置いてかないでよ!死柄木さん!   作:腐った林檎

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最新刊の相澤先生でガチ惚れしたので


ゆ、誘拐じゃないよ!

 

 

 二つの影が電灯に照らされた夜道を歩く。

 

 一つは、ボサボサの髪の毛で首元に捕縛布を何重にも巻いている猫背の男。

 

 もう片方は、腰まで伸びた銀髪に短いスカートをせわしなく触っている小柄な女の子。

 

 

 相澤消太と月見里止折である。

 

 何故二人は一緒に夜道を歩いているのか。理由は明白、月見里には帰る家がないのだ。幼少期に親に捨てられた―――雄英はそう思っている―――月見里は裏の世界で生きていて、寝るのも公園のベンチなどだったらしい。

 

 そして、そのことを知った雄英陣営は誰が家に引き取るかという話になったのだ。議論は議論を重ね、殴り合いにまで発展しかけたが、最終的に相澤の担任だから色々と便宜が利くという提案に皆が折れた。あの超が付くほどの合理主義者のイレイザーヘッドなら、別に問題はないだろうという見解だったが。

 

 相澤からすれば永遠に続くかのように見えた議論に嫌気が差し、半ば強引に終止符を打ったのだ。同席していた塚内警部は彼に同情の目を送っていた。

 

 相澤はスカートをひらひらさせている月見里を見て、ふと思ったかのように声をかける。

 

「……スカート、気になるのか?」

 

「はい、はいたことがなかったですから」

 

 また、二人の間に沈黙が流れる。

 

 

 やってしまったと相澤は目を伏せる。

 彼女の家庭については調べがついていて、とても貧乏な家庭だったと知らされていた。当然、スカートなどの衣類を買うお金さえもなかったのだろう。

 

 拳を強く握りしめ、今度一緒に服屋にでも行くかと聞くと彼女はきょとんと首を傾げた。その動きに相澤も少し笑ってしまう。まるで、月見里が自分の娘かのように見えたからだ。

 

「服屋ですか、良いですね!かっこいい服をたくさん着ましょう!」

 

「そうか、かっこいい服か」

 

「ええ、とびっきりカッコいい服があるお店を紹介してくださいね!」

 

 そう言われ、自分の私服を思い浮かべる。黒の長袖Tシャツに黒の長ズボン、通販で適当に買った服ばっかりだった。

 

 まずい、行きつけの店なんて知らんと相澤は頭を抱える。他に着ていたのは……靴?いいや、ヒーロースーツの靴と変わらないため何かのブランド物ではない。ヒーローサポート会社が制作した物なので街中では売っていないだろう。

 

 脳をフル活用させ、何かないかと検討し、何か見つけたように目をカッと見開く。

 

「ああ……とびっきりオススメなお店を紹介してやる」

 

「やったぁ!」

 

 月見里は「早く着てみたいです!」と無邪気に喜ぶ。まさか登山用の店に紹介されることになるとは思わなかっただろう。

 

 それを見た相澤は目を細め、「やっぱ今の時期はアレが一番だよな……」と呟く。まさか月見里が寝袋にハマってしまい、寝袋に入ったまま登校し始めることになるとは思わなかっただろう。

 

 

「お、俺の家が見えてきたぞ」

 

「え、どれですか?」

 

「ほら、アレだ」

 

「どれですか?」

 

「アレ」

 

「どれ?」

 

 指を向けて示すも、月見里は見つけられないようで少し不満げだ。

 

 何が気にくわなかったのだろうか、そう相澤は考えるもすぐに思考を放棄した。これ以上考えると頭が破裂しそうだと判断したのだ。ただでさえUSJ襲撃事件で傷を負ったのに、長々とした会議に参加させられたのも要因の一つだろう。

 

「むぅー、見えないです……」

 

 今度は頬を膨らませ露骨に不満を主張してくる。これを意識的にやっているのであれば正に童貞キラーだろう。だが、こんな幼い少女にそんな浅ましい考えがあるとは思えなかった。

 

 相澤は腰を下げ、月見里に声をかける。

 

「乗るか?」

 

「え?」

 

「いや、嫌なら良いんだが……」

 

「乗ります!」

 

「うおっ」

 

 背中に勢いよく抱き着かれ、思わず声が漏れてしまう。俺怪我してるんだがと思ったがすぐに思考を放り投げる。今日は何も考えないことにしたようだ。

 

「なんでそっちなんだ」

 

「高いからですよ!これは男のロマンというモノです!」

 

「お前男じゃないだろ……」

 

 何故か背中ではなく頭に乗っかってきたが気にせず立ち上がり、ゆっくりと歩き始める。

 

「あ!アレですね!」

 

「おうアレだ」

 

 月見里の指した方向には三階建てのマンションがあった。あのマンションの一室が相澤の自宅である。立地も雄英と近いため便利なのだが、ペットの飼育が禁止されているところが悩ましいところだ。

 

 マンションの前に着くと人の行き交いも多くなり、自然と人の視線が集まってくるのを感じる。全身包帯だらけの男の頭の上に笑顔で乗っかている光景は異様である。警察に通報されてもおかしくない絵面だ。

 

「はぁ……」

 

 イレイザーヘッドはマスコミやメディアが嫌いである。そのため興味に駆られた目線は不愉快極まりないものであったが、月見里がいるため堪えようと踏ん張る。月見里がいなかったら個性を発動させて威嚇していたかもしれない。

 

 ちなみにだが、このとき相澤と月見里はとある若者のスマホで録画されており、一躍話題になるが本人たちはそうなるとは一切考えていなかった。

 

 階段を上り、自宅の扉の前まで辿り着く。

 

「相澤先生の自宅、ワクワクします!」

 

 頭上で喋る月見里に「そうか」とだけ返し、相澤は鍵を差し込み扉を開け中に入る。

 

 

「あいだっ!?」

 

 

 

 

「…………すまん」

 

 

 

 

 

 額のたんこぶは次の日にリカバリーガールに治されるまで膨れ上がっていたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あ、あの。ランキング見てたらこの作品見つけたんだが……。

ここまで来てくれたロリィ…の方々、そしてノーマルの方々、本当にありがとうございます。
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