城門を潜り抜けて 中庭に到着するリンク達の前には 既に自分達と同い年くらいの子達が集まっていた
ゴーマンの言われた通りに整列しようとすると やけに意識高い野太い声が聞こえてくる
「おっほ~~い!! なんだなんだ田舎と言っても馬鹿に出来ねぇな!!」
同年代の連れに肩を揉まれている大男は
自慢のトサカヘッドを撫で上げながらリンク達に近づいてきた
カユはリンクの後ろに退き コーチンもナゴの後ろに隠れる
「お前らどこの村の出だぁ?!」
リンクは律儀にイナ村から来たことを話すと
「おめぇの後ろに隠れている女の子はなんて名前なんだぁ?!」
「わ…… 私はカユよ よろしく」
「おぅおぅおぅ?!! ……かんわぅい~~~~!!!!」
広場にいる全員が注目する中 構わず大男は鼻息を荒らしてリンクの背後へと回った
「オレ様はハイラル城下町のガキ大将!! 行く行くはハイラル衛士の部隊長を任され!!
そんでもって 諸々の任務を華麗に完遂させて名を上げぇ!!?
これからお初にお目にかかるゼルダ様よりお褒めの言葉を頂いて!!
あっ! 最後には英傑と呼ばれ 人生という看板は豪快に彩るであろう!!」
最後の決めポースのタイミングで 梯子を上った手下の紙吹雪を浴びて手応えを感じ 拳を握り締める
「オレ様の名はぁ!! 〝ウド〟!!!!」
もう一人の手下が三味線で締める
周りは呆気にとられていたが 絶好調の三人だけは盛り上がっていた
「んで…… 私に何の用?」
「お国の英傑になった証には一等地に豪邸を建てる予定なんだ
……そこに迎える奥さんは今決まった カユ!! オレ様と一緒になってくれ!!」
「お断りします」
「……英傑になった暁にはある程度の地区を治める領主になろうと思っている
……そこで隣にいるべき奥さんは今決まった!! カユ!! オレ様と結婚してくれ!!」
「お断りしたでしょ?」
既に冷たい空気が流れている場で三人が固まり やっと場が静かになる
「ウド様がフラれただとぉ?!」
「気をしっかりして下さいウド様ぁ!!」
「ラス…! オスト…! 今の豪快なオレ様のアプローチに何の不備があった?!!」
取り巻きの部下達に励まされて数分後
物凄く怒ったウドの標的はカユからリンクに移る
「おめぇは何なんだおぅ?!!! 随分とカユと仲が良さげじゃねぇか?!!!」
「っ……」
「そこまでにしろよぉ!! 俺達がどこに呼ばれているのか自覚ねぇのか?!」
リンクとの間に入って来たのはナゴだった
しかしウドはナゴの顔をじっと見るなり 鼻をほじって切り捨てる発言を飛ばす
「オレ様は焼き鳥は好きだが リト族に興味はねぇんだよ!!」
「……なんだと?」
「あぁん?!!」
バチバチと両者の目に電撃が走った
ナゴが思わず腰の弓矢を取り出そうとしたその時
リンクが前に出てウドにメンチを切る
「なんだぁ?!! 言いたいことがあるなら言えよ!!!」
「すごい髪型だな!!」
「「「「「 …………… 」」」」」
カツンカツンと 城内より階段を登る音が中庭に響き渡った
屋上にて数人の兵に囲まれ その顔を見せたのは
「今日は私の予言の為にお集まり頂いて感謝する 私はゼルダ
女神ハイリアより依り代に選ばれ この世に生を受けたからにはその使命を全うする者である」
金色の髪を
城内の兵達は敬礼を表し 辺りの子らも綺麗に整列した
「うむ…… 楽にして良い して肝心の件の予言は既に知れ渡っていることでしょう
厄災を再び封印する為に余がいる訳だが それと同時に数多の危機を救った〝時の勇者〟
その魂が新たな肉体として世代を跨ぎ 現代に勇ましく育っていることでしょう
それを今日 私の目で掘り当てたいと思います」
目の前の階段を降りるゼルダは 一人一人の顔を凝視し いくつかの質問を繰り返し歩いた
そして立ち位置はリンクの前へと ゼルダは彼の顔を見てニコッと笑う
「其方が見る過去の記憶とは?」
「……??」
「そうか…… 無理に答えずともよい」
次にゼルダはカユの顔を見る 一瞬強張った様に見えたゼルダの表情は一瞬で豊かになり
「其方が見る過去の記憶とは?」
「えぇと…… 私は過去の記憶以前に幼い頃の記憶が曖昧でして
気付いたら乳母様とリンクとの日常が当たり前でした」
「……フフッ フハハハハハハ!!! そうかそうか お前が……」
ゼルダは両手を広げ 城の衛士 リンク達 そして見物客に聞こえるように
「勇者が見つかりました!! この者カユこそが耳から耳へ伝わる勇者の生まれ変わりなり!!!!」
リンクやナゴ達は驚いたが 周りの拍手喝采が辺りを一体化させる
「まさか勇者が女の子だったとは……」
「さすがはオレ様の未来の嫁さんだぜぇ…… ふ…… ふふ…… 不服じゃない!!」
ウドは動揺を隠しきれていなかった それほど意外な勇者の登場
「勇者カユには今日 我が城に歓迎いたします
他の皆もご足労をかけた!! 宿は無料 特に第二層より参られた方は心ゆくまで疲れを癒やすがよい!!」
恐ろしく早く閉められた勇者を探すイベント
リンク達はカユのもとに駆け寄るが
「へっへ~~ん!! 私が勇者だぁ!!」
「カユ……」
ナゴはカユを心配している 勿論リンクもコーチンも上手く飲み込めてはいない
それはカユ自身にも言えること 手は震えていたが それを優しく握ったのはゼルダ姫
「ではお城へ いきなり勇者だなんて言われて緊張するお気持ちは十分に理解しています
皆さんはカユさんのお知り合いですね?
ご安心下さい これからカユさんとの時間の共有は少なくなりますが……
後日改めて別れの挨拶を設ける場を用意しますので」
「私は大丈夫よ! 皆には悪いけど今日はお城で贅沢させて貰うわ!!」
そう言い残してカユは城の中へ行ってしまった
広場に残されたリンク達は話し合って 取り敢えずロンロン牧場へと向かう