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消去法で行くと全ての回答が埋まっている事もある。
大量に米が余り、しかも屑米が多いとなればフェアで消費するしかない。そして屑米となれば加工しなければまるで美味しくはない。
「クオパー。それしかないのは判ってるんだが……」
「なんだそりゃ? 中華っぽい響きだけどよ」
健は電子釜の底を指さした。
「中華風おこげのことだよ。ゆるめに炊いてから焼くので、ゆるめに焚かねば屑米が砕けるという今回の条件に合致する。具だくさんのアンを掛けて食べるから秋の味覚でまとめればいい」
「ああ! そういえば何処かで聞いたような気がしたんだよな!」
実際にやってみようと水を多めにして米を炊き、実験用に電子レンジで少量を用意する。
これを四角く加工すれば(あくまで実験用なので二枚か三枚という所だが)、中華屋でよく見る中華風アン掛けだ。
試作の為に用意している材料の中から、アヒージョ用に準備したキノコや魚介類を取り上げた。
四角く成型したライスを鍋でジックリと焼き上げながらアンも作っていく。そのアンを三つの片手鍋を使いキノコ・海鮮・混合の三つ用意してみた。
「おっ。これならいけるんじゃね? 炊き込みご飯より軽いし、何よりアンを後から用意するから味を変えられるから無駄もねえぜ」
「まあそうなんだがな」
豊の反応は良かったが健の方は難しい顔をしたままだ。
そもそもポン菓子の様な加工が必要だと思い、そこに炊き込みご飯やリゾットのイメージを加えた。
この段階で中華風おこげに思い至りはしたのだ。そもそも中華風リゾットと言っても良い物である。消去法的にはこれが一番の回答例だと判ってはいるのだ。
「何が問題なんだよ?」
「居酒屋っぽくないのは、まあ炊き飯やリゾットの段階で既にしてるからまあいいんだ。問題はこいつの音と匂いからして、イメージを全部持って行きかねないぞ。こいつを主題にするしかなくなる」
中華風おこげはアンを掛けた時、猛烈な音とむせかえるような香りがする。
本職がやるわけではないのでバチバチという音は控えめかもしれないが、それだってあちこちで音がすれば気になる者もいるだろう。
そして重要なのはこの居酒屋が狭い事である。
カウンター六席に小さめのテーブル一つ。子供の遊び場なり荷物置き場として封鎖している小上りを使うとしても、それほど広い訳でもない。
「今からでも中華風おこげフェア……。いや、秋のおこげフェアにでもしちまうか?」
「どうにもならなかったらそうするしかないな。そうなるとその手の料理が好かない人向きに色々考える必要も出て来るが」
中華風おこげは中華丼や中華風リゾットへの変化も含めれば、人気の高い料理であるともいえる。しかしながら誰もが好きな料理とは限らない。普通に肉へかじりつく事が好きな者も居れば、麺を啜ったり、肴で酒を呑むだけの方が好きな者も居る。このままいくと、おこげを勧めるのは仕方がないだろう。
ならば他の料理を好きな物にも、楽しめるような食べ方を用意しておきたいのだ。
「この際、アヒージョとか他の料理にも合うような改良をしてみるか。おこげの方を弄るか、それともアヒージョとかの方を弄るか判らんが」
「まあ頑張ってくれや。その辺の細部調整はお前さんの仕事だしな」
判り易い例としては、おこげその物に味を付けることだ。
そのまま食べても良いし、チョリソやコロッケを上に載せて食べても良い。そこからアヒージョに漬けたり、できるならばフランスパンをスライスするバケットの様に提供することも可能だろう。
ただその場合は白米を焚くだけと違って微妙な調整が必要になる。
塩を入れるとか醤油を塗るなりした後で、それがアヒージョや山賊焼きの味を損ねないようにしなければならない。仮に味の調整をしないのであれば、強烈な個性を持つ居酒屋の料理と合うような方法を考えなければならないだろう。
色々考えた揚げく、健が選択したのはスナック状に薄くした物と厚い物を分ける事だ。
煎餅ほど密度を持たせず、薄い場所はそのまま食べ易いカリカリとした触感になる。薄い分だけ味が載り易いし腹にたまり難いのが特徴だ。逆にガッツリとおこげをリゾットにして食べたい場合は、厚い方を要求すればいい。もちろん熱い分だけモッチリしているし、焼いてある分だけ最初はカリカリとしており、アンをかけたらゆっくりと触感が変わってくことになる。
そしてもう一つ。客が要求するならば皿のようにして重ね、他の食材を上に載せれるようにしたのだ。割って食べても良いし、チョリソや山賊焼きの肉汁やタレが染み込むまで待っても良いだろう。西洋ではパンを皿のように使ったという故事に習った物であった。
すっかりバレていますがお米の使い道は、おこげになります。
その厚さを変えて微妙に味付けし、そのままスナックにしたり、何かに入れたり
あるいは汁物に漬けて食べることも可能。