アラサーエリちとお姉ちゃん大好き妹亜里沙   作:のののえみ

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東條希ちゃんお誕生日記念SS

 ことのきっかけは、リリホワとして組んでいた。

 奢りだと言って酒を飲ませ、食レポして貰っている最中。

 「事務所の許可をもらった?」と、酔いがさめるような発言をされ。 

 

「希ちゃんもさぁ、底辺Y○uTuberなんかやってないでさ」

 

 彼女の稼ぐ金額からしたら、収益化して得られる金額も。

 広告料代わりのお布施も(またはお小遣い)も。

 たいしたことではない――んだと、思う。

 

 一般のイメージからすれば、おちゃらけたことをやって収入を得てる人。

 なんだと思う――真面目に働けとは親戚筋にも言われる。

 

 でもY○uTubeで食べていける人なんて、少なくとも底辺じゃない。

 限られた人だと思っている……や、最近、お色気で売って稼いで人もいるから。

 スパチャで得られる金額も、だんだんと下がってきているけど。

 

 苦肉の策として、知人らに声をかけて放送に出演してもらい。

 それで知名度を高めていると言われれば頷くけど。

 

「恥ずかしいと思っているところがあるから、絵里ちゃんをゲストに呼ばないんでしょ」

「……」

 

 見透かされるような瞳で見つめられ。

 思わずたじろいでしまった――おちゃらけることもできなかった。

 

 

 

 

 動画の再生数は絶好調だった。

 歯に衣着せぬ発言で知名度を得ている凛ちゃんの食レポ動画。

 ツバサちゃんをゲストに呼んだ回と同じくらい伸びた。

 

 かたや食レポをしている有名タレント。

 かたや昔懐かしいおもちゃで遊ぶ元トップアイドル。

 

 A-RISEのメンバーをゲストに呼んだ回は、何をやっても再生数が伸びる。

 

 もちろん、何をやっても再生数がパッとしないゲストもいる。

 

 海未ちゃんが作詞をする回と、ことりちゃんがデザインをする回。

 μ'sのメンバーだから、とりあえず流しておけば再生するを確保できるかと思ったけど。

 話かけてもだんまりで、作業に集中する姿。

 一部のマニアな人にしか受けなかった――業界では大好評だったそうだけど。

 

「というわけでエリち、ゲストに出て欲しい」

「どういうわけかは知らないけど……」

 

 私の発言に苦笑いをしながら、承諾の意を示す絵里ちゃん。

 何をするのか、何をやるのか――髪の毛を突然ショートにした彼女を見ているだけで思い浮かぶ。

 

 お色気路線もイケる――あんじゅちゃんとどこまで放送できるかは再生数は伸びたけど怒られた。 

 妹について語ってもらうのもイケる――英玲奈ちゃんに語っていただいた時には、再生数はめっちゃくちゃ伸びた。

 

 真姫ちゃんにピアノを弾いて作曲をしてもらう回――得意分野のアピールもめちゃくちゃ伸びる。

 残念なことに喋ってもらわないとしょうがないけど……。

 

「全裸で喋るだけとかダメなの?」

「垢バンされそうな放送はちょっと」

 

 もちろん動画で撮っておいて、あらゆるメンバーに売りつける。

 宝くじの一等賞金くらいは余裕で稼げる――そんなことをすれば、絵里ちゃんの評価が死ぬけど。

 

 何より、隣で全裸の絵里ちゃんがいれば私のメンタルが保たない。

 お風呂とか、サウナとか、裸に近い状態であるのが一般的な場所とは違う。

 自室の、近い距離で、夫婦みたいに話しながら、全裸――魅力的だけども、垢バンされて終わる。

 

 あ、もちろんラブラロービンタが飛んできて死ぬ可能性も。

 

「ダメ、そういうのは面白くない」

 

 エリちの活躍をって言ったら、その瞬間に否定された。

 そういうのにリスナーが求めてるって、何度も説明するけど。

 自分には不適格だから、って、実に魅力的な笑顔で言う。

 

 つまりは、これ以上押すことができない。

 

「希のチャンネルなんだから、あなたが活躍すればいいじゃない」

「え?」

「そのためだったら、喜んで協力するわ」

 

 抗いがたい笑顔で、ウインクされば。

 諦めたように首を振り、お任せしますと言うしかなかった。

 

 これが惚れた弱みってやつなの?

 

 

 今まであらゆるゲストを呼んでアクセス数を増やした本放送。

 始まって以来のゲストなしの予告に反応は芳しくなかった。

 

 一方、私で遊ぶことを決めた皆様方は。

 どれほど頼んだところでトークしてくれないことりちゃんや。

 事務所の都合でとか、自分は裏方だからと、動画に映らなかった花陽ちゃんまでがPrintempsとして出ることを約束。

 二人が首を縦に振れば穂乃果ちゃんに拒否権はなく「高校時代とは真逆だ」と嘆いた。

 

 Printempsには「高坂穂乃果が言うことを聞かせられる二人組を選んだ」って評判がある――大嘘。

 

 今度希ちゃんの放送に出るから予定空けといてね、と、ことりちゃんに言われたと。

 μ'sのリーダーが泣きそうな声で「承諾の連絡」をするもんだから……。

 

 

 Printempsが揃うとなれば、lily white、BiBiも当然揃うわけで、なんやかんやでμ'sの同窓会は唐突に始まる。

 

「撮れてますかぁ?」

 

 ことりちゃんに勝負を仕掛けること複数回。

 「今回ばかりは自信がある!」と、一般の方々に観て頂いて優劣を決める提案をし。

 「名前で勝ったけど負けは負け」とことりちゃんに感想を残された曜ちゃん。

 

 この度はカメラマンとしてμ's同窓会に出席している。

 

 ちなみに梨子ちゃんから「渡辺でもうまく使えるカメラ」を提供してもらった。

 これならチンパンジーでもすごい動画が撮れると彼女は胸を張っている。

 

 デザイン勝負で「匿名でやれよ」「名前で勝てると思ってんのか」と辛辣な感想を残したけど。

 曜ちゃん敗戦時には「なんでだ! 曜ちゃんのデザインの方がいい!」とテーブルを叩き割ったらしい。

 

 あくまで都市伝説――そのような話があるってだけ。

 

 声を発すると曜ちゃんが撮影してるのがバレてしまうので、カンペにて。

 【このカメラならアラサーのババアでも、女子高生に見えます!】と提示した。

 

「ええと……高校時代のμ'sの裏話を一つ」

 

 それから、Aqoursのメンバーがもうひとり撮影に出席している。

 企画及びプロデューサーとして、ダイヤちゃんがカンペで指示を出している。

 私情を込めないでいただきたい――無理かもしれないけど。

 

「園田海未作詞ではない曲がひとつあります」

「あったね~」

 

 酒が入っているせいか、放送で使えないようなトークをするので。

 海未ちゃんが見事な軌道修正――

 

 A-RISEに勝利するために水着で踊ろうのエピソードは、出し惜しみするには惜しいけど。

 

「随分と話し込んじゃったね」

「酒が入ってるから」

 

  プロデューサーの暴走により、放送できないエピソードも。 

 途中途中、真姫ちゃんが放送禁止用語を言ったけれども。

 

 なんやかんやで集客が見込めそうな動画になったと思う。

 

【では最後に、希さんを泣かせてください】

 

 「殴りつければいいの?」「関節を外しましょう」と、物騒な提案がなされたけど。

 「わかった」と、言葉数少なに言った絵里ちゃんが、珍しく報復していた。

 

 ちなみに最大限に機嫌を損ねると無言での攻撃になる。

 

「希、あなたには感謝の言葉しかないわ」

 

 正直、誰かしらオチをつけるかと思いきや。

 誰もが素直に感謝の言葉を述べるって驚きの展開。

 凛ちゃんや海未ちゃんから、素直にありがとうと言われると。

 同じグループだけど邪険にされてたっぽいから、不思議な感覚を抱く。

 

 不思議って言うか、直接的に言葉にすると感極まる。

 

 そりゃそうでしょ、海未ちゃんからは「先輩扱いしなくていいですよね」と言われ。

 凛ちゃんからは底辺と直接言われ。

 

 自分の存在とはいったい、と疑問に思ってもしょうがない。

 

 ただ、絵里ちゃんの言葉に「え、あ、ありがとう」と言って。

 プロポーズ受けたみたいに恥ずかしがったら、ことうみの両者からにっこりと笑みを浮かべられたけど。

 

 あー、表情通りの感情だと信じたいなー。

 

「今の私がいる理由は、あなたが私の手を引いてくれたからです」

 

「心の底から感謝しています――昔は、ありがとうの気持ちを言うのが恥ずかしかったけど……」

 

「みんなに協力してもらって、感謝の言葉を告げることができました――ありがとう希」

 

 「こ、こんなのずるいやん……」と、一言言ったきり。

 自分は泣いて泣いて泣くしかなかった。

 拭っても拭っても涙が出てくるので、ティッシュを使い切ってしまい。

 

 海未ちゃんが「これをどうぞ使ってください」

 と、で渡したハンカチで目を拭くと激痛が走った。

 「おおおお!?」と、叫びごろんごろんと辺りを転がり。

 

「璃奈お手製の、目に入ると激痛がする液体付きのハンカチです。効果が実証できてよかったですね」

 

 先ほど、有無も言わさず関節を外していた絵里ちゃんも。

 残念ながらこっちに視線を向けずに食事に集中している。

 

 「次鋒レオパルドン! 脱ぎます!」と、すっかり赤ら顔になって酔いも深まった真姫ちゃん。

 「そのままエッチな声出して~」と、野次を飛ばすPrintempsの面々。

 

  「もんどりもんどり!」と助けてアピールをするも、残念ながら助けに入ってくれる人はいなかった。

 

 

 

 

 

 なお「こんな放送できるか」と結論付けられた動画は。

 

 渡辺曜が軒いるメンバーを、水泳勝負でフルボッコにするモノに差し替えられた。

 

 スタイルのいいメンバーの水着姿は好評だったけれど。

 非人間じみた曜ちゃんや、追随するμ's、Aqoursメンバーのガチっぷりに、再生数はあまり伸びなかった。

 

 水泳勝負ではなく、ツバサちゃんを応援する水着のあんじゅちゃんを撮影してればよかった。 

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