アラサーエリちとお姉ちゃん大好き妹亜里沙   作:のののえみ

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かすみんも経験のないままアラサーになるのかなと震える

 夏休みが始まり、寮生の一部が帰宅の途へ。

 ひと夏の体験を約束する女子生徒もいるけど、大いに結構。

 アラサーに至るまで、男性経験がないってならないでほしい。

 

 それもアリなのでは? と、一部こじらせたのがいるけど。

 孫の顔が見たいとせっつかれるメンバー増え続けている。

 

 ――鞠莉ちゃんが、親戚筋から合コンの誘いをめでたく頂き。

 Aqoursのメンバーもついに、年齢からそういうのをせっつかれるようにとホロリ。

 

 「ありがた迷惑な話」と自由人の彼女は唇を尖らせるけど。

 私ほどの年齢になってくると「こういう話があるけどいらないよね?」と気を使われちゃうから。

 

 園田海未、西木野真姫も最近では私と「おそろい」になったらしく。

 ことりや穂乃果はしきりに「まだ諦められてないからセーフ」と強調した。

 

 

 そういう問題じゃない。

 

 バカなことを考えていると、かすみちゃんが調子が悪そうなので。

 

「ごめんね? 若い頃から行き遅れの話なんか聞きたくないよね」

 

 と、言ってみると、彼女は顔を上げてにっこりと笑いながら。

 

「か、かすみんは男性のファンも多いですから~!」

 

 初ライブからしばらく、ファンも着実に増えてきたかすみちゃん。

 確かに、投票を見る限り、女性比率はめっぽう低い。

 

 コペ子ちゃんみたいな狂信者や、しずくちゃんみたいに「かすみさんは自分のもの」扱いするファンはいるけど。

 これまた例外中の例外――一年生ではそろそろ璃奈ちゃんもソロデビューをさせてあげたいし。

 

 かすみちゃんと璃奈ちゃんと相性の良いユニットを考えるか……と思案にふける。

 

「なんだか変な夢を見たんですよ」

「変な夢?」

 

 三年生と一年生の人でも組んでみるかな、と結論を出し。

 そんな私をかすみちゃんが不安げに見上げていた。

 

 夢を見ることはある――ぐっすり快眠とはいえ。

 夢なのか現実なのかわからなくなる時だってある。

 

 高校時代の体験は夢のような時間だったと断言できるし――

 

「彼方先輩とエマ先輩とりな子でユニットを組んだことがあって」

「なんですって?」

 

 かすみちゃんと璃奈ちゃんなら、その二人と組ませようかな?

 なんで考えていたところに、かすみちゃんのよもやの発言。

 

 そんなことがありましたと言いたげだ。

 たまたまの思いつきではなく、過去にそれがあったと断言する感じ。

 どれほど記憶を遡ったところで、カナちゃん、エマちゃん、璃奈ちゃんと――目の前にいるかすみちゃん。

 四人がユニットを組んだ記憶なんてなく、絵空事と否定したい。

 

 でもなんだろう? 確かにこの四人がユニット組んだら素敵だって。

 

「ボクは四人に曲作りするのは無理だね」

 

 会話にミアちゃんが乱入してきた――ステイツで大学を卒業した彼女が。

 かすみちゃんと会話したいからで話に入っては来ない。

 つまり彼女の中でも、四人がユニットを組むと相性がいいと断言できる何かの要素がある。

 

 彼女が何を言いたいのか、言葉にしてもらってもいいけど。

 

「……四人のユニットが歌った曲を想定できる?」

「イグザクトリー!(そのとおりでございます)」

 

 久しぶりにネタ発言をし、思いのほか恥ずかしかったのか、彼女は赤面しうつむく。

 

 だけどうつむいた原因は他にもあるんだ。

 自分の作る曲ではない曲が頭に思い浮かんで、曲は知っているけど作った人が分からない。

 

「こんな感じの曲じゃなかった?」

 

 かすみちゃんが口ずさんだメロディーは、聞いたことがないようなあるような。

 耳なじみがない初めて聴く曲ではない――ような?

 

 でも、かすみちゃんが口にしたメロディーを聞いて、ミアちゃんが目を見開いた。

 

「……驚いたな、かすみに作曲の才能があるなんて」

「や、夢の中でこんな曲を歌ったような気がするんだよ」

「ボクの頭の中にある曲と、よく似ている」

「ミア子が作った曲じゃなくて?」

「や、悔しいけれど、ボクの作った曲じゃないな……言葉にするのが難しいけど……」

 

 日本語ではうまく言えない様子だったので、彼女の言葉を私が翻訳して、かすみちゃんに伝える。

 

「寄り添った? かすみんとですか?」

「仲良しとはちょっと違うんだ、作曲家がグループに寄り添い、一番適切な曲を書いた……変な言い方をすると、プライドがない」

 

 自分の作りたい曲を書く……ではなく、自分の色を消し、ユニットに適切な曲を提供する。

 才能ある作曲家ともてはやされてきた彼女にはできないかも。

 

 他の作曲家にできるかできないか聞くのはやめておこう。

 梨子ちゃんに「アン?」と胸ぐらを掴み上げられるんはおっかないし。

 

「かすみんと寄り添える人ですかぁ?」

「ついでに言ってしまえば、エマにも、彼方にも、璃奈にも……や、もしかしたら同好会全員……スクールアイドル部にも寄り添えるかもしれない」

「そんな人材がいるのかしら……?」

 

 ニジガクで曲作りができる人と考えても、一部生徒が該当するに過ぎない。

 ただ、学園のスクールアイドルが歌う曲はμ'sやAqoursのメンバーが担当を折半している。

 

 かすみちゃんが口ずさむ限りだけど……自分の知っている誰かが作った曲じゃない。

 でもなぜか耳なじみがある、初めて聞くとは思えない。

 

 ――結局、耳なじみはあるけど思い出せない。

 てなって、この話はここで終わるかと思った。

 

 桜坂教官がこの会話を盗み聞きをしていなかったらの話だ。

 

 

 

 

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