ゼルダの伝説:リフトツリーフォーク   作:滝翔

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二話 寝床にしていた怪物

整備されていない尖った岩山を軽快に跳んでいくカユ

そしてその後ろで躓いては横転するリンクをナゴが馬鹿にしながら先に進んでいた

 

「足手まといはゴメンだな~~ リンク~~」

 

「っ……!!」

 

 

「よく言うわよナゴ!! あんたは飛べるからこんな岩場は関係ないでしょうけど」

 

 

その言葉がグサッと刺さったのは同じく空を飛んでいたコーチンだった

 

「ゴメンナサイ…… 歩きます」

 

「いやっ!! 違うの!! こっちこそゴメンね!!」

 

話しながらでも岩という岩を跨いでは突き進むカユは軽やかな舞を披露しているかのようだ

それに比べてリンクは岩にしがみついて 常に安全確認しながら地道に先へと進んでいた

 

遠く離れた場所にて暖を取って休憩しようというカユの提案にナゴは渋々承諾する

コーチンはリンクを心配して前向きに賛成していた その証拠に懐からおにぎりとお茶を取り出して皆に配る

 

必要以上の休息を終えてやっとリンクが這い寄って来た

 

「君はホント鈍臭いよね~~ 一度親の顔を見てみたいよ!!」

 

「ちょっとナゴ!!」

 

「フン! ……わざと言ったまでさ」

 

「ホント良い性格してるわね」

 

カユがナゴに説教をしている傍ら コーチンがリンクを鶏モモに頭を乗せて羽毛で温めてあげていた

 

「おにぎりあるからね ……ゆっくりでいいからちゃんと噛んで食べて」

 

「コーチンはリンクに甘いんだよ!」

 

「人にもリトにも弱い部分がある リンクはちょっとその部分が目立ってるだけなんだよ」

 

「…………ハァ」

 

「お兄ちゃんの弱い部分は自分の物差しで人を測ろうという努力をしない所だね」

 

 

「ブフゥ!!!!」

 

 

カユが思わずお茶を吹き出す

それをぶっかけられたナゴは二重に腹が立って仕方無い

 

「あぁもう!! リンクがノロマじゃなかったらお茶がかかる事も無かった!!」

 

ナゴは弓を腰に携えて一人奥へと飛んでいってしまった

 

「そろそろ私達も向かいましょう 仮にもあいつに単独行動させられないし」

 

「でもリンクがまだ……」

 

「大丈夫大丈夫!!」

 

カユの右手がリンクの首を鷲掴みしたかと思えば前方へと思いっきり吹き飛ばす

 

「痛っっつう!!!!」

 

「はい元気!! アメを貰ったんだから鞭を与えないと」

 

 

「カユちゃんのパワープレイにはいつも驚かされるよ……」

 

 

ようやく再開した二人と一羽 しかしその足を引き留めるまでのナゴの叫び声が奥から聞こえてきた

 

 

「逃げろぉ!!」

 

 

何を見ればそんな形相になるのか ナゴの額は汗まみれで皆のもとまで加速を抑えることはない

するとナゴの背後にて(うごめ)く何本もの足が複雑な岩場を器用に歩いてくるではないか

 

「これが試練ってことは無いよね?!!」

 

「村に知らせた方が良いよ絶対……」

 

 

「キシャァァ……」

 

 

カユとコーチンが怯える目と鼻の先にはギョロッと見開く赤い一つ目が

ヨダレを垂らして腹を鳴らしていた

コッコ肌が立つような毛並みと今までに見たことの無い異形の姿

実はこの洞窟は儀式以外あまり人が立ち寄ることはない

そのせいか 少し前にとある怪物がここを住処にしていたのだった

 

近隣に住む者なら一目見れば震え上がる〝甲殻寄生獣ゴーマ〟

 

ナゴとコーチンが旋回しながら様子を窺っている

一方リンクとカユは赤目を光らせるゴーマの標的になっている

 

「カユ!! お前達の方が美味そうだってよ!!」

 

「イチゴを最後まで取っておく蟲ってこともあるでしょ?! 呑気に飛んでないで援護射撃してよ!!」

 

 

「この非常事態に争わないでよぉ!!」

 

 

壁も平気で歩くゴーマにナゴとコーチンもウカウカしていられない

ようやくリンクとカユにも体勢を立て直すチャンスが訪れて 二人は剣とナイフを抜いて構えた

 

「……ん??」

 

無我夢中で気づけなかったカユが足下を確認する

 

「ここ脆くなってる…… リンク!!」

 

リンクに知らせた時には既に遅く

壁を這っていたゴーマが足場を踏み外して落下する

 

「カユ!!」

 

空中から抵抗を無くす為に翼を畳み

一本の槍の如くナゴは急降下を試みる

 

「キシャァァァァ!!!!」

 

「……!!? 避けろコーチン!!!」

 

ナゴ目掛けて飛ばされたゴーマの糸玉が 回避したナゴの後ろを飛ぶコーチンへと被弾した

 

「うっ!!」

 

ダメージもそこそこ さらには翼に絡んだ粘着力のある糸が付着して飛べなくなってしまった

 

「コーチン!!」

 

ナゴはコーチンを背に乗せてこの場を離れる

リンクとカユはそのまま床下に落下して ゴーマはというと急にその場から動かなくなってしまっていた

何やら別の生き物がゴーマの胎内から出て来る音 その小さな産声は時を刻む毎に数を増していく

 

逃げて来た二羽はゴーマの姿が見えなくなったのを確認すると足を着け

咄嗟にナゴがコーチンの羽に付着した蜘蛛の巣を取り除き 弓矢の弦を予備の物に張り直す

 

「ナゴお兄ちゃんって見かけによらず器用だよね」

 

「親父の楽器作りによく付き合わされていたからな それより飛べるかコーチン?!

……いや最悪歩けるならこのまま村の皆に知らせに行ってくれ」

 

「嫌よ!! 私もリンクとカユちゃんを助けに行く!!」

 

「お前にもしもの事が遭ったら…… 俺はお袋になんて伝えればいいんだ!!!?」

 

「でも……」

 

ナゴはコーチンの肩を掴んで説得する

コーチンは暫く考えて言う事を聞いたが

 

「分かったよ…… でもお願い 必ずリンクも救ってあげて!!」

 

「……フン 馬鹿を言うじゃないか」

 

肩に掴みかかるコーチンの羽を振りほどき ナゴは弓矢を腰に差して空中へと羽ばたいた

 

 

「俺はリトの戦士だ どれだけいけ好かない奴でも 村の仲間を必ず助け出す漢さ!!」

 

 

そう言い残し 元来た道を引き返す

 

 

 

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