「おい見ろよリンク!!」
ガノンドロフの指差す先には
飾られてる背景画が崩れ落ちて その裏の壁には小さな穴が
そこから飛び出てきた リンクが探していたであろう精霊石が彼のもとに
「……!」
リンクは〝ゾーラのサファイア〟を手に入れた
石には小さく文字が刻まれている
……〝リンクと妾のエンゲージリング〟???
「何だよコレ…?? 売れば値打ちのある物??」
リンクは首を横に振り 大事に石を懐にしまった
一同は館を後にして 勿論エイミーも手を拘束される形で連れてかれる
紆余曲折してゾーラの里に戻ってきたリンク達
エイミーに対する処置は 長老の寛大な一言にて 条件付きで釈放
元老院の意見もあったが結局は彼女に逆らう事は出来なかった
「リンクの助けになって下さい」
「……分かりました」
エイミーも重い罰を受けずに安堵の表情
と思っていたが 彼女もまた 未だに姉達に起こった事に整理が追いついていない
それとは別に リンクとガノンドロフ そしてデクレ
ゾーラの王女クレシェンと若いゾーラ達を助けた功労を称えて
三人には綺麗な装飾を施された槍が一本ずつ贈呈された
一方でデクレは 受け取れる立場では無いと 槍を返して何処かへ姿を消してしまった
長老は溜息を吐くが不思議と優しい顔をしていた
人払いを済ます彼女は リンクとガノンドロフの三人とでの時間を作る
「デクレの態度は許してね ……あそこまで正義感が強いのは 私の弟の血筋だからかしらね」
「それより俺とリンクに何か用か?」
長老はニッコリと二人の顔をガン見している
余程 自分達を拝顔したいのだろうか
「時の勇者と時の支配者…… 不思議な組み合わせね」
「っ…… 俺の名前は別に……」
「フフッ…… 大丈夫 貴方からは温かいものを感じます
今回の件を含めて 私達ゾーラは貴方を味方と認識しますので」
「……ありがとう」
長老はリンクの手を借りる
ヨボヨボの両手で握られるリンクは不思議な気分だ
「全く違うけど…… なんだか懐かしい…… そう 遠い昔に……」
「……?」
「いいえ…… ありがとうリンク」
「……」
リンクはこれからの目的を話すと
「あの森は昔 私よりも古いゾーラ達が住んでいた縁の地
寄りつかない辺鄙な場所にその精霊石があったのなら
他の石も その土地に関係する場所にあるかもしれないわね」
「心当たりは無いのか?」
「ゾーラのサファイアも知らなかった私達には予想も……
ですが次の目的も無いのであれば 【デスマウンテン】に向かわれてみては??」
「デスマウンテンって…… 世界樹を取り巻いているあの山脈か?」
「えぇ! その山にはゴロン族が住んでいますので
その者達に聞けば 何か分かるかもしれません」
ガノンドロフはお礼を言うと 旅支度の為とリンクに伝え
一足先に宿屋へと駆けて行ってしまった
「……」
「まだ何か?」
リンクは長老に ゾーラのサファイアに刻まれた
自分の名前について聞いてみると
「……フフフッ!!」
「??」
「ゾーラの姫はいつの時代も勇者に恋をする そんな私も……」
「……」
「もしかしたらクレシェンも…… なんてね!」
口を手で覆って笑っている長老に リンクは呆気に取られていた
談笑は終わり 外に出る彼を待っていたのはクレシェンだ
「お礼言ってなかったからね! でも歓迎のされ方がすごかったでしょ?!
そこにゾーラの偉大さを知って欲しいな!!」
下流で水浴びをするクレシェンをただ見ているリンクに
「準備は出来た 上の様子も知りたい なるべく世界樹に近付こうぜ!!」
「……うん!!」
大きなリュックを一人で背負うガノンドロフに付いていこうとするリンクに
「えっ……?? もう出立??」
リンクはクレシェンに事情を説明すると
「そっか…… またいつでもこの里を頼ってね!!」
「うん!!」
そう言って別れる
二人が里の入り口に向かう姿を確認したクレシェンは
ニヤリと口角を上げて
「……ってそんなすぐに納得する訳ないでしょうに」
世界樹へは地図もコンパスもいらない ただ真っ直ぐに
深い森に入っても進路を見失わないのは大きな目印は 旅に不慣れな二人には有り難い
見慣れた例の館を素通りすると 思わぬ人物に遭遇する
「……待っていた」
デクレだった
自前の槍を地に置いて 不意に頭を下げられる
「一緒に連れてってくれ!!」
「……どうするよリンク?」
関係の無い者を危険な旅に同行させるのに躊躇うリンク
しかしモタモタしてれば また別の者達が迫って来る訳で
「いたいた!! 私達も連れてけぇ~~!!」
クレシェンとその後ろにモジモジしながら隠れているエミリー
「増えた…… あんたら遊びじゃねぇんだぞぉ??」
「解ってるわよ 厄災が復活するんでしょ?
里の皆には黙って来ちゃったけどさ また怨念が出て来れば戦力が必要だと思うけど?」
「ハァ…… どうすんだリンク?」
リンクは戦える同士が増える事には同意していた
敵が一国の戦力になるかもしれないと 想定すれば願ってもないとガノンドロフに言う
それにエミリー達には一緒に帰ろうと約束していた事も伝えて
「分かったよ…… お前の意見を尊重する」
戻ってきたガノンドロフに加え
デクレとクレシェン かつて敵だったエミリーを加えて一気に賑やかなパーティーに
そんな中でエミリーが口を開く
「リンク達は精霊石を集めているんだよね?
姉様から聞いたことがあるんだけど
石を三つ集めて とある神殿の扉の前で特殊な音色を奏でると
その扉が開かれて 強大な存在をも上回る〝退魔の剣〟が手に入るんだって」
「ふぅん…… あのゼルダ姫が厄災復活とか言ってるんだし
視野に入れといても悪い話じゃないな!」
「うん!!」
一行が次に向かうのはデスマウンテン
リンクの冒険が今 始まった