喫茶店・ホースリンクへようこそ!   作:アヴァターラ

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 前後半と言ったな・・・あれは嘘だ。思ったより文字数が行ったので全中後半でですお許しください。

 ああ!ごめんなさい石を投げないで!


職場体験・開始

 はいはいどうも皆さんこんにちは。本日もホースリンクにて腕を振るう予定の店長です。まあ?俺の事なんざどうでもいいんだけど、本題はまた別。そう、キタサンブラックとサトノダイヤモンドの職場体験である。昔々の話であるが、職場体験はウマ娘たちでいう中等部の時に実施されていたわけである。が、人間はそれでよかったんだけどウマ娘たちは基本トレセンに進学するので、1週間もトレーニングとは別の事をするのはレースの勝敗に大きく左右されると文句が出たらしい。

 

 そして結局、トレセンを受験する小学6年生の一つ前、小学5年生に実施することが決定してしまった、というわけだ。人間にとってはとばっちりもいいとこであるが決まったもんはしょうがない。ウマ娘たちの基本は1にレース2にレース、それ以下トレーニング。これであるがゆえに。さて現在、キタサンブラックとサトノダイヤモンドの職場体験を明日に備えているわけである。で、朝シゲさんから

 

 「あの子たちの勝負服ができたわよ!久しぶりに面白い仕事ができたわ。渡しに行くから待ってて頂戴な」

 

 「ありがとシゲさん。代金は後で振り込んでおくから」

 

 「3割引きでいいわ。子供用の勝負服なんてね、なかなか作れるものじゃないもの。私も事務所のみんなもいい刺激になったわ。それに素材もレース用のものとは別、汚れに強くて家庭でも洗いやすい素材になってるの。ま、適正だと思ってね」

 

 「わかった。領収書はトレセンあてに頼む」

 

 「わかったわ~」

 

 っていうやり取りがあったわけで。シゲさんが気を利かせてくれて閉店後に来てくれると言ってくれた。ので、勝負服を着るキタとダイヤにも連絡を入れて3人が来るのを待っている。というわけなのだ。ちなみに俺と一緒に皿洗いをしてる今日のアシスタントのアグネスデジタルは頑として見る意思を固めているようなので飲み物出そうとしたら「いっぱいです~~~~っひょええええええ」とか言って昇天してた。あの、ウマ娘相手はともかく俺相手にそんな風にならないでしょ。

 

 「こんにちは~~!!」

 

 「こんにちは、マスターさん。あの、勝負服ができたって・・・」

 

 「いらっしゃい、もうすぐシゲさんが届けてくれるよ。その前に・・・おいデジタル」

 

 「はい、なんでしょう」

 

 「そのカメラと絵を描く道具をこっちに渡すんだ」

 

 「なななななんでですか!?いかにマスターさんといえどもデジたんのライフワークを邪魔することなど許されませんことよ!?」

 

 「まあトレセンに入学した奴ならともかく、この子たちはまた別の学校の子なんだから、余計な写真やら絵やら流出したら困るの。ネットで何言われるかわかったもんじゃない。この子たちを守るということで・・・・な?」

 

 「そ、そんな・・・救いはないんですか・・・?」

 

 「まあ?俺がダメっつっても?被写体たちがオッケー出せば俺はぐうの音も出ないわけだが」

 

 「マスターさん・・・あなたが神ですね!?!?・・・・あの・・・小さなウマ娘ちゃんたち?絶対に漏らさないと約束するのでどうか写真を撮らせてもらえないでしょうか・・・?」

 

 「いいですよ?」

 

 「はい、私も大丈夫です」

 

 「あ り が と う ご ざ い ま す!!!!!!」

 

 俺の遠回しな許可を受けたデジタルが飛び上がって喜びを表現してるのを俺は生暖かい目で、キタサトコンビはよくわかってない純真な目で見ていると、ドアが開いてシゲさんが登場した。電話が来てから結構早いな。そして両手に持ってるケースが勝負服か~

 

 「お待たせ~。さあ、お待ちかねの勝負服よ!それにしても二人ともいいセンスしてるわ。ちょっとだけ私のほうで変えたところもあるけれど概ねリクエスト通りになっているはずよ。さっそく着替え・・・と言っても私は男だから着替えに付き合うわけにはいかないわね・・・」

 

 「ああ、それについては問題なく。デジタル、出番だぞ」

 

 「ひょえっ!?わわ私ですか!?」

 

 「お前も勝負服持ってるんだから着替える際の注意点とかわかるだろ?手伝ってやってくれ、な?」

 

 「お願いするわ~。はい、これ着方の説明書よ。それじゃ、着て見せてね」

 

 「お願いしま~す!」

 

 「アグネスデジタル先輩、お願いします!」

 

 「あっあっ手を・・・ひょえ~~~~!?」

 

 二人に両手を取られたデジタルが半分意識を失いながら勝負服を持った二人に引っ張られるようにして更衣室に消えていった。なんで今日デジタルを呼んだかというと見たがるだろうなあというのが主要因ではあるが彼女は意外と服飾系への理解が深いのだ。デジタルはいわゆるオタクという部類にはいるのではあるが、よく絵をかいたりしている。それも勝負服を着たウマ娘の絵を。これが示すことはどういった構造をしてるかを理解していないとウマ娘に関しては妥協をしないデジタルの満足する絵は描けないので結果的に詳しくなったのだ。つまり、任せておけば完璧な着付けをしてくれる。詳細な解説付きで。

 

 「シゲさんコーヒーでいい?」

 

 「ええ、お願いするわ。あ、これ領収書よ」

 

 「いつも悪いね」

 

 俺の店は飲食店である都合上ミスや事故でウマ娘たちの勝負服を汚してしまうこともある。なのでそういったことがあった時に頼るのもシゲさんというわけだ。大体1日で戻ってくるのでありがたいことこの上ない、とシゲさんにホットのキリマンジャロを出してデジタルがいろいろ耐えてるであろう音を聞きながら待つ。20分くらいしたら満身創痍のデジタルと2人が出てきた。

 

 「マスターさん・・・やりました・・・デジたんはやり遂げましたよ・・・」

 

 「ああ、よく頑張ったな・・・二人とも感想は?」

 

 「すっっごいかわいいです!イメージしてた私の勝負服そのもので!もうほんと、ね!ダイヤちゃん!」

 

 「うん、キタちゃん!着心地もすごくよくて、こんなにフリフリしてるのに軽いです!着方も簡単でした。ありがとうございます!」

 

 「うんうん!サイズ調整は必要なさそうね。安心したわ~」

 

 キタサトコンビが来てる勝負服、質感的に確かにレース用の勝負服に使われている布とは別物っぽいが特に違和感はない。キタの服は和装ドレスというような感じで黒をベースに赤のラインと模様、金のラインが入り、スカートや上着の下は金色が基調になっている。肩や胸元は大胆に露出されているがそこはシゲさん、一番下に長袖の黄色の指孔カットソーのシャツを着ていることで問題にはならなそうだ。黒のミニスカートに黒に赤のワンポイントが入ったオーバーニーソックス、下駄風の蹄鉄シューズで華やかかつ勝負服っぽさがよく出ている。腰元の紅白のしめ縄がキタの元気の良さによく合っているな。

 

 そしてダイヤ、まさしくお嬢様といった風情の緑色のフィッシュテールドレスだ。白のレースを上半身に多く配置し、結構露出が多い(シゲさんの配慮で隠されているが)キタの勝負服と違って上半身の露出がゼロ、フィッシュテールドレスなので前のスカートが短いから黒のニーソックスを履いた足が見えるが夜会のお嬢様といった印象を与える清楚な雰囲気だ。腰のコルセット風のリボンも実によく似合っている。そして金色の刺繡がスカートのすそや上着にもあって落ち着いた色の中に光るものというコントラストが見てて飽きない。唯一心配だなと思うのはタキオンの勝負服のようなだぼだぼで長い袖であるが・・・手首付近を見てみるとうまく隠してはあるがファスナーが見える。分離ができるということだろう。シゲさんの心遣いが光るな。

 

 「うん、二人ともよく似合ってる。さて、いよいよ来週から職場体験を始めるんだけど、俺の指示にきちんと従うように。怪我しちゃったら大変だからね。それとあいさつは元気に大きく。ケンカをせずに仲良くすること。いいね?」

 

 「「はい!」」

 

 「うん、いい返事。それじゃあよろしくね?あ、招待したい人がいたらこの券渡してね?こっちのはご家族の、こっちのはお友達に」

 

 いつの間にか復活したデジタルがごっついカメラをもってキタサトコンビの周りを稲妻のようなステップで回りながら写真を撮っていくのを横目に、俺は二人に優待券をいくつか渡すのだった。

 

 

 

 

 

 そして職場体験当日、これから1週間、キタサンブラックとサトノダイヤモンドは俺の店で職場体験をすることになるわけであるが、さすがに知らないウマ娘と一緒に仕事をさせるのはアレということになってちょっと店のほうのシフトのローテを弄ってマックイーンとテイオーにお越しいただいた。快諾してくれたスピカのトレーナーには感謝している。キタサトコンビを見て足を撫でまわそうとしたのは止めたが。テイオーとマックイーンが蹴り飛ばして、だけど。そんな二人が着ているのは新しいほうの勝負服、マックイーンが空のように澄んだ水色、テイオーが大地に沈む太陽のように朱い勝負服だ。

 

 「よっし、テイオーにマックイーン。今日から、キタサンブラックとサトノダイヤモンドが1週間、職場体験をすることになる。ちょっと申し訳ないがお前らなら顔見知りだしリラックスして仕事をできると思って2日ほど連続で入れさせてもらった。頼めるか?」

 

 「いいよー!テンチョーにはお世話になってるもんね!ボク、ちゃんと教えてあげるから!」

 

 「ええ、勿論ですわ。ふふ、職場体験なんて・・・懐かしいですわね」

 

 「悪いな、まあ好きなもん作ってやるから勘弁してくれ。そろそろ二人も来るはずだから」

 

 テイオーにマックイーン、二人とも快くキタサトコンビを受け入れてくれるみたいでよかった。キタサンブラックはテイオーの、サトノダイヤモンドはマックイーンの大のファンということもあってか先日に俺の店に初めて来たときから仲良くなったらしく。時々プライベートで会っているようだ。俺も商店街でマックイーンとお茶をするダイヤやゲームセンターでテイオーと遊んでいるキタを見たりする。まあ一番出没する可能性が高いスポットは俺の店なんだけどな。

 

 「あ、そうだテンチョー。スぺちゃんとスズカが暫くシフトにはいれてないから来たいって言ってたよー?ボクたちばっかりずるいーって」

 

 「ずるいーと言われてもな・・・スズカはアメリカから帰ってきたばっかりでスぺはレースに出ずっぱりじゃないか。そこはトレーナーに言えよ」

 

 「あとゴールドシップですが・・・「そろそろ出禁解除しろー!あたしも働かせろよー!」と・・・」

 

 「店の中で花火大会しようとしなければいいぞ。だからって店の前で爆竹を1000発鳴らしていいわけじゃないって言っといてくれ」

 

 「いつ聞いても頭がおかしくなりそうですわ・・・」

 

 「店に来る分にはいいんだぜ?飯食って俺に絡んでこようが自由にしていいんだけど流石に客商売だと・・・働いてるとき子供には大人気なんだけどなーあいつ。ちょっと行動がエキセントリックすぎる。料理渡した次の瞬間デスソースかけて客に渡そうとしたのは度肝抜かれたぞ。客が激辛好きだったのが奇跡だ」

 

 「・・・見抜いて・・・らしたのでは?」

 

 「ありえそうなのが怖いなあ」

 

 ゴールドシップ、トレセン学園の特異点と呼ばれる行動すべてがぶっ飛んでいるチームスピカのエースだ。そしてトレーナーを射止めて現役なのにもかかわらず恋人を作り、それがファンに完全に認められているちょっと、いやだいぶ変わったウマ娘だ。トレーナーの恋人という立場に収まったおかげでスピカトレーナーの事を兄のように慕っていたスズカにスぺは俺の店でニンジンジュースをしこたま飲んで酔っ払うという謎の行動に出たが影響がそれくらいなら安いもんだ。ちなみにスズカとスぺ以外のテイオー、マックイーン、ウオッカ、スカーレットは素直に祝福したとかなんとか。詳しく知らんが。

 

 一歩間違えればチームが崩壊するかもしれないことをあっさりとやるあたりゴールドシップのぶっ飛びっぷりがうかがえる。スぺとなんか「うえええん・・トレーナーさぁん・・・」「まあ兄貴分に恋人ができるなんていいことじゃないの」「そうじゃないんですよお父ちゃん!」「誰がお父ちゃんだ」みたいなやり取りをしたんだがゴールドシップへの恨み言が一切出ないあたり慕われているいいウマ娘なのだ。

 

 さて、話がそれたが今日はマックイーンとダイヤ、テイオーとキタという感じでやっていこうと思う。お客さんには既に職場体験の小学生の子が店の中にいることはホームページで知らせてあるし、今日から1週間予約に成功しているお客さんにもメールでお知らせが行っているはずだ。もしこれで何かあったらまずいから知らなかったですまさないようにしとかないとな。

 

 「おはようございます!あああ!テイオーさんだ!」

 

 「おはようございます。マックイーンさん、どうしてここに!?」

 

 「おはよーキタちゃん!ダイヤちゃん!ふふふ!なんと今日から2日間!ボクたちが君たちと一緒に働くことになったのだー!」

 

 「おはようですわ、ダイヤさんにキタさん。言うなればトレーナー役、と言ったところですわ。一緒に頑張りましょう?」

 

 「「やったあああ!!!」」

 

 「おっし、二人とも今日からよろしくな。それじゃあ二人とも着替えて降りてきてくれ。さ、ホースリンク、始業するぞ」

 

 ドアを元気よく開けて入ってきてくれた二人がテイオーとマックイーンを見て大喜びしてる。親御さんからもお願いされてるし責任もって職場体験を楽しい思い出にしてあげないとな。俺は料理の仕上げのために食材を刻みながら勢いよく勝負服を保管してある更衣室の中に入る二人を見てペースを上げるのだった




 勝負服について作者のセンスのない改変を想像できない方は各々ロリキタサトの勝負服を改変していただきたく存じます。ダイヤちゃんはともかくキタちゃん露出やばすぎんよー・・・

 何とか解説を入れるとキタちゃんは袖の中の黄色い指孔カットソーが完全に長袖シャツになってて、ダイヤちゃんは長すぎる袖が一部着脱可能になってるということでどうか一つ・・・

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