ホラーゲームに転生させるとか、神は俺を嫌っているようだ(Re) 作:かげはし
おそらく妖精は数多ものリセットを繰り返している。それはなぜなのか。
「……ゲームをバグらせるため、か」
やはりこの世界はゲームそのもの。ゲームマスターたる妖精が作り上げた仮想現実。本来とは全く異なる世界。
しかしそれならどうして俺が狙われたのか。神無月鏡夜と言う名前のせいらしいが……。
「いやでも、それならもっと他にも理由があるはずだろ……」
バグによる主人公のいない世界を目指すため。女はそれに近いことを言っていた。
神がいないと言う苗字。真実を写す鏡の役割の名前。それらを嫌悪する妖精はすなわち神になりたいだけの……何か。
考えろ。今こうしているだけでも奇跡かもしれないんだ。
きっとまたリセットされるだろう。俺の知らない間にこの記憶全てが消去される可能性が高い。
「ここがゲームの世界……なんて、認めたくねえけど……」
あんなものを見せられて、いろんな超常現象を見てきた俺がどんな世界で生きているかなんてもう些細な問題な気がしてきたのだ。
それにあの女は言っていたじゃないか。
――――まあそうはいってもその世界にもともと居た住人なんて一匹しかいないけれどね、と。
つまり妖精だけの世界に俺たちは潜り込んでしまった。
妖精が手に入れた玩具で弄ばれている状況なだけなはず。そこらへんについてはもっとちゃんと調べよう。これで俺たちがゲームを崩壊させて、それでそのゲームごと飲み込まれて死ぬだなんてことになったらたまったもんじゃない。
……どう調べるのかについては、また考えなきゃいけないが。
「一番の問題は、俺が死んだこと」
人形になったと言っていた。妖精の手の平の上で踊るだけの玩具になったのだと。
だからチャンスが出来たと女は言っていたが、それが良い事なのか悪い事なのかは分からない。
考えなければいけない。
きっとそれが、俺の役割なのだろう。
「……正直に言えば、もう手遅れなんだよな」
この世界で俺は過ちを犯した。
だからきっと、俺の考えるこれからの最悪の状況を作り出してしまうだろうから。
動かなければいけない。
今の俺を囮にして、これから先のリセットに備えてやらないと。
まず先に、この情報を託す人が必要だ。
紅葉と桜坂は俺と関わり合いになろうとはしないだろうから却下。
海里は駄目だ。あいつは妖精に目を付けられているから絶対に話すことはできない。
星空も駄目だろう。あいつはあのアカネ神という……おそらく妖精の手の者によって監視されているから除外。
ならば誰に、と考えて……。
思い出すのは紅葉のゲーム情報だった。
赤色の主人公。
もしかしたらあいつも妖精に監視されているかもしれない。その可能性は高いだろう。
しかしその監視をかいくぐるなら……。
ああそうだ、あいつは戦闘能力が高いから。出来るかもしれない。
「……朝比奈陽葵」
俺とは真逆だが、現状打破できる力を持つもの。
神の力だけで主人公をやってる星空と、考え続けるぐらいしかできない俺よりはよっぽど強いあの女なら。
そのために動かないと。
もう時間がないかもしれない。
「ああそれと……海里達に連絡しなきゃな……」
考え続けないと駄目だ。
生き残るために。妖精に敗北を刻むために。
手遅れだとしても、諦める理由にはならない。
このまま終わらせるわけにいくか。
そうじゃないと、あの時紅葉と桜坂を見殺しにした意味が何もなくなってしまうのだから。