ホラーゲームに転生させるとか、神は俺を嫌っているようだ(Re)   作:かげはし

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第九話 突入00

 

 

 

 入学式まであと少し。

 教室にて列を作り、集まらなくてはならない時間。

 

 鏡夜たちと会うのも少し複雑で、あえて顔を見ないよう避けることにした。

 春臣は少し怒っている様子だったが、わざわざ入学式前に揉め事を起こして面倒な事態になるのは避けたいと愚痴る。

 

 

 

「入学式に出ないって選択肢はねーんだな」

 

「うん、でも素直に妖精の頼みごとを聞くつもりはないよ。化け物と戦うつもりもない」

 

「当たり前だろ」

 

「……でも春臣、お前本当にいいのか?」

 

「あぁ?」

 

「巣穴……つまり、あの空間の亀裂に入ったら死ぬかもしれないんだぞ。空気とかないかもしれない。いろいろ悲惨な目に遭うかもしれないし」

 

 

 思うのは前世での知識。

 

 これが間違っているかは分からない。

 どこで見たのかすらうろ覚えの一部分。ゲームをしている最中、その空間の亀裂に向かって突入したせいでバグって再起動。その後に出てきた画面は────真っ赤な血の模様で溢れていたのだと。

 

 スタート画面だというのに何の音もしない。

 真っ赤で薄暗い、不気味な映像。

 

 

 何故かそれが頭の中で過ぎっている。

 嫌な予感が心の中を支配する。それはどうしてなのだろうか。妖精のせいか?

 

 

「じゃあお前はこのままひたすら終わりが来るのを待つつもりか?」

 

「それは……」

 

「リセットできるかどうかなんて関係ねえ。死ぬかもしれない? 上等じゃねえか。やらないことで後悔するのが俺にとっての問題なんだよ」

 

 

 春臣は語る。

 このままここに居ても、誰かが助けてくれるのを待っていても意味なんてないのだと。

 

 自分から動かなければ、何も変わりはしないと。

 

 

「あの朝比奈って女も俺と似たような考え方をしてるだろ。────つまりだ、覚悟が決まってねえのはてめえだけなんだよ、紅葉」

 

「……そう、だな」

 

「そりゃあ未知の世界へ行くってんだから怖いのは当然。不安なのも確かだけどな。それで何も変わらないよりはマシだろ?」

 

 

 うん。確かにそうだ。

 何も知らないより、何かを知るために動く。

 

 もしも巣穴に入ったのに何もなかったとしても、それは『そこには何もない』という状況が知れるだけ。選択肢が増えるということ。

 

 ゲームで言う行動によってさまざまなルートが開くようなものだ。

 

 

「ああそうだ。何を不安に思っていたんだろ……」

 

「覚悟は?」

 

「当然、出来てないよ!」

 

「おい」

 

 

 呆れたような目で俺を見る春臣、でもその顔は先ほどよりは優しいものだった。

 

 

「命を落とすかもしれないって思って動くんじゃない。俺は生きて帰るから、危険だったらすぐに逃げるから……生きて戻る、それが俺の選択」

 

 

 戻ってしまえば、それを伝えることが出来る。

 誰にって言われたらもしもの時を考えて、次の自分に。あのノートに。

 

 ……鏡夜たちには話せるとは思えないけれど。

 

 

「俺は覚悟なんてしない。生きて戻ってやるから、何の覚悟も決めない。それだけだ」

 

「ハハッ! そうかよ」

 

 

 先生が呼びに来る。誰もがその指示に従い、ゆっくりと体育館へ向かう。

 

 鏡夜がチラリと俺を見たが、すぐに視線を前へ向けた。

 夏も同じように何故か俺の方をチラリと見て、そうして笑う。

 

 

(何を企んでいるんだろう……)

 

 

 また何か、俺達を使って検証でもする気なんだろうか。

 でもそれに協力するつもりはない。

 

 始まった瞬間俺たちは青組から離れる。

 そして朝比奈と合流し、巣穴の中へ突入するんだ。

 

 

 

 

 

 

《入学式の途中ですが(いくさ)のお時間でーす!》

 

 

 

 そろそろゲームが始まる。

 

 

 

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