ゴミでカスなクズトレーナーは今日も今日とてウマ娘を虐待する。   作:カチュー

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今回は虐待成分少な目で申し訳ないでやんす。


#9 ウマ娘に対する虐待の対価

 まだまだ真夏並みに暑いせいでやる気が削がれる9月下旬。

 

 昨日、短距離とマイルしか出さないと未だにほざいていた虐待精神の足りないミホノブルボンのトレーナーとバッチバチの口論をしたせいでオレの気分はガタ落ちになっていたんだが……

 

「ライスッ! また頭が上がってるぞ! 姿勢はより低くしろ! コーナーでスピードを落とさないように!」

 

「は、はいっ!」

 

「練習は本番のように! 本番は練習のように、だ! 刹那の瞬間まで感覚を研ぎ澄ませ!」

 

 そんな中、オレは汗だくになりながらライスに苛烈な虐待をすべく鞭を打っていた。

 

 ククク! これよこれ! 嫌で嫌で仕方ないのに耐えるしかない惨めで懸命な姿ァ!

 

 これぞ、オレのウマ娘にふさわしい。テンションもおかげさまで相当戻ってきた。

 

 お前が苦しむ姿を見れれば、オレが最高に興奮出来てハッピー。

 その代わり、お前は並みのウマ娘なんかと比較なんてできねえ高みへと辿り着けるんだ。

 

 と、ライスシャワーがフラフラの状態で戻ってきたな。

 

「お疲れ様、今日のメニューは終了だ。最後の方はようやくマシになってきたな」

 

「……はぁはぁ。ホ、ホントに!?」

 

「マシ、になっただけだ。あまり調子に乗るんじゃない」

 

 ライスシャワーに指導している内容は何も知らねえウマ娘なら及第点を与えるところだが、オレが虐待するウマ娘ならこんなもんじゃ全然足りねえ。

 

「あうぅ。ごめんなさい……」

 

「ハハ、なんてな。よくやってるよ、ライスは」

 

 オレの手厳しい指摘に落ち込んだ様子のライスにオレは慰めの言葉をかけてやる。

 

「でもでもっ! こんなに教えてもらってるのに、ライス全然お兄さまの教えを身に付けられないし……」

 

「……実はな。オレが教えているのは才能があるだけじゃ身に付けられない走法なんだ」

 

「え? そ、そうだったの!?」

 

「ああ。この走法はいかに才能のあるウマ娘でも2日と持たずに体を壊す」

 

 隠された衝撃の事実にライスはぎょっとした顔をする。

 ククク、おぞましいトレーニングだと今の今まで教えてなかったからな。

 

 まあ、危険といってもケガをしないように管理しているが。

 

「でも、ライスはケガをすることなく1カ月以上トレーニングを続けられている。それはな、ライスの体が現役のウマ娘と比較してもかなり丈夫になった証拠だ」

 

「けど、ライス何もやっていないのに……」

 

「やってきたよ。お前は客観的に見て、オレが出す非常に辛いトレーニングから決して逃げ出さなかった。それは十分すぎるほど、他人に誇っていい事実だ」

 

「お兄さま……」

 

 なんだか感極まっているようだが、何か感動するところはあったか?

 貶すべき点は貶す。褒めるべき点は褒める。

 

 虐待を好きだろうが、嫌いだろうが人として当然のことを言っているだけなんだが。

 

 

「さて、ライス。残り3カ月になったけど、今年の目標を伝える」

 

 段階式に虐待の強度を上げていく中で歯を食いしばり、ボロボロになりながらもきちんと付いてくる健気で可愛くて虐待しがいがあるライスシャワーにオレが考えている目標を伝える。

 

「う、うん!」

 

 ここでオレは右手の人差し指と中指を2本立てた。

 

「今年の目標は11月の京都ステークス。そして、12月のホープフルステークスで1着になること」

 

 立てた指を1本ずつ畳んでそう伝えると、垂直に耳を尖らせたライスシャワーはあわあわと手を振りだした。

 

「京都ステークスって重賞レースだよね? そ、それにホープフルステークスって!?」

 

「新バ中距離最強を決めるG1レースだな」

 

「む、無理だよ!? だ、だってライス、今だって全然ダメダメだし……」

 

「ダメじゃない。何のためにウイニングライブの練習をやったと思っているんだ? ライスも言ってただろ? そろそろ勝った時のことも考えておかないとって」

 

「ううっ……確かに言ったけどぉ」

 

「いつも言っているけど、もっと自分に自信を持て」

 

 圧倒的なまでの自己評価の低さ。

 そんなライスシャワーの貧弱な性格がオレが虐待する面で扱いやすい。

 

 が、いずれ矯正させたい部分でもある。

 スポーツだけではない。ギャンブルだってそうだ。

 

 自分を信じられねえヤツは小さな勝負には勝てても、大舞台での勝負には勝てないもんだ。

 

「でも……」

 

「オレはな、その人に到底出来ないことは絶対にさせない」

 

「……ふえっ!?」

 

 語尾を強めた上で、オレはライスに近づいて泥がついている小さい手を取った。

 

「――このままトレーニングを続けたライスなら、絶対に勝てる」

 

しばらくの間、嫌悪感から固まっていたライスシャワーだったが……ようやく弛んでいた精神が引き締まったようだった。

 

「……うん、わかった。ライスね、まだ自分のことは信じられないけど……お兄さまのことなら信じられる」

 

 決意を秘めたライスシャワーはオレの手を握りしめ、両の手で包み込んだ。

 

 嫌悪感も何もかも飲み込んでやるといった意志の強さが感じ取れる握り方だ。

 

「だから、お兄さまにはもっともっと厳しくライスを鍛えて欲しいな。ライスがライスのことを認められるように……ずっと、ずっとお兄さまに幸せを与えられるウマ娘でいられるようにがんばるから!」

 

「もちろんだ」

 

――クハハッ! 計画通り! こうも思い通りいくとはな!

 

 危険であると伝えた以上、これ以上のトレーニングは流石にウマ娘との同意が無いとさせられないしな。

 

 だが、イリーガルユースオブハンズを使いつつ、ライスシャワーにまともな思考を取り上げた上で勝利という巻き餌で自らいばらの道へと足を踏み入れさせたッ!

 

 ああ、次はどんなトレーニングでかわいい顔を歪ませてやろうか。ワクワクが止まらねえなァ!

 

 やっぱりトレーナーって最高だぜ!

 

 

 さて……絶対に勝てるとライスシャワーに宣言してしまったからには、アイツに栄光を掴ませてやらないとならない。

 いかに私利私欲でトレーナーという虐待業を満喫しているクズとはいえ、ライスシャワーが恨みがましいオレから受けている絶え間ない苦痛に見合う対価を提供する義務がオレにはあるのだから。

 

 

――ところで、アイツが学園内でオレに接触してこない様子を見るとどうやらオレのことは覚えていないようだ。

 

 まあ、当たり前っちゃ当たり前なんだが……杞憂で済んで助かったわ。

 

 

 

 




ある日のトレーナー室での一幕。

「あなたは(ド変態である)ミホノブルボンのことを何も分かっていない」
「私は彼女のトレーナーだぞ。君よりは理解しているつもりだが」
「碌に彼女のことを見ようとも(虐待)しない癖によくそんな台詞が出てきますね。あの娘がどんな想い(被虐による快楽目的)で過剰すぎる自主トレーニングを続けているとお思いですか?」

と、傍から見ると熱い説得を重ねる+(被虐による快楽を与えない虐待)トレーニングメニューを差し出したことで、ミホノブルボン陣営の方針が変わったとか何とか。

で、トレーナー室の扉の前で佇む一人のウマ娘が尚のこと想い人へ熱情を募らせたとか。


次回、魔改造ライスシャワーがクズトレーナーの代わりに同期のウマ娘に真の虐待をする話です。

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