春を導くは偉大な赤いアイツ   作:ヒヒーン

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青雲、春と不屈の王の秘密を知る<後編>

 街が黄昏色に染まり、どこからともなく聞こえてくる子供達へ帰宅を促す情感あふれるメロディーの放送を耳にしながら、ニシノフラワーは街中をトボトボと歩いていた。

 

「全然既読がつかない……」

 

 セイウンスカイと別れた後、ゆっくりと休憩することでスタミナを回復させたニシノフラワーは後を追いかける為にセイウンスカイの現在地をトークアプリを使って確認しようとしているのだが、いくらメッセージを送ってもセイウンスカイからの反応が全くない。

 

 まだ追跡中ということでスマホを見てる余裕さえ無いのか……もしくはスマホを操作することが出来なくなってしまったか。

 

 例えば、追跡してた車の中に本当に悪い人達が乗っていて、尾行にバレたセイウンスカイがその悪い人達に捕まってしまったとか。

 

「いやいやいや、まさかそんなドラマみたいなことが……!」

 

 そんなことはありえないとニシノフラワーは口にしつつも、一抹の不安がどうにも胸中から消えてくれなかった。

 

「ど、どうしよう……」

 

 セイウンスカイと連絡が取れなくなったことで困り果てたニシノフラワーはスマホを片手に移動だけは続けるが、これからどうするべきか何も考えが思い浮かばなかった。

 

 如何に飛び級でトレセン学園に入学した天才ウマ娘と言えど、彼女は年齢的に言えばまだまだ子供。様々な経験をしてきた大人と違っていざ非常事態に自分が遭遇した時にどうすればいいかなんて分かるはずもなかった。

 

「うぅ……」

 

 1人では何も出来ない情けない自分にニシノフラワーは思わず涙が込み上げてきそうになる。

 

 こんなことならもっと長距離を走れるように練習しておけばよかったとニシノフラワーが後悔していると、そんな彼女に1つの人影が近付く。

 

「おい、お嬢ちゃん。なんか泣きそうな顔してっけど大丈夫か?」

 

「え……?」

 

 突如話し掛けられたことでビックリしたニシノフラワーは反射的に声が聞こえてきた方へと視線を向ける。

 

 そこに居たのは───

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

「あちゃあー……こりゃまいったね〜」

 

 木々の生い茂る山の中をセイウンスカイは1人歩く。その足取りは街中を駆けていた時よりも遥かに重くなっていた。

 

 ただでさえかなりの長距離を走っていた状態でさらに山登りなんて無尽蔵のスタミナを持つ化け物でもない限りさすがに無理だ。

 

 如何にステイヤーのセイウンスカイと言えどその例には漏れず、スタミナが切れたことで走るのが辛くなった彼女はゆっくりと山道を歩きながらスタミナの回復に勤しんでいた。

 

 幸いにも山道には先程通ったばかりの車のタイヤの跡が残っているおかげで行先に迷うことは無いが、しかし時間は容赦なく過ぎていく。

 

 徐々にとはいえ暗くなっていく辺りにセイウンスカイは焦りを覚える。さすがに山に来るなんて想定していなかったが為に登山道具などは何一つとして持ってきておらず、完全に暗くなった山の中を歩くのは山登り素人であるセイウンスカイでも危ないということは分かっていた。

 

 自分の身の危険、キングヘイローとハルウララの秘密。この2つのどちらを優先すべきかでセイウンスカイの心は天秤のように揺れ動いていた。

 

「う〜ん……行けるところまでは行こう」

 

 引き際を見誤らないように細心の注意をしながら、セイウンスカイは山の中を歩き続ける。

 

 そして、暫くすると木々や草花という代わり映えしない光景の中に変化が生じた。

 

「あれは……?」

 

 セイウンスカイの目指す先に見えた何かの建物のような物。暗くなり始めていたこともあって遠目からではそれが何なのか最初は分からなかったが、近付くに連れてセイウンスカイはそれが学校の校舎であることに気が付いた。

 

 より正確に言うなら廃校舎だ。コンクリートで作られている今の時代の校舎とは違い、木造建てで壁の至る所に穴が空いているところから察するにかなり昔に建てられた校舎のようだ。

 

 なんだってこんな所に校舎が……? とセイウンスカイが疑問を感じていると不意に彼女の耳に声が届く。

 

「きゃあ────!?」

 

 校舎の方から聞こえてきた悲鳴。その聞き慣れた声は間違いなくキングヘイローのものだとセイウンスカイは一瞬で確信した。

 

「キング!?」

 

 あのキングヘイローが悲鳴を上げるなんてよっぽどのことがあったに違いない。そう思ったセイウンスカイは急いで校舎の方へと近付きつつ、自分の姿をキングヘイローとハルウララをこんな所に連れてきた第三者に見られないようにするために山道から逸れて木々の中に姿を隠す。

 

 音を立てないようにコソコソと移動しつつ、充分に近付いたセイウンスカイが恐る恐る木々の隙間から校舎の前にあるグラウンドを覗くとそこには───

 

「ほら、キングちゃんも触ってみようよ!」

 

「ムリムリムリ! ぜぇったいに嫌よッ!!」

 

 イモムシを大事そうに両手で抱えているハルウララと、そんなハルウララから必死に距離を取ろうとしているキングヘイローの姿があった。

 

「どうしてこのキングがそんな気持ち悪い虫なんかに触らないといけないの!? 見るだけでも怖気が走るわ!!」

 

「えー? そんなことないと思うけどなぁ……ほら、足とかウネウネしてて可愛いよ?」

 

「ち、近付けないで! それ以上私に近付いたら本気で怒るわよ!?」

 

 ハルウララの持つイモムシを見て涙目になっているキングヘイロー。彼女はその尊大な性格に見合って、生粋のお嬢様育ちということも合わさり虫とかは大の苦手なのだ。

 

 前にセイウンスカイがイタズラで虫の形をした玩具をキングヘイローの机の中にコッソリと入れたことがあるのだが、玩具を見つけたキングヘイローは一瞬で顔を真っ青にして悲鳴を上げながら玩具を思いっきり床に叩き付けて壊した。

 

 その後、予想以上の反応に申し訳なさと罪悪感を感じたセイウンスカイはキングヘイローにネタバラシをしたのだが、その時にされた説教は普段のそれよりも遥かに厳しく、セイウンスカイは二度とキングヘイローに虫系統を使ったイタズラはしないよう心に誓っていた。

 

 それほどまでに虫嫌いなキングヘイローに対してハルウララがとても残念そうな顔をしているのを見ながら、セイウンスカイはふと気付く。

 

(2人とも何でジャージに着替えてるんだろう……それにあのテントは……?)

 

 キングヘイローとハルウララの着ている服装はトレセン学園の制服から上下ジャージ服へと変わっており、彼女達のすぐ側には先程まで追い掛けていた黒い車と二つの大きなテントが張られて設置されていた。

 

 一見するとまるでキャンプでもするみたいだが、こんな廃校舎と山しかないような所でわざわざキャンプする理由がセイウンスカイには分からなかった。

 

「とにかく! さっさとその虫を私の目に映らないどこかへとやってちょうだい!!」

 

「どこかって……どこに?」

 

「どこでもいいでしょう!? なんならあそこの木の所にでも持っていきなさい!!」

 

「はーい……」

 

 ビシィッとセイウンスカイが隠れている木の方を指さしたキングヘイローの指示に従い、耳まで垂れて明らかにしょんぼりとしているハルウララがセイウンスカイの方へとトボトボとした足取りで近付いてくる。

 

(ちょ、まずいまずい!?)

 

 偶然とはいえ、まさか自分の今居る場所をピンポイントで指定されるとは想定外にも程がある。ここでバレてしまっては尾行した意味が無いし、何よりセイウンスカイの存在が謎の第三者に気付かれてしまうだろう。

 

 今すぐこの場所から移動しようにも、ここで動いてしまえば間違いなくキングヘイロー達に気付かれてしまう。かと言ってこのまま留まっていてもハルウララに気付かれる可能性は高い。

 

 まさかまさかの事態にセイウンスカイが内心で慌て果てていることなど露知らず、ハルウララは徐々に近付いてくる。

 

(くっ……このままじゃ……!)

 

 近付いてくるハルウララの姿を見つつ、何か方法は無いかとセイウンスカイは視線を巡らせ……ふと、違和感を覚えた。

 

(あれ、そういえばキング達以外に誰も居ない……?)

 

 この場にキングヘイローとハルウララを連れてきたはずの第三者の姿がどこにも見当たらない。そのことに気が付いたセイウンスカイに電流が走る。

 

(これひょっとして……チャンスじゃない?)

 

 この場を離れているのか、それとも車の中に居るのかは分からないが、第三者の目がキングヘイロー達に向けられていないのであれば、それはキングヘイロー達と接触する絶好の機会とも言える。

 

 ピンチという逆境に苦しむ者には必ず何かしらのチャンスが訪れる。それを掴み取れるかどうかで天と地が決まると言っても過言ではない。

 

 そして、セイウンスカイはチャンスを掴み取れるウマ娘であった。

 

「イモムシさん元気でね……」

 

 手に持っていたイモムシを木の枝に下ろすハルウララに向けて、セイウンスカイは最低限のカモフラージュとして両手に葉っぱのついた木の枝を持ちつつ小さく声を掛ける。

 

「ウララ!」

 

「えっ!? セイちゃむがっ!?」

 

「しっ! あんまり大きい声出さないで!」

 

 セイウンスカイの姿を見つけたハルウララがビックリして大きな声を上げそうになったのをセイウンスカイは咄嗟に持っていた枝を突き付けて防いだ。

 

「ぺっぺっ、も〜急に何するのー? というか、何でセイちゃんも此処に居るの?」

 

「ごめんごめん、実はウララ達の後を追ってここまで来たんだよねー。ほら、2人とも最近コソコソと何か隠し事してたからさ、つい気になってね」

 

 ここで嘘を言う必要も無いので正直にハルウララの質問に答えつつ、攻守交替と言わんばかりに今度はセイウンスカイから質問を投げ掛ける。

 

「それで? 2人はこんな所で何してるの?」

 

「今日はキャンプしに来たんだー! 師匠がね、最近トレーニングのし過ぎだって言うから、今日はトレーニングをお休みして皆でキャンプすることにしたの! バーベキューもする予定なんだ〜!!」

 

「……はい?」

 

 ハルウララの答えを聞き、セイウンスカイは思わず固まった。テントが張ってあったからまさかとは思ったが、本当にこんなキャンプ場でも無いところでキャンプするつもりなのか。

 

「あっそうだ! セイちゃんも折角だから一緒にキャンプして行こうよ! きっと楽しいよ〜!」

 

「わっ! ちょちょっ!?」

 

 呆けるセイウンスカイの腕を引っ張って、ハルウララはキングヘイローの元へと戻る。

 

「スカイさん!? どうしてここに!?」

 

「あはは……実は───」

 

 セイウンスカイの姿を見て驚くキングヘイローに、セイウンスカイが苦笑しながら事情を述べようとした瞬間、停まっていた車のドアが突然開き2人の人物が中から降りてきた。

 

 スキンヘッドにグラサンをかけた大男と、坊主頭にグラサンをかけた男。

 

 見るからに堅気には思えない格好をしているその男達は───『ウマ娘LOVE』と大きなハートマークの中に可愛らしく書かれているTシャツを着ていた。

 

 ……厳つい男達がそんなクソダサTシャツを着ているのを見て、うら若き乙女であるセイウンスカイは叫んだ。

 

「ふ、不審者だ───────!!??」

 

 このあと、スマホで警察に通報しようとするセイウンスカイをキングヘイロー達は全力で止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 キングヘイロー達とセイウンスカイが合流してから暫くして、事情を説明されたことでセイウンスカイの誤解はようやく解かれた。

 

「えーと……つまり、その丸坊主の人はキングのトレーナーさんで、そっちの大きな男の人はセクレタリアトさんのトレーナーさんで、ウララはセクレタリアトさんに弟子入りしてて、キングはウララのついでにその人達とセクレタリアトさんに毎日トレーニングを見てもらってて、朝練以外はこの場所でいつもトレーニングを行っていると?」

 

「えぇ」

 

「それで、今日はトレーニングの休養日っていうことで皆でキャンプすることになって、セクレタリアトさんはここに来る前から別行動で食材の買い出しに行ってて、トレーナーさん達はキャンプの準備をしたことで汗をかいたからキング達に許可を取ってから車の中でその格好に着替えていたと?」

 

「そうだよー!」

 

「……全然意味が分からないんだけど!?」

 

 ……誤解が解かれたからと言って、謎が全部解けたという訳ではなかったが。

 

「ウララがセクレタリアトさんに弟子入りしたとか初耳なんだけど!? しかもキングまで一緒に面倒を見てもらってる!? え、なんで!? むしろどうして!? Why!?」

 

「落ち着いてスカイさん! 気持ちは分かるけどキャラ崩壊してるわよ!?」

 

「わー! セイちゃん英語じょうずー!!」

 

 キングヘイロー達の口から齎された特大級のスクープを耳にしたことで、完全に理解が追いつかなくなったセイウンスカイは軽くキャラ崩壊を起こした。

 

 そんなセイウンスカイを落ち着かせるという意味も込めて、キングヘイロー達はセイウンスカイの感じていた疑問について1つずつ説明を続けた。

 

 まず、キングヘイロー達がここ最近疲れ切っていた理由。それについては本当にトレーニングが原因だ。

 

 毎朝5時と放課後の山の中でのトレーニング。その計2回のトレーニングの密度が凄まじく、これまで体感したことの無いハードさにキングヘイロー達は疲れが積み重なっていった。

 

 だが、それは身体がまだトレーニングに慣れきっていない最初の頃だけで、軍人や消防員のように毎日同じトレーニングを繰り返せばその内身体はトレーニングに慣れていき、疲れも軽くなるということだった。

 

 ……まぁ、だからと言って授業中に寝たりするのはさすがにダメだということで、キングヘイローとハルウララは休日に寝ていた授業の分をセクレタリアト達から補習として勉強させられているらしい。勉強が苦手な2人はそれが何気に一番辛いとキングヘイローとハルウララは語った。

 

 ちなみにハルウララはともかく、トレーナーが既に付いているキングヘイローが他のトレーナーの指導を受けるというのはさすがに不味いんじゃないかとセイウンスカイは思ったが、ウマ娘が2人のトレーナーから指導を受けてはならないなんてルールは無く、キングヘイローのトレーナーもアメリカの三冠ウマ娘を育て上げたクリストファーの手腕を少しでも自分の物にしたいということで、今ではキングヘイロー共々クリストファーの世話になっているとの事。

 

 次にこんな山奥でトレーニングをしている理由だが、これはセクレタリアトに原因があった。

 

 セクレタリアトがトレセン学園に来てからというもの、日本のウマ娘と勝負しに来たという彼女の噂は既に全生徒の耳に届いており、彼女は学園の中で常にアメリカからの刺客として視線を集めていた。

 

 最近だとそこに加えて日本のウマ娘を格下に見てるだとか、勝負する相手とさえ見られてない等々……噂だけを聞けば完全に日本のウマ娘を侮辱しているアメリカの高飛車なウマ娘としか思えないぐらいには酷くなっていた。

 

 キングヘイロー達曰く、どうやらセクレタリアト本人としてはそんなつもりは毛頭無いようで、噂が一人歩きしていっただけとのことらしいがトレセン学園に居るほとんどの者達はそれを聞かされたところで信じまい。

 

 かく言うセイウンスカイも学年が違うということもあってセクレタリアトに直接会って話したことが無いため、セクレタリアトのことは噂から想像した人物像を頭に描き、それを信じ込んでいた。

 

 そういうこともあってセクレタリアトは学園の中において常に誰かからの視線を向けられるぐらいに注目を浴びており、そんな状況でハルウララ達の指導なんて集中できる筈もなく、ましてや師弟関係がバレることでハルウララ達にまで注目が集まり何かしらのアクシデントが起きる可能性をセクレタリアトは危惧した。

 

 実績を持つ強いウマ娘ならともかく、まだデビュー前の無名の新人であるハルウララ達にとってそれは非常によろしくない。そこで、セクレタリアトは人の居ない早朝にトレセン学園のグラウンドを使い、人が居る放課後ではタイキシャトルからかつてトレセン学園の分校として使われ今ではすっかり廃校となってしまったこの場所を勧められたことでグラウンドの整備など行いつつトレーニングをしている。

 

 これがこの場所でキングヘイロー達がトレーニングをしている理由。キングヘイロー達がセイウンスカイに対して秘密と答えたのもそれが原因であった。

 

 以上のことから、キングヘイロー達は健全にトレーニングを毎日こなしているだけであり、人に言えないようなやましいことは何も無かった。

 

「うあうあうあ〜……!」

 

 何事も無くて良かったと安堵する反面、勝手な勘違いをしていた自分を自覚したことで、セイウンスカイは真っ赤に染まった顔を両手で覆い隠しながら地面にヘナヘナと崩れ落ちた。

 

「まさかあのスカイさんがここまで仲間思いで優しい方だったとはね〜?」

 

「えへへ、セイちゃんってトレーニングをすぐにサボったりするけど、やっぱり優しくていい子だね♪」

 

「う、うるさいなぁ〜!!」

 

 キングヘイローからはニヤニヤとした笑みを、ハルウララからは純粋にそう思っている笑顔を向けられ、恥ずかしさで胸がいっぱいになったセイウンスカイは思わず怒鳴った。

 

「こうなったら、私も沢山焼肉を食べてやる……!」

 

「それは構わないけれど、その前にフラワーさんはどうしたの? アナタの話だと一緒に私達の後を追ってたのよね?」

 

「あっ」

 

 恥ずかしさを紛らわす為に食欲の闘志を燃やすセイウンスカイであったが、キングヘイローからの言葉を聞いて動きを止めた。

 

「…………」

 

 無言のままスマホを取り出し、トークアプリを開いてみればそこにはニシノフラワーからのこんなメッセージがあった。

 

『スカイさん今どこに居ますか?』

 

『スカイさん?』

 

『おーい』

 

『スカイさん大丈夫ですか?』

 

『どこに居るのか教えてください』

 

『スカイさん見てたら反応してください』

 

『街中で偶然キングさんとウララさんの行先を知ってるって言う人に会えました! キングさん達の所まで案内してくれるということなので、今から私もそちらに向かいますね!』

 

 ……それを最後にニシノフラワーからのメッセージは途切れていた。

 

「…………」

 

 ニシノフラワーからのメッセージを確認したセイウンスカイは顔を真っ青にし、無言のまま震える手でキングヘイロー達に自分のスマホの画面を見せると、メッセージを確認したキングヘイロー達も同じように顔を青ざめた。

 

「あ、あはは……どうしようこれ」

 

「お、おおおおお落ち着きなさい!? ま、まずは深呼吸して落ち着くべきよ!?」

 

「わー! フラワーちゃんもここに来るのー!?」

 

 能天気に喜ぶハルウララを除き、セイウンスカイ達の思考は完全に一致していた。

 

 即ち、ニシノフラワーがキングヘイロー達の知人を装った不審者に連れてかれてしまったかもしれない、と。

 

「ど、どうすればいいの……と、とりあえず救急車!?」

 

「落ち着けキング! まずは警察に通報だ!!」

 

「いや、先にフラワーの安否を確認するべきじゃない!?」

 

【……電話をかけてみた方がいい】

 

 キングヘイローとセイウンスカイは慌てふためき、大人であるトレーナー達は冷静に優先順位を考える。

 

 そして、話し合った結果まずはニシノフラワーに連絡を取る事になり、正にセイウンスカイがニシノフラワーに電話を掛けようとした瞬間だった。

 

「おーい! お前らそんな所で集まって何してんだー!?」

 

「あっ! スカイさーん!!」

 

 遠くの方から2人分の声が聞こえ、一同が声の聞こえてきた方へと振り向くと、そこに居たのは大きなビニール袋を片手に持ったセクレタリアトと、セイウンスカイに向かって大きく手を振るニシノフラワーの姿があった。

 

「……いや、どんな偶然!?」

 

 セクレタリアトに弟子入りしたハルウララと言い、街中で偶然出会ったニシノフラワーと言い、まるで神にでも愛されているかのような強運にセイウンスカイはそう叫ばずにはいられなかった。




とうとうお気に入り件数が8000、評価数が300を超えました!わーい!

……いや、ここまで来るとなんかもう現実味がマジでないですはい(白目

最近はお気に入り件数が減っては増えるという謎現象を起こしていたり、評価数が伸び悩んでたりしたのに、まさかここまで来るとは私自身夢にも思いませんでした。

皆様本当にありがとうございます!これからもマイペースに執筆していきますので応援よろしくお願いします!

ところで今週のシンデレラグレイはまた休載なのだろうか……ヤンジャンで代わりにジョジョ読んでたせいで文章がジョジョに引っ張られそうだ……!(震え声

あ、あとナリタタイシン60連爆死しましたHAHAHAHA(死んだ目

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