俺は私で私は俺で。二人で一人の男女の、奇妙な生活。   作:馬汁

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物凄く申し訳ない。別の作品を誤って投下してしまいました。
此方が修正したものです。

作風変わりすぎだろ、って思いましたよね? すいません。


幕間 我は猫である。

 

 我は猫である。最近はとある一家に「バニラ」と呼ばれている。

 と言うのも、数日前の出来事以降からこの家に住まう事となり……私は気に入らないが、ペットとしてここに居る。

 母子家庭特有の雰囲気は我にとっても居心地が良いが、朝と晩の頃には忙しなく扉を出入りするから、我も落ち着かなくなる。

 

「バニラちゃんおはよー。休日出勤するたぁいへんなママさんを送り出しに来てくれたんだー?」

 

 やたら長く話すが、我が猫だと理解しているのだろうか。ここの家計を支えている母は、その功労に反して頭が緩い。

 この部屋には居ない双子……彼らの性格は彼女ではなく父から遺伝しているのだろう。或いは“反面教師”のお陰か。それらを考慮しても、彼らは特に落ち着きが過ぎる。

 我が気に掛ける様な切っ掛けとは別だが、気に入る理由の一つであった。

 

 少しずつ陽が上り、時計に目を向ける。この一家の双子とは、ふだんからこの時間に会っていた。彼らの通学路、その道で私を通り過ぎる形で。

 

 ……今日は休日だが、あの双子がやってくる気配が無い。

 彼らはまだ自室に居るようだ。

 

 仕方がない。呼び起こすとしよう。

 

 

 

 

「いた、いたた」

 

「ふふ、構って欲しいのかな」

 

 こやつ等、起きていたと言うのに二人でいそいそと乳繰り合っていた。

 子供に見せられない様な事はしていないが、互いの顔を見つめ合っていたり撫で合っていたり微笑みかけたりと、我から見ても非常に居たたまれない状況になっていた。

 

 見る人が見れば微笑ましいと言うのかもしれないが、我にとっては少し事情が異なる。

 そう、我は猫であるのだ。好奇心と自己中心のマスコットとも言える動物であるから、見守らずに叩き起こすのにも抵抗が無いのである。

 

「どうしたのかなぁ。バニラくん」

 

「構って欲しいのか? ほら、おいで」

 

 彼女は兎も角、彼までもその態度だと毛が逆立つ。お前、寝惚けているだろう。

 

 

 我が特別興味を抱いている……、あるいは見守ると決めたこの二人。彼らは自覚はしている様だが、夏の()()()()()に起きた出来事の当事者である。

 それが我にとっての興味を産んだ切っ掛けであり、見守らなければならぬ理由でもある。

 

「バニラちゃん、すっかり毛並みが良くなったな」

 

「お風呂も抵抗しないし、食欲も自制してるみたいだし。すっごく頭良いよね」

 

 ……。

 

 彼らは、今でも元気にしているだろうか?

 今やこの世界から消えてしまった……いや、弾き出されてしまって以降、出会えていない我が友を思い返した。

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