現れたのは疲弊したデクレ その腕を掴んで飛んで来るのは三人の魔女だった
「ハァ~~…… 雄は不味いのなんの……
おやエミリー? 例のお客人かい?」
「はいメグお姉様!! これからはこの館のペットになります!!」
「躾け餌やりをちゃんとするんだよ?」
「はい!! 勿論です!!」
デクレをそこら辺に捨て置き
リンクの前には四色のローブで各々主張する四姉妹が揃った
一方で捨てられたデクレは 声を振り絞ってリンクに伝える
「ハァ…… ハァ……
ここの上階にクレシェン達は捕まっている
その悍ましさたるや…… 奴等はナイフで肌を抉るなり
同族の血を浴びるほど飲んでやがったんだ……」
「……!?」
リンクはデクレの体を見る
全身に刃物の傷跡があり その痛々しい様で生きているのが不思議なくらい
ふと誘拐されたゾーラ達の安否を聞くと
「幸なことに皆無事だ 魔女達の狙いはあくまで俺の妹
今まで誘拐した娘達は取り入れる血の質か量かの実験材料にされていたんだ
だから血が減ると死ぬんで 食事や睡眠はちゃんと与えていたんだとよ……」
意識を失うデクレは最後に突き刺さった槍を指差し
「奴等を倒してくれ…… リンク!!」
「……うん!!」
「あいつらは何年も前にこの地に落ちてきた
ゾーラを攫ったのもその時からだろう
だが血を飲めど 奴等が寿命を延ばす事などはない
ゾーラの歴史にそんな他種族が得する魔法の血など……
記されては…… いない……」
気を失うデクレに危害を加えぬよう隅に寝かせるリンクは
ホール中央に刺さるゾーラの槍を抜いて構える
「話は終わったのか? 其方はペットだから待ってやったんだぞ?
お礼の意を込めて 尻尾でも振ってみたらどうだ??」
「……」
リンクは槍先を 不快に感じさせるメグへ向けて突き出した
「妾達は育ちの良い公家の魔法使いじゃ……
その四人の魔女を相手に お前はどこまで遊んでくれるものかな?」
四色の炎が箒の穂先に灯させれた
同じ速度で周囲を回転する四姉妹は今 一つになろうとしている
メグ「さぁ行くよ皆!! 妾達の大願を 姉妹揃っていつまでも存命をかけて!!」
ジョオ「エイミーの未熟な部分はこの私が補うから任せな!!」
ベス「ジョオ姉さんだけカッコつけないでよね!! 私もサポートするよ!!」
エイミー「ジョオ姉さん! ベス姉さん!! ……私だっけ負けない!!」
「「「「 行くぞ!! セクシーダイナマイトアタック!!!! 」」」」
四つの炎が合体し
ファイアーダンスに使う様な二本の棒に炎が灯されて
それを握る巨大な美魔女がリンクの前に姿を現わした
「ンッフ~~ン♡」
「!!!?」
双生魔導師ツインローバの伝説に影響されて編み出した
四姉妹の新たな合体〝若草魔道士マーチローバ〟
容赦なく放たれる火球をリンクは避けると
広範囲に渡って床板を灼熱地獄へと変えた
攻撃は連続で襲い掛かり
火の玉の一つが目の前に迫るそのとき
不意に前に構えたミラーシールドはその火球を吸収した
「何……?!!」
「……」
これだと思ったリンクは立ち上がり
マーチローバの攻撃を次々と盾に吸収していく
しかし攻めに転じる事が出来ないのがもどかしい
そんな防御に専念していたとあるタイミングで
連続で同じ色の炎を吸収したミラーシールドは
溜めたエネルギーを暴発するかのように 相手の攻撃を倍にして返した
「な…… なんじゃと?!!」
それを浴びたマーチローバは火だるまになる
その隙を突き 地に着く敵の身体に向けてリンクは槍を刺した
「うぁぁぁぁあああああああ!!!!」
元々過ぎたる力だったのか
突き刺した箇所からは膨大な魔力が噴き出しており
風船やボンベが破裂する様に四人は四方に飛び散る
「あぁ…… 皆…… 大丈夫??」
「大丈夫だよ…… メグ姉さん……」
そんな下の子達を気遣う長女メグの前にはリンクが
「「 ………… 」」
リンクはクレシェン達がどの部屋にいるのか聞く
「……そこの階段を登って右手の一番奥の部屋よ」
「……」
「殺さないの?」
リンクは槍を背中に納める
そして自分も第一層から落ちてきたのだと伝えた
「っ…… そうだったの」
リンクの出した答えは 一緒に帰ろうだった
「其方を傷つけ 蔑んでいた妾達に手を差し伸べるのか……」
扉は開かれ 一部屋に全員押し込まれていたクレシェン達
そこには誘拐されたゾーラの娘と兵達もいた
「助けてくれてありがとう!!」
「君はゾーラ族にとって英雄だ!!」
互いに抱き合い 喜びを共有する面々
全てが終わったと思いきや
「メグお姉様ぁ!!?」
その場の全員が一階のホールに降りると
倒れていた長女メグの周りを漂う淡い瘴気が彼女を苦しめていた
「なんなのよこれ…… イヤ…… どっか行って!!」
「メグお姉様から離れなさい!!」
ジョオとベスがその瘴気を焼き払うが
まるで手応えが無く 追い払うのがやっと
邪悪を帯びたソレは 飾られている絵の中へと消える
それと同時に 今度は四姉妹から魔力が吸い取られて行く
「え…… なんで……」
ジョオは激しく取り乱した
搾り取られる量はその者の命まで際限なく
悶え苦しむ魔女達に リンク達は何が起きているのか理解が追いつかない
「……見て あの絵」
クレシェンが指差す エイミーの自画像がまたもや反転され
暗い深淵の風景画が露になる
その誰も居ないはずの絵に生まれる人型の魔物
〝 何万年振りだろうか…… 〟
自分の身長と同じ長さの杖を携えて
その絵から出てきたのは かつての黒い砂漠の王を彷彿させる原型
顔はスカルヘッドに包まれ 目の奥の暗闇から光る眼がリンクを睨む
〝 我…… かつての大魔王の影武者にて……
とある森の神殿に住み着いていた悪霊である……
あのお方の〝怨念〟はしかと受け取った 主の復活に協力しよう 〟
〝異次元悪霊ファントムガノン〟
古の強敵が リンク達の前に立ちはだかる