小さくて可愛い丸いガラスに息を吹き掛けて膨らます職人の技を
マジマジと見ているリンクとクレシェンとエイミー
この街の店は工房を丸出しに見せてライブ販売をしているんだそうな
出来上がったガラス細工にはお香を添えてクレシェンの手元へと渡される
ガノンドロフとデクレの二人組は別行動で コーガポリスの情報を掻き集めていた
「おいくら?」
「1000ルピーだ」
「はぁ?!! 相変わらずのボッタクリ根性ね! この出来なら80ルピーよ! それでも色を付けたでしょ?!」
「はいはい…… じゃぁ80ルピーな!」
せっかく作品の出来は良いのに性根腐ってるので台無し
だがスラムに生きる人間が善人ぶったら世も末だ
「もっと活気が枯渇してると思ったけど 様々な職種が犇めく伏魔殿ってところね!」
「下請け先進の街と呼ばれてるからねここは……
嗜好もひっくるめて職に活かす直向きな努力が継続されてるから
並みのハイラル城下の職人より良い腕してるのよ…… 腹黒いけど」
林檎飴を舐めるエイミーの質問に
慣れた知識量で説明に隙が無いクレシェンはガラス細工を掲げて魅了されている
そこに映る半透明の物体よりさらに奥 この街の天井に浮き出る横断面
何重にも囲う輪状の線がコーガポリス全体の頭上を覆っていた
「世界樹の年輪だもんねぇ…… 普通の木とは迫力が段違いだねリンク……」
「うん……」
三人は多様性の集合体でもある店群に好奇心を抱きながらも
可能であればイーガ団の目に入る前に第三層へと向かいたい
なのであまり波風立たせた目立つ行動は控えているのだ
「戦闘になっても十中八九負けるわよね~~
なんたってイーガ団は昔から政よりも武闘派集団だもん
腕の立つリンクやガノンドロフやデクレがいたとしても数で押されてしまう」
チョコバナナを咥えながら先の行動を考えるエイミー
リンクとクレシェンも腕を組んで必死に考え抜いて閃いたのは
「やっぱり変装しかないんじゃ?」
「ベタだけどそれしかないわね さっさと上に登った方が賢いやり方だし」
「えっ? 変装したらまだまだ食べ歩き出来るでしょ?」
「えっ??」
事の重大さを理解していないクレシェンに頭を抱えるエイミー
「あのねぇ…… イーガ団と謂えばゲルド公家の〝懐刀〟なのよ?!
リンクとガノンドロフが上で何らかの関わりがあって下に落されたのなら
無論ここを牛耳るコーガにも何かしらの指令が降りても不思議じゃないわ……」
「だからフードを深く被ったりなんだりして露店巡り楽しみましょってことでしょ?」
「何故楽しむ?!」
「……んっ? 哲学の話??」
リンクを挟んで一悶着始める二人を遠目に監視している火の見櫓にて
「むっ!? あれはまさか人相書きの……」
突如として街中に鳴り響く角笛の音
先程クレシェンにガラス細工のお香を作ってくれた職人は一瞬にして全身タイツに早着替えし
それと似た一団があっという間にリンク達を囲う
「何なのこいつら!! 一体どこから……」
「今までの活気から一気に静寂になったのよ? 少しは察しなさい
店に誰一人いないのが事の真相を説明してくれてるわ」
「……じゃぁ店で働いてる人達って」
「入り口で既に対策を練るべきだったわね イーガ団の息が掛かっている街なのは知っていたけど
構成員自ら身近な生活に潜んでいるとは思わなかったわ……」
「そこの金髪碧眼の男児がリンクだな…… ガノンドロフはどっちだ?」
二人を後ろに槍を構えるリンク
しかし多勢に無勢 さすがのリンクも二人を守りながらの戦闘は厳しいと考える
そのとき遠くからも騒がしい声が ガノンドロフとデクレがこちらに向かって来ていた
「アイツらも絡まれてんなぁやっぱりよ!」
「物を尋ねただけで襲われるとはスラムは油断ならんな……」
そんな二人を目視できる範囲に入るやリンクは クレシェンとエイミーを片手ずつで担ぎ上げ
女性へのマナーなんのそのお構い無しにぶん投げたではないか
「「 ギャー---!!!! 」」
ガノンドロフとデクレが飛んできた二人を滑り込むように受け止めるが
いきなりの強行にクレシェンとエイミーの罵声が飛び交う
「受け止められなかったらどうするのよ馬鹿リンク!!」
「浮遊魔法掛けられるんだから一言入れなさいよ阿呆リンク!!」
そしてそんな不満の声も聞き入れることなく
リンクはイーガ団の一人の頭上を飛び
乳母に習った〝居合い〟と並ぶもう一つの奥義〝兜割り〟を食らわす
槍の柄の方で小突いたのでその勢いでさらに上に跳び 四人のもとに着地してみせた
周りからは不思議と拍手喝采
この余韻を利用して五人はそそくさとその場から逃げて行く
エミリー「馬鹿で助かったわ…… でもこれからどうしようか?」
デクレ「この分だと宿屋も安全かどうか分らないゾ?」
エミリー「クレシェンが楽しんでないでさっさと次の階層出口まで行ってればよかったのよ……」
クレシェン「そこに私の偉大さを感じて頂戴!!」
エミリー「……? 二人は収穫あったの??」
ガノンドロフ「まぁ襲われるのはどっちにしろって奴だ それより看板見てみろよ……」
死に物狂いで走って辿り着いた場所は【タルミナ】と書かれたカジノだった
「まずはここに入って対策を立てようぜ!」
「「「「 遊びたいだけだろ? 」」」」