妙な人と繋がりのある使用人がいて……どなただか全く見当がつかず」

 

 なんでも、お嬢様が真姫に執着し始めた後に、真姫やツバサといった面々には嫌がらせをしてないのに、私に対しては妙に嫌悪感を向ける桜坂の使用人がいたようで。

 

 そもそもしずくちゃんのご両親は「娘のやらせたいようにする」との方針だった。

 上に立つ人間として示しがつかないから反対する姿勢は取っていたけど(品がないのは問題だったし) 娘に関しては「自分のやりたいようにやりなさい」と。

 

 どうにもお嬢様が自省する機会がないと考えていたけど、彼女は彼女で考えたなりにあのキャラクターを貫いているらしい。

 

 常々妙な人たちとつながりのある使用人をあぶり出したいと、しずくちゃんは考えて、その様子を怪訝に思ったせつ菜ちゃんが「困っているならこのマンガが参考になるのでは?」と布教活動ついでに声をかけた。

 

 翌日「これならば犯人を!」と、決断したしずくちゃんは「協力してください」とせつ菜ちゃんに頭を下げた。

 

 当初は「真姫さんを呼べば絵里さんもついてくるはず」と何とかして西木野家のお嬢様を呼び出したかったそうだけど、予想外の予想外「歩夢ちゃんの同行を提案」されてしまった。

 

 多方面から赤毛のお嬢様に視線が集まったけど「かっこいいところを見せるどころか、かっこ悪いところを見せることに……何でもするから許して」と、真姫はがっくりと肩を落とした。

 

「父と母は使用人のことはできるだけ口を出さない主義で……その代わり問題行動をした場合は容赦をしない。今回の件で嫌がらせの主催さえわかれば放逐できると」

「なるほどね、絵里ちゃんなら嫌がらせの物品を仕込まれても、食べずに回避すると思ったんだ」

 

 今度は私が真姫のように「何でもするから許してください」と頭を下げなければいけなかった。

 

 確かに雑巾のしぼり汁であるとか、石鹸みたいな味のするケーキを提供され、それに気がついたとすれば「食べないで捨てる」んだけども。

 

 特に物事を深く考えない私は「これで皆さんの気が晴れるんだからいいか」とおおらかに構えて食べ続け、それを見るしずくちゃんとせつ菜ちゃんは「早く桜坂家の当主夫妻に帰ってきてほしい!」と願い続けていたらしい。

 

 

 しかし、長い間妙な人とつながりのある人間は、ごまかす手段も一流だった――もしも真姫が梨子ちゃんを呼ぼうと考えなければ、ご両親が帰ってきて「このようなことをした犯人は」と言っても、素知らぬ顔で逃げ切ったに違いない。

 

 犯人さんが誤算だったのは、自分に累が及ばないようにたらしこんだ同業者を梨子ちゃんに落とされてしまったこと。

 そして彼女が犯人よりも梨子ちゃんを選んで裏切ったことで、様々な犯罪行為が白日のもとに晒された。

 

 「自分の立場がない」と言い合っていた私と真姫は、犯行を追求する現場にいても第三者みたいな感じだった。

 

 ケド、自分が呼びつけた梨子ちゃんが犯罪の暴露につながる結果を招いたので、本当に立場がない人間は私だけになった――見事なオチのつけっぷりである。

 

 

 翌日以降に解散となるかと思いきや「家に使用人がやまれる事情で減りましたので」と、しずくちゃんに声をかけられる。

 「それが罰ゲームの代わりになるのなら!」と私は遠慮なく飛びつき、真姫も一緒になろうとしたけど「真姫さんは私に演技のコツを教えてください」と強引に拉致された。 

 

 いかに犯人の放逐につながったとはいえ、真姫の弱い立場は変わらなかったのでお嬢様に「好きにこの体をお使いください」と言ってた。

 本当に好きに使われたらどうするつもりなのか――私の見立てだと、しずくちゃんは案外ガチで女の子が好きよ?

 

 侑ちゃんと歩夢ちゃんは翌日の早い時間にご帰宅となる予定が、梨子ちゃんが「あなたってピアノの才能がありそうね」と侑ちゃんに声をかけた。

 

 「ピアニカくらいしか弾いたことないですよ!?」と語り「予定がありますので~」と逃亡しようとするも、梨子ちゃんは女の子をたらしこむ天才、歩夢ちゃんに「気になっている子がいるなら落とし方を教えてあげる」と侑ちゃんの逃げ道を塞ぐ。

 

 彼女がつきっきりでピアノレッスンに取り組んでいる間に、せつ菜ちゃんは「メイド服って着てみたかったんですよね!」と、私と一緒になって使用人の仕事に取り組み、同じように手が空いてしまった歩夢ちゃんも一緒になって働く。

 

 真姫を強引に拉致したのは良かったものの、思いの外彼女の指導が厳しかったのか、しずくちゃんは「私も使用人に~」と言いつつ「お願いですから働かせてください」と逃げてきた。

 本来はレッスンの途中で逃げるなんて許さない真姫も笑いながら「そんなにオーディションに落選してしまうわよ」という。

 

 

 けどまあ、前々からことりや凛や十千万の皆様からこき使われていて、仕事に慣れていた私はともかく、高校生の三人はいつのまにか「一人じゃ仕事を任せられないので三人セット」となる。

 

「信じられないことに息が合っているんですよ」

 

 と、思わぬ副産物を得た。

 

 3人の名前を同時に呼ぶことがめんどくさくなったベテランさんが「アズナさん」と彼女らを表現し、3人も3人で「アズナです!」と反応。

 

 そして梨子ちゃんが侑ちゃんを手放さないものだから、お泊りは想定よりも長い間続いた。

 

 この間にエマちゃんがスイスから帰って来なかったら、ツバサあたりが「早く帰ってこい」と殴りかかってきたに違いない。

 

 

 

 栞子ちゃんを右腕に、ランジュちゃんとミアちゃんを左腕にそれぞれに従わせて寮の掃除をしていると、エマちゃんが鼻歌を歌いながらこっちに寄ってきて。

 

「わたしたちもグループ結成することにしたから、絵里ちゃんと勝負するね?」

 

 と。

 

 なぜグループを結成して早々に乗り越える壁扱いされなきゃいけないのか、身から出た錆だと言うなら謝るけど……。

 

 A・ZU・NAの3人にも「準備が整ったら勝負してください」と言われている――ロートルにこんなに働かせてはいけないと思う(遠い目)

 

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