ホラーゲームに転生させるとか、神は俺を嫌っているようだ(Re)   作:かげはし

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鏡夜視点プロローグです。





第十二話 奇襲(裏)00

 

 

 

 この世界がホラーゲームだと、紅葉秋音は言っていた。

 俺はその言葉を信じたいとは思わなかった。

 

 まず気になったのは、妖精が本当に外に出られるかどうかという点だった。

 

 境界線の世界とやらに入り、妖精をこの目で見たことで実際に存在していると認めた。紅葉が言っていた内容についてもある程度は真実だと思うことにしたのだ。

 しかし紅葉が言う全てを信じようとは思わない。彼女の話に矛盾が生じる部分があるからだった。

 

 きっかけは生徒会に行って話を聞いてから。

 興味を抱いたのは写真に写っている三枚の人外。それと頭を覗く、弄られるという力についての話だった。

 

 頭を覗かれるから、知識を持っているせいで妖精に弄られるかもしれない。だから助けてくれと紅葉は言っていた。

 しかし生徒会は境界線の世界ではなく、現実世界でも超常現象が起きているという。何かしら妖精に不利が働けばきっと彼女が牙を向くという。

 

 ならば何故この学校に来た時点で新入生全員の頭を覗かないのか。

 入学式の最中に聞こえてきた『アップデート』という言葉がもしも新入生の頭を覗いているという意味ならば、もう紅葉の知識。その未来について知ってしまったはずだ。

 紅葉や生徒会での情報、妖精と出会ったあの全てを理解すれば、妖精の本性はある程度読み取れる。

 

 ずる賢く、己の有利になるよう事を進めるタイプ。

 人々を蔑み玩具のように扱う、まさに子供のような性格をしているのだろう。

 

 そんな性格をした妖精が紅葉の頭を覗いて、何もしないということはあり得ない。

 そうじゃないなら、学校に通う生徒たち以外の人々が学校について何の騒ぎも起きないという意味が分からなくなる。

 

 本当に学校の生徒を玩具にしているとして、ただゲームを楽しみたいだけ、もしくは本当に境界線の世界をちゃんと保つために人々の命を囮にして化け物達をどうにかしてもらうのであれば────外部の人間たちに話しても何も問題はない筈だった。

 

 妖精が本当に境界線の世界を守る立場だとすれば、危機感を抱いてもらうこと。外部の人々に知ってもらって何かしら協力させることとか考えなかったのだろうか。

 ゲームを楽しみたいだけならば、何故生徒に限定するのか。先生と言う存在はいらないのか。

 

 きっと理由があるはずだ。

 生徒だけを限定にして、誰にも知られないようにする意味が。

 

 ならば、次の疑問は紅葉秋音が何故それを知っているのかについてだった。

 彼女が偶然妖精について知っていたとして、もしもそれで本当に妖精に頭を弄られるとなっていたとしたら。

 きっともう、紅葉秋音は手遅れになっていただろう。

 一応あの入学式の時に様子を見ていたのだ。妖精がどんな行動をするのか。紅葉を見て何か思うことはあるのか。

 すぐに殺されてしまったが……それでも数秒数分。その時間は俺にとってとても大きいものとなった。

 

 とりあえず、頭を弄られると恐怖していた紅葉秋音についてだが……。

 現状、紅葉秋音は何も変わらないように思う。

 事前に紅葉からこれからの未来知識について教えてもらってはいたが、それに齟齬は見られない。

 

 妖精と会って、海里夏が殺すというアクシデントはあったものの紅葉の様子に何も違和感はないと思えた。

 

 妖精が殺されたからか?

 一瞬でもダメージを負って、力が削がれたのか?

 

 それとも何か、頭を覗いで弄るという行為に特別な条件がないと出来ないことでもあるのだろうか。

 生徒だけを限定して襲う理由があるように。

 

 様々なことを考える。

 しかし答えにはたどり着けない。

 

 そう思っていたある日、紅葉から伝言があったのだ────。

 

 

『あっ、鏡夜。夏の事なんだけど』

 

『どうかしたか?』

 

『夏がえーっと……アリが趣味とか言ってて、それについて伝言があるんだって言ってたんだけど……』

 

『はぁ?』

 

 

 紅葉が俺に伝えようとしていた言葉を思い出す。

 女王(アリ)はともかく、働き(アリ)が誰で怠け(アリ)が誰なのか分かったら私に話して、というのを。

 

 

 アリはきっと、本当の虫そのものじゃない。

 彼女は例えたのだろう。妖精たちに。誰かに。

 夏は何かを知っている。アリの観察と言い放つ程度の何か、誰が妖精の協力者なのかを。

 

 

 その話を聞いて俺が一番怪しんだのは、紅葉秋音の在り方だった。

 

 記憶がもしも、最初から捏造されていたものだったら?

 入学式の直後、まだ俺と話す前に妖精が頭を弄ってわざと記憶を入れ替えていたのだとしたら?

 紅葉と言う存在が、何かしらのアリの要素を持っていたのなら……。

 

 しかし、その考えの通りだと海里夏の存在が微妙に分からなくなってしまう。

 まだ謎の部分が多い。真実はまだ、明らかにするための要素が足りない。

 

 

 

『あーもう。このままにしておいたら面倒だし……あんたのこと、殺したいほど大嫌いになりそうっすよ。神無月鏡夜』

 

 

 

 ────そんな時だ、あの男に出会ったのは。

 

 

 

 

 

 

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