ゼルダの伝説:リフトツリーフォーク   作:滝翔

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十六話 無眼

 

手裏剣の様な鍔で装飾された二刀の刀を携えるスッパは 正直言ってコーガよりも危険な臭いがした

開戦前から手に汗握る緊張が伝わり いつもなら威勢良く飛びかかるリンクが膠着状態を見せる

 

「どうした? こちらから行っても良いのだぞ?」

 

「っ……」

 

リンクはその場で数回飛び跳ねて地面と接着する足をホグす

そして槍を構え直し 横に移動しながら間合いを取り始める

対してスッパはまるで赤子をあやすつもりで付き合い 同じようにリンクと円を描く

 

「っ…… デヤァ!!」

 

槍を振り回すリンクの攻撃を敵はいとも簡単に躱す

けしてデタラメに振り回している訳ではない インパから槍術も教えて貰っていたリンクは焦る

そして幾度の隙を見せた後 辱めを受けるが如くスッパの自由なタイミングで槍ごと弾き飛ばされた

 

「リンク……!!」

 

「実力の差をご賞味頂けたか? ならば次は三人で全力で掛かってこい」

 

リンクはデクレの肩を借りて体勢を立て直す

そして次の瞬間 三人が一斉に襲い掛かる

 

「来い!!」

 

デクレの二本槍とスッパの二刀が火花を散らす

大振りで武器を振るうデクレには意図があった

その背後はスッパの死角 ガノンドロフが魔法で創る黒い鞭を生成し

前方より上下左右斜めの角度から八本の撓る攻撃がスッパを襲う

 

「デクレ!! 後ろに飛べ!!」

 

デクレはスッパと刃を合わせた時 渾身の力で彼の体躯を宙へと押し上げ後退する

 

「浮いた状態で回避は不可能 貰ったぜ!!」

 

「フッ…… さて…… 何で打ち消そうか……」

 

スッパは静かに目を閉じた それは面をしてるから故に二人には見えていない

 

ーー〝無眼〟

 

それはスッパの得意とするカウンターの構え

成功する条件は対象の速度と間合いを絶妙なタイミングで迎撃する諸刃の陣

加えてガノンドロフの魔法は八発の複雑な時間差で飛んでくる 否

スッパが観察するは魔法ではなく それの繰り手

相手の息遣いと微かな動作で容易に軌道を読んでみせた

 

魔法は直撃し 衝突からのエネルギーが飛散したとガノンドロフは確信していた

しかしその後に見たスッパの姿は無傷そのもの

目に見えない速さで己の身に何者も寄せ付けない斬撃の壁を生み出していたのだ

 

「さぁ次はどうする?」

 

「行けぇ!! リンク!!」

 

力量に圧倒的な差は勿論デクレ達も納得していた

だからこそ違和感のない全力 それが打ち破られて歪んだ表情をすればそれだけで作戦は成功

その結果が僅かに スッパの油断を誘ったのだ

ガノンドロフの黒い魔法が飛散した事は目くらましの役割をも果たす

その魔力をリンクの槍に集中させるまでがガノンドロフの仕事だったのだ

闇の力を纏ったリンク 狙うはスッパの背中

 

「デヤァァァァ!!!!」

 

ーー素晴らしい連携プレーだな…… 〝真剣勝負〟なら負けていたよ

 

一瞬の出来事 故に 起きている現実を理解出来ない三人

ガノンドロフとデクレから見て いつまでもリンクがスッパを攻撃していないのだ

まるでリンクだけの時間が止まっているかの様

 

「シーカー文明の遺産…… 秘密道具〝ビタロック〟」

 

「……何だよそれ」

 

その後は惨劇 二人の目の前でリンクはスッパの二刀に斬られてしまった

胴体から血が噴き出すリンクはその場に倒れ 痙攣が止むと同時に意識を失う

 

「っ…… 退却だガノンドロフ!! 体勢を立て直すゾラ!!」

 

「俺がアイツを担いで逃げる!!

数秒でいい!! デクレは奴を足止めしてくれ!!」

 

「分かったゾ!!」

 

非常事態故に簡易的だが迅速に作戦を立てて行動に移す二人だったが

深い溜息と共にリンクに近付けさせなかったのはスッパだ

 

「そういう作戦はな…… 相手を少しでも弱らせて初めて成功する確率が上がるのだ

俺が満身創痍に見えるなら貴様らの武の経験の程が知れる……」

 

「ウォオオオオオオ!!!!」

 

悟っている暇などないデクレは死に物狂いで立ち向かった

ガノンドロフも隙を窺うが スッパは出鱈目を言うほど程度が知れる敵でもない

結局何分経とうがリンクを救うタイミングは皆無 デクレもスッパの前に倒れてしまう

 

「ハァハァ……」

 

「さて…… あとはお前だけだぞガノンドロフ 口に出してみて改めて良い名だな」

 

「何だと?」

 

「知らなかったのか? イーガ団は古来より時の大魔王を崇拝してきた〝邪教徒集団〟だ

ここ数年で度重なる世界樹の異変は我らにとって吉報 だからこそお前の存在には興味があった」

 

「……ヘへ! なんだよ俺達の事を知っていたのかよ?」

 

(それがし)達は現体制のゼルダ姫に上納金を払ってこの街を牛耳っている

王族に牙を向く謀反人共が地上に突き落とされたとなれば 当然始末の命が下ってくるものだ」

 

「…………」

 

 

ーー会話で繋げちゃいるが この場を乗り切る手立てが見つからねぇ

一人だけ運んで逃げるにしても生存率がかなり下がるってのに 二人を助けなきゃならねぇんだよなぁ

だからってクレシェンやエイミーをここに呼ぶわけにはいかねぇし……

 

 

そうこうしてる内にもスッパの刃がリンクの喉元に当てられる

 

「恨むなよ 第四層の暮らしは惨めったらしいったらないんだ

コーガ様の野望は其を含めて多くの同胞を輝かしてくれた

地に足を着けて常に上を見上げる総長の姿は

突拍子もない言動でも付いて行きたくなるカリスマ性を帯びている

そんな組織のトップから殺せと言われれば 如何に子供でも動く手は軽い」

 

考えていることを悟られるのも仲間の命取りと解っているガノンドロフ

スッパから目を離さない彼は脳をフル回転させていた そして勝率など不明のある奥の手を出す

 

「ゼルダ姫が言っていたのは 本当に俺の抹殺か?」

 

「正確には貴様とこのリンクの二人だな」

 

「そりゃぁおかしいなぁ…… 厄災ガノンの生まれ変わりである俺を殺すってぇ??」

 

ハッタリをかましたのだった

しかしこれに関しては有り得ない話ではない 故に自分の存在に吐き気を催す一言でもある

 

 

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