ゼルダの伝説:リフトツリーフォーク   作:滝翔

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二十三話 例え絶望的でも

 

数時間経っても二人は戻って来なかった

ある程度睡眠が取れたリンクとガノンドロフは少し回復して体勢を整えていると

 

「敵だ……」

 

前方より一人のイーガ団員が堂々と歩いてくるではないか

パッと見た感じでは敵意を全く感じさせないが 一応身構える四人

 

「さすがの俺もその数には勝てねぇよ 自己紹介するとただの伝令兵だ」

 

「伝令?」

 

「あぁ…… コーガ様はダウンしてしまったから今の陣頭指揮はスッパ殿が担っている

つまりスッパ殿からの言伝ってとこだ」

 

クレシェンが手紙を受け取ると 団員は煙を撒いて姿を消した

 

 

〝 イーガ団のアジトである屋敷の天守閣にて、デクレを捕縛している。

一方で出口の砦にて、今まさにエイミーが尋問を受けている。

処刑は各場所にて一斉に執り行われる故、助けたい方を選び行動しろ。 〟

 

 

ガノンドロフ「……イカれてんなぁ 絶望を与えてぇのか?」

 

コーチン「逆を言えば優しさかもね」

 

ガノンドロフ「何で敵である俺達に優しくする必要があるんだよ?」

 

コーチン「ごめんなさい…… ただの憶測です」

 

ガノンドロフ「何で謝った?!!」

 

クレシェン「もしかしたらイーガ団の協調性が薄まっているのかも」

 

ガノンドロフ「て言うと?」

 

クレシェン「ほらコーガが倒れたじゃん? イーガ団にとってみれば総大将なわけでしょ?」

 

コーチン「でもまだゼルダ様がいるよね?」

 

クレシェン「そこよ! イーガ団にとってハイラル王家の姫がどれほどの価値ですって話」

 

ガノンドロフ「だから一枚岩じゃないって? ……予想の範疇を出ねぇな」

 

しかしここでガノンドロフは提案を出す

 

ガノンドロフ「スッパの真意は解らねぇが どっちを助けるかって話ならエイミーを優先するべきだ」

 

コーチン「何で?! 二手に分れようってならないの?!」

 

クレシェン「何か考えがあるの?」

 

ガノンドロフ「いや策じゃねぇんだがよ…… より危ねぇのはエイミーってのは分かるんだ」

 

クレシェン「……?」

 

ガノンドロフ「古よりシーカー族が闇の歴史だとすれば ゲルド族は〝血の歴史〟なんだ」

 

コーチン「血……」

 

彼はここいらが頃合いと踏んで 今を生きる若者達に歴史の背景を見せた

 

「それは他民族間もあるが内側でこそ遺恨が残り続ける問題を抱えている

俺が同胞から差別を食らっていたのも 元を辿れば百年に一人 ゲルドに男が生まれる仕組みに起因する

それと同じようにゲルド公家にもシガラミがいくつかあるんだ

ハイラル王家より上に立ってはならないだの 安易に与えられた権力を下々に振り翳してはならないだの

ゲルドから側室を娶るなんてルールも結局は何世代も前の王が慈悲と抑止力が目的で発案した

近代では多民族を軽く虐げる様もデリケートになりつつある時代だ

それはもう〝混血種〟なんてのも含めれば向けれる差別も四散しまくりのカオスへと成り果てる」

 

「「「 …… 」」」

 

「んで勿論上のゲルド公族達の中でも下らねぇプライド争いが勃発する訳だ

ゲルドのトップは〝公主〟って肩書きを貰えるんだが

つい最近までその座にいたのがエイミーの姉 つまり長姉のメグだったんだ

ゲルドの歴史は大昔の頃より 〝ハイラル統一戦争〟にまで遡るんだが

まぁハイラル王家とは違って日の目の見えない史実をなぞっているんだよ

そんなもんが手記で残っているんだから俺達は皆〝負け癖〟を抱いて生涯を終えていく」

 

「ガノンドロフ……」

 

「言ってしまえばこの名前の元の持ち主もそういった〝渇き〟に打ちのめされていたのかもなぁ

負けた集団を前に独りの負け犬の遠吠えほど儚く悲しい思いは無い……

だから…… 〝力〟を求めてトライフォースなんかに手を出して……」

 

「トライフォース??」

 

「おっとついつい遡り過ぎたな……

話を戻すとハイラル王家はゲルドにとって中々受け入れ難いんだ

そんな王家の血が流れているゼルダもといパトリシアって女の境遇は容易に想像が付く」

 

「そんな…… 王の決めた事でしょ?」

 

「ゲルト公家の宮は閉鎖的でな 隠したい秘密は滅多に外には漏れ出ねぇの

それこそ俺の存在なんて誰の耳にも入らなかったろうしな!!」

 

「……じゃぁゼルダ姫は迫害されてたのね?」

 

「見て見ぬフリしてた俺も悪いと思ってる まぁ柵の外から伸ばせる手は短くて届かないんだがな」

 

「エイミーちゃん達を追放したのは私怨……」

 

今までゼルダを敵視していた三人に迷いが生じ始める

 

「だからといってあの四姉妹が迫害の主犯格かは定かではねぇ そんな噂も聞かなかったしな

んじゃゼルダ姫は許しますかってなるとそう上手くもいかねぇんだ

辱めを受けた側は末代まで途絶えるレベルで身を焦がすだろう それこそ踏ん切りつかなくなるレベルだ

エイミーに向けれる刃に躊躇は無い 俺の提案理由は納得してくれたか?」

 

「……分かった でもデクレを放置は出来ない」

 

そこに手を挙げたのはリンクだった

一人でスッパにリベンジしたいと願い出る

 

「一人じゃ無理だ…… って言いたいが聞かねぇんだろ?」

 

ガノンドロフはリンクを肯定し背中を叩く

ならコーチンも一緒にと手を挙げるが それでは振り出しに戻ってしまうので

 

「最優先すべきはデクレを解放すること 一人でやられてしまってはどうすることも出来ないからね!?」

 

「うん……」

 

リンクはもう一度立ち上がり 納屋の近くから武器を漁る

本人曰く物を選ばず そこにある得物を武器とするらしい

少々不安だが そこがリンクの逞しいところなのだろう

 

三人とリンクは別行動を開始する

デクレとエイミーを救出する為 今一度戦地へ赴いた

 

 

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