東方友戦録   作:彗星のシアン

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第1話 幻想入り

この作品は、東方プロジェクト及び仮面ライダーの二次創作作品です。二次創作設定や独自解釈が含まれる可能性があります。

 

 

 

 

 

《プロローグ》

 

青く澄み渡る空、さんさんと照り付ける太陽。とある高校の校舎にこだまする生徒たちの声。

2016年7月、徐々に気温も上がり季節はそろそろ蒸し暑い夏を迎えようとしていた。

そして夏の到来はなにも、異常なほどの発汗を促し生徒たちの生活の気力を奪っていくだけではない。

むしろその逆で、皆の心は楽しみと緊張で日に日に高揚していった。

なぜなら、夏休み前の一週間に開催される年に一度の祭典である文化祭と体育祭がすぐそこまで迫っていたからだ。

持ち寄ったメニューを丹精込めて振る舞う上級生の模擬店。なれない設定に苦戦しながらも創り上げる劇。炎天下の中、何週にもわたってグラウンドで練習する体育祭の大トリのダンス発表。

新学期が始まってから三カ月と少しが過ぎ、クラスの仲も深まっていた。

一人一人が様々な思いを胸に秘め、待ち遠しい日々を送っていたある日のこと。

何やら校舎内にただならぬ雰囲気が流れていた。

耳をつんざく金切り声を上げる女生徒に顔色を真っ青にしながら目には涙を浮かべ嗚咽を口にする男生徒。頼りにするべき教師たちは皆ひきつった表情をしてその場で固まっていた。いや、固まらざるを得なかったというべきだろうか。

誰しもの心に恐怖が隅々まで浸透していたそんな状況でさらに追い打ちをかけるように最悪の事態が訪れてしまう。

騒然とする人混みの中を突き抜けるように、一発の銃声が校舎に響き渡った。

誰も予想もしなかった今日と言う日のこの出来事によって、ある一人の少年の人生が終わりを告げ、そして、新たな物語が幕を開けたのだった。

 

 

 

 

 

1・幻想入り

 

不思議な感覚だ。体がゆらゆらと揺られるようだ。

周囲を切り裂く悲鳴、体を走り抜ける激痛。段々と遠のいてゆく意識の中、確実に死を覚悟した・・・・・のだが、どういうわけか生き延びたらしい。

 あの日、あの時、平凡な高校一年生のこの男、一夜友希の平凡な日常に突如として現れた謎の集団。恐らくリーダー格と思しき男の手に握られた真っ黒な拳銃から放たれた一発の銃弾に心臓を撃ち抜かれたはずなのだ。どう考えても生き延びられるわけがない・・・。

 そもそもとして、あまりに一瞬のうちの出来事だったので友希にはあの時学校内で何が起きていたのか、そしてあの男たちはいったい何者だったのか、何もかもが分からないのだ。

 いったい何がどうなっているのか。

今までの人生でかつてないほどの情報量の多さに友希の頭は混乱を極め、しばらくの間動こうという気にすらなれなかった。

 しかしこのまま何もしないのも我慢ならなかったので、混乱する脳内を整理しつつ重く閉じたまぶたをゆっくりと開く。と同時に友希の混乱に拍車がかかるのだった。

 目に飛び込んできたのは真っ赤でそして少し白がかった空なのか曇天なのか、異様としか言いようのない空。血のように真っ赤に染まった広大な水面。先にうっすらと見える岸のような場所。

そして落ち着いてに視線を下げると、自分はその上に浮かぶ木製の小船の上でゆらゆらと揺られていたことが分かった。

「なんだよ・・・これ・・・」

 余りにも奇妙な光景に思わず吐露してしまう。

「やっと気が付いたかい」

 ふと後ろから声をかけられたので振り向くと、そこには自分と同じかもしくはそれ以上の背丈をしている比較的大柄の赤髪ツインテールの女性が舵を片手に立っていた。しかも背中には巨大な鎌を携えている・・・。

「あんた随分長いこと気を失ってたんだよ。三途の川瀬で転がってたところをわざわざ拾ってやったんだ、感謝して欲しいもんだ」

(なんだ? 三途の川? やっぱり俺は・・死んだのか?)

「あのまま転がっていたら、そうだねぇ・・・。追い剥ぎに会っていたかもねぇ。いや、もう会ってるのか」

 友希の気持ちも知らず、女は控えめにケラケラと笑い出す。

 死んだ死んでないの話の前に、余りにも非現実な出来事や言葉にもはや友希の頭は追いついておらず、ただ口をあんぐりと間抜けにも開けていた・・・ような気がしていた。

「何が起きているのかわからないって感じだね。別にあんただけに限ったことではないさ。みんなそう。そんな体になっちまって不便だろうけど、もう少し大人しくしてておくれよ。落ちたら大変だからね」

(そんな体?)

 女の言動に疑問を感じふと自分の身体を確認する。

「・・・っ!」

 そこに見慣れた人間の胴体は無かった。

あるのはただ、真っ白で艶やかなソフトクリームの先端を彷彿とさせる奇妙な物体だけ。手や足や口を動かしている感覚はあるのにそこに現物はなく、差し詰めよくある人玉のイメージそのままであった。

「うわぁ! ・・なに! ・・・死んで・・人玉⁉ ・・・はあぁっ⁉」

「ちょっと!」

 激しく動揺して暴れたせいで木船が大きく揺れ、水しぶきが上がる。

 そして驚嘆の声を上げると同時に友希は自分が先ほどからずっと言葉を発せれていないことに気が付いた。なぜなら今の友希には口はおろか顔すら存在しないのだから。

「ちょっとあんた! 大人しくって言ってるだろう⁉ 急に暴れないでおくれよ!」

「本当に・・・俺・・死んだのか?」

「重症だね、こりゃあ」

 友希の考えが分かっているのかいないのか、さも見慣れたかのようにため息をつき冷静な女。

「・・・? ・・・?」

 未だ状況を理解できず、若干過呼吸気味な友希。

 そんな友希の事などお構いなしに女は悠々と船をこぎ続ける。

 それからしばらく経ってだいぶ荒かった心境も整ってきたころだったが、ふと冷静になって考えると友希の頭には今度はどうしようもないくらいの焦りが込み上げてきた。

 友希には夢があった。それは、科学者になって研究をして生活を送るというものだ。

 実現できるとかできないとかとかではなく、純粋にただかっこいいと思っただけだが、今までそれで人生を頑張ってきたのだ。それが今日、あっけなくこのような結果になってしまった。友希にはそれがどうしても納得いかなかったのだ。

 自分は今まで何のために頑張って来たのか。夢をかなえる以外にもまだやりたいことだってたくさんあったというのに。

 そう思いながらそっと水面に顔を近づけてみる友希。

「間違っても三途の川に飛び込もうなんて思わないことだね。そっちの世界では三途の川に飛び込めば生き返れるなんてことが言われているみたいだけど、だれがそんなこと言い出したのかねえ。落ちれば引きずり込まれて終わり。その後どうなるのかは・・・想像もしたくないね」

 女はまるで友希の心を見透かしているかのように生き返りの話を始めた。

「引きずり込むって・・・誰に?」

「気になるなら飛び込んでみるかい? 私はいいよ、別に」

 女は不気味に笑いながら友希を横目で一瞥する。

 さっきからこの女はいったい何を知っているのか。いや、おそらく全てを知っているのだろうか。あまりにも冷静な女の態度に根拠もないのにそう思ってしまう。

「俺は・・・」

 心を落ち着かせ、友希は口を開く。

「俺はまだ死ねない! 死にたくない!」

「・・・!」

 唐突なことで少し驚いた様子の女。

「まだやりたいことだっていっぱいあるし! こんな体じゃ何もできないし! そりゃあ、嫌なことだってあるだろうけど・・・それでも・・こんなので終わりってあんまりだ・・・」

「・・・・・」

「もっと見たかったなぁ・・・」

友希の口調が段々とおとなしくなってゆき、そして静寂が訪れた。

 何か言ってくるかと思いきや、黙り込みなにかを思案するようにうつむき加減になる女。船を漕ぐことも止め、波の音すらも聞こえない。

 しばらくの静寂。友希もどうしたものかと考えていたその時だった。

「・・・いける・・・」

「・・・えっ?」

「あんたを生き返らせることができるって言ってるんだ。うまくやればね。あとはあんたに覚悟があるかどうかってところだね。」

「ほんとですか⁉」

あまりにも待ち望んだ答えについ大声を出してしまう友希だったが、その喜びは本物だった。

(これは面白そうなことになりそうだねぇ。最近特にこれといったこともなかったし。あのあのスキマ妖怪ならきっと)

友希の喜びとは裏腹に女は妙な企みをしていたが、もちろん友希はそんなこと知る由もない。

「で、肝心の覚悟はあるのかい?」

「覚悟?」

「そうだよ。一度命を落とした者がその記憶をもって再び生を受けるなんて、それ自体がかなり異なことだからね。簡単にはいかない。」

 間髪入れずに女は続ける。

「それに加え、あんたの行く先は元居た現実と比べてかなり特殊なところだからね。事の成り行き次第では天国にも地獄にもなる場所さ。正直言って私にもどう転ぶか見当もつかないのさ。・・・それでも生きたいかい?」

「・・・はい。生きたいです・・・」

 この時、あまり考えずに答えを出してしまったことを、後に若干後悔することになるとは今の友希には思いもよらなかった。

「分かったよ。それじゃあ、もう少し静かに乗っていてくれるかい。いいね、し・ず・か・に、だよ」

 友希の期待と女の企みを乗せて、小さな木船は血色に染まる川を再びゆっくりと進んでゆく。

 

 

 

「さあ、着いたよ」

 しばらくして特にこれと言って特徴のない殺風景な浜に到着したのだが、船から降りようとしたとき友希はあることに気づく。

「ん? あれ・・足?」

 霊魂の先端だったはずの足が通常の人間の足に戻っていたのだ。足だけではない。体全体が以前までの人間の体に戻っていた。

「とりあえず元の実態は返しておくよ。そのほうがスムーズにいくだろうしね。さあ、行くよ」

そう言って連れられるがままに後を歩いてゆく友希。

しばらく歩いているうちに現れた巨大な門をくぐり、その先の皇室のような落ち着いた雰囲気の廊下をさらに歩いてゆく。

 いくつもの曲がり角を経てそろそろ友希の足も疲れてきていた時だ。

「着いたよ」

「ここは?」

 たどり着いたのは先ほどの巨門よりかは小さいが、何とも言えない威圧感を感じさせる大きな扉の前だった。

「ここは怖~い怖~い閻魔様のお部屋さ」

「閻魔って、あの閻魔?」

「そうさ。だから、くれぐれも失礼のないようにね。さもないと問答無用で舌を引っこ抜かれちまうかもねぇ」

「・・・」

 まるで子供をからかうかのような口調でからかわれムッと間にしわを寄せる友希。

そんな友希を尻目に女は何かを覚悟するかのように軽く深呼吸する。

「それじゃ、行くよ・・・」

そう言うと女は両手を扉に添え、ゆっくりと力を入れ前方に押し開ける。

友希も女に続き部屋の中へ入ろうとしたその時だった。

「只今戻りましたー!」

 唐突に声を張り上げる女。

「いやー、もう参りましたよー。向こうの彼岸は霊魂の多いのなんのって、今までで一番よく働きましたよー。いやー疲れた疲れた!」

 余りにも演技臭い言動の嵐にきょとんとしてしまう友希。いったい何に対してこんな態度をとっているのか全くわからず立ち尽くすほかなかった。

「それじゃあ疲れたんでこれで失礼しま―」

 勢いそのままに友希の手を引き部屋を通過しようとした瞬間。

「待ちなさい小町」

 後ろから友希の耳を貫いたのは幼くも威厳に満ち、とても落ち着いた声。

声の出所を注視するとそこには奇怪な冠のような装飾物を被り、きっちりと整えられた服装で席に座る中学生ほどの緑髪の女の子の姿があった。

「な、何でしょうか・・・四季様・・」

「・・・あちらの閻魔から連絡が入っています」

「・・・!」

「「サボってばかりでいつもどこにいるのかわからない」「いてもいなくても変わらない」だそうですよ」

「・・・・・」

 小町と呼ばれた女は先ほどから一言も発せず、額から尋常ではないほどの汗が噴き出している。

「それに後ろのその彼は? なぜ実態を取り戻しているのですか? 許可した記憶はありませんが」

 やっとこちらに話題を振られたので改めて姿勢を正してみる友希。

「いずれにせよ、どういうことかしっかりと、納得のいく説明をお願いできますか?」

 終始変わらず落ち着いた様子で淡々と話してはいるが、目は全く笑ってはいなかった。

しかも、まっすぐと小町を見つめるその瞳、その姿は、まさに蛇。自分は蛙。

あまりに強大なものを目にしているようで、恐怖ともとれる感情によって完全に体が固まってしまい、動くことすらままならなかった。

別に自分が怒られているわけではないのだが、友希は性格上怒りの雰囲気に飲み込まれやすかったのだ。

 先ほどから汗をかきながらぼそぼそと何かをつぶやいている様子の小町。その小町ににらみを利かせている四季という名の少女。会話に入るスキを見失って混乱していると今度は後ろから。

「相変わらずのようね。あなたのところの死神は」

 自分たちが入ってきた扉のほうからの声に振り向くと、白いふわふわの帽子に地面すれすれのところまである大きなスカート、白を基調とした全体像に勾玉のような模様がなされた前掛けの垂れた服装をした、またも小町と同じほどの高身長の金髪女性が立っていた。

 しかもその女は、閻魔の少女と同等の大きさほどの威圧感を放っているが、その感じ方はまるで別物。まるで体が粘土のようにぐにゃぐにゃに曲げられるような変な感覚に襲われ、少しの息苦しさまで感じてしまう。

 女性はゆっくりと歩を進めてくるのだが、間髪を入れずに閻魔様は質問を投げかける。

「まだ帰っていなかったのですか? 八雲紫」

「幻想郷の創始者の一人として、幻想郷のあらゆる場所を視察する権利はあると思うのだけど?」

「・・・まあいいでしょう。小町、あなたが言わないのならその子に直接聞くまでです」

 三人の視線が一気に友希に注がれ、今まで全く会話に入れなかったぶんまたも恐縮してしまう。

「はっ、初めまして! えっと一夜友希、15歳です!」

 必死に息を整えながら話す。

「俺は・・・、死にたくないんです。まだやりたいことだっていっぱいあったんです! こんなところで終わりたくはないんです!」

「そうは言ってもですね、一度死を迎えたものを、理を無視して生き返らせるわけにはいかないことくらいは冥界の者でないあなたでもわかるはずです」

 冷静に眈々と反論する閻魔様。

この間、友希と四季の会話の後ろで小町と紫による視線での無言のやり取りが行われていたことに、周りで働く2・3人の者も含め誰も気が付かなかった。

「あなたと同じで世に未練を残した者は多くいます。あなただけを特別扱いすることなど断じてできません」

「・・・・・」

きっぱりと断られてしまい、次の言葉が出てこず黙り込んでしまう。

(やっぱ・・無理かあ・・・)

 突然訪れた死。少しの希望を頼ってみたものの、突きつけられた現実にとてつもない虚無感を覚える。

 そんな友希の気持ちを知ってか知らずか、紫と呼ばれる女性が軽い口調でそっと近寄ってきた。

「そうよねぇ。その若さで急に命を落として「はい、天国か地獄か~」なんて辛すぎるわよねぇ」

「・・・・・?」

急にどうしたのかと思いポカンとしていたが、閻魔様はその不審な言動に目を細める。さらに小町はほくそ笑んでいるのを隠しきれていない。

「やっぱりやりたいこともまだまだあるだろうし、生きるチャンス、欲しいわよねぇ~」

「紫・・・。あなたまさかっ!」

 いきなり声を荒げた四季に何事かと驚く友希。

そこにさらに追い打ちをかけるように、急に体が宙に浮いているような感覚に襲われる。咄嗟に足元を見るとそこにはぽっかりと空いた穴、というよりファスナー全開のチャックのようなものが口を開けており、中の暗闇からは無数の眼球がこちらを凝視していた。

「ひっ・・・!」

 またしても視界に飛び込んできた異様な光景に、友希の心には恐怖が込み上げて出したことのない声を出してしまった。

「一名様ご案な~い!」

「まずい!」

咄嗟に駆け寄り手を伸ばす四季。

しかし時すでに遅し。引きずり込まれるように穴に落下していく友希。

「せいぜい頑張んなよ~!」

「小町っ!」

落下していく友希を見送り手を振る小町に鬼のような形相で激昂する四季。

「まあいいじゃない。責任は私がとるわ」

手に持った笏を振り下ろそうとする四季を紫は片手で制止した。

「紫、あなたもです! いったい自分が何をしたか分かっているのですか⁉」

「何って、いつもどうりよ。人間を幻想郷に送り込んだのよ」

「それがだめだと言っているのです! むやみやたらと何も知らない人間を幻想入りさせるなと前にも忠告したはずです!」

 悠々とした態度でいる紫に怒りが収まらない様子の四季。

「~~~~~っ!」

 非常に納得がいかないようで先ほどまでの毅然とした態度からは想像もできないほど顔を赤くして苦渋の顔をしている。

「・・・仕方がありません。彼・・一夜友希の死亡手続きを解除、責任は私がとります。小町、あなたは後で二十四時間説教フルコースです。覚悟なさい」

「いやいや、何とか言ってくださいよ紫様!」

「自業自得だと思うわ」

「そんな! 話が違うじゃないかあ~!」

 直接会話を交わしたわけではないので至極当然のことだとは思うが、その場で泣き崩れる小町。

そのころ友希はというと絶賛落下中であった。

「待て待て待てー! どうなんの俺! わけ分からないんですけどぉ!」

眼の覗く空間を抜け再びチャックの隙間を抜けるとそこは・・・天空だった。

「!!!!!!!!」

こんなの焦らないはずがない。命綱もなしに山よりも高い位置を急降下していたのだから。しかも何の予告もなしに、急に。

 広がる広大な田畑、咲き誇る花畑、各部にみられる里や巨大な岩山、はるか遠方の空に見えるのは空に浮かぶ島のようなもの。奇しくも雄大なその世界のその景色に若干の感動を覚えたが、それもすぐに絶望の現実によってかき消される。

 ぐんぐんと着実に地面へと近づいてゆく。どうしようもない感情が友希の心に込み上げてくる。

(あぁ・・・。何で俺が・・こんな目に・・・)

あまりにもさんざんな今日という日に、再び始まった?人生最初で最後の深い絶望を味わうことになろうとは。

 ゆっくりとまぶたを下ろし、暗闇の中で終わりの時を待つ友希。彼にはもはや意識などないも同然だった。

段々と意識の奥底へと落ちてゆく。そして、ついに・・・

 

ドパンッ

 

通常高所から叩きつけられたときに生じるであろう音とはかけ離れた、とても鈍く水々しい不思議な音が周囲の森の中に響き渡る。

 こうして、人生で二度目の死を体感した友希。ここから壮大な物語が始まろうとは、友希は微塵にも思わなかった。

 しばらくして静かな森中で何者かの足音が友希のもとへと近づいてくる。

「あれ? 人間が・・倒れてる・・・?」

 

 

 

第1話 完

 


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