喫茶店・ホースリンクへようこそ!   作:アヴァターラ

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書き終わって思ったこと「レース描写うっっっっっす!!!これいる?」


マスターさんのレース観戦

 「最近の兄さんはどうして私にかまってくれないんだ?この間だって私を抜きにして鍋を囲んでいたそうじゃないか。理事長から聞いたぞ、もう」

 

 「その日はお前地方にスカウトに行ってたじゃないの。というかあんまり理事長を苛めてやるな、まるで子猫のように震えていたぞ」

 

 「それは私じゃない、たづなさんだ」

 

 閉店後の店内、カウンターに肩肘を置いて顔を支えてわかりやすく拗ねた顔をしているのは我らが生徒会長シンボリルドルフである。どうも俺が休みの日と自分の休みが合わなかったのが相当お冠らしい。いつもの凛々しさはどこへやら、うじうじと俺にちくちく攻撃をしてくる。生徒会長さんは忙しくていけないな、というか俺に会えないと調子崩すのやめなさい。もうそろそろ君も独り立ちをする年齢なんだからな。

 

 「ほら、明後日は大事な日なんだろ?そうカッカするな。きちんと応援に行ってやるから」

 

 「・・・にいさんのことだからどうせほかの娘も応援するもん」

 

 「おいおい見くびってもらっちゃ困るぜシンボリルドルフ。俺はお前が()()()()()でお前以外を応援したことはないぞ。例え、誰が出ててもな。お前の一番のファンは俺だ、トレーナーだろうがそれは譲らんぞ」

 

 「・・・ん、兄さん。一つお願いしていい?」

 

 「ああ、俺にできることならな」

 

 「明後日の()()()()()()()()、私が優勝したらニンジンパフェ、作ってほしい」

 

 「勿論、今までで一番うまいやつを作ってやる」

 

 隣に座ってコーヒーを飲みながらそう言い切ってやると、ようやく顔が緩んだルナが俺にもたれかかってきた。俺は何も言わずそのままその体を支える。明後日、大イベントがあるからな。当然、俺も見に行くつもりだ。

 

 

 

 そうして日がたち、ここは東京レース場、本来なら店を開く日ではあるが理事長の計らいで休みになっている。なぜなら、日本中誰でも熱狂するようなとんでもないレースが今日開かれるからだ。ルナが拗ねていた日に話していたビッグイベントとはこれのことで、URAとしても初の試みとなる。まさに夢の大レースなのだ。

 

 『天高くウマ昇る晴天、本日はここ東京レース場にて初開催となるレースを執り行います。あなたの夢、私の夢を乗せた現役、引退問わずファン投票で決まったウマ娘が走ります。URAメイン開催「スペシャルエキシビションマッチ」、距離は2400、バ場状態は良好です!!!』

 

 わああああ!!!と耳が割れんばかりの歓声が響き渡る。運よくパドックとレース場両方に近い良い席をとることができたので応援にも身が入るというものだ。そう、今日行われるのはいわゆる無差別級とでもいうべきレースだ。現役だろうが、引退してようが構わずにファン投票を行い選出された選りすぐりの16人がレースを行う。勿論怪我で引退した場合や辞退した場合は別だが。

 

 『それではURAを代表いたしましてトレセン学園の秋川やよい理事長にご挨拶をいただきます、よろしくお願いします』

 

 『傾聴!本日はURAが開催するスペシャルマッチに足を運んでいただき感謝している!今日出走するのは我がトレセン学園の中でも指折りの猛者たち、誰が勝っても不思議ではない!よって期待!誰が勝利しても万雷の拍手と喝采を送ってほしい!あと出走するウマ娘諸君!』

 

 「ん、なんか嫌な予感が」

 

 『本日優勝したものにはトレセン学園と提携している喫茶店、ホースリンクにてスイーツの1日食べ放題の権利を得るものとする!勇猛邁進!励んでほしい!以上!』

 

 「ふっざけんなせめて先に相談しろ理事長!あとで身長縮むまで撫でまわしてやる!」

 

 思わず叫んでしまった俺だが幸い周りが盛り上がっているおかげで特に不審がられずに済んだ。やってくれたなあのちみっこめ、あとでたづなさんにチクってやる。あとしばらくは料理作ってやんないもんね。・・・・やっべーなどうしよ。いや別に作るのは構わんけどウマ娘が満足する量となるとなあ・・・何とかなるかたぶん。

 

 『えーいやにパドックが騒がしいですが出走するウマ娘の紹介をしたいと思います。それでは1番から!願いを叶えるシューティングスター!彼女をおいて誰がこの名を語れようか!6番人気!日本総大将!スペシャルウィーク!1枠1番での出走です!」

 

 『続いて2番、最速の名は彼女のもの!先頭の景色は譲らない!8番人気、異次元の逃亡者、サイレンススズカ!1枠2番での出走になります!』

 

 『3番、精密なレース運びはまるで機械!坂路の申し子!10番人気、サイボーグ、ミホノブルボン!2枠3番での出走です!』

 

 『4番、炸裂するか究極テイオーステップ!3番人気だ不屈の帝王!トウカイテイオーが堂々登場です!出走枠は2枠4番!』

 

 『5番、ステイヤーが殴り込みをかけに来た!4番人気、長距離の名優、メジロマックイーンです!3枠5番での出走になります!』

 

 『6番、ダートの女王が有マに続いて乱入だ!16番人気、桜花爛漫、ハルウララです!出走枠は3枠6番!』

 

 『7番、不可能を可能にするブルーローズ!13番人気、淀の刺客、ライスシャワー!4枠7番での出走!」

 

 『8番、誰もが彼女に夢を見た!引退しても人気は衰えず!2番人気、芦毛の怪物オグリキャップ!ターフを踏みしめました!4枠8番での出走です!』

 

 『9番、計算しつくされたレース、彼女のチェックメイトに抗えるか!?7番人気、勝利の探究者ビワハヤヒデ!5枠9番での出走です!』

 

 『10番、誰もが彼女に見惚れてしまう!走る姿はまさに覇王!9番人気、世紀末覇王、テイエムオペラオー!歌いながらの登場だ!5枠10番での出走です!』

 

 『11番、天高く羽ばたけ!マスクをつけたエンターテイナー!11番人気、怪鳥エルコンドルパサー!軽やかにバク転を決めました!6枠11番での出走です!』

 

 『12番、限界に挑むマッドサイエンティスト!その試験管の中身やいかに!?14番人気、超光速の粒子アグネスタキオン、6枠12番での出走です!』

 

 『13番、吼えろターボエンジン!全開で突き進め!15番人気、大噴射ツインターボ、7枠13番での出走です!』

 

 『14番、名ウマ娘誕生の影に彼女あり、脇役は今日主役になれるか!?12番人気、ブロンズコレクターナイスネイチャ、7枠14番です!』

 

 『15番、奇想天外摩訶不思議、今日も何が起こるかわからない!頭陀袋を担いで意気軒高、5番人気、不沈艦ゴールドシップ、今頭陀袋から・・・トレーナー!?トレーナーを担いでいます!スタッフ!ちょっと助けてあげて!!8枠15番です!』

 

 次々とファンの投票で決められたウマ娘がそれぞれのアピールを決めてパドックからレースに移る。全員がG1ウマ娘で、なおかつ人気が高い子たちだ。そして、最後。めっきりレースに出なくなったが・・・彼女以上のウマ娘を俺はまだ知らない。彼女より上をいったものがいないからだ・・・最強の皇帝が今パドックに姿を現す。

 

 『最後の紹介です・・・唯一抜きんでて並ぶものなし!奇跡の7冠ウマ娘、最強とは彼女を現す言葉!皇帝がターフに戻ってきました!1番人気、シンボリルドルフ!威風堂々の登場です!』

 

 一歩一歩を確かめるように踏みしめてパドックからレース場に歩いて向かうルナを歓声が後を追う。引退後、久しぶりに踏みしめるG1御用達レース場はいまのルナにどう映っているのだろうな。そうして1番人気のルナからスタートゲートの中に納まっていく。ついでにトレーナーを振り回して楽しんでいたゴールドシップは最後にトレーナーに熱いベーゼを一方的に交わしてスタッフに引き渡した。場内のどよめきがすごいことになってるがスピカの問題なので俺は気にしないことにする。スぺとスズカの目からハイライトが消えてるのも見なかったことにしたい。

 

 多分どこか微笑ましいものを見るような感じなってるんだろうなあルナのやつ・・・あいつウマ娘が幸せなら自分も幸せってやつだし。そんなことを考えてると最後に元気よくハルウララがゲートに収まった。さて、俺はルナが一着になるのを疑わないが・・・ほかはどうだろうな。

 

 『全バゲートイン・・・出走準備完了・・・エキシビジョンマッチ・・・スタートしました!』

 

 ガタン!とゲートが一斉に開いた瞬間に全員、いやゴールドシップ以外がスタートを完璧に切った。先頭に躍り出たのは3人、いや4人のウマ娘だ。

 

 『おおっとゴールドシップ出遅れか!?先頭争いは、サイレンススズカ、ミホノブルボン、ツインターボ、そしてなんとハルウララです!』

 

 『彼女は今まで差しで戦ってきましたが逃げを見せるのは今回初めてですね。どんなレースを魅せてくれるのでしょう』

 

 『現在前から、サイレンススズカ、ミホノブルボン、ツインターボと並ぶようにハルウララ。1バ身挟んでテイエムオペラオー、アグネスタキオン、トウカイテイオー、メジロマックイーン、エルコンドルパサー、ナイスネイチャ、そこから半バ身、ビワハヤヒデ、シンボリルドルフ、オグリキャップ、スペシャルウィーク、ライスシャワー、最後にゴールドシップです」

 

 『あっという間に1000mを通過しました。ここから争いが激化していきますよ。最初に仕掛けるのは・・・やはりゴールドシップ!』

 

 『ゴールドシップ!ゴールドシップが追い込みを始めました!どんどん加速していきます!』

 

 ゴールドシップ、奇行ばかり注目されがちな彼女ではあるがその実規格外のスタミナと長身を生かしたストロークでのロングスパートが特徴的な追込みウマ娘だ。パワーはあるが加速力がそこまでないため早い位置でのスパートを選んだのだろう。あっという間に上位に食い込みだした。それを許すはずのない怪物が一人、伏せていた顔を上げた。

 

 『残り1000mを通過!ゴールドシップが追い上げていくぞ!ああっとここで怪物が動き出しました!オグリキャップ、ゴールドシップに並走するように加速していきます!』

 

 『最後のカーブにかかります!ウマ娘たちが続々とスパートをかける中、シンボリルドルフは全く動かず!どうした皇帝!万事休すか!?』

 

 んなわけないだろ。この程度で万事休すなんて言ってたら皇帝なんて呼ばれるわけがないんだ。バ群に埋もれるようにただついていってるように見えるルナ、最後のカーブを曲がる瞬間彼女がこちらを見た、ように見えたので指を一本立てて前に突き出す。

 

 見えたのか見えてないのかは知らないが俺がそうした瞬間、ルナは獰猛に笑った。いつもの凛々しさと優しさを前面に出した笑顔ではなく歯をむき出して目の前にいるライバルを噛み殺さんばかりの好戦的な笑顔。さあ、皇帝が動き出すぞ。止めれるもんなら止めてみろ。

 

 『残り500m!ああ!シンボリルドルフです!皇帝が加速していく!どんどん抜かれる上位陣!日本総大将を躱し!不沈艦が追い越され!刺客をはねのけています!皇帝が来ている!皇帝が来ているぞ!大噴射を避け!サイボーグが抜かされる!』

 

 後方にいたはずのルナが一歩歩を進めるごとに必死にスパートをかけているはずのウマ娘たちが次々追い越されていく。どうだ観衆、これが皇帝、これがシンボリルドルフだ。よくわかってたはずだろ?最強は誰かってことを。

 

 『ゴールは目の前だ!残り200!皇帝が止まらない!帝王をねじ伏せ、覇王を打ちのめし!そして先頭の逃亡者を捉えた!今!皇帝があらゆるウマ娘をはねのけて!一着でゴールイン!引退したとは思えない強さを見せつけましたシンボリルドルフ!皇帝はここにあり!皇帝の凱旋です!』

 

 さすがは皇帝ってところか。バ群に飲まれていたはずのルナが最後のスパートで並み居る強豪をなぎ倒して優勝を勝ち取った・・・ついでに理事長の言が本当なら俺の店のスイーツ食べ放題も。テイオーに抱き着かれたルナを見た俺はとりあえず冷蔵庫と冷凍庫の中身を思い出すところから始め・・・ようとしたがそれよりも先にウィニングライブの最前列を確保しに踵を返すのだった。

 

 

 

 

 

 「・・・で、なんでレースにいた全員が食い放題やってるんだ!?」

 

 「ふふ、私は約束があるからな。それに私が得たのは「食べ放題の権利」であってそれをシェアすることには何の問題もないだろう?」

 

 「あー、屁理屈がうまくなったなルドルフ」

 

 「誰かさんが私を苛めてくれるおかげでな」

 

 「美味!やはりマスター君のスイーツは最高だな!」

 

 「一番納得できないのは理事長が混じってることだわ!」

 

 「不満?いいではないか一つ作るのも二つ作るのも一緒という話も「ほーう?」・・・?」

 

 「お前ら、理事長がポケットマネーで全部出してくれるってよ。そういうことだからスイーツだけじゃなく料理も解禁してやるわ。お前ら理事長にお礼言っとけー」

 

 「「「「「「ありがとうございまーす!!!」」」」」

 

 「よし今日は大盤振る舞いだ!チームもトレーナーも全部呼べ!理事長のおごりだー!」

 

 「驚愕!?さすがにそれは・・・!!」

 

 というやり取りがあって、1週間分の材料とか何やらが全部ウマ娘たちの腹に消え、俺の腕は無事腱鞘炎になった。ついでに店は3日営業不能になった。そして金持ちなはずの理事長の財布は見事に薄くなり、食べに来たウマ娘たちの腹は膨れ上がったのだとさ、ちゃんちゃん。

 

 ちなみにルナのスペシャルニンジンパフェはバレると面倒なので休業中にしっかり作ってやりました、まる。始まりは俺が高校生の時に初めて作ったニンジンアイスだったけど、それが今でもルナの好物になってるなんてちょっと誇れるかも、と思ったのだった。




 懺悔するとレース前のウマ娘の紹介の口上を書きたかっただけです。ごめんなさい、だから石を投げないでください。

 レース描写は私には無理ということが分かったので次からは喫茶店に戻ろうと思います
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