URAファイナルを制覇したマチカネフクキタル。
しかし彼女の表情は暗く、そして背負う雰囲気は重かった……。

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思いついてしまった、故に書いた。
後悔はしていないが反省している。


~グッバイ、マチカネフクキタル~

 

明日を夢見るウマ娘と、それを支えるトレーナーたちが日々切磋琢磨し一期一会の出会いをトレーニングに生かしたり生かさなかったりしているトレセン学園。

その中の一室にて一人のトレーナーとウマ娘が、窓から差し込む穏やかな日差しとは正反対の重い空気を醸し出し、それは最早やや重のバ場に匹敵する状況であった。

 

 

「……それじゃあフクキタル、引っ越しの準備を……始めようか」

 

「はいぃ……」

 

 

躊躇いながらも口を開いたトレーナーの言葉に、うなだれ耳も尻尾もだらりと垂らすウマ娘。

彼女こそURAファイナル制覇を成し遂げ大量のファンを獲得しているレジェンドウマ娘、マチカネフクキタルなのだが……。

普段は胡散臭いぐらい輝いている瞳に輝きは見えず、その様子は絶不調そのもの。そして彼女の目の前にあるのは二つの段ボール箱。

 

その箱には、『いるもの』『いらないもの』とそれぞれ記載されていた。

 

 

「まずは携帯電話ですけど……これは必須ですよね?トレーナーさん」

 

「残念だがいらないんだ……電波が入るか怪しいから」

 

「入らないんですか?!」

 

 

震える手でマチカネフクキタルが手にしたお守りストラップ付きの携帯電話、しかしトレーナーの言葉は無情。

戦々恐々としながらマチカネフクキタルは携帯からお守りを外してポッケへ仕舞いつつ、携帯電話を『いらないもの』と書かれた箱へと入れる。

 

続いて彼女が取り出すは、使い古され年季の入った様子の目覚まし時計。

大事なレースで負けた夢を見たマチカネフクキタルを、いつも悪夢から解き放ってくれた戦友とも言える存在だ。

 

 

「それじゃあ、この目覚まし時計は……?」

 

「必要だ、どれだけの悪夢に襲われるのか。自分にも想像できない……」

 

「どんな悪夢の百鬼夜行なんですか?!」

 

 

ぎゃぼー!?と叫び頭を抱えるマチカネフクキタル、彼女の様子を痛ましい様子で見詰めるトレーナー。

その眼には涙が浮かんでおり、これから彼女を襲うであろう苦境を想い耐え切れないのか時折浮かぶ涙を手で拭っている。

 

 

「そ、そんな……じゃあこの私の占い開運グッズもいらないとか言いません? 嫌ですよ断固拒否ですトレーナーさん!コレがないと開運幸福の化身たる私でも……?!」

 

「バカ言うな!ソレを置いて行ったら最悪死にかねないぞ!!」

 

「死にかねないんですかぁ?!」

 

 

震える手でどこからともなく取り出した大量の占い開運グッズ、そして彼女が信じる神ことシラオキ様の化身と主張している招き猫をマチカネフクキタルは抱き締め。

これだけは、これだけは御許しを~~~と情けない様子で泣き叫ぶ、が。

 

彼女の涙声を打ち消す剣幕でトレーナーが叫び、その叫びにマチカネフクキタルは耳と尻尾を逆立て白目を剥く勢いで絶叫。

二人の絶叫の窓の外に見える木の枝にとまっていた小鳥は飛び立ち、特に関係はないがメジロマックイーンにちょっかいをかけていたゴールドシップが自爆。

 

そして訪れる静寂、もはや部屋の空気はやや重を通り越して出走停止レベルの重バ場な有様となる中……。

トレーナーが鼻を啜り、耐え切れなくなった涙をこぼしながら嗚咽交じりに言葉を吐き出す。

 

 

「フクキタルが、フクキタルがいけないんだ……理事長の前で宇宙最強のウマ娘は自分だなんて、豪語しちゃうから……!」

 

「出来心だったんです~~~、助けてトレーナーさぁぁぁぁん!」

 

 

どんなコネと伝手でつないだのか見当もつかないしきっと彼女の秘書であるたづなさんも把握していないのは間違いないが。

頑張れー負けるなー力の限りぃぃぃ!と二人揃って合唱している二人ならきっと乗り越えられるだろう。

 

 

 

 

 

 

そしてそんな二人の騒動を偶然、開いていた部屋の扉から見かけたメジロマックイーンのトレーナー。

その表情には困惑しか浮かんでいないが、その時トレーナーは目を見開く。

 

 

その時、ふと閃いた! このアイディアは、メジロマックイーンとのトレーニングに活かせるかもしれない!

 

 




当初はライスシャワーちゃんが被害者枠だったんですが、可哀想だったのでマチカネフクキタルにしました。


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