ゼルダの伝説:リフトツリーフォーク   作:滝翔

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七話 ハイラル王国

リンク達は巨木の前にて改めて世界樹の生命力を拝むことになる

自分達より一回り大きな空洞が第一層または第三層への入り口となっており

その手前には関所の門番が厳つい強面で出迎えてくれた

 

「やぁミミル! 腹でも壊したのか?」

 

「あっゴーマンさん!! いいえこんな事態ですから気を張っていただけですよ」

 

門番のミミルに通行手形を見せると 割とすぐに通る許可が下りた

 

「ゴーマンさんかっこいい!!」

 

「まぁね!! 階層を越える毎に必ず王家の勅許(ちょっきょ)が必要になるからね

そこそこの兵士でなければこの手形は貰えないのさ」

 

「へぇ~~!!」

 

「君達の中にハイラル衛士を目指す者がいたら 遠慮無く私を頼りなさい

……そこそこ出世もしているのでね!!」

 

巨木の中にも人の手が加えられており 正面に見える人工物の上に全員が乗り込む

 

「この床は何ですか??」

 

「〝運搬型(リフト)ガーディアン〟

古代シーカー族が造りだした遺物を現在のシーカー族達が使えるようにしたんだ」

 

「シーカー族……」

 

リンクとカユが急に黙りこくってしまい ゴーマンが気になってしまった

 

「何か不味い事に触れてしまったかい?」

 

「いえ…… 私とリンクの乳母もシーカー族だったので……」

 

「ほぉ……」

 

「数年前から行方が分からなくなって 今頃どうしているんだろうね……」

 

そうこうしている内にリフトガーディアンは動き出し あっという間に最上階の景色が顔を出した

ガラス張りになっているリンク達の現在位置は上れば上るほど姿を現わして

 

「ここ時計台だ!!」

 

「一旦下車して時計台を出たら王都まではすぐだよ」

 

下から見下ろせば 城下の活気が視界に収まるくらい小さく見えているリンク達

初めての都会に出てきて不安もあれば興奮も隠せないでいた

 

「武者震いがするぜ…… 面白い矢の種類が並んでいたらまとめて買っていこう」

 

「無駄遣いしないの!!」

 

ナゴに注意を促すカユを余所に リンクとコーチンは見る物全てに惹かれていた

 

「リンク見て!! あの遠くにあるのロンロン牧場じゃない!!?」

 

「目が良いんだね ここで大体の地理を覚えて貰えると私も助かるよ」

 

リフトが停車するターミナルに着けば 同じ型のガーディアンが至る場所で乗客を運んでいた

乗り継いで下の階へと向かう途中で 初めて上層のハイリア人から声を掛けられる

 

「ンッフッフッフ!! ご機嫌よう!!」

 

変な笑い方だが上品に挨拶をしてくる中年男性にリンク達は頭を下げた

 

「おや【しあわせのお面屋】の主人ではありませんか! 景気は如何ですかな?!」

 

「ンフフ♪ お面一つで被る者の人生は投影されます

逆もまた然りで 人がお面の影に隠れてしまい 自分の人生から背くことも

私の商売は人それぞれ色んな形の徳を吸収して成り立っています

幸せかどうかと聞かれれば ……幸せには程遠いですね~」

 

「そうですか…… 芸術の世界は私にはさっぱりですな!」

 

「えぇ…… お面を被ればたちまち世界すらも簡単に変わってしまうのです

想いに浸ったお面もまた表情が変わります それが何を伝えているのかは持ち主だけが知れる」

 

お面屋は不意にリンクに顔を近づけた

 

「おやおや…… どこかでお会いしましたかな?」

 

「……?」

 

リンクは首を横に振る お面屋は残念そうな面持ちで顔を引っ込めた

しかしその表情はすぐにニッコリと変形して喜びの声を上げる

 

「今日は素晴らしい日だ!!」

 

「何でですか?」

 

コーチンが首を傾げながら問うと お面屋は近くのピアノの椅子に座る

 

「何故って?? 人と出逢えたからですよ 他人と他人は仮面を付けている状態ですから……

こうやってばったりとお話出来る日なんて この先数年 いや一生あるかも判りません」

 

鍵盤の上に手を置くと 慣れた手付きで演奏を始めた

近くにいる一般人の耳にも届く音色だが 誰も足を止めようとはしない

 

「それが普通…… 故に悲しい事なのです しかし」

 

弾くお面屋の心は潤っていた ご満悦の笑みはリンク達にも伝わる

 

「あなた方は立ち止まってくれている それだけで今は奇跡が起きている」

 

演奏を終える大きな鞄を背負い直して 別れの挨拶を告げる

 

「それでは失礼します お時間があれば私の店にも立ち寄って下さいね」

 

それっきり振り返ることもなくお面屋は人混みの中に消えていった

 

「なんか…… 色んな人がいるんだね」

 

「大勢の人種が集まる場所だからね さぁハイラル城に向かいましょう」

 

早速不思議な体験をした二人と二羽は再び歩みを始める

リンクもさっきの曲を口ずさみながら後ろを付いて行った

 

「フンフンフン♪ フンフンフン♪ フンフンフフフン~♪」

 

耳に今も流れている〝いやしの歌〟を覚えたリンクは

ターミナルに吹くそよ風に乗って 聞き覚えのある声が聞こえてきた

 

〝 出会いがあれば 必ず 別れは 訪れるもの

ですが その別れは永遠ではないはず…… 

別れが永遠になるか 一時になるか それはアナタしだい 〟 

 

振り返るとそこには誰もいない リンクはその声に怖さを抱き また憐れみを生み

意味の分からない悲壮感に浄化を覚えることは出来ないので 悶々とした感情に囚われてしまっていた

 

だけど一度ターミナルを出れば そんな葛藤に襲われる間もなく広場の露店に心を奪われていた

今まで見たこともない品が出回っているので 城へ辿る道すがらはカユの食べ歩きに付き合わされていたのであった

 

 

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