NieR:Automata It might to [BE]   作:ヤマグティ

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運命なんてどうとでも分岐するので初投稿です。


Episode.5 [スベテハ君ガ為。]

 

 

 

❬二機の飛行ユニットは大気圏を抜け、地球上空に飛来、バンカーを失った事で搭乗している観測対象のアンドロイド二体、❬2B❭ ❬9S❭の顔は酷く落ち込んでいる。❭…っと。

 

う~ん、このデジャブよ。

…あれ?デジャブってこの使い方で合ってるっけ?なんか違うような気もするけど。ん~…まぁいいや。

 

 

 

 

 

それにしても退屈だなぁ…。もう何回目だろうか。C,D,Eルートの観測なんて…。ミリも変わらない風景、変わった所で結局同じ最後に帰結するミリしか変わらない状況…

 

いい加減に飽きてきたな…いや前からずっと飽きてるけど…。

 

もういいかな~…このまま適当に前の資料からコピペして残りを埋めてまた別の分岐行って最初から…

 

 

 

ハァ~あ…自分でいうのもあれだけど…

私、観測者の仕事に向いてない気がする。

 

 

 

 

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴォォォォォォォッ

 

 

 

 

地球上空。

 

バンカーから逃げのびた私達は、兎に角安全に着陸できる地上を探していた。

 

「司令官ッ…」

 

司令官が死んでしまったことがまだ受け入れられない。

 

いや司令官だけじゃない。私達以外のヨルハ隊員達もそうだ。

 

ヨルハ部隊は、実質的に壊滅した。

 

私達は…これからどうすればいい…?

 

どうして…こんなことに___________

 

 

[警告:追尾反応多数。]

 

ポッドが警告をする。

 

「敵!?」

 

もう見つかったの…?付近に機械生命体の反応なんてなかったのに…いや、待って。追尾…?

飛行ユニットを遠隔から発見・追尾なんてことができるのは…

 

嫌な予感が頭をよぎった。

 

「いや違う…!この反応は……!」

 

9Sが言いきる前に答え合わせになった。

 

ヒュンッ

 

 

私達の下を4つの影が追い抜いた。

 

一瞬だったが、ハッキリとみた。

 

嫌な予感があたった。あれは…

 

 

「ヨルハ部隊!!」

 

地上にいた汚染ヨルハ部隊が私達と同じように飛行ユニットに乗って追いかけてきたんだ。汚染個体は機械生命体ネットワークで繋がっている。私達がバンカーから脱出した時点で追尾命令がきていたんだろう。

 

っ…。くそっ…気が動転していてステルス機能をONにしていなかった…!

 

ヨルハ隊員の…敵の数は、4体。

 

まずい…機械生命体相手ならまだしも飛行ユニットを多勢相手にするのは明らかに分が悪い。

 

逃げるしかない。減速し、距離をとり方角を変える。

だが飛行ユニットの性能に優劣はない。同じ性能をしているので、すぐに追い付かれる。

 

「…くッ!」

 

右折。左折。直進。急降下……複雑な動きを繰り返しなんとか撒こうとするが…駄目だ、目視で捕捉されている以上振り切る事ができない。

 

となると…残っているのは応戦。

 

だがさっき思ったように4機に対してこちら2機では分が悪い…そもそも対飛行ユニット戦自体が初めてだ。

 

駄目だ。勝機が見えない。

 

「このままじゃ…」

 

 

いいや諦めるな…!

 

 

考えろ、考えろ…!!

 

 

このままじゃ…このままじゃ全部失う!

 

 

託された希望を!

 

 

意思を!

 

 

 

願いを!

 

 

 

9Sまでも……失ってしまう…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そうだ、9S。

 

 

 

先程までの希望だの願いだのの思考が頭の隅に追いやられる。

 

 

 

9Sだけなら、君だけならここから逃がせるかもしれない。

 

 

 

今私の飛行ユニットには、隊長権限がある。

 

9Sの飛行制御をこちらに移させて、この戦線から離脱させるように飛行ユニットを動かせば…

 

ああ、けれど、9Sが「君だけは逃がす。」なんて提案を到底受け入れてくれる訳ない。そんなこと考えればすぐわかる。  

 

どうやって飛行制御を移させればいい?

 

私は9Sと違って機転なんて利かない。うまく丸めこむ事なんて出来ない。

 

どうすればいい?…一体、どうすれば…。

 

 

 

 

 

 

 

 

…いいや、

 

 

 

 

何も心配なんていらないでしょ…?

 

 

 

だって私はずっと9Sを騙し続けてきたんだから。

 

 

 

今更何を躊躇っているの?

 

 

いつも通りにやればいい。ただ冷静さの皮をかぶって、語りかければいい。

 

 

ずっとそうしてきたんだから。

 

 

でも…。だけど…この嘘だけは今までとは違う。

 

 

君を救う為の…最初で最後の、君の為の嘘。

 

 

 

 

「9S。飛行制御を____

 

 

 

 

…ごめん…9S。最期まで私は君を…欺いてしまう。

それでも…それでも君だけは絶対に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………え…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の乗っている飛行ユニットの左翼に穴があいている。

 

「…えッ!?…なっ!?」

 

 

撃ち抜かれた左翼が機能を低下させ少しずつ機体がバランスを失い下降し左へと戦線から反れていく。

 

 

 

え、なんで?

 

 

なんで??

 

 

どういうこと?

 

 

どうなってるの?

 

 

焦りが、動揺が募る。

 

攻撃を避けられなかった?

 

そんな筈ない。あるもんか。

 

敵の位置も射線も把握してる。

 

気付かないわけがない。

 

今飛んできた攻撃の位置に敵はいない。いないんだ。確実に。

 

いや、何もいない訳じゃない。

 

そういう訳じゃないけど、でも、そんな訳ない。

 

そんな訳ないに決まってる。

 

だって、

 

さっきの攻撃の先にいるのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……9…S………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして

 

 

 

どうして?

 

 

 

どうしてなの?

 

 

 

誤射?

 

 

それとも9Sまでもがウィルスに?

 

 

そんなことって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや。

 

いや、違う……。

 

 

 

違う…………。

 

 

 

違う……!

 

 

違う…!!

 

これは…!!!

 

まさか…!まさか9S…!

 

急いで9Sへの通信を試みる。

 

「9S!!返事をして!」

 

「………」

 

 

返事がない。通信を切っている。やはりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私を逃がす気だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「9S…!9S!!お願い返事をして!!どうして!?どうしてなの!!?」

 

遠ざかっていく9Sに必死に叫ぶ。

 

君の事だ。私と全く同じ事を考えていたんだろう。

 

でもそんなの駄目。駄目に決まってる。

 

だってもうバンカーは無くなってしまった。

 

今のが最後の義体なんだ。それが死んだらもう生き返ることなんてできない。

 

なんとか機体を制御し戻ろうとする。

 

駄目だ。噴出口に関連したパーツがピンポイントで壊されている。

 

どんどん9Sの姿が遠く、見えなくなっていく。

 

そんな。待って、待って9S。こんなこと。こんなことって。

 

必死に君の名前を叫ぶ。

 

「9S!!9Sッ!!!9sうあぁっ!!?_________

 

必死なあまり地表が目の前だということに気付かなかった。

 

 

ズシャァアアア

 

 

 

飛行ユニットが砂漠にパラグライダーのように不時着する。

 

 

「あっ  がっ……!!」

 

 

飛行ユニットから投げ出されゴロゴロと数十m程砂漠を転がる。

 

 

「あっ…  ぐっ…    うぅ…」

 

 

柔らかい砂に比較的ゆっくり落ちたとはいえ衝撃が小さいわけじゃない。体中にダメージがある。

 

意識が朦朧とし、上手く立てない。

 

[警……く:高速で…落……た影…に……り機能… 般が…非常…不安…。]

 

[…ん在の状……の再…は不可……うと予…く。]

 

 

ポッドが何か警告している。頭が朦朧し耳がキーンとしてよく聞こえない。

 

だが状態からして…今からの再起は難しいと言っているのだろう。

 

だけど…だけど9Sが…

 

よろめきながらも歩こうとするが、すぐにバランスを崩してしまう。

 

「ハァッ……!ハァ…ッ!」

 

呼吸が荒い

 

全身の所々が痛い

 

視界がゴチャゴチャしている。

 

 

[警こ…:現在…態での……は…不……能…と…測。]

[…奨:強制シャ……………ウン及…び再起…で…能を復旧…を……き。]

 

 

 

「9……S……」

 

体が悲鳴をあげていても、

這いつくばってでも、動こうとする。

 

 

……………9…………s…

 

 

[活……う……続に関わ…る危…な状……と判断…強制……止。]

 

 

 

ザザ゙ッ

 

 

急激に意識が落ちていく。

 

 

 

 

 

あぁ_____っ

 

 

意識が___途絶え__これは_____強制_停___

 

 

 

 

まっ_____て_____9____が___________

 

 

 

 

 

どうし_て_____こんな___こん__なっ____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まって___……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____まってよ…___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナイン…______________. .. .

 

 


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