ゼルダの伝説:リフトツリーフォーク   作:滝翔

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十一話 ジャイハーラ

「フイギィィ!!!! フィギィィィィィ!!!!」

 

「……!?」

 

奇声を発するアキンドナッツはリンク達のもとに降りてきた

正気を保っておらず まるで何かの怨念に支配されているような禍々しさ

 

「水を差すんじゃねぇよ…… 何だてめぇは??」

 

〝ンピ…… ンピピピピピピピピ……!!!!

この語尾気に入りましたよ……

だけど私には似つかわしくありませんね……〟

 

声はアキンドナッツのものだが

話しているのは全くの別物だろうとリンクは察し

状況が掴めない中でも槍を構えた

連戦で疲弊しているのはリンクも含め

エイミーとガノンドロフにも疲れが見える

 

〝これは貴方達への試練です

私は憎きことにこの錫杖に封印されて自由が無いのです

何万年とそれはもう…… 猛烈に!!!!

強烈に!!!! 激烈に気分が悪かったよ!!!!〟

 

「何を言ってるか分かんないけど…… 相当ヤバいわよリンク!!」

 

アキンドナッツの背負う三つ叉の槍はおどろおどろしく輝きを放ち

その姿は怨霊が集まる特大サイズのポウ〝ジャイハーラ〟へと変貌を遂げた

 

〝試練に失敗しても全治百年くらいだから私は優しいよね?〟

 

「っ……」

 

身体中から溢れ出る汗は体力の限界を表している

必死に闘志を燃やすリンクの裾を掴んだのはダルイナだった

 

「僕も戦いたい……」

 

「何言ってんだ!! お前は寝てろ!!

俺達だけで倒してやる なぁリンク!?」

 

リンクはこちらを見てくれなかったが

それはダルイナを守るリンクの覚悟だった

ダルイナは嬉しかったが もう長く持たないと察した時

不意に口に出た言葉がリンクの行動に選択を与えた

 

「あぁ癒やされるコロ…… 仲間に看取って貰えて嬉しいコロ……」

 

「……」

 

リンクは懐より取り出したのは

カユに貰った妖精のオカリナだった

そして時計台で教えて貰った〝いやしの歌〟

彼はジャイハーラを前にしてそれを吹いて見せた

 

「リンク? ……何をしてるの?」

 

「おい正気かお前!!」

 

辺りは音色で包まれ 敵も味方もこの曲の虜となった

一番響いているのは怨霊の集まりであるジャイハーラと

もはや目を開けること叶わないダルイナ

 

 

リンクは今 ダルイナの記憶にいた

産まれて初めて投げ掛けられた言葉は

ダルタニアンの「可哀想に……」であった

周りのゴロンの様には遊べない軟弱な身体

常に岩を食べ続けなければならないのに日に日に食欲は減る一方

大人にはなれないのだと決めつけるには平常ではいられなかった

 

〝ダルイナ…… 相撲を取ろうゴロ〟

 

〝僕はそんなに動けないコロよ〟

 

 

〝ダルイナ!! 採掘を手伝ってみるゴロ?〟

 

〝死んでしまいます ……でもやってみたかったコロな〟

 

 

〝ダルイナ!!〟 〝ようダルイナ!! まだ生きてるゴロな!!〟

 

 

〝ダルイナ…… お前は私の自慢の息子だ〟

 

〝何故コロか?〟

 

〝理由など聞くな!

生まれて来てくれて…… それだけで嬉しいんだ私は〟

 

ーー親の愛を受けて当たり前 周りから気に掛けられて当たり前

そんな当たり前が奇跡だと気付くには 僕の足は僕に勉強をさせてくれなかったコロ

 

 

〝 理解したかったのに…… まだ分からないことだらけ……

自覚したいコロ! 自分がどれだけ愛されていたのかを! 〟

 

 

気が付けばリンク達は微動だにせず立ち止まっていた

音色の余韻は マグマの煮えたぎる音に負けて初めて正気に戻る

そして身体が自由に動かせるようになったリンク達の足下には

ゴロンの顔で形作られた一つの仮面が転がっていたのだ

 

「ダルイナ…… 良い奴だったよお前……」

 

「ありがとうダルイナ……」

 

 

「……」

 

 

リンクはその仮面を大事に拾う

彼は〝ゴロンの仮面〟を手に入れた

 

ジャイハーラは今の反動で分裂しており

辺りに15体のポウが散らばって慌てふためいていた

 

〝なんだこれは…… 忌々しい……〟

 

リンクは仮面を顔に被り 目の前の試練へと挑む

 

 

「んん……!! ウグゥゥゥ!!!!

ウワァァァァァアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

 

 

ゴロンの仮面

それはダルイナの魂が込められた呪いの仮面

夢と未練を残した彼の理想だった姿はそのまま反映され

勇ましい巨体に変身した〝ゴロンリンク〟が誕生した

 

彼はボールの様に丸まり

床にプレスすればその衝撃で辺りのポウ達を一掃する

再び一箇所に集合したジャイハーラの本体を

渾身のパンチでぶっ飛ばす破壊力は今までのリンクの力を持ってしても

桁外れの威力を誇っていた

 

ジャイハーラの姿が消えるのは試練に打ち勝った証拠

ゴロンのルビーがある台座の隣に倒れているアキンドナッツと

禍々しい邪気を失った三つ叉の槍はそのまま転がっており

ゴロンリンクはその大きな手で握り拳を掲げた

 

「俺達の新しい力だな…… ダルイナっつう頼もしい力だ」

 

「行こうリンク クレシェン達が待ってるよ」

 

 

「うん!!」

 

 

ゴロンリンクは仮面を剥がせば元の姿に戻る

炎の神殿を後にした一行はゴロンシティーへ

 

ダルイナの事もダルタニャンに告げる為 彼の家へ向かった

すると中には干からびているクレシェンとデクレが

 

「あぁ…… おかえり~~」

 

「何でお前らこんなところに?」

 

「帰りが遅かったから心配でさ……

でももう限界……」

 

覇気を感じさせない二人を見て三人は笑う

ただただおかしくて笑っていた

何かを察したのか ダルタニャンは世界樹の根元まで同行した

寄り道に赴いたのはデスマウンテン麓の

あまり灼熱の温度を感じさせない場所にある観光名所でもある源泉地

 

「「 温泉だぁ!!!! 」」

 

クレシェンとエイミーは年甲斐もなく大はしゃぎで湯にダイブ

やれやれといった感じのガノンドロフも服を脱いで浸かり

リンクやデクレ そしてダルタニャンも後に続く

混浴という概念を気にしない彼等はそれほど疲れが溜っていたのだろう

男女間と異種間を越えた裸の付き合いは しばらく静かな温泉の中で行われた

 

 

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