流行らない居酒屋の話【本編完】オマケ中   作:ノイラーテム

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オマケ4

 夏祭りに向けてちょっとした準備を始める。

 シャッター商店街の中でも、まだ店の開いている駅前中心で屋台を開くからだ。もちろん来てもらった的屋・地元店が優先なので、健の店はハズレの方になる。

 

「で今のところ漫画肉の具合はどうよ?」

「まずは煮込みで味を固定して形状を試している所だな。前も言ったが肉を巻く方が難航してる」

 原作によっても変わるのだが、漫画肉にはある程度の種類と応用がある。

 食べれば歯形が残るようなタイプはミンチで成型できるので楽だ。健はこれを鶏肉で成型し、片手で食べる物を完成させていた。こちらは色合いも単一なことが多いので、煮込みで味付けすればよいだろうとの見込みである。

 

 一方で他の種類の漫画肉、たとえば年輪の様な輪があり、食べれば筋繊維が付いてくるタイプ。

 こちらは肉巻きで作っている最中なのだが、いまいちノリが良くない。スライスした肉を巻き付けても食べれば解け易いし、肉を食べている感がいまいち薄いのだ。

 

「別にこんなもんで良いと思うけどな。漫画肉はロマンだろ?」

「そうなんだが……。今のままだとハンバーグや角煮でも食った方が美味いだろ? 片手で食う方は見た目からして鶏肉だから鶏肉ハンバーグでも良いんだが」

 そう言いながら健は溜息を吐いて用意しておいた二つの試作品を取り出した。

 それを豊には試食させず、以前からの試作品の方を食べさせた。確かに漫画肉を食べているようには思えない。となると興味があるのは、用意された新しい試作品の方だ。

「遠目でいいならこんなもんなんだろうけど、祭りは見たままだからな。……味を気にしないならこっちの外見は問題ない」

「お? 生焼けがある? 豚じゃないにしても……大丈夫か?」

 もう一つの試作品を頬張って見せると、今度は漫画肉にカブリついている雰囲気が感じられた。

 ただし中は焼けてないように見える上に、健が試食させなかったのだ味にも問題があるのだろう。ローストビーフくらいの焼き加減にしているとは思うのだが……。

 

「簡単に作るために煮込んでるから生じゃないよ。これは色を付けて強引に問題を解決したんだ」

「なるほど、赤いソースを作って煮凝りみたいに混ぜ込んだわけだな」

 山賊焼きで女焼きと呼んでいる手法を使い、一度煮込んでから表面を焼いているという。

 中からしたたり落ちているのは着色したソースであり、最初の状態では肉を固めておく効果もあるのだろう。

「冷たいままハムだと思って食べるならこれで問題ない。問題はこっちだな。煮凝りだから温めると……この通りだ」

 もう片方を渡されたので食べてみるが、断面を間近で見ると確かに歪だ。

「んー。なんだか不格好だな。隙間が空く分だけ少し問題があるか。まあスライスを巻いてるだけよりマシじゃあるが」

「後はもう温めても粘着性のあるモノを繋ぎに使うしかないな。下手をするとチーズ味の肉に成ってしまうのが難点だが」

 解決方法は幾つかあるのだが、それぞれに欠点があるのがもどかしい。

 

 そんな二人に美琴が声を掛けて来た。

 これまで黙っていたのだが、口を挟む気になったようだ。

 

「なら冷たい方で良いじゃない。氷を並べてマンモスの肉のローストビーフってイメージで売れば良いでしょ。あれは冷製で食べることもあるんだし。その上で温める方の研究続けたら? 冷製の方は納涼フェアにも出せるでしょ」

「そいつは名案だ! 焼きたてというイメージじゃなくて、保存食にしちまうのか!」

「……確かにその手しかないな。俺は暖かい方のソースを考えてみるよ」

 普段は味付けで二種類を用意しているが、温製・冷製で別ければいい。

 それなら簡単だという美琴に対し、アイデアマンである豊は納得したようだ。一方で健は一度試して失敗したのか、肉の味のするチーズソースを試すことに成った。

 

「ひとまず肉の方はこんなもんだろ? 菓子はどうなってる?」

「俺の方は一通り回って来たから集められた。ポン菓子の味付けは、砂糖か水飴くらいしか思いつかなかったがな」

「こっちはカットフルーツのゼリー寄せね。納涼フェア様に用意したの使えるから」

 菓子類は安定して人を呼ぶことができる。

 ポン菓子に至ってはそのまま町内会のスペースにも置いて良いとの事だ。ゼリー寄せはそのままパインやオレンジをカットして、ゼリーで閉じ込めた一品である。こちらは冷たさとのど越し重視で、暑い夏の夜にはピッタリだろう。

「……でやっぱり梅酒を使うのは駄目? 何なら梅だけでも」

「ダメダメ。味の深みは足りないしいぜ。納涼フェアで試飲用で販売するとしても、来年に向けた発注用ってとこかな」

 この間、豊が試飲した梅酒はやはり微妙であった。

 六月頭に余った酒に漬け込んだばかりだ。七月末の夏祭りに間に合うはずがない。一週間後の八月頭であっても怪しい所だろう。

 

「そっかー。フルーツが一品足せると思ったんだけどな」

「そんなに欲しいならクエン酸を使った梅ジュースのならどうよ? あれならどっかで売ってるだろ」

「最悪、通販でも売ってるとは思うが……。道の駅で良ければ探してみるよ」

 美琴は夏祭りには改訂版が間に合わないだろうことを悟った。

 おそらくは納涼フェアに完成品を出すだろうなと思って、溜息を吐いたのである。




 という訳で次回作が固まらないのと、漫画肉に付いて思いついたので出してみました。
ネットのレシピにある漫画肉ではなく、冷製の料理として完成させる感じですね。
赤い出汁で煮凝りを作ってそれで肉を固める感じ。
ギャートルズ辺りで雪に埋めて保存しているマンモス肉のイメージになります。
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