放たれた光の矢は眼前スレスレでビタロックに掛けられ停止した
その間にリンクの身体を抱き上げて移動するはエイミー
彼もそこそこの肉付き故にエイミーの身体はミシミシ叫びながら遠くへと避難して
「おやおやおやおや……」
「フゥ……」
体勢を立て直すエイミーの顔は強張っていた
当然と言えば当然 目の前にいるのは自分達を奈落へ追放した張本人なのだから
「ゼルダ……?? 昔の名前を捨てたのかパトリシア」
「捨てた…… 久しいなぁ四姉妹公族の末妹よ」
「保留品で終わる筈の側室子の人間がどう上手いこと一国の姫君になれたのか興味あるな?」
「簡単だ 光妃の娘を殺したまでだよ バレないようにな」
「……ゲルド公家と並行して為政者になるつもりか?」
「そうだ…… 邪魔な当代のお前達を葬ったのも全ては国土に広がる全権力を我が手中に治める為
遙かなるハイラルの歴史に於いて成し得なかった完全統一の支配者に私がなるのだ」
エイミーは飛行するコーチンに指示を出す
リンクを連れて街まで戻れと しかし彼女は自分の心配をしてくれる
「さっさと運ぶんだコーチン!!」
奥からガノンドロフに肩を貸すクレシェンとエイミーの盾になるデクレが合流する
槍先を街の方へと向けたデクレの真意は ここは自分とエイミーに任せろという合図
「ちゃんと二人もこっちに戻ってきてよ?」
「任せろクレシェン!! エイミーの無傷は保証するゾ!!」
四人を外から中へ コーガポリスに避難させると
残ったデクレとエイミーが意気揚々と殿を務めた
「姉様達の悲願…… ここで晴らす!! 行くよデクレ!!」
「付き合ってやるゾ!!」
マグネキャッチで武器を集め出すエイミー
二本の槍を擦らせて火花を散らし 気合いを入れ直すデクレ
そんな両者を見て妖しい笑みを密かに溢すゼルダは余裕の表情だった
一方でコーガポリスに逃げ帰って来たリンク達
街の中心まで来れば近くの民家にお邪魔してリンクとガノンドロフの身体を床に降ろした
「住民はいないみたいね……」
「多分ここに住んでた人達も含めてイーガ団の人間なんだよ
今は私達やレジスタンスの人達を探し回っているのかもね」
「フゥ…… にしてもダラしないなぁ~~
男二人が女二人に抱きかかえられるとか幸せこの上ないわね
私とコーチンちゃんの偉大さに感謝しないさいよ?!」
「……クレシェンちゃんってカユちゃんみたいだね」
「カユちゃんって…… リンク達との話に出て来た子よね?」
「うん…… 私が憧れる勇敢な友達なの」
二人の回復を図って暫くクレシェンとコーチンはガールズトークを広げていた
「そのカユちゃんはリンクと同い年で 互いに支え合いながら一緒に暮らしているの……」
「ほほぉ…… それは付け入る隙がありませんなぁ~~」
「エッ?!!! ……あぁ~~ うん…… そうなんだよねぇ」
動揺するコーチンの可愛い仕草にご馳走様を言いたくなるクレシェン
しかし彼女もまた何かを想うのか 足を組んで爪先をモジモジさせ始めた
「リンクと折角逢えたのに散々な状況で申し訳ないね」
「何でクレシェンちゃんが謝るの?」
「一応ここまで一緒に同行してたからさ 治癒が私の専売特許なのに……
この街に来てから慌ただしくて快復が追いつかないったらなんの…… 実力不足を痛感しております」
「クレシェンちゃんのは十分すごい能力だよ…… 私は何処かで闘う必要を放棄してたから……」
「……んで?!!! リンクに告白しないの?!!!」
「うぅ~~……」
羽で顔を覆う様はまさに貝に閉じ籠もるそれ
弄り過ぎた所為で会話が途切れてしまったのを察するクレシェンは自語りに入った
「どれだけ好きでもね 〝血縁〟だったら結べる物も結べなくなるんだぁ……」
「えっ?」
「デクレの事」
「えっ…… えぇぇぇ!!!!!!!!」
「だって格好いいだんもん子供の頃から……
無償で私を守ってくれて常に近くにいてくれる奴なんて惚れるしかないでしょ?」
「だだだだって…… 兄妹なんでしょ??
私にもお兄ちゃんいるけど大好きだけど…… 恋愛感情までには……」
「特別なのは解ってる あまりいけないことなのも……
だけどそこに私の偉大さを感じて頂戴!!」
「うぅん……」
「仮にだけどさ もし後々リンクとコーチンちゃんが実の兄妹だったら恋を諦められる?」
「うっ…… それは出来ないかも……」
「でしょ?」
クレシェンは立ち上がってコーチンの羽を掴み立ち上がらせる
「貴女は運が良いんだから そのカユちゃんって子に遠慮しないでグイグイ行きなさいな!」
「うん…… でも…… クレシェンちゃんはどうするの?」
「私?? 私もリンクを狙ってるよ??」
「えっ?!!!」
「最近リンクに助けて貰ってさ…… あぁデクレと同じでかっこいいなって想い始めてねぇ
親と似た結婚相手を選ぶ人がいるくらいだからこれも自然な事なのかなぁ~~ってね!!」
「うえぇ~~ん…… ライバルがイッパイ……」
「恋は争奪戦だよ うかうかしてると格好良いリンクに集る蝿は次々と現れちゃうゾ?」
「蝿って……」
会話を終わらせたクレシェンはリンクの隣に平気で添い寝してみせる
その彼女が見せるドヤ顔は良くも悪くも コーチンの心に強い刺激を与えた