中腹を下っても僅かな熱気は健在
岩に服を被せて置けば あっという間に乾いてしまう
ハイリア人とゴロンとゾーラ
湯気に溶け込む極楽の一時は異種族の入浴談義へと発展していた
「ハイラル王国は移動距離が馬鹿にならないんだよなぁ
かと言って最寄りのコーガポリスは治安が悪いったらありゃしない
この前はちょっと目を離した隙に積荷を奪われてしまってなぁ……」
「色んな所に行ってるんだなぁダルタニャンのオッサンは……
てか気になってたんだけどよ 語尾にゴロって付けないよな?」
「商談はスマートが基本だからね 余計な訛りは取り払ってるのさ」
リンクを的にしてお湯を掛け合っているクレシェンとエイミーを余所に
ダルタニャンの興味溢れる話を聞いていたデクレとガノンドロフは
彼から注がれるデスマウンテン式の熱燗を頂いていた
「もっとビジネス全体が楽になれば ダルイナにも跡を継がせてやれたんだがな……」
「ダルイナは良い奴だったよ……
短い間だったけど 減らない口と同等にガッツがあって行動力もあった
神殿に住み着いていたヴァルバジアを倒したのもアイツなんだぜ?」
「……ありがとう 短命で無茶はさせないと
夕食の肴になる話もさせて上げられなかったから救いだよ」
先に女性二人が上がって岩陰で着替え
男衆も温泉を見納めに服を着ると
ダルタニャンからリンクに最後の頼みを乞われた
「そのゴロンの仮面とやらを付けてくれないか?」
「……うん」
リンクは仮面を被って再びゴロンリンクに
改めて見るその容姿 小柄なダルイナとは程遠かったが
「……これが お前の夢見ていた姿だったのか」
ダルタニャンはゴロンリンクを大きな両手で強く抱き締めた
涙が岩を伝う感触はゴロンリンクにも分かった
だけどその意味は聞くまでもないので 暫く身体を貸して上げる
「ゴメンなダルイナ…… もっと生きたかっただろうに」
「……」
不思議とゴロンリンクにも涙が流れていた
それは貰い泣きかダルイナの涙か 聞くのは野暮だった
世界樹の根元
リンク達は五人揃ってその場に到着
ダルイナという見えなくも頼もしい仲間を加えて
一行が目指すのは【第四層区域コーガポリス】
「通行手形を」
関所の門番に言われてさっそく立ち往生
クレシェンとデクレはこの事を知っていたのだが
ゾーラ族は世界樹の民との接点を控えていたので
長老に掛け合っても気軽に手に入れられなかったのだ
何せ今回はコソコソとリンクに付いて来たもんだから尚更だ
一方でガノンドロフとエイミーは門番を気絶させようと目論んでいたが
他三人に止められて失敗に終わる
そんなこんなやはりと言うべきか立ちはだかるのはダルタニャン
世界樹の全上層を行き来している彼にとってこんなのは朝飯前
「良し!! 通っていいぞ!!」
根元の空洞になっている場所の手前にはリフトガーディアン
リンクが初めて第二層から第一層に渡る際に使用した物と同じ型の奴だ
「それじゃぁダルタニャンさん!! お世話になりました!!」
「ダルイナにも外の世界をしっかり見せてくるぜ!!」
「あぁ…… よろしく頼むよ!!」
五人は手を振り
その手数を合わせてもより大きいダルタニャンの巨大な手が振り返してくれた
リフトガーディアンは特殊な動力で宙に浮き始め
古代シーカー族の技術力が魅せる世界樹内部の移動は異種族達を圧倒させた
「こんな速さを体験したのは久しぶりだねデクレ!!」
「あぁ……
世界が広がる感じはいつも最高だゾ!!」
樹の隙間から見える外の景色は何処までも広く
ゾーラの郷が見える頃には何とも言えぬ絶景が拝めた
「
「……!?」
突然のクレシェンのぼやきにリンクは首を傾げる
「急にこの雄大な景色に対して叫びたくなったの……」
「確かにな…… 第一層からもしくは地上からでもこれを見ることは不可能だ」
ガノンドロフは腕組みして同意の相槌を打っていた
しかし足は竦んでおり エイミーは口に手を当てて悪巧み
「もしかしてガノンドロフって高所恐怖症なの?」
「マジ?! じゃぁ一番端に押し出そうよ!!」
クレシェンとエイミーは悪役の顔でガノンドロフを引っ張る
面白いと思ったのかデクレも加担してガノンドロフとの力比べが始まった
それを遠くで見ているリンク
いつの間にか出来た仲間達を見て彼は何を思っているのか
そしてあっという間にリフトガーディアンは目的地にて停車した
陽光が差さないこの場所に幾つもの提灯が店の屋根の端にぶら下がっており
今まで誰もが見たことの無い異様な街の空気が淀んでいた
クレシェン「久々のスラム街…… 上等よ!!」
エイミー「うん…… そして待ち構えるのはシーカー族の根城」
デクレ「コーガポリスのコーガ三世といえば悪名高いことで有名だな」
ガノンドロフ「進路を邪魔するってんならぶっ飛ばすだけだ なぁリンク!!」
リンク「うん!!」
コーガポリスで一番大きなお屋敷
お城にも似た摩天楼を牛耳るは その天守閣の玉座に構える男
シーカー族のマークである涙を垂らしたお面を被るのは
「あぁ~~俺が!!? イーガ団の~~!! 総長!!
泣く子も黙らすコーガ様だぁ!!!!」
小太りで髷をイカしているコーガの踊りは
部下と遊女から絶大な拍手喝采を浴びていた
「してスッパよ!! 報告とはなんぞ?!」
「はい ゼルダ姫からの暗殺依頼です
近々ここを通るハイリア人とゲルドの男を組み合わせた一行を見かけ次第
有無を問わず八つ裂きにしろとの事です」
「ん~~…… ハイラル王家とは何万年も友好関係を築いて来たが……
よぉし!! 謀反を起こそう!!」
「主がそう言うならば……
しかしそれではこの街の生計に大きく支障が」
「よし取りやめぇぃ!! その二人組をぶっ殺し!!
王家に献上してご褒美のバナナを沢山搾取するぞぉ!!!!」
「「「「「 オォォォォ!!!! 」」」」」