喫茶店・ホースリンクへようこそ!   作:アヴァターラ

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 唐突に思いついたテレビ取材ネタ。

 次話はトレーニング編、その次は掲示板の反応編の3部作で行こうと思います。
 
 場合によっては掲示板は一般人の反応とウマ娘の沼にはまったもう戻れない人たちの反応編で別れるかもしれんけどとりあえず3つという感じでオナシャス!


トレセン学園、インTV!学園生活編

 「報告!マスター君、君にお知らせがある!」

 

 「ほほう、また仕事が増えるわけじゃないですよね?」

 

 「ぎっくぅ!?べべ別にそういうわけでは・・・あっ!誤解!誤解なのだ!だからそのニンジンケーキを返して~~」

 

 「いやぁ俺の作るケーキはうまいなあ」

 

 「あああ~~~!私のニンジンケーキぃ・・・うう・・・」

 

 「冗談ですって、ほら」

 

 「むぅ、悪辣!ひどいぞマスター君!」

 

 「それは俺の業務体系を見直してから言ってほしいですね」

 

 今日も今日とて営業終了、後片付けを済ませて自分の時間に突入し、アイリッシュコーヒーというオシャンティーなカクテルを作ってケーキをつまみつつまったりしようとした途端扉を開けて登場した理事長に出鼻をくじかれた俺がちょっとだけ意地悪をしたら涙目になってしまったので新しいケーキをあげてご機嫌取りをしている最中です。どうも、最近俺の業務量おかしくね?どれか減らしてもええんちゃう?と思っている店長です。仕事増えるたび給料の額面がどんどん上がってるよ!これ以上稼いでるのって真面目に上位のトレーナーくらいではないだろうか。貯金が増える増える。

 

 「で、お知らせって?」

 

 「う、うむ!朗報!なんとこのたび、トレセン学園内にテレビカメラを入れることにしたのだ!」

 

 「そりゃまた思い切ったことしましたね。ちなみに理由は?」

 

 「ほら、マスター君がテレビに出演したことがあったであろう?あれが予想外に大うけしたのだ!だからトレセン学園ももう少しメディアに対してオープンにするべきだというのが最近の議題に上がって、これがその一歩!なのだ!」

 

 「あー、あれですか。で、それが俺に何の関係が?」

 

 「う、うむ。ここからが本題なのだが・・・当日のトレセン側の案内人として出演を・・・」

 

 「却下。沖野とおハナさんにでもやってもらえばいいでしょ」

 

 まーたおれか。いい加減俺じゃなくてもよくないその話題?芸能人じゃないっつーの俺は・・・最近ちょっと自信なくなってきたけど。主にウマチューブのせいで。あとさっき話題出したけど沖野!ツケをいい加減払え。スピカのために金を使ってるから見逃してるけど俺じゃなかったら警察に追われてるぞお前。おハナさんが申し訳なさそうに俺に「彼ツケてばっかりでしょう?私が代わりに払うから・・・いくらかしら?」とか言ったんだぞ!相当だぞお前!丁重に断ったけど!確かにお前が夜来るときはおハナさんと一緒だから把握してるの知ってるけど!後それ聞いてゴルシの耳が垂れたからどうなっても知らんぞ俺は。

 

 で、恨み節はこの辺にして・・・テレビ、テレビねえ・・・この前のは俺から出たいつったからあれだけどさぁ・・・俺の本職は喫茶店のマスター兼カウンセラーであって他は全部副業なんだよ。全く誰が俺を推薦したのやら・・・

 

 「ちなみに君を一番推していたのは生徒会長だ。私はたづなに任せようと思ってたのだがな」

 

 「るぅなぁ・・・」

 

 ルナ・・・お前・・・どうしよう。強硬に断ることもできるんだけどそれをすると・・・浮かぶ!浮かぶぞ!悲しそうな顔で「そうか・・・いや、兄さんが嫌ならしょうがない。無理を言ってすまなかった」と言うルナの姿が!ダメだ!ルナにそんな顔をさせるのは良心と兄心に致命的なダメージを負う。かくなる上は・・・

 

 「ぐ・・・やります。ええ、やってやりましょうとも!」

 

 「言質!よくぞ言ってくれた!ちなみにトレーナーは練習のコーチングがあるので最初から除外だ!当日を楽しみにしてるように!」

 

 「当日・・・ってこの日俺の休みじゃねえか!理事長、覚悟はできてますね・・・?」

 

 「いや・・・その・・・営業に差しさわりがな、にゃああああああああ!?」

 

 日取りを見た俺は自信満々のどや顔理事長に身長縮小の刑をくれてやって、やけ酒のごとくカクテルを一気飲みするのだった。

 

 

 

 というわけで俺の貴重な貴重な休日を丸々潰して行われる取材の日。しかも特番扱い。番組タイトルは「あの仕事ってどうなの?特別編!トレセン学園裏話!」というらしい。番組自体はいろんな仕事の裏側を取材する不定期放送の番組に理事長が乗っかる形だ。リポーターと案内役の俺一人、後は取材陣。あと後方でたづなさんがニッコニコしてる。こわい、下手なこと言ったら後で怒られそう。あと俺が選ばれた理由はルナと他ウマ娘の推薦もあるんだけど「大体のウマ娘が俺の前だと大人しい」かららしい。つまり、ストッパー役である。トレセン学園の見せたくない部分(タキオンの実験室、蹄鉄の被り物の不審者、光り輝く人間のようなもの、何するか分からない黄金船など)を何とかして食い止めてほしいとか。んな無茶な。まあ授業中だし何とかなるっしょ。

 

 基本的に記者や取材などはトレセンの中に入れないし、レース後のインタビュー等も専用の施設かレース場でやっちゃうのだ。トレセンがテレビカメラ入れまくるとウマ娘のストレスになるしプライバシーもあるから基本的にトレセン内は取材カメラ厳禁。それを今回試験的にオープンにしてみようっていう話。成功してウマ娘にプラスになりそうなら1年に3回くらいは入れてもいいかな?くらいのお試しとのこと。

 

 「はいっ!皆さんこんばんは!今回のリポーターを務めます潜入調査員の萩野です!そしてこちらが・・・」

 

 「どうも、協力者の和田です。よろしくお願いします」

 

 「よろしくお願いします和田さん。今回特別に普段どころかどんな時でも撮影NGのトレセン学園の中にカメラを入れてもいいとのことで、私としても大変楽しみです。それと、ウマチューブ毎日楽しませてもらってます」

 

 「光栄です。今回、理事長が是非とも一般の皆さんにレースをしているウマ娘の普段の姿を見てもらい、ウマ娘を身近に感じてもらいたいとの事で今回のお話に至りました。それと、今回はトレーナーの仕事についても紹介していきたく思います。俺はトレーナーじゃないですけどね」

 

 こちらが今回の相方の萩野さん。バリバリの新人男性アナウンサーだ。スーツがピシっと決まってるね。そんな感じでまずは・・・教室からかな?というわけでカメラを引き連れて移動、中に入るのは中等部の校舎だ。話は通ってるのでサクサクッと授業中の教室の扉を開ける。ここはスぺやグラス、エル、セイのクラス。教壇に立っているのはカノープスのトレーナーだ。

 

 俺が教室に入った瞬間みんなの耳が一斉にピクピク動いてこっちに向いた。ついで振り返ってくるやつもいるので曖昧に手を振ってやるとにんまり笑って前を向くやつやこっちを見てピースするやつもいるし、スぺのように急に緊張してあたふたしだすやつやセイのように我関せずに寝るのもいる。ま、普通のガッコだわな。

 

 「なるほど、普段は普通の学校の授業なんですね?」

 

 「ええ、この学園はあくまで中高一貫の学校です。卒業しても困らないよう、トレーニングだけではなく通常の中学高校と同レベルの授業を行っています。もちろんトレーニングの兼ね合いもあるので時間は短く、内容は濃くをモットーに授業をしていますね」

 

 「あの教壇に立っている方、もしかしてトレーナーさんですか?」

 

 「ええ、トレーナーの中には教員免許を取得している人もいますから、そういう人は教壇に立つこともあります。ちなみに彼はチーム・カノープスのトレーナーですね」

 

 「カノープスの!この前、ちょうどナイスネイチャが勝利したレースの実況をさせてもらったんです。なるほど彼が・・・それでは生徒へのインタビューをしてみようと思います」

 

 「ええ、インタビュー受けたいやついるー?」

 

 入ってきた時点で授業を中断するのは言ってあるので問題ない。今日のトレセンはテレビカメラ優先で回ってるからな!はいはいはい!と手を上げるウマ娘たち。うーん、誰にしようかなー?うん、じゃあ・・・エルがいいかな?元気だし、知名度もあるし。スぺはスピカのトレーニングの時でいいだろ。

 

 「じゃあ、エルー。こっち来い」

 

 「ブエノ!よろしくお願いしマァス!」

 

 「よろしくお願いします。それでは、まず自己紹介を・・・と言ってもバレバレですけどね。お願いします!」

 

 「上々、良好、怪鳥!エルコンドルパサーデェス!チーム・リギルのエースデスね!」

 

 「グラスが睨んでるぞー」

 

 「ピィッ!?エルは負けないデェス・・・」

 

 テレビカメラの前で調子のいいことを言ったエルをグラスがにっこりしながら見てる。目は全く笑ってないけど。あとでアームロックかけられそう。それから普通に普段の事とか、授業の事とかを聞かれたエルはすらすらと答えてさっくりとインタビューは終わった。最後に一言求められたエルは

 

 「世界最強!エルコンドルパサーをよろしくデェス!今度のレース、1番になるデスよ!」

 

 と同じレースに出るグラスとスぺ、セイにテレビカメラを使った宣戦布告をした。全員ぴくっと動きを止めてエルを見つめている。というかレースに出る前の圧というか覇気とでも言うべきものが4人から出てる。萩野さんがごくりと息をのみスタッフさんたちがたじろいだ。流石にまずいのでポンとエルの肩に手を置いて後ろでニコニコしてるたづなさんを指し、頷く。

 

 「で、デェス・・・」

 

 スぺたちもハッとして何時もの調子に戻った。いやごめんなさいね。この子たち、レースに関しては本気なんで。

 

 「間近で見るとすごいプレッシャーでしたね・・・流石は黄金世代です。G1ウマ娘の本気を垣間見れました」

 

 「そうですね。ウマ娘たちはアイドルではなく競技者ですから。ウイニングライブだけ見るっていう人も一回でいいからレースを見てほしいですね。それがこの子たちの本来の姿ですから」

 

 俺はそう締めくくってカノープスのトレーナーにひらりと手を振って教室を後にする。彼はいつもツインターボ相手によくしている困ったような苦笑を浮かべて俺にひらひらと手を振って授業に戻るのだった。

 

 そして現在休み時間、取材陣一行は行く先行く先で興味深そうにこちらを見るウマ娘や映りたがりさん、俺を見つけて突撃してくるやつなどを相手にインタビューを繰り返しながら移動をしていると、タッタッタ・・・と軽やかな声がして俺の背中にばふっ!と誰かが抱き着いた。うーん、こんなことしそうなやつと言えば・・・

 

 「ハウディ!マスターさん!こんにちはのハグデス!そっちのテレビの人もハウディデース!」

 

 「おおっと、タイキか。高等部からこっちに来たのかー?暇なやっちゃな」

 

 「むぅ、せっかく会いに来たのにマスターさんツレないデス!もっとむぎゅっとハグし返してくだサイ!」

 

 「カメラあるだろ。マイル王者が何してるんだか・・・おハナさんに叱られるぞー」

 

 「えへへ、勘弁デス」

 

 そう言ってタイキは俺にのしかかった状態から離れ、カメラに向かって両手でひらひらと手を振っている。萩野さんはタイキに向かってインタビューを開始。なんて言ったってタイキシャトルは人気ウマ娘の一角だ。特に雨の日の重バ場でのタイキは誰も追いつけないと言っていい。力強い踏み込みで雨を置き去りにするほど加速していくタイキシャトルのレースに一目ぼれしたというファンは多いだろう。あと何と言ってもその性格、人懐っこくて物怖じしない。誰にでも笑顔で距離を感じさせない性格も人気の秘訣かもな?

 

 どこから人気ウマ娘が飛び出してくるかわからないトレセン学園はテレビの人たちにとっては取れ高の宝庫でありびっくり箱だろう。俺はもう慣れに慣れたけど一般のウマ娘にかかわりのない人は困るだろうなあ。ウマ娘ってみんな美人さんだから曲がり角曲がったら美少女、階段降りたら美少女、ドア開けたら美少女、今そこで「バクシンバクシンバクシーン!」・・・バクシンする委員長もいるし。廊下は走るなバクシン委員長。多分タキオンを追ってるんだろうけど。

 

 「撮れた?」「速すぎ」というやり取りをしてるカメラさんたち。やはりバクシンは撮れなかったか・・・タイキと別れて次に案内したのは、図書室だ。静かなここで読書や調べものをすることが好きなウマ娘もいる。例えばそうだな・・・おっやっぱりいたいた。

 

 「ここが図書館ですね。研究用のビデオルームも併設されています。娯楽としては勿論、レースに関する資料や研究をするにはうってつけの場所ですね。今もほら、そこかしこで読書に励んでいる子もいます」

 

 「なるほど、レースの研究というとフォームとかですか?」

 

 「それもそうですけど、自分に合った脚質とか、作戦、距離、ウマ娘のレースに関するものならあらゆるデータが閲覧できます。まあそれ目的じゃない子もいますけどね」

 

 俺はそう言ってスタスタと目的のウマ娘に近寄って肩をポンッと叩いた。すると彼女は本から顔をあげて素っ頓狂な声をあげる

 

 「・・・ひゃっ!?ま、マスターさんですか・・・驚きました・・・カメラ?・・・?・・・あっ!テレビの・・・」

 

 「ようノロ。お楽しみ中のとこ悪いね。せっかくだしインタビュー受けてみ?デビュー後のためだと思ってさ」

 

 「その、私でよければ・・・」

 

 「よろしくお願いします。それではまず名前からどうぞ!」

 

 「ぜ、ゼンノロブロイ、です。この場所にはよく、読書に来てます。まだデビューしてないですけど、よろしくお願いします」

 

 ゼンノロブロイ、読書、特に英雄譚を読むのが好きな黒鹿毛の髪を三つ編みでまとめた大きなメガネが特徴のウマ娘。この前ようやっとトレーナーがついてデビューに向けて調整中のウマ娘だ。デビュー前のウマ娘を先んじてインタビューするなんてことはめったにどころか皆無だろうからこれもこれでいいんじゃないかな?俺はたどたどしくも意外にしっかりインタビューを受けるノロを見て、デビューしてもうまくやっていけそうだという感想を抱いた。ちらりとたづなさんの方を見ると彼女もそう思ったらしくぐっとサムズアップをしてくれた。俺も笑顔で答えながら次の予定に頭を巡らせるのだった。

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