ゼルダの伝説:リフトツリーフォーク   作:滝翔

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序章 世界樹に巣くうハイラル王国
一話 イナ村


豊作の時期により 屋根伝いに広がる稲穂がどの民家にも干されていた

小川で洗濯する小太りの女性が上を見上げればリト族が飛び交い

ここら一帯で一番標高が高い崖の上で羽休めをすれば お家がお米に守られる【イナ(ムラ)】が広がっていた

 

「〝リンク〟…… 起きて……!!」

 

「……」

 

「早くしないとリト族達におにぎり全部食べられちゃうわよ! ……いい加減起きろい!!」

 

「……ンア!!」

 

敷き布団ごと二階の窓に放り出され すぐ隣の田んぼへ頭から泥に突っ込んだ少年は再度二度寝する

階段を駆け下りて沼から少年を収穫する少女はヤレヤレと思わんばかりに首を横に振っていた

 

「今日から私達は大人なのに…… あなたはいつまで経ってもグータラの子供……

まるで迷いの森のスタルキッド…… って私達の乳母様から聞かされた怖い話の主人公みたいね」

 

髪に付いた泥をタオルで拭き取る少女はリンクを連れて 広場へと駆けていく

 

「そろそろ〝ハイラル豊穣祭〟が始まる頃だから急がないと そしたら今夜は試練に挑むんだからね」

 

綺麗に組まれた薪を囲んで既に祭は開催され

イナ村の住人とリト族が山のように焚かれた新米を丸めて二人を待っていた

 

「やっと来たかいカユ!! さぁ! さっさとお上がりよ」

 

人々は輪になって自然の恵みを大いに堪能した

リンクはというとリトが狩った鶏肉だけに手を付けていてカユから説教をくらっている

やり取りが日常になってきており 二人の間にイベントが生じるだけで笑いが起きていた

 

「こりゃぁリンクのお嫁さんは決まりだね」

 

「いやですわおば様~~ こんな甲斐性無しよりも【第一層】の神族〝ハイラル王家〟の伴侶を目指しますわ」

 

「おやおや理想が高いね~~ こりゃぁイナ村の出世も遠い話じゃないね~~!! アッハハハハ!!!!」

 

カユが天を仰いでいるそばでリンクは黙々とご飯を食べていた あまり気にも留めない様子

お日様が大地の下に降る頃 イナ村近くの洞窟にて松明がくべられ 試練の準備が整えられていた

 

「おほん……」

 

イナ村の長老であるハイリア人とリト族の混血種(ハーフ)モモヒキは

今回参加するそれぞれ二人に剣とナイフを 二羽には弓を持たせた

 

「【世界樹第二層西方地区イナ村】に住むハイリア人は14歳 リトは上手に空を飛べる年頃を境に

大人の仲間入りになる為の試練を受けてもらうモジャ」

 

洞窟の入り口に立たされた四人の子供達

リンクにカユ そしてリト族からはナゴとコーチンという若鳥達が

 

「なんだリンク…… お前が大人になるのかぁ??」

 

「…………」

 

「大人ってのはなぁ…… もっとこうハキハキしゃべるんもんなんだぜ!!

お前みたいな無口で食べるしか能がねぇような奴がなるもんじゃねぇんだよ」

 

ムッっと(しか)めっ面で睨み返すリンクの目先にはナゴがすかした顔で見下していた

いがみ合う二人の喧嘩を止めるのはいつでもナゴの双子の妹コーチンだ

 

「止めてよ二人共~~!! お兄ちゃん大人げないよ!!」

 

「フン……!!」

 

「ゴメンねリンク…… こんな時にまでお兄ちゃんは場所を選ばないんだから……」

 

まだ幼い片翼でリンクの頭を撫でるコーチンは彼の身を心配していた

 

「コーチンは優しいよねぇ 兄貴とは大違い」

 

「余計な一言だカユ 俺はリトの戦士になって妹は宿屋に必要な羽毛のアパレル職人になる

お前も農家の一員としてそれぞれ旅立つが…… リンクはどうだい??」

 

「リンクだって自覚を持たせれば立派に成人するわよ」

 

「甘いな…… お前の稼ぎをアテにして食いつなぐ駄目夫が目に見えているさ」

 

「大丈夫よ!! 私はコーチンほど優しくないから!!」

 

 

「これこれ若人達よ 大人意識は結構なモンジャが~ 儀式はまだ始まりを迎えたばかりじゃぞ」

 

 

全員が洞窟のスタート位置に立ち 合図の音爆弾を心待ちにする

 

 

「知ってるかコーチン ここから先は【メドーの洞窟】

〝古の英傑〟の相棒の住処として中にはデッカい卵が置かれた巣があるって噂なんだぜ」

 

「でも見た人はいないんだよね…… 脅かさないでよナゴお兄ちゃん」

 

 

「これより始まるは巣立ちの儀でモンジャ!!

四名が村の一人前の仲間入りを祝す為に これから洞窟内にて精霊石〝リトのヒスイ〟を手に入れてくるモンジャ!!」

 

 

絶壁の天辺にて 弓矢を上空に構えるリトが射ると同時に

響き渡る轟音と共に四人は洞窟へと入っていく

 

 

「さぁ行こうリンク!」

 

 

「……うん!」

 

 

子供でいられる後僅かの時間を振り返りながら

それぞれは自分の意思により 岩窟の暗闇へと足を踏み入れた

 

 

 

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