ゼルダの伝説:リフトツリーフォーク   作:滝翔

11 / 40
十一話 カユを救え

 

郊外の牧場から城下町へ入るのに然程の距離は無い

森を抜けて平原を駆け抜けるリンクとナゴとウルボザは一直線に城へと向かっていた

 

「それで?! 詳しい話とやらは?!」

 

「俺がここに来るまでの話だ!!

ゲルド公家の屋敷を抜け出す昨日の時点では 既に屋敷内部で不自然な動きが見られたんだ!!

俺は床下の縁側を這いずって脱走していたから細かい話は聞こえて来なかったんだが!!

〝明日中庭に集まる子供の顔と名前をしっかり記録しておけ〟

って言ってたのは覚えている!!」

 

「チッ!! ……じゃぁあの時既にゲルドの人間に見られていたって訳か」

 

「指示はおそらく……!! ……って話にくいなぁ!! ちょっとは低空飛行で寄ってくれ!!」

 

空と陸で大分大声での会話に疲れたウルボザに嫌な顔で返すナゴ

ただでさえ走っている中 肺が持たないことを訴えられて渋々降下する

 

「指示はおそらくゼルダ姫だろう 王家と公家の混血種は厄介でなぁ!!

一枚岩で上手く行く筈のないと言われた表のハイラル王家と裏のゲルド公家を

王位継承権が認められ 側室子が王女に返り咲いた途端にあっさり掌握してしまいやがった」

 

「……お前もその類いで巻き込まれたのか?」

 

「俺は別件だって言っただろ 言ってしまえば俺は産まれた時から自由は無かったよ」

 

城下の家々の屋根を伝って進んでいると 城の方で妙に明るくなっている場所を目撃する

 

「あれはまさか……」

 

「火炙りが始まってるんじゃねぇのか? 急いだ方がいい」

 

走る速度を上げるリンク

先にある光景に恐怖を抱きながらも もっと耳に残る悍ましい悲鳴も辺りから聞こえてきた

 

「なんだこの悲鳴は……」

 

「殺されてるんだろーな 今日の昼間に集められたお前達と同じ子供達が」

 

「っ……!!!!?」

 

ナゴは翼に急ブレーキをかけるが その瞬間にリンクと目が合う

リンクも唇を噛み締めて血を流していたが 足を止めることはない

 

「っ……分かってるよ 分かってるよリンク!! カユが優先だ!!」

 

悲鳴が止むこともなく 所々では寝静まった筈の住人が外に出てきていた

暗い場所を選んで城壁の外側に到着する一行は ナゴの上昇気流にて一気に上まで飛び上がった

 

「っ…… カユ!!」

 

城の上から見下ろす見知った中庭では既に 磔にされているカユの姿が

意識があるようには遠目から見られないリンクとナゴの堪忍袋の緒は切れようとしている

 

「あいつらどういうつもりなんだ!!」

 

「っ……!!」

 

リンクはナゴの身体を離れて一人飛び降り 城壁の屋上にて足を着けた

勿論見張りの衛士に気付かれるが 持って来たピッチフォークを巧みに操り 次々と薙ぎ倒していく

ナゴは近くにウルボザを置いて援護に回った

 

その乱戦は広場の耳にも届き 勿論のこと高みの見物をしていたゼルダの耳にも入る

 

「邪魔立ては許さぬぞ…… 侵入して来たのはどこのどいつだ?」

 

「どうやら処刑される娘と同じ村の子供達のようです」

 

「ほぉ…… 都合が良いですね 全兵士に伝えよ 捕らえ次第殺して構わんとな」

 

そう命令を下してゼルダは謁見の間に向かう

 

「これを使うまでも無いが 少しは役に立ってもらわねば宝の持ち腐れというものよ

真に我が王国の家宝としてどれ程のものか 是非ともこの私の目を堪能させてみよ」

 

玉座の椅子の後ろに飾られた 正三角形の紋章が刻まれた錫杖を手にすると

鼻歌交じりに柄を床に叩きつけながら 広場へと歩いていく

 

一方でリンクは次々に襲い掛かる衛士を返り討ちにして斬り進み

上空からのナゴの援護射撃を上手く利用して なんとか広場への進撃を続けていた

 

「今だ!! 行けリンク!!」

 

下りられる場所を探し当てたリンクは一気に地に足を着けてカユの居る場所へ

ナゴは辺りの松明を全部矢で射貫き 城内は暗闇へと誘われる

 

「ハァハァ!!」

 

階段を駆け上がり 磔台の上に跳んだリンクは

カユに括られている紐を解くと 急いで飛び降りてカユに息があるか確かめた

 

「っ…… …………ホッ」

 

空を飛ぶナゴにカユの無事を知らせるリンク

ナゴも一安心して気を緩めたその時

 

「うぁぁあああああ!!」

 

突如として降り注ぐ雷をまともに食らい ナゴは城下の方へと落ちていった

 

「すぐに兵を送ってトドメを……」

 

「はっ!!」

 

城の中から出てきたのは先ほどの雷を放った張本人 ゼルダだった

 

「今すぐその娘を返して貰おうか?」

 

「……!」

 

王家の錫杖の先を向けられたリンクは カユをその場に寝かせて武器を構える

 

「それで私に勝てるとでもお思いか?」

 

錫杖に魔力を込めるゼルダは次の瞬間

雷鳴を唸らせながら相手を抉る斬撃を飛ばした

 

「うわぁぁぁぁ!!!!」

 

持っている武器は二つに裂かれ その斬撃はリンクの身体にいとも容易く届いてしまった

 

「さて…… 我が大願を果たす為 名誉な死を受け入れよ!!」

 

次の一撃を防げない そう悟ったリンクはカユに覆い被さる

放たれた雷は彼の目の前まで迫る瞬間

 

ドス黒い壁が一帯に敷かれ ゼルダの魔法は完全に防がれた

 

「大丈夫かい!? 姫を助けるナイト様!!」

 

「……うん!!」

 

気に食わなさそうに手にこびり付く邪悪な瘴気を振り払って登場したのはウルボザだった

 

「貴様は……」

 

「リンク達とは目的が違うだろうが…… アンタが殺したい奴の一人だよ」

 

「〝お前の存在〟は認めないと言ったであろう? ゲルドに産まれたのなら潔く身を朽ちてはどうだ?」

 

「やなこった!! ……せっかく自由を掴んだんだ 俺はこれから旅に出るぜ!!」

 

「なら殺すまでだ!!」

 

空は既に雷雲に包まれ 赤い月の影響で異様な雲色から迸る稲妻が

リンク達を巻き込んでウルボザの真上に降り注いだ

 

しかし土煙を払ってゼルダが見たものは 何も残らない焦げた中庭のみ

そこには先の攻撃でへし折ったピッチフォーク 彼女はただそれを見つめる

 

「フォークか……

錫杖(貴方)も少しはこのゴミを見習って 名にふさわしい武具に姿を変えたらどうだ?」

 

眉間にシワを寄せる彼女は空を舞い 逃げたであろうウルボザ達を追った

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。