5・その妹、破壊者につき
「よし、完成ね・・・」
主レミリア・スカーレットの命により紅魔館内部キッチンルームにて人数分の紅茶を用意していた咲夜だったが、なんだか妙に嫌な予感がしていた。
つい先ほどかすかに聞こえた声はレミリアの怒鳴り声のようなもの。聞きなれた声だ、おそらく間違いはない。
このキッチンは先ほどのレミリアの自室から直線で結んだとしても100メートルほどは離れているであろう場所に存在する。それに加えて階層も違う。
声の大きさから考えて少なくとも冗談や何かでないのは明確である。
「もしや妹様が何か・・・?」
作りなれた紅茶をトレイに乗せ、色の抜けた静寂の廊下を焦らず歩いて行く。
・・・案の定、予感も推測も的中だった。
レミリアの自室へ歩いている途中、さほど離れていない自室前の角を曲がったところにその光景は広がっていた。
「そんな・・、何てこと・・・」
トレイをその場で手放しレミリアのそばへと駆け寄る咲夜。
口も利かぬレミリアの目線の先には、横たわる上半身の欠如した友希と思しき体。そして、その体を睨みつけ殺気を放つもう一人の金髪少女。
目の前の胴体から出たのだろうか。周囲の地面には液体が付着しており、ただでさえカーペットで赤い廊下をさらに濃血色に染めていた。
「・・理解しました。ごめんなさい、友希さん・・・」
先ほど手放したトレイを再び手に取り、ふところから壊れているのか針の動いていない古い懐中時計を取り出し見つめ、つぶやく。
「時は・・・動き出す」
その時、止まっていた針が再び時を刻みだし、世界が再び彩りを取り戻した。
「フラン、あなたなんてことを!」
動き出したレミリアの放った怒号が廊下に響き渡る。その怒号に我に返ったかのようにハッとし、徐々に目に光が戻っていく金髪の少女。
「あぅ・・お姉さま、私・・・」
少女の首は重く垂れ、どうすればよいのかわからず動揺する子供のような苦渋の顔に歪んでいった。
「はぁ、とりあえずこのことを霊夢に連絡して頂戴」
「霊夢にですか?」
「友希たちは霊夢にわざわざ幻想入りしたことを挨拶しに行ったのでしょう? であれば、さすがの霊夢でも後の状況に少しは興味を示すと思うの」
レミリアは神妙な面持ちで友希の遺体に近付き、続ける。
「もしこの事態を隠ぺいしたとして、霊夢が疑問を抱いて追及、そのことに気づけば一気に危険視されて居場所すらなくなるかもしれないわ」
「・・・・・」
「まったく、これだから情は・・・」
確かに今までに築いてきた信頼関係を崩すのは得策ではないし今更敵対したいとも考えていない。が、しかし、だからと言ってあっさりと罪のない命が費えてしまったことを受け入れられるとも思わない。
「とにかく友希のことは不幸だったとしか言いようがない・・・いや、フランのことをすっかり伝え忘れていたのは私の責任ね・・・」
「いえ、私もそのことにいち早く気付くべきでした。メイド長としての注意が足りませんでした」
暗い顔で向き合い会話する二人を同じく曇った顔でうかがうフランと呼ばれる少女。しかし、彼女の瞳に映っていたのはそれだけではなかった。
「・・・以前の私たちなら、どうとも思わなかったでしょうね」
悲しむでも悔やむでもなく、小言のように発せられたその言葉に、聞こえたはずの咲夜は答えることもなくただ沈黙が続いた。
「あれ? ちょっと待ちなさい。血の匂いが、していない・・・⁉」
「えっ、それはつまり・・・⁉」
自分としたことがと冷静に鼻腔の感覚を探るレミリア。
「あっ・・えっ? いやぁ・・・」
フランの動揺したようなその声に二人同時にふり返る。
「・・っ、どういうこと⁉」
「…これは!」
横たわる死体が、目の前で、ゆっくりと、地面に飛び散る液体を乱雑に吸収し、なくなった部分を形成しながら起き上がっていく。
「ダメ・・・ごめんなさいぃ・・」
完全に元に戻ったかと思えば、今度はゆらりとフランに迫ってゆく友希。
仕返しをされる。
人間など殺ろうと思えばいともたやすく殺れる。
でも目の前のそれは、人間にも吸血鬼にもない動きをした。
ただでさえこの時期に加え、力のありように悩まされているというのだから、できればこれ以上トラブルは起こしたくない。ゆえにフランは戸惑い、反応が遅れてしまった。
一歩後ずさりをしたその瞬間。
「今の何だぁ⁉ 急に爆発したかと思ったら体がグニョングニョンになって、お前がやったのか⁉」
急に間合いを詰められ勢いよくまくし立てられたので、目を丸くして硬直してしまうフラン。
「いやでも危ないと思うぜ、俺じゃなかったら確実に死んでたからな。それにしても何で急に? もしかして触られそうになったから? 怖かった? だったらごめんな。別に俺、怖い人じゃないいいだぁぁぁっ!」
やってしまった。迫る勢いがすごすぎて、つい横から勢いよく友希の頬をぶん殴ってしまった。
身体はそのはずみで廊下の壁に激突、再び壁一面に液体と化した友希がぶちまけられる。しかし今度はすぐに元の人型に形成されてゆくのだった。
「うぅ、これは・・完全に嫌われたか?」
「もぉーーー! 何なのよ~⁉」
どうやら少女の頭は完全にパンクしてしまったようで、頭をかきむしり大声で喚き散らす。
「咲夜ぁ~‼」
理解の追いつかない存在から逃げるように、一目散に十六夜咲夜のもとへ駆け寄り、後ろに隠れながらこちらをにらんでくるフラン。その目は先ほどの狂気に満ちたものではなく、実に子供らしいかわいげのあるものだった。
「私も頭が痛くなってきたわ・・・」
レミリアも頭を抱え、状況を整理しようと唸る。
「お~い!」
すると友希から見てレミリアのいる側の廊下奥からにとりが叫びながら近づいてきた。
「ちょっと聞きたいことがあったんだけど・・・何かあったの?」
「私たちにもよくわからないわ」
「もしかして友希の能力を見たの?」
「能力?」
「おお、にとり! なんか今回はすんなり戻れたぞ!」
混乱する紅魔組の三人を差し置いて、一人でうるさく盛り上がっている友希。
「これはいったいどういうことなの⁉」
「実は友希は幻想入りした時に能力を手に入れちゃったらしいんだ」
「その能力の片りんがさっきの・・ぐちゃぐちゃ?」
「~多分それ。能力は『水になる程度の能力』で間違いないかなと」
二人顔を見合わせるレミリアと咲夜。とその様子をのぞき込むフラン。
「私も友希もこの能力についてはよくわかっていないから、何を聞かれても満足のいく回答はできないと思うよ」
「ふむ・・・」
うつむき何かを思案するようなしぐさのレミリア。
「まぁ、そういうこと。で、その娘は?」
手を振りながら軽く微笑みかける友希だったが、やはりフランには顔をそらされてしまう。
「そうだったわ。さぁフラン、自己紹介をしなさい」
「・・・・・」
三秒ほどその場でもじもじを繰り返し、その口から言葉が発せられる・・・かと思いきや、自分に注意が集められたのが耐えかねたのか後ろを向いて勢いよく廊下を走り去っていってしまった。
「はぁ、やっぱりこの時期はデリケートね・・・」
「すみません友希さん。あの方はフランドール・スカーレット様。お嬢様の実の妹様です。訳あって今はあまり他人と接することはできないのですよ。嫌われたわけではないと思います・・・おそらく」
「はぁ・・・」
友希は頭をかきながら気の抜けた声を漏らす。
それもそのはずで、友希にとって命に係わるほどの脅威の力を幻想入りして初めて体験したのだ。どういった感情で言葉を発せばいいのかまだ整理がついていなかった。
とはいえ水になる能力のおかげで助かったこと、自身がほぼ不死身に近い存在であることを知らしめられた喜びもあったが。
「・・・・・」
顎に手を添えながらまたもや何かを考え込むレミリアだったが、さすがの咲夜も少し心配になってか不安そうにしている。
「あの、どうかなさいましたか? お嬢様」
「・・・まだ予定したより早いわね、河童と話の続きをしてくるわ。さっきみたいに自由にしていてちょうだい。その体なら・・・大丈夫でしょう? 咲夜、フランが外に出ていかないようにしっかり見張っていて頂戴ね」
そう言い残してその場をそそくさと後にするレミリア。
その体ならとは、もう一度あのフランという子に会ってもという意味だろうか。それにしてもあの危険性と自分に向けられた嫌悪感を目の当たりにしたのに、わざわざ向けさせるようなことをするだろうか? また外に出ないようにするとか何か手段を講じる必要があるように思えるのだが。
少しの不信感を抱きつつも、いつの間にか咲夜さんも消えて一人になっていたので、友希はとりあえず先に進むことにした。
それからしばらくして、友希は階層を変えて一階上の三階にて性懲りもなくフラフラと徘徊していた。
「んん?」
ふと廊下の先に目をやると、一人立ち呆けて窓の外の景色を見つめているフランを見つけてしまった。その時同時にフランも友希のことに気づいたようで、ハッとしてすぐに近くの部屋に駆け込んでいった。
「おい待てよ!」
何を思ったのか友希自身にもわからなかったが、咄嗟にその足はフランを追いかけてその部屋の前まで運ばれていた。
何ができるかは見当もつかなかったが、とりあえず嫌われる誤解だけは確実に解いておきたいと無理やり納得し、ゆっくりと開口する。
「なあ、もし俺のことを怖がっているなら全然そんなことないから。あ、でも怖がらせたのならそれは謝る・・・」
「・・・・・」
(やっぱり無理かなのかぁ?)
正直、この紅魔館にきてからずっと違和感のようなもやもやとしたものがずっと心の中にあるような、そんな気がしていたのだ。
何かこの幻想郷の闇の部分や人間の立ち入ってはいけないことにさらされているような、そんな不安のような感覚が友希の中にしつこく居座っていた。
「・・・もし見当違いなことを言ってるんなら気にしないでほしいんだけど。その・・・この館って、なんかあったのかなー・・なんて」
この発言も友希自身何が言いたいのかうまくまとまっていなかった。が、率直な気持ち、疑問ではあった。
「さっき俺を吹き飛ばしたときと今の雰囲気が違うのもそうだけど、それ以上に君の・・フランちゃんのことを多くは説明せず特別問題視もせず、何事もなく消えていったレミリアと咲夜さん。それに、本当に君が危険な存在なら外には出さない、でも館内では特に干渉せず野放しにする、それってちょっと中途半端すぎるような気がするし。・・・何かおかしいなって」
「・・・・・」
やはり返事はない。
もしかすると思ったより深刻な問題なのかもしれない。本当に触れてはいけないデリケートなことなのかもしれない。そう思えばすんなりとあきらめられるような気がした。
しかしながら、このままでは嫌われたままになってしまう。
しかししかし、こういう時にこそ潔く引き下がらなければもっと大変なことにもなる、それくらいは友希も考えていた。
(仕方ないか・・・)
諦めてその場を立ち去ろうとしたその時。
「いいよ・・・、入って」
「・・・!」
部屋の中から聞こえてきた控えめでか細い声。
急なことで少し動揺したが、ゆっくりと息を整えドアノブに手をかけ、部屋に足を踏み入れる友希。
「・・・・・」
部屋の中はひどく簡素で、あるものと言えば小さな化粧台と目立った装飾のない質素なベッド、部屋の隅には空っぽのクローゼットくらいだった。そしてそのベッドの端で腰をかけながら足をプラプラとさせうつむいている金髪の少女、フランドールスカーレット。
「ここ・・座って・・・」
何も言わず見渡している友希に向かって、何を思ったのか隣をポンとなでて座るように指示してきた。
「いいの?」
友希の問いに静かにうなずくフラン。
恐る恐る隣に腰を下ろしたはいいが、緊張してか一言も言葉を交わすことなく十分はたってしまっただろうか。幼女と二人は非常に気まずい。
だが、やっと初めに口を開いたのはフランのほうからだった。
「・・・私ね、ずっとここに閉じ込められてたの」
「ここって、紅魔館のことか?」
閉じ込められていた、つまりは幽閉かあるいは監禁だろうか。いきなり飛び出してきた不穏な言葉に友希は思わず息をのむ。
それと、やはり監禁の歴史があるということはそれだけ危険な存在だということになる。それがフラン自身なのかフランの何か能力についてなのかは定かではないが・・・。
「さっきあなたにしちゃったこと・・ごめんね、あれが私の力。あれでいろんなものを壊すの・・・。それが楽しくて仕方なかったの」
どんどんとうつむき加減が大きくなってゆき、同時に心なしか声も震えていっているように感じる。
「それから、お姉さまが異変を起こした時に外に出てきて。外には知らないことがたくさんあって、いろんな動物がいて、ほかにも楽しいことがこんなにあるんだって・・・思ったの」
(要するに、過去にレミリアが何か事件を起こして、そのどさくさに紛れて解放されて外の環境に触れることで破壊の衝動かなんかに変化が出てきたと・・・)
外の世界でもかつて、身も心も腐敗し自殺を図るほどに疲弊していた男が子猫と一緒に暮らし、ストレスが解消され見事に社会復帰を果たしたという事象があったことを友希は記憶していた。
それと同じように、フランも触れたことのなかった自分とは違う種、閉鎖的な館とは違う開放感のある環境に置かれることでその心に変化が起きたのだろうか。
しかし、それではさっき襲われた意味が分からない。それにずっと震えた声を発し恐れていることはいったい何なのかも。
「・・・何か怖いことでもあるのか? そういえばデリケートな時期って言ってたけど」
軽々しく聞きすぎたのではとすぐに口をつぐむが、意外にもフランは一拍置いて割り切ったように質問に答えだした。
「あのね、簡単なの」
そう言ってフランは寂しそうに自らの手のひらをのぞき込んだ。
「みんなキュッてしたら簡単に壊れちゃうの。楽しかったのになくなっちゃって、なんだか嫌になって我慢してみたの。そうしたら心臓のムズムズが止まらなくなって、怖くって」
次第に手は握りこぶしになり目視で分かるほどに震えだした。
「・・・それでね、今度は気が付いたらいろんなものが壊れるようになって。収まることもあったけどまた始まって、さっきもあなたを・・・」
「禁断症状か・・・?」
まるで薬物のように病みつきになれば簡単には抜け出せない。
と言うよりもとからそう言ったことをする生物ならば、本来の活動をやめること自体色々な弊害が生まれそうなものである。
結局は種族は違えど根本は人間と同じなんだと友希はしみじみと感じるのだった。
「私・・どうすればいいの? どうするのがいいの? わからない、怖いよぅ・・・」
うつむき涙をこぼすフラン。幼心ながらよほど混乱しているのだろう。
子供との接し方には自信があった友希だが、いざ目の前で泣かれるとどうしてよいかわからず黙ってしまう。
しかしこのまま沈黙を貫くわけにはいかないことくらい重々承知している。男としての責務か、年上としての余裕を見せるためか、謎の使命感に駆られていた友希は話がまとまっていない状態ではあるが自分の思っていることを率直に伝えることにした。おそらく無理やりな言葉でなだめようとするよりそのほうが心に響くのではと考えたのだ。
「さっきの衝撃を受けるわけだから、壊れるってのは死ぬってことも含まれてるよな。ならほかの生き物を殺すのはいけないことだな。やめたほうがいいのは間違いないと思う」
「なんで?」
本当に不思議そうに友希のほうに体を向けるフラン。
「じゃあ逆に聞くけど、フランは死にたい?」
唐突な質問に目を丸くしたフランだったが、その質問の答えは実に簡単で。
「いやだよ。死んじゃったら楽しいことできないもん」
「そうだな。それはフランだけじゃなくてみんなそうなんだよ。みんな死にたくないし、みんな楽しく生きていたいんだよ。みんなフランと一緒」
うつむき黙って話を聞くフランを尻目に友希は続ける。
「つまり何が言いたいかって言うと、自分がされて嫌なことは他人にもするなってこと。もちろん自分のしたいことを我慢しすぎるのもよくないし、やっていいこととやっちゃいけないことの線引きは人それぞれだけど、それは二の次の問題だと思う」
「・・・・・」
「楽しく生きたいんだったら自分だけじゃなくて相手のことも考えられるようにならないとな。どうしても無理な時は苦しくなるまで我慢しなくていい。もしさっきみたいに暴走したりフランが悪い道に進みそうになったら、レミリアや咲夜さん、他の館の人が引き戻してくれると思う」
「本当に?」
「うん。みんななんやかんやでフランのこと心配してると思うぜ!」
座りながらフランのほうに向きなおり、一層強く訴えかける。
「フランの家族とか友達とかがきっと目を覚ましてくれると思う。だから細かいことは気にせずフランの思うようにやればいいんだよ。殺しがどうしてもしたいなら無理に止めることはできない。多分幻想郷は外の世界の倫理すら通用しないような気がするんだよな。何なら我慢できなくなったら俺で解消すればいい。なんたって俺は水だからな! 何ともない!」
両手を腰にやりカラ元気で胸を張ってみせる友希。
「・・・・・」
そんな友希にお構いなしにフランはうつむき黙り続けている。
友希的には自分の言いたいことはすべて言ったし、悪くはなかったと思っていたのだが。
やりたいことをやればいいとは言ったものの、先ほどもフランに言ったように当然として友希は殺しはよくないと思っているし、やってほしくないとも思っている。が、この世界では殺しの能力を備えた者などざらにいるようで、もし人間を主食とするような者がいれば生活のためには仕方がないのかもしれないし、こちらのルールが通用するわけもあるまい。その標的が自分なら真っ先に否定しそうだが。
沈黙もしばらく続いていよいよ苦しくなってきたときだった。
「あら、ここにいたのね。二人とも一緒とは思はなかったけれど」
平然として扉を開け入ってくるレミリア。
はじめはフランに対するレミリアの対応に不信感を覚えたが、事情を知ってからレミリアの冷静な顔を見た今では信頼というか姉妹ならではの絆のようなものを感じており、レミリアなりの判断なのだと安心した。
「用事終わったの?」
「ええ、約束どうり館の住民を紹介するわ。とは言ってもあと二人だけだけれどね。それと、私からの提案なのだけど・・・」
立ち上がった友希のそばに歩み寄りフランのほうへと顔をやるレミリア。
「これから幻想郷で生きてゆくうえで自分の身は自分で守る必要があるわ。そしてそのためには感覚を掴んでおくべきだと思うの。ということで友希、フランと模擬戦をしてもらうわ!」
「え?」
「お姉さま?」
『戦う』とはもちろんスポーツのような平和的なものではなく、相手は吸血鬼なのだから命の危険を感じざるを得ない。
だがなぜレミリアはただの人間である友希をそんな危険にさらそうと考えたのか。友希はおろかフランにすらも皆目見当がつかなかった。
このレミリアの提案により、幻想郷で生きてゆくということ、自分の置かれた状況、そして自分の存在について、友希は否応なしに思い知らされることになるのだった。
第五話 完