かすみちゃんのライブは「コペ子」ちゃんのように、熱狂的なファンを生み出す一方。
スクールアイドルチャンネルなる裏サイトのランキングにて、低空飛行から抜け出せずにいた。
ライブの翌日になんとなく目が赤いことに気がついたしずくちゃんは、学内から寮まで連行。
学生たちが勉学へ赴いて「いやぁ、まったり」と「昼間から一杯」と理事長に見つかったら大目玉くらいそうなイベントのさなか。
寮へ現れたしずくちゃんとかすみちゃんを眺め。
「ビール瓶」片手に「社長! ココは一杯」とコップに注いでいる私。
そしてコップにビール注がれてる綺羅ツバサ。
隣で「早く入れてくださいよ部長~」とはやし立てる理亞ちゃんも、つまみは何がいいですかとフライパンを片手にした海未も。
かすみちゃんをヘッドロックして強制連行する桜坂家のお嬢様にフリーズし。
ツバサが超常的な勘で服を濡らすビールを回避してなかったら「責任取れ」と追求されて殺されてた。
や、彼女にではなく、ラブアロー仮面とミルクちゃんの妹さんに。
しずくちゃんが語った事情は「スクールアイドルチャンネルぅ~?」と怪訝そうなツバサの声が感想を示していた。
私もビールから緑茶へと飲み物を変更し、海未もつまみからお茶請けへと変えた。
学生を二人勉学ではなく個人指導に取り組ませるとは、酒の件を含めて、後で理事長から大目玉を食らった。
――さて、それはともかく。
スクールアイドルチャンネルとかいうよく分からない媒体にて、かすみちゃんのライブは酷評を食らった。
趣味がエゴサーチの彼女がソレに行き当たる可能性は高く、聞いたしずくちゃんは髪を振りかざして憤慨する。
振り返ってみればスクールアイドルを評価するサイトはμ'sが現役の時にもあったらしい。
A-RISEは賛否両論の議論の的になったらしく、ツバサも「ある」ことだけは知っていたとか。
んなもんにかまってる暇はなかった、と口に出す前に、珍しく私が手の甲をつねりあげた。
普段ならば何すんじゃテメエと殴りかかる彼女も、つねりあげた手を握りつぶそうとするだけで済ませた。
「何をしていない暇人が、テメエの価値観だけで人の努力を判断しやがって……!」
大人な私たちは、結果だけで人が判断するって経験則で知っている。
でも、まだそこらへんの社会経験の少ないお嬢様としては、努力は必ず受け入れられるし。
頑張れば報われるっていう思い込みを信じている――
とても残念なことに、頑張りも努力も報われなければ「頑張りとも努力」とは人は呼んでくれない。
「私が叩き潰して」
「やめなさい、この手のサイトは私がいたころも、Aqoursの全盛期も、理亞さんがナンバーワンになっても――こういうのを嫌う、様々なおせっかいさんがいても無くならかったから」
どうしても叩き潰したいと言うなら、日本を焦土にすることをおすすめする。
スクールアイドルが全国でも評判になって、ランジュちゃんとかエマちゃんが日本へ留学する現状。
やっぱり、世界を滅亡させるしか人を評価して現実逃避をする人を滅ぼす手段はない。
「へえ……また、スクールアイドルチャンネルとか、匿名掲示板みたいな名前してるのね」
感心したように呟きながら、iPadを全員で集まって眺めている。
我が学園では優木せつ菜が上位に君臨しているかと思いきや、ところがどっこいスクールアイドル部とランジュちゃんが健闘していた。
が、ランジュちゃんを推している信者さんが絢瀬絵里の知人なので、喧嘩はしても票は操作するなと言っておこう。
あと喧嘩ばっかしているステイツ(仮名)さんの電子機器は罰として取り上げておく。
や、でも、こんなことをしながらも、ちゃんと曲を提供してくるんだから作曲の天才との評判は伊達じゃないんだ。
ひとまずその際にはかすみちゃんに「エゴサーチ禁止」「次回のライブで汚名返上」と結論付けさせ、お嬢様には「頼り甲斐がない」と酷評を食らったけど。
そして夏休みの絢瀬絵里の断髪騒動まで、彼女はセカンドライブが行えない中。
私は勝手にコペ子ちゃんに「かすみんのソロライブ」を約束し、話を持っていったら殴られそうになり。
彼女のソロライブをみたいのはコペ子ちゃん一人ではなかったので無事でいる。
「努力は報われる……頑張りは必ず認められる……かすみさん! ライブのために合宿です!」
……無事でいられるだろうか。
何も言ってないのに「じゃあ、真姫さんの許可貰ってきてくださいね」と肩を叩かれ「髪が短いと叩きやすくていいですね」と怖いことを言われた。
未来でリストラされたら、しずくちゃんの顔を思い出すに違いない。