《ファイアーエムブレム封印の剣 発売19周年記念!!》
【炎の子】そして【若き獅子】――――――
そう称された若者が、再び訪れた竜と戦乱の驚異から世界を救う。

―――――そんな冒険譚が始まる、ほんの少しだけ前のお話。
運命の息吹が吹き込む前に、
そこにあった確かな平穏と、夢見た未来。







※ニンテンドー発のSRPG【ファイアーエムブレム 封印の剣】の登場キャラクター【リリーナ】が主役の物語。
本編が始まる前のエリウッドとのやり取りの二次創作です。


≪設定≫
・原作【ファイアーエムブレム封印の剣】本編開始前
・原作【ファイアーエムブレム烈火の剣】の要素も有

※注意
・原作ネタバレ注意!(封印、烈火共に)
・多少の解釈違いがあるかもしれません

【作者より】
封印発売19周年、おめでとうございます!!
原作スタート前のエリウッドとリリーナの会話を想像して書いてみました!
読んでくださり、ありがとうございます!

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【FE封印】夢見た明日へ【リリーナ×エリウッドSS】

コンコン――――――

 

扉を叩く、渇いた音が部屋にこだました。

「失礼いたします。オスティア侯公女・リリーナです!オスティア侯爵の名代として、フェレ侯爵様の御見舞いにやって参りました!」

「入りたまえ。」

リリーナは返事を聞くと、その扉をゆっくりと開けた。

「こんにちは、エリウッドおじさま。」

「わざわざありがとう、リリーナ。」

椅子に腰掛けたエリウッドが、ニッコリと微笑んで挨拶を返す。

「君は私の親友の娘。私にとっても娘のようなものだ。遠慮はいらない。大したもてなしこそできないが、ゆっくりしていってくれ。」

「もてなしって…。今日は私、おじさまの御見舞いに来たんですよ?」

「そうだったね。少し可笑しかったな。」

「ふふっ。ロイがちょっと抜けてるところも、おじさま似なのかしら。」

リリーナはそう言って、クスリと笑みを浮かべた。

エリウッドも笑みを絶やさず、会話を続ける。

「そういうリリーナは、相変わらず奥方にそっくりだな。しばらく見ないうちに、ずいぶんと立派になったものだ。」

「そ、そうでしょうか?」

「あぁ。体調が優れず公の場にはロイや別の使いの者を送っていたのもあって、前に会ってからずいぶんと日が経つ。だから余計にそう思うのかもしれないな。こんな事を言うと、彼に怒られそうだが…。」

「いえ、お父様もよく「お前がわしに似なくてよかった。」と言ってます。」

「ははっ、君が小さい頃は自分似だと譲らなかったのに。彼もずいぶんと丸く…ぐ、ゴホッゴホッ。」

「おじさま!?大丈夫ですか!?」

リリーナは、急に咳き込んだ彼に駆け寄って背中を擦った。

 

「大丈夫だ、じきに落ち着く…。すまないね、心配をかけて。」

「…お父様からも、ここ最近、おじさまの体調が更に芳しくないと窺ってました。」

「それでわざわざリリーナを名代にしてまで…。彼にはいつも苦労をかけるね。」

少し申し訳なさそうにするエリウッドが、言葉を続ける。

「彼には、ずっと世話になっている。病を患う前からね。」

「それは、おじさまのお父様の事とか、その後の事とか…?」

「それよりももっと前からだ。ロイと同じように、オスティアに留学に行っている頃から、彼には助けられてばかりだよ。」

それを聞いたリリーナは、またクスクスと笑った。

「…なにかまた可笑しな事を言ったかな?」

「いえ、ごめんなさい。ただ、おじさまもお父様と同じ事を言うんだな、って。」

「ヘクトルが?」

「はい。「アイツにはわしにないものがたくさんある。アイツがいなきゃ、わしがここにこうして鎮座していることもなかっただろう。」って。だから、いつも騎士団には「だからお前らも、わしかエリウッドのようになれ!」って言ってますよ?」

「…無茶苦茶を言うのは、歳を食っても相変わらずだな、彼は。」

苦笑いして彼女の話を聞くエリウッドだったが、どこか嬉しそうな表情をしていた。

 

「そうだ!ね、エリウッドおじさま!おじさまとお父様のお話、聞かせてもらえないかしら?」

その嬉しそうなエリウッド以上に、キラキラした瞳で問いかけるリリーナ。

「私と、彼の…?」

「はい!そこまで信頼し合ったお二人の事、ぜひ聞いてみたいわ。」

すると、エリウッドはまた微笑んで、

「あぁ、いいよ。」

…と、答えた。

 

「…さて、どこから話そうかな――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

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「――――――っていうのが、君のお母さんとヘクトルの出逢いだったかな。」

エリウッドのヘクトルとの思い出話に、リリーナは耳を傾けていた。

「…ホントに若い頃から色々型にはまってなかったのね、お父様は。」

「【類は友を呼ぶ】とはよく言ったものだ。彼の周りでは常に何かが起きてたよ。小さい頃からそうだったし…そうだ、彼が見た夢の話も面白かったな。」

「夢…?」

「あぁ、君とうちのロイが出てくるんだ。彼が結婚する前だから、当然二人とも生まれている訳もない。それに、まだ騒動も片付いていない時に見た夢なのに、だよ?」

エリウッドは可笑しそうに笑いながら、続きを語った。

 

「彼が見た夢はこうだった。すごい髭を携えた大男と、その肩に乗る小さい女の子が登場人物で、女の子はその男を「おとうさま」って呼び、男もまた「我が愛しい娘よ」って返したそうだ。二人とも髪や髭は青い色をしていたらしい。」

「ふふふっ。その特徴はもう、私とお父様で間違いないですね。…ということは、予知夢みたいなものなのかしら…?」

「なるほど。えらく勘の冴える彼の事だ、それもあり得るかもしれないね。」

リリーナの問いに、エリウッドはなるほど納得、という表情を見せる。

そして、彼女をじっと見て、こう言葉を続けた。

 

「そうだとするなら、私としても嬉しい予知夢だな。」

「え…?」

「その夢にはまだ続きがあるんだ。まだ出てきていない登場人物がいるだろう?」

リリーナは、ハッとした。

「あ、ロイ…!」

「そう。その小さな女の子は、後から出てきた男の子に手を引かれ、連れて行かれたそうだ。髪の色は――――――赤かったそうだよ。」

リリーナは、その話を聞いて少しだけ頬を赤らめた。

「でも、それ…ロイって決まったわけじゃ…!」

「ははは!私も同じ事を彼に言ったよ。言いがかりはよせ、と。でも彼は「あれはフェレの面構えだった」と言っていたよ。そして、時は過ぎて…君たち二人が生まれた。」

エリウッドの話を聞いているリリーナは、なんだか急に恥ずかしくなってもじもじとしてしまった。

 

「リリーナ。」

エリウッドは、そんな彼女にそっと優しく声をかけた。

「この夢が、本当であってほしいと、私は願う。もちろん、彼と結婚してくれとか、そういう単純な話とかではない。私にヘクトルが、そしてヘクトルに私がいたように、いつまでもロイの側にいてあげてほしい。」

彼は言葉を続けながら、窓から外を見る。

「ベルンがすでに動きを見せているように、この生活が当たり前ではない世の中になっていっている。私もこの身体だ、そんなに長くは彼の元にいてやれないだろう。」

「おじさま、縁起でもない事を…!」

心配そうな表情をしたリリーナに、エリウッドはまた優しく微笑みかけた。

「それでも、彼には君がいる。支えてやってくれないだろうか?」

そう言われたリリーナは、また恥ずかしそうにしながら、

「わ、私でよいのなら…。」

…と、呟いた。

エリウッドは、彼女の頭をそっと撫でる。

「ありがとう。彼が夢見た未来を。夢見た明日を。どうか私にも見させておくれ。」

 

空間に流れる、優しい空気。

水面に揺らぎ一つない凪のような、そんなゆっくりとした時間。

 

そこにひとつ、波紋が広がった。

「エリウッド様、来客中失礼いたします!!」

一人の兵士が、エリウッドの自室に訪れた。

「どうした。」

「先日イリア、サカ両地方を侵略したベルン王国が、リキアに攻め入ってきております!すでにオスティア侯爵家も、ヘクトル様を筆頭に出撃、迎撃の姿勢を見せ動かれている模様です!」

そこまで優しい表情をしていたエリウッドが一転、険しい表情を見せた。

(ついにか…。しかし、私のこの身体では…!)

考えていても、仕方がない。

エリウッドは、兵士に指示を出す。

「…仕方がない。オスティアに使いを出せ。ロイにすぐ帰国するよう伝えるのだ。」

「ハッ!!」

 

「エリウッドおじさま…。」

リリーナは、不安気な眼差しでエリウッドを見た。

エリウッドは、それまで険しかった表情をまた優しい表情に戻して、リリーナに言葉を返す。

「大丈夫だ、リリーナ。すでにヘクトルも動いてくれている。君がここに来たのも、おそらくそういうことだったんだろう。」

「お父様…。」

「ロイもじきに戻るはずだ。彼らがいるんだ、何も心配することはない。」

自身は、病気で弱った身体。

それでも、今にも泣き出しそうな親友の娘に、これ以上の不安はかけさせられない。

エリウッドは、力強く言い切った。

 

(そうだろ、ヘクトル。君の見た明日は――――――

 

 

 

 

 

ここで潰えるものじゃなかっただろう。)


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