脚本:結城友奈 コンテ:結城友奈 演出:結城友奈 総作画監督:結城友奈 作画監督:ポセイドン中村
昔々、ある所に勇者がいました。
勇者は、人々に嫌がらせを続ける魔王を説得するために、旅を続けています。
ブロロロロ!!!
ブンブン!!
ブルンブルン!!!
勇者が乗っているバイクの音が激しく響き渡る。
手に持った木刀を振り回しながら、勇者は声を張り上げる。
「おらおらー!!!魔王はどこじゃー!!!出てこんかワレー!!!」
「いや説得する気ゼロでしょ!!勇者要素どこ!?」
「風先輩、落ち着いて!演劇の続き続き!」
「あっそうだった。…いや落ち着けるか!園児も困惑してるわーっ!」
道中、魔王の手下である魔物たちをこれでもかとボコボコにする勇者。
力なくして倒れていく魔物たちは、勇者に命乞いをした。
「ひえ~!ど、どうかお助けを~…」
「
「!?」
「欲しければくれてやる…探せ!」
勇者はスーパーに魔物と一緒に入ると、お惣菜のコーナーに陳列されている『あるモノ』を手に取る。
それはキだった。
「税抜き120円、お安くなってるアルヨ」
「アイヤー!こ、これが
「いやどう見てもそれただのカタカナのキだよ?!
「東郷先輩、あの…この台本って、誰が書いたんですか?」
「風先輩がツッコミをしている所を見て………友奈ちゃんしか候補がいないの」
「ああ…やっぱり…」
「モブ如きが勇者に勝てるわけねーだろーがーーー!!!!!!」
バキィ!
「ぎゃああああぁ!!!」
「やっぱり一撃で負けたー!!!モブ扱いは可哀そうだからやめてあげてーーー!!!」
「ツッコム所そこじゃないよお姉ちゃん!」
道中色んな事がありましたが、そしてついに、勇者は魔王の城にたどりついたのです。
「やっとここまでたどりついたぞ、魔王!もう悪いことは、やめるんだ!」
勇者はそう言うと手に持ったレーザーガンを相手に向けて乱射する。
バシュン!バシュン!バシュン!
「私を怖がって悪者扱いを始めたのは村人たちの方ではないか~!」
魔王は独白する。
「だからって嫌がらせはよくない!話し合えば分かるよ!」
バシュン!バシュン!バシュン!
「話し合えば、また悪者にされる!」
魔王は独白する。
「君を悪者になんかしない!」
バシュン!バシュン!バシュン!
レーザーガンに撃たれ体が穴だらけになった魔王は、その言葉で一瞬、決心が揺らいだ!
犬吠埼風は思った。
(どう見ても勇者の方が悪者だーーー!!!)
「えーっと、この後の展開は台本にはなんて書い、て…『あとは話し合いで解決してください』……えぇ?」
「うそ!?友奈ちゃん!風先輩!あとは話し合いで解決してください!」
「まっかせて東郷さん!
───勇者~…パーンチ!!!」
「ぐはぁ!」
「話し合いはーーー!!!?」
「そのまま行ったー!!!さっすが勇者!俺たちに出来ないことを
「そして私はヘーゼン。23歳の医者、独身。免許は持ってない」
その隙を逃さずに勇者は、渾身の一撃を放つ。たまらず魔王は血を吐き出した。
そして樹は思った。
(どう考えても勇者の方が悪者だよ……あれ?)
「今の二人…特にヘーゼンって、誰?」
「樹!BGM!BGM流して!これもう収集つかないから!」
「あ、うんお姉ちゃん。えーっとBGMは…これで!」
~♪
最終決戦を彷彿させるこの重低音とテンポは、魔王戦のBGMだ。
~♪
「フハハハハ!力がみなぎる!みなぎるぞー!そっちがその気ならもはや言葉は不要!ここが貴様の墓場だ~ッ!!!」
すると魔王はノリノリでレコードのスクラッチを始めた。魔王の頭上ではミラーボールがキラキラと輝く。
ミラーボールがくす玉のように割れると、中にはガラスの靴を履いたお姫様と、裸の王子がダンスを踊っていた。
「YO♪YO♪俺は魔王だYO♪箪笥なパーティー始めるZE♪
ノリに乗ってるシマウマ。引き出し開いて仕舞う
「うわあぁぁ魔王がノリノリにー!」
魔王戦も佳境の中、魔王のスクラッチとラップが幼稚園に響き渡る。
「あれは魔王の奥義『箪笥でダンス』…!!!いけない!あのスクラッチによって発生する衝撃波はあらゆる防御を貫通し相手に
「東郷先輩、急に何を言い出すんですか!?」
「フハハハハ!さぁどうする勇者よ!大人しく尻尾を巻いて逃げ出すか~!」
「Oh!揚げたて一番!Oh!揚げたて一番~!唐揚げにはレモンが一番~!」
ビタン!ビタン!ビタン!ビタミンC!
「でも了承なく唐揚げにレモンかける奴は許せなーーーい!!!」
ガガガガガガガ!!!
「馬鹿なあああああぁぁぁ!!!」
「何やってるんですか友奈さーーーん!!?」
東郷の解説で思わず顔をニヤつかせた魔王は、エビフライの着ぐるみを着ている勇者に高笑いしながら優勢を示す。
しかし勇者は着ぐるみを脱いでガトリングをぶっ放したかと思うと、魔王の前に飛んで着地。
不敵な笑みを崩さず逆に仕掛ける。
「フッ、それはどうかな?」
そう言えるデュエル哲学。
ド ☆ ン
「なにィ?」
「この声援を聞けばわかるよ…」
「皆!勇者を応援して!一緒にグーで、勇者にパワーを送ろう!」
「よこせよ!」
「よこせよ、よこせよ!」
「渋谷区大型デパートヨコセヨ!」
「渋谷区大型デパートヨ→コ↑セ↓ヨ!!!」
パーパー♪ マーマー♪ ぼーく♪
みんなハッピー♪
みんなハッピー♪
ヨコヨコヨコヨコ ヨコセヨデパート♪
開店2583周年、記念セール開催中。
「ヨコセヨ大統領ーバンザーイ!ヨコセヨ大統領ーーー!!!」
「なんだこの声援!?魔王のパワーアップと全然関係ないじゃん!!!」
「ぐああああぁぁぁぁ!!みんなの声援が私を弱らせる~!」
「えぇーーーっ!?どこに弱らせるような要素があるの?!」
BGMによってDJスタイルに変身しパワーアップしていた魔王だったが、スーパーのセール中に流れるBGMと声援によって逆にパワーダウンしてしまった。
ここでは演劇を見ていた児童の皆に風船を配っているヘーゼンの姿があった。その隣にはスーツ姿の金髪の外国人男性がおり、「
彼こそはヨコセヨ大統領だ。
「ヘーイ!ワターシ、ヨコセヨ大統領デース。ミナサン、オアイデキテコウエイ───」
「うっせーぞどきなおっさん!セール大特価の卵が買えないじゃないのよ!」
「なんてことするザマス!このキンパツパツパツのおっさん!」
「オーノー!ヘルプミー!」
バキバキ!ボコボコ!
そこにはマダム達の全軍突撃によってもみくちゃにされたヨコセヨ大統領の姿があった。
「ああ、そんな…!いったい誰がこんなひどいことを!」
東郷がヨコセヨ大統領を介抱し、棺桶に入れると隣に手榴弾を置く。
「ワッツ!?」
「ペッ…」
東郷は唾を吐き捨てた。
一方犬吠埼風はマダムが過ぎ去っていく様を懐かしい目で眺めていた。風が流れ、犬吠埼風の髪をふわふわとなびかせる。
その後ろで扇風機のスイッチを押している結城友奈。
ウィーン。
「あれが"マダム"よ…手強いわ。私も何度も戦ったことがある」
「風先輩…?ハッ!その傷!」
結城友奈は手を口に添えて驚いた顔をした。
風先輩の左目の下にある"傷"に気が付いたのだ。
「あれ?お姉ちゃんにそんな傷あったっけ?」
「いやいや、コレ。シールよ」
ペリッ
(思いっきり偽物だーッ!!!)
「その傷は…ま、まさか風先輩はあの戦争の…ッ!!!」
「そのまさかよ。私は"マダムウォーズ"を生き抜いた、歴戦のファイター!!私もマダムなのよ!」
「ええー!!お姉ちゃんマダムだったの!?あとマダムウォーズって何ーー!!!」
マダムウォーズ…それは今から遥か300年前の事、地球全土にあるスーパーを突如として襲った宇宙より飛来したマダムの軍団との闘いの記録の全てをそう呼ぶ。
マダムは強かった……しかしそのマダムから品々を取り合い、闘いを生き抜いた熱き"マダム魂"を持つ伝説の女を、人々はマダムと呼ぶ。
「それがマダムウォーズよ」
「し、知らなかった…歴史に詳しいこの私が…不覚ッ」
「ちなみに男の場合はマダオって呼ぶのよ」
「どうでもいいよそんなこと!」
犬吠埼樹には心底どうでもよかった。
「それより演劇が台無しだよ!早く流れを終わらせてハッピーエンド行かないと!もう収拾がつかないんですよ!?分かってますか皆さんッ!!!」
「そうですよ風先輩。悪ノリし過ぎです」
「東郷先輩もですよ!」
「えっ」
「樹ちゃーん!私は~?」
「……一番有罪です!」
「!?」
「被告人には即刻おふざけをやめて真面目にやる事を命じます!先輩らしくビシッと決めてください!」
「まっかせて~」
「真・面・目・に!ですからね!」
「はーい。真面目にやります、真面目に……」
テレレレレン♪
テレビドラマ「結城友奈課長の備忘録」
第1話「幸せの時」
結城友奈「今日もいい天気だねぇ……」
東郷美森「そうですねおじいさん……」
結城友奈「もう、おじいさんじゃなくて結城課長でしょ?東郷さん?」
東郷美森「そうだった、うっかりしてたわ!」
結城友奈「アハハ、もう東郷さんってばお茶目さん!」
東郷美森「すみません結城課長!」
結城友奈「極刑に処す」
~完~
チャンチャン♪
「「真面目にやれーーー!!!」」
バキィ!
「ぎゃああああぁ!!!」
十数分後……
「おバカ!アンタって子は!もう、おバカ!」
「ごべんばばいべじだ……」
「泣いても許されることと、許されないことがあるんですよ友奈さん!」
「友奈ちゃん…ボコボコになった姿も可愛い……」
「アンタもか東郷!」
「お姉ちゃんも反省して!」
「アタシ精一杯やったのにーーー!」
思いっきり殴られ、顔がタコヤキの2000倍はボコボコに膨らんだ結城友奈がそこにはいた。
あれだけ、おふざけをしたのだからそうなるのも当然と言える。何もおかしいことは無い。
何故なら樹は魚雷だから。
「私魚雷じゃないよ!?ナレーションまでふざけないで!」
アッハイ。
………とまあ、こんな感じで。郊外活動に青春を燃やしている結城友奈達。
「――――――と、言うワケで。祖国は守られました。めでたしめでたし」
「あの流れからよくここまで持ってこれたわね、東郷…」
「風先輩。いつも友奈ちゃんの無茶ぶりに対応してますから、これくらいなんでも無いですよ」
「アンタ凄いわね……ハァ、友奈の将来が心配だわ。誰かイイ人でも見つかれば落ち着くのかしらね~…」
「ヒロインは私ですよ」
「!?」
3年生で部長の犬吠埼風先輩。この舞台のお話を考えたしっかり者!「いや考えてないから!友奈だから考えたの!」
「それにしても樹ちゃんのツッコミは相変わらず凄いね~!私思わずハジケちゃったよ~!」
「友奈!アンタは自重しなさい、じ・ちょ・う!ツッコミばかりでボケが出来ない樹が可哀そうでしょ!」
「お姉ちゃん…お姉ちゃんがおふざけに乗らなかったらツッコミはもっと楽だったと…思うよ…ガクッ」
「樹!?」
「メ…ッセージ…で…す…これが…せい…いっぱい…です…お姉ちゃん…受け取って…ください…伝わって…ください…」
「樹~!!」
パカッ
(最後のメッセージ)
『あとボケはもうお腹いっぱいだよ』
「樹が死んでしまったーーー!!!うわああああぁぁぁぁ!!!」
「「樹ちゃんーーー!!!」」
後輩で、部長の妹の犬吠埼樹ちゃん。一年生。お姉ちゃんの事が大好き。
「それじゃあ、お片付けして帰りましょうか」
「うん、東郷さん!」
「もうちょっと園児と触れ合いたい所だけど、時間が時間だしそうね~。そんじゃ樹~帰るわよ~!寝てないで片付け手伝いなさい~」
「もっと優しく起こして!」
「優しく…?そう。おいで樹ちゃん…」
「あっ、東郷先輩…?」
ポフ…
「ふふふ。樹ちゃん~。私の膝枕はどうかしら」
「ふわぁぁぁ…!最高です!」
「あー!ねぇねぇ、東郷さん!私にも膝枕して~!」
「友奈ちゃんは反省してからよ。締め切りが迫っているでしょう?」
「はっ!そうだった…月刊『勇者部活動報告』の原稿用紙が100枚以上!こんなことがあるなんて…」
「提出は今日の夕方よ。終わったら教えてね添削するから」
シュバババババ
「はやっ!ゆ、友奈…あんたその速さでちゃんと書けてるの?」
ペラリ
『カレーの栽培に適しているのは?
ジャガイモ→ 隕石が降ってくるので良く育たない。
うどん → 忍者が修業するので良く育つ。』
「意味不明のレポートがそこにはあった…サラダバー!」
「あっ、お姉ちゃんが壊れた…」
プシューー!シュンシュンシュン!
「ふふっ、風先輩ってばフーセンドックリみたいに飛んじゃって体張ってますね」
「張ってるっていうかペラペラですけど!?」
「実は讃州中学では密かにブームなんだよ樹ちゃん!ほらこうやって…
「ええええぇぇーーー!!?」
「にゃ、にゃんてこと…ッ!結城友奈が可愛すぎて私、結城友奈が可愛すぎて…!
──────思わず猛獣化!」
ガルルルル!シャー!ガルルル!
ガルガルシャー!
そして結城友奈の大親友。東郷美森さん!去年お隣に引っ越してきたんだって!結城友奈が大親友なのに名字で呼んでいるのは、本人の希望らしい。
「まさに一触即発の雰囲気ね…これはハンターの腕がなるってもんよっ!」
「お姉ちゃん!」
パカッ
トロピカルジュースでバカンス気分。
サングラスで日光浴。
今日も晴れ晴れ、ピヨピヨひよこのピヨリクエスト♪
「風さん、アンタに言い忘れとったけんど…今月分はもうピヨピヨしたんで、鳴らないんよね」
ガチャン♪
「……」
「……え、何今の」
「ハンター業も、ここらが潮時ね」
「お姉ちゃん?」
「樹…不甲斐ない、お姉ちゃんで、う…うぅ…ぐすっ、ごめんねっ…!絶対に技マシンで復活の呪文覚えるからっ…!」
「何もかも混ざりすぎだよっ!私のボケに乗るために体張りすぎだよ!私だよだよ言って疲れたよ!もう帰るよ!みなさん行きますよ!」
「そうね。それじゃあこれに着替えてと…はい樹の分」
「…?」
「友奈ー東郷ー。いくわよ!パワーをメテオに?」
「「いいですとも!」」
私達は、皆のためになることを勇んで実施するクラブ。
そう、私達は──────
─────「「「いちごオレ早飲みクラブ!!!」」」
「讃州中学勇者部だよっ!!!!!!!!」