ファントムガノンの杖から放たれる光弾を
リンクは槍をバットの様に構えて打ち返す
その光の球をさらに杖で打ち返され クレシェン達を護る万古不易の攻防
敢えてゾーラや四姉妹の魔女達を狙う敵の攻撃を
移動して打ち返してやるのがやっとのリンク
応酬が続く中で好転を見出したい彼もそうだが
ファントムガノンにしても 変わらぬ状況に痺れを切らしていた
〝 この流れも懐かしいが…… 遊んでいる暇は無いのでな 〟
向かってくる光弾を誰もいない壁に弾き返すと
ファントムガノンは何処からともなく愛馬を出現させ
自分が生まれた絵の中へと走らせた
すると リンク達の周りには浮遊する複数の絵画が宙に展示される
「この絵の何処かから奴が来るぞ!!」
デクレの掛け声と共にその場の兵士達がリンクを取り巻いて壁を作った
「……!!?」
「恩人を守れ!! ここで何もしなかったらゾーラのヒレ折れだゾ!!!!」
「「「「「 オゥ!!!! 」」」」」
複数の目が全ての絵を警戒する
余所見禁物を意識して 警戒心を高めるが
敵は丁度 視線を外された場所より現れ
狙いはゾーラ達の中心にいるリンクの首だった
〝 お前は似ている…… 胸騒ぎが闇を落ち着かせてくれない 〟
杖先がリンクの眉間に迫る その時
「やっと見つけたぜ!!!! リンク!!!!」
天窓が破られ ファントムガノンのスカルヘッドにめり込む拳
その手にはガノンの怨霊と質が似ている強大な力が込められており
「……アハ!」
「中々見つけてくれねぇもんだからよ! こっちから探しに来てやったぜ!!」
結った赤い長髪を揺らして リンクのピンチを救ったのは
第一層から共に落ちてきたウルボザもといガノンドロフだった
「話は後だ…… こいつがファントムガノンか……
聞いた話じゃぁ 大昔の例の大魔王と姿が同じらしいな
当時の面影を拝んどくには 絶好のチャンスだぜリンク!!」
指の節を鳴らすガノンドロフ
そんな彼の名を呼び 前のめりに構えるリンクに敵は
〝 ガノンドロフ……? お前が……?? 〟
「その名前は嫌いなんだよ!! 俺が許した奴以外は二度と口にすんなよな!!」
〝 忌々しい余興だ…… 新たな王が産まれる兆候
あのお方を否定し…… 亡き者とする…… 強引にだ…… 〟
「うるせぇ!! 俺だって男としてゲルドに産まれるなんて思いもしなかったよ!!」
〝 口を閉じろ…… 生命力の片鱗を感じ取るだけでも悪寒が走る!! 〟
絵を飛び交い 場を錯乱する
再び背中を任せて周囲に神経を尖らす全員は
いつでも迎撃の準備が整えられていた
「見たところ…… ゾーラ達は傷を負っているが戦えるのか?!」
「そんな状態を英雄リンクに救って貰った
今はご恩を返すために全力で奮闘している!!」
自分達の頭上を支配しているファントムガノン
狙いはさっきので判る通りリンクだろう
ならば対応は集中する
〝 勇者などいなくなれ!! 我が王こそが唯一となるよう!! 〟
リンクの背後より現れた敵の杖からは特大の光弾が
それを予期したガノンドロフは リンクの肩を借りて飛び上がる
魔力を込めた蹴りで相手の杖を蹴り飛ばし
反対側から跳んだデクレの槍先がファントムガノンの背中を突き刺した
「今だリンク!!」
そう呼びかけるガノンドロフの肩を蹴って飛ぶリンクがトドメの一撃
地に落ちるファントムガノンの身体をゾーラの兵達が一斉に槍を突き刺した
〝 ウァァァァアアアアア!!!! 〟
ファントムガノンの体躯は塵と化し
穴が空いた天窓からの光に照らされて舞い
散り散りに消えていった
「終わったなぁ…… なんちゅう~…… ハードボイルドな再開だったぜ?」
「うん……」
「皆の者ぉ!!! 勝鬨を上げろぉ!!!!」
「「「「「 うぉぉぉおおおおおおお!!!! 」」」」」
槍を掲げて勝利を分かち合うゾーラ達
それを見ていたリンクとガノンドロフは互いを見て笑っていた
そんなリンクに抱きついて来たのは クレシェンだ
「ありがとうリンク……! 私達を助けてくれて!!」
周囲の者達全員が喜びの声を上げる中
リンクの目に止まったのは 四姉妹の姿だった
「お姉様方!! しっかりして下さい!!」
涙目のエミリーの悲壮の声を向ける先は
輪状の光を頭に乗せて 今にでも天に昇ろうとしている三人に
メグとジョオとベスの身体は透けていて
それは三人程ではなくとも エミリー自身もだった
「エミリー…… 手を出して」
「メグお姉様……」
手の平を見せるエミリーに
他の姉達はその手を握りしめ 残り僅かの魔力を注いだ
「何をしているんですか?! 離して下さい!!」
ジョオ「貴女は生きなさいエイミー……
せっかく私達には希望の光が見えたというのですから」
ベス「過去の恨みを忘れて 前に進みなさい……
貴女は末妹らしく 幼い頃の我が儘で自由だったあの時のままの……
可愛いエミリーで良いのよ」
メグ「辛い思いをさせて……
今までお姉ちゃん達のわがままに付き合ってくれてありがとうね……
エミリー……」
身体は宙を浮き 何処からともなく鳴り響く鐘の音が
三人を安らかに旅立たせようとしていた
「いや…… イヤァァ!! 独りにしないでぇ!!!!」
「貴女にはまだ未来がある 私達は最後まで公家のプライドを捨てられなかった
だからせめて エミリーには 笑って生きる貴女を遠くから見守っていたいの」
「……メグお姉様」
天窓から差す日の光は眩しく 天使の梯子に沿って三人は成仏して行った
残されたエミリーの蹲る背中を摩ったのはリンクだった
「大好きだったのに…… このままずっと一緒に居られるだけで良かったのに……」
「っ……」
リンクはこのとき 壁にぶち当たった
今までの事を経て来て 今に至る状況で 彼女に何て声を掛ければ良いのだろうと
寡黙の自分に 今のエミリーを慰める言葉が一言も出て来なかった