ゼルダの伝説:リフトツリーフォーク   作:滝翔

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九話 死角と刺客

「はいリンク! ア~~ン♡」

 

「…………ア~」

 

コーチンにスープを飲ませて貰っているリンクはナゴの視線を気にしつつも喉に通した

選別が終わってゴーマンの親族が経営するロンロン牧場にやって来た一行は歓迎され

牧場の幸を食卓にて堪能していた

 

「まさかカユちゃんが勇者とはな~~」

 

「驚いてます…… 私も知った時はなんて声を掛ければ良かったのか……」

 

スプーンを下に置くコーチンは俯いていた

それとは逆に出された物を一気に腹に収めるナゴはゴーマンに質問する

 

「つかぬ事を聞くが ゼルダ姫は〝ゲルド公家〟とハイラル王家の混血種か?」

 

「そうだ…… 王族の歴史を裏で支えてきた 元は砂漠の民と呼ばれたゲルドの血を引いておられる」

 

「やっぱりあの肌の色はそうか……」

 

「いつの時代からかハイラル王家には光妃と影妃という多妻制度が作られていてな

今のゼルダ様はゲルド公家の側室の人間を母に持つ 本来は表に出ることの無い二線級の子だったのだ

だが正室である光妃との間に産まれた子が亡くなったという噂が国中に広まり

影の側室子であったゼルダ様が正式な王女として表舞台に上がったという訳だ」

 

「そんな事があったのか……」

 

「でも実際予言も授かり 女神ハイリアの生まれ変わりと呼ばれても納得する才を持ち

今日も見事に勇者を見破られなさった こうなったのも必然のような気がしてならないな」

 

せっかくの宴に辛気臭い話をしていると思ったのか

ここの経営主である〝タロン〟が 皿一杯に盛られた特大のステーキをテーブルの真ん中に置いた

 

「牛乳やチーズしか出ねぇと思ったか?!! 鱈腹食えよぉ!!」

 

「おいおい兄貴…… 大丈夫かよこんなの出して?」

 

「バッキャロー!! ……滅多に客なんて来ねぇんだ!! それに……」

 

既に酒を入れてるタロンはリンクとナゴの顔を舐めるように見ていると

 

「うちの娘の婿候補としての品定めも忘れちゃいねぇ……

ここに嫁ぐなら一杯食べて 目一杯働いて貰わなきゃならねぇしなぁ!!」

 

不敵な笑みを浮かべるタロンをフライパンで殴ったのは娘の〝マロン〟だった

 

「お父さん飲み過ぎ…… ごめんなさいね

私はその気が無いのに早く跡取りが欲しくて仕方がないのよ」

 

「お構いなく……」

 

テバは気にせずステーキを馳走になっているが リンクはマロンの笑顔に見入っていた

ヤキモチを焼くコーチンは大きめに切り分けたサイコロステーキをリンクの口に押し込む

 

「皆さんの寝床は納屋の二階に敷いております

納屋と言っても綺麗に掃除しましたので 馬糞臭くないので安心して下さい!!」

 

食後 マロンとコーチンがお皿を洗いながら宿屋の話について盛り上がっている中

リンクとテバとゴーマンはお風呂を頂いていた タロンはリビングで爆睡中

 

「カユは元気にしてっかなぁ~~」

 

「…………」

 

大浴場にてカユの身を案じる二人にゴーマンは慰め程度に話してくれる

 

「今頃は大食堂でモテモテの晩餐会が開かれているだろう

心配に思う気持ちは理解出来るが ゼルダ様が次にいつ彼女を会わせてくれるのか

兵にも詳細が行き渡っていないのが本当のところだ」

 

「「 ………… 」」

 

口をお湯につけてブクブク泡を作るリンクと 壁にもたれ掛かって天井に溜息を吐くナゴ

そんなゆったりとした入浴の一時に 突如台所から悲鳴が聞こえてくる

 

「「 キャーーーー!!!! 」」

 

三人は急いで風呂場から台所へ

 

「「 キャーーーー!!!! 」」

 

当然真っ裸で現れる二人と一羽にも悲鳴が上げられる

 

「お兄ちゃんもリンクも服着てよ!!」

 

「「「 ごめん!! 」」」

 

洗面所に戻り急いで着替えるリンク達は改めて悲鳴の原因を聞いた

 

「外に人影が見えたんです!! 納屋の方に向かって行きました!!」

 

マロンが指さす方向は自分達が寝るであろう場所に

 

「あそこには何があるんだ?」

 

「金目の物は置いてありませんが…… 食料が貯蔵されています」

 

各々武器を装備して夜分遅くに現れた野盗退治に向かう

 

ゴーマンが納屋の入り口まで前進して その後ろをリンクとナゴが付いてくる

 

「開けるぞ……」

 

中は暗くて何も見えない

ランタンを片手に奥へ進むゴーマンとリンクの耳には微かに咀嚼音(そしゃくおん)が聞こえた

 

「誰だ!!」

 

灯りを向けた先には全身黒のフードに覆われていた不審者が大根を貪っていたのだ

 

「っ……!! は…… 腹が減っていた!! 俺は追われる身なんだ!!」

 

見つかった犯人は逃げる様子もなく 弁明する

ゴーマンは剣の構えは解かずとも 話を聞いてやるくらいの姿勢を見せた

 

「城から囚人が脱獄した話も無いとすれば 街で窃盗でもしたか?」

 

「話を聞いてくれんのか?!! ありがてぇ!! 俺の名前は……」

 

話の途中でまたもやコーチンとマロンの悲鳴が聞こえてくる

慌てて納屋を飛び出すリンクとナゴが見たものは

闇に乗じてお面で正体を隠した謎の集団 その手には月光が反射するナイフ

そしてコーチンとマロンは捕らえられていた

 

「家の中にいたのはリトの娘と こっちはここの牧場の子です」

 

「構わん ……どっちも殺せ」

 

「はっ!!」

 

一人の刺客がナイフを振り上げる 首は締め上げられて動けないコーチンは為す術無し

どうにかマロンを助けようと翼を伸ばすが届かなかった

すると奥の納屋より 鬼の形相でこちらに向かってくるリンクとナゴ

 

「まだいたのか?!!」

 

隠れていた敵の何人かが闇から現れてリンク達と迎え撃つ

武器は持ってこなかったので各自農具で応戦する しかし

リンクは扱いに慣れていたが 弓が主だったナゴに鍬を装備しての接近戦は辛い

 

「〝子供〟は全員殺せ! そういう命令だ! ……なんなら見られた者全員 殺しても良い!!」

 

胸クソ悪い指示を大声で発する敵のリーダーの背後に 新しい影が現れた

 

「俺の姪を放せ!!」

 

「いつの間に!!」

 

ゴーマンだった

二人の女の子を捕らえる腕を斬りつけて解放する

相手が何人相手だろうと集中力を切らさない彼はこの中では断トツのベテラン騎士

そうこうしている内にリンクサイドでは敵が全滅していた

 

「クソッ…… 子供だからと言って舐めていたようだ……」

 

しかし謎の刺客達は安易に退こうとはしない

 

「何故子供達を狙う?!!」

 

「…………」

 

返答の期待など微塵も感じていないゴーマンは剣を構え直した

多勢から同時に襲われても全ての剣筋をいなす

リンクとナゴも加勢したいところなのだが 一度倒れた周りの刺客達はすぐに起き上がる

向こうの戦闘に加えさせまいと 道を阻もうとしていた

 

 

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