置いてかないでよ!死柄木さん!   作:腐った林檎

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お気に入り、感想、評価ありがとうございます。僕のモチベーションがギリギリ保たれて次話投稿です。

三人称

緑谷

オリ主

の順番です。ややこしくて申し訳ない……。




捨てられた(泣)

「死柄木についてはこれでいいとして……彼女の処遇についてはどうしますか?」

 

 塚内警部が書類を捲りながら雄英の教師陣に問う。

 

 彼女というのは、USJ襲撃事件において襲撃してきたヴィランの一人。終盤まで一切戦闘には参加せず、最後の最後でオールマイトに攻撃をしかけたのだが……あれを攻撃といっていいのか。飯田の救援要請を受けてUSJに急行した教師たちにとっては、じゃれ合いの方が正しいと思ってしまう。アメリカンなオールマイトと、彼女が一緒にいると親子にしか見えなかったのだ。

 

「「「………」」」

 

 会議室に集まった教師たちは、それぞれ考えるようにディスプレイに映された彼女の画像を見る。

 

 

 銀色の長髪に、淡い青色の瞳、雪のように白い肌で傷一つ付いていない。第一印象は月みたいな女の子。服装はショートパンツに少し破れた箇所がある白シャツ、それ以外に身につけていたものはなかった。

 

「塚内警部、彼女の個性については?」

 

 18禁ヒーローミッドナイトが手を軽く上げて質問する。

 

「彼女に聞いてみたところ、『不変』とのことです」

 

「『不変』?」

 

「はい。例えば、髪の毛が伸びなくなったり、身長が変化しなくなったり……彼女の身体の成長が止まるといってもいいかもしれません」

 

「それほど強個性というわけでもないのか……」

 

 オールマイトが頷く。彼女の必死の攻撃を受けたが威力は皆無といってもよかった。個人的には時間稼ぎにもなったので感謝している。

 

「彼女は本当にヴィランなんですか?USJに襲撃したというか、敵連合に誘拐されたのならばまだ分かりますが。こんな幼い子がそんなことをするとは思えません」

 

「ヴィランなのかヴィランではないのかという判断は情報が集まっていないのでまだ断言できません。それと、彼女は15歳です」

 

「「「…………」」」

 

「塚内くんが言った通り彼女の個性は不変。個性の発現と共に身体の成長も止まってしまったというわけなのさ」

 

「ええ。ですが本当にその個性ならば、少々不審な点が出てきます」

 

 唯一驚かなかった根津校長が、皆に分かりやすく説明する。それに対して塚内警部も肯定するが眉を顰めていた。

 

「本来、個性は四歳までに発現します。それなのに、彼女の身長は小柄とはいえ133㎝もある。個性の発現が遅かったのか、それとも……」

 

 塚内警部が、チラリとオールマイトの方を見る。

 

 オールマイトの個性、『ワン・フォー・オール』は他人に譲渡することができる。個性の受け継ぎが可能という珍しい個性だが、それ以外にも後天的の個性を得ることは出来る。

 

 『オール・フォー・ワン』。個性を奪い、与えることが出来る個性。その個性の持ち主はオールマイトが五年前に死闘の末倒したはずだ。……もし、奴が生きているのであればその可能性も考えられなくもない。

 

 バタッ

 

「ちょっと君、勝手に部屋から出てきたらダメですよ!」

 

「さいきょーむてきのしおりぐんだーんだぞー」

 

 突如、ドアが開き猫の顔をした警官と白髪の少女が現れた。教師たちは目を見開かす。議論していた対象が現れたからだ。中には武器を構える者もいる。

 

「ほら、会議の邪魔になりますから戻りましょう!」

 

「なして?」

 

「な、なして……?」

 

「んみゃぁー」

 

「ちょ、ヒゲ掴まないでください!」

 

 だが、教師たちはすぐに頬を緩ませる。困り顔の警官と笑顔の少女を見ると、どうしても微笑んでしまうのだ。それに教師たちはほとんどが独身である。少女を見つめる目はまさに娘を見る目だった。

 

 教師たちは顔を見合わせ、心の中で会話をする。

 

 

(雄英に引き取りたいんだが、反対意見はあるか?)

 

 

(((意義なし)))

 

 

 即決だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

 

緑谷side

 

 

 

 

「皆!HRが始まるので席につけー!」

 

「ついてないのお前だけだ」

 

 飯田くんが委員長らしく声を掛けるが、瀬呂くんに冷静にツッコまれていた。膝をついて崩れ落ちる飯田くんだけど、すぐに自分の席に座る。真面目なだけなんだけどね……。

 

 ドアの向こう側から声が聞こえる。これは相澤先生と……女の子の声?

 

「おい、髪の毛引っ張るな」

 

「相澤先生の髪、もじゃもじゃしてておもしろいです」

 

「耳朗さん、峰田さんがそちらに行きました」

 

「了解」

 

 個性であるもぎもぎを握りしめた峰田くんがドアに突撃するけど、すぐさま耳朗さんに捕まってしまう。短い期間だけど峰田くんのことは凄く理解できた気がする。

 

 峰田くんを捕まえた耳朗さんは八百万さんにグッドサインをしていた。USJ襲撃事件の際に一緒に戦ったからか流れるような連携だったなぁ。そういえば、上鳴くんも耳朗さん達と一緒に戦ったんだよね。

 

 チラッと、上鳴くんの席を見る。

 

「へへへ……相澤先生め……抜け駆けなんて許さないぜ……」

 

 凄い形相をしてカッターで鉛筆の先を削っていた。凄く先端が鋭利になっている。あれじゃ文字を書くのは難しいと思うんだけど。何のために削っているんだろう。

 

 ガラっと扉が開く。

 

「おはよう」

 

 現れたのは包帯を顔に巻き付けた先生と、その先生の肩にちょこんと座っている銀髪の女の子。

 

「「「「なんか知らない奴いるし先生復帰早ぇぇぇ!?」」」」

 

 全員が立ち上がって先生にツッコむ。もちろん僕もだ。というかあの子ってあの時の……?

 

「先生、無事だったのですね!」

 

「かわいー!ちっちゃいー!」

 

 それぞれの感想が飛び交うが、先生はよろつきながらも教卓に立つ。怪我してるのに女の子を肩車するなんて鍛え方が違うのかな?さすがプロヒーローだ。

 

「俺の安否はどうでもいいが……コイツのことは話しておくか」

 

 肩から降りた女の子を見ながら、先生がこちらを向く。ちなみに上鳴くんは耳を抑えて絶叫していた。何があったかは聞かない。大体予想がつくし。

 

「コイツは雄英に転入することになった月見里(やまなし) 止折(しおり)だ。雄英でも初めての導入である特待生制度で入学することになるため、そこんところよろしく」

 

「せ、先生!その女の子は確かあのときの……?」

 

 何かに気付いたように手を上げて質問する切島くん。その隣では上鳴くんが白目で気を失っていた。自業自得だよね。

 

「……ああ。こっちにも色々事情があってだな、特待生で入学させたんだ」

 

「え?どいうこと?」

 

「あんな幼女知らねぇぞ」

 

「踏まれたい」

 

 広場にいなかった人達がざわつくが、気にしないように相澤先生は次の話に入る。

 

「それに戦いは終わってねぇ」

 

「まさかまたヴィランが!?」

 

「おいおいマジかよ」

 

「ぶっ殺す!」

 

 皆が緊張したようにあたりを見渡す。先のUSJ事件がよほど印象的だったのだろう。僕も少し緊張してしまった。でも先生の様子を見るにそういう雰囲気ではない。

 

 相澤先生がもったいつけるように間を空けてから、口を開く。

 

 

「……雄英体育祭が迫っている!!」

 

 

「「「「急にクソ学校っぽいの来たァァァ!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

月見里side

 

 

 

 

 よう。俺だ。チンピラAだ。またの名を月見里(やまなし) 止折(しおり)ともいう。

 

 

 あの後警察に連れられて刑務所行きかと思ったが、何故か大丈夫だった。

 

 いやー危ない危ない。俺の無垢なる笑顔のおかげですな。転生してよかったといえるのが顔です。顔しか取り柄がないんだよ……あと女だし。思えば転生当初は凄い焦ったね。

 

 俺……童貞のまま死んだのか……とか思いながらママンのママンを吸ってた。あんまり記憶ないけど。

 

 それと、俺はこの雄英高校とやらに転入することになるらしい。ふっ、とうとう俺の時代だぜ。何故かはマジで分からんが。やっぱ俺の身体から迸るオーラが隠し切れなかったか。

 

 女子更衣室や女子トイレを公認で覗くことが出来る!いや、入ることだって出来る!やれやれ、俺のハーレム生活が始まっちゃうのか?あ、俺も女か。……百合にかけるか。俺的にはばっちこいだ。俺の守備範囲は俺の心の広さ並みに広いんだぜ(広いとはいっていない)。

 

 俺を迎えに来たという包帯ミイラ男に連れられ、ムダにでかい廊下を歩く。

 

 ぬおおおおお!長っ!廊下だけで俺の家の総面積の十倍はある気がする。今度からここで暮らそうかな。夏とかひんやりしてて気持ちよさそう。エコだよね。世界環境のことも考えるなんて俺超イケメンだわ(女です)。いやこの世界だったら超能力っぽいのはあるから改善されてるかもしれんけど。

 

 あ?俺?ないよそんなもん。超能力使いたいな。まさか無能力者だとは思わなかったけど、俺は気づいたね。ああ、そういう感じの物語ですね?って。ごめんよ神様、俺鈍感系じゃないんだ。

 

 てか足痛ぇぇぇ!俺のか弱い足では長時間走ることは無理なんだよ!察しろ!このミイラ男!だいたい、さっきまで座りっぱなしだったから足しびれてるんだよ。いや、正座じゃないけど。痺れるものは痺れるんだよ。

 

 は?うるさいだと?ほほう、こいつ俺に歯向かう気か。いいだろう俺の渾身の一撃を喰らうがいい!

 

「どうした。トイレか?」

 

 トイレじゃない、仮面ラ○ダーキックじゃい!お前脳みそ詰まってるん?なあ?その昆布みたいな髪の毛ちぎってやろうか。

 

 うおっ、こらてめぇ登らせろよ。左腕が痛い?知るか。俺の道を阻むんじゃねぇぇぇ!壁は超えるためにある!

 

「おい、髪の毛引っ張るな」

 

 や、やばい。体力がもたん。ちょっとミイラ男の肩で休憩させてもらうわ。俺の体重……リンゴ三個分(推定)だから大丈夫っしょ。この前USJでスパイダーマンやってたし。頼むぜスーパーヒーロー!

 

 そうやってなんとか縛りついていると、周りからの視線が熱いのに気づく。廊下から教室にいつのまにか変わってるし、ミイラタクシーは楽でいいね。

 

 ……なにそれ俺なんかやらないといけない感じなの?いや、単に俺の方を向いているだけなのか?まあいい、俺に注目が集まっていることは確かだ。

 

 ミイラの肩から降り、教壇の上に立つ。

 

 ふっ、やっと俺の魅力に気付いたか。やっぱりこの時代の人間には少し早すぎたようだったけど、どうしても見たいというのならばやらないこともない。さあ、頭を垂れて俺に請うがいい!

 

 

 

「「「「急にクソ学校っぽいの来たァァァ!!」」」」

 

 

 

 

 俺のことを無視して叫び出す少年少女たち。

 

 うーん、俺のこと忘れてないかい?俺ってこう見えて美少女なんですよ?普通はもっとちやほやするところじゃないのか。この世界の常識が未だ分からないぜ。俺の元居た世界では非常識なことがこの世界では常識だからなぁ。逆に考えるとするならば。

 

 

 

 

 ……なるほど、放置プレイというものですね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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