「すみません! まさかそんな有名な方だとは露知らずに気軽に話しかけてしまって……!」
「はは、いいっていいって。むしろ変に畏まられるとこっちも困るから気軽で全然構わねぇよ」
ハルウララ同様にセクレタリアトのことを詳しく知らなかったニシノフラワーはキングヘイロー達からセクレタリアトについて聞かされ、顔を真っ青にしながら頭を下げたが当のセクレタリアトは朗らかに笑いながら気にしてない様子だった。
「ほれ、そんなことより肉食え肉。沢山食べねぇと大きくなれねぇぞ〜?」
「あ、ありがとうございます……」
焼きたてホヤホヤの肉の山がドンと乗っている紙皿と大盛りの白米が添えられているお椀を渡され、折角の厚意を無下にできないニシノフラワーは引き攣った笑みを浮かべながら受け取るしか無かった。
「バーベキューと言うからてっきりアメリカンスタイルで大きなお肉が出てくるかと思ってたけど、普通の方なのね」
「いや、本当は超でけぇブロック肉でも買ってこようと思ったんだけど、普通のスーパーにそんなの売ってなくてな。業務用スーパーならあるかもしれねぇけど、わざわざ探しに行くのもめんどくせぇから普通の肉にするしかなかったんだわ」
「ひひょー! おふぁわり!」
「あいよ! ドンドンおかわりしろよー!」
上品かつ優雅に焼肉を食べるキングヘイローと、ガツガツと米と一緒に肉を口の中にかき込んでハムスターのように頬を膨らませるハルウララに囲まれながら楽しそうに肉を焼くセクレタリアトを見て、セイウンスカイはセクレタリアトが噂のような人物ではないことを実感した。
キングヘイロー達から事前にそう伝えられていたとはいえ、心のどこかでは疑っていたセイウンスカイだが、この光景を前にすればさすがに受け入れざるを得ない。
噂は所詮噂でしかない。そのことを改めて痛感したセイウンスカイだった。
「ウンスもおかわりいるか?」
「あ、どうも〜……って、ウンス?」
セクレタリアトに自分の紙皿を受け渡したセイウンスカイは、急に渾名で呼ばれたことに対して少しばかり驚いた表情を浮かべる。
「あっ……すまん、呼びやすかったからついウンスって呼んじまったが嫌だったか?」
「あ、いえ、全然大丈夫ですよー」
「そりゃよかった、ははは」
口では喜びつつも気まずそうな笑みを浮かべていることから、セクレタリアトは恐らく内心でやってしまったと思っているのが誰の目から見ても明白だった。
今日会ったばかりにも関わらず渾名を付けてきたセクレタリアトに対して、やっぱりアメリカ生まれということもあってかなりフレンドリーなウマ娘なんだな、とセイウンスカイはセクレタリアトへの人物評価を上げた。
フレンドリーさはあるとは言え、ちゃんと常識の範疇には収まっているし、他人に対してちゃんと気遣える優しさも持っている。
話せば話すほど噂のセクレタリアトと目の前のセクレタリアトがセイウンスカイには別人のように思えてきて、むしろこんなにいい人なのにどうしてあんな噂が流れるのか不思議ですらあった。
……首を傾げるセイウンスカイとは裏腹に、当のセクレタリアトは実を言うとこの時前世で呼び慣れていた渾名を咄嗟に口に出してしまっただけであり、意図せずやってしまったことに対して内心でヒッソリと冷や汗をかきまくっているのだが、彼女が前世の記憶を持っていることを知っているクリストファー以外は誰もそのことに気付いていなかった。
安易に前世の記憶と今世を混同しようとするなという意味を込めてクリストファーが無言の視線を向けてくるのをしっかりと受け止めつつ、セクレタリアトは誤魔化すようにして肉を焼き続ける。
「ほらほら、お肉を食べたい腹ペコな子は居ねぇが〜!?」
「ふぁーい!!」
「いや、どこのなまはげよ……ウララさん、おかわりはちゃんと食べ終わってからにしなさい。一流のウマ娘としてみっともないわよ?」
「そろそろお野菜も焼きませんか? お肉ばかりじゃなくてお野菜もちゃんと取らなきゃ栄養バランスが悪いですよ」
包丁の代わりにトングを両手に持ち、カチカチと鳴らすセクレタリアトにハルウララが元気一杯に手を挙げ、ツッコミつつ行儀の悪いハルウララにキングヘイローが注意し、ニシノフラワーがセクレタリアトからトングを借りて人参や玉ねぎなどの野菜を焼き始める。
その光景を見てて、セイウンスカイはふと閃いた。
「おかーさん♪ 私キャベツ食べたいな〜」
「ふぇっ!?」
セイウンスカイに突然お母さんと呼ばれたニシノフラワーは驚きのあまり危うく持っていたトングを落としそうになった。
「きゅ、急に何言い出すんですかスカイさん!?」
「いやさ〜、完全にこれ一家団欒のバーベキューとしか見えなくてね〜」
「ほう……?」
セイウンスカイのその発言を偶然にも耳にしたセクレタリアトは一瞬何かを考え込むと、すぐにニヤリとした笑みを浮かべた。
「キング
「ッ!? ぶっぐっ!?」
ちょうど肉を食べている最中にからかわれたことでキングヘイローは危うく口の中の物を吹き出しそうになり、慌てて紙コップに注いであったお茶を飲んで口の中の物を胃へと押し込んだ。
「誰がお姉ちゃんよ!? いきなり変なこと言わないでくれないかしら!?」
「ははは! キングならウララのお姉ちゃんにピッタリだからな! ウララもキングがお姉ちゃんになったら嬉しいだろー?」
「え!? キングちゃんウララのお姉ちゃんになるの!?」
「なりません!!」
「その割には結構満更でもなさそうな顔してないか?」
「うるさいわね! 気のせいよ気のせい!!」
セイウンスカイの撒いた種はセクレタリアトが乗っかる形で一気に飛び火し、被害を大きく被ることとなったキングヘイローは顔を真っ赤に染めてセクレタリアトに噛み付く。
「あはは、キング顔真っ赤じゃん! そんなに嬉しかったの〜?」
「ぐぬっ……も、元はと言えばスカイさん! アナタが急に変なことを言い出すのがいけないのよ!!」
「え〜? 私はただ見たまんまの感想を言っただけだし、からかったのもフラワーだけだから、直接キングをからかい出したセクレタリアトさんが悪いんじゃない〜?」
「いやいや、そもそもウンスがフラワーをお母さん呼ばわりしたから俺も便乗しただけであって、一家団欒とか言い出したウンスの方が悪いんじゃないか?」
「どっちもどっちよ────!!」
「キ、キングさん落ち着いてください!?」
のらりくらりと責任を擦り付けようとするセイウンスカイとセクレタリアトに対し、ついには地団駄を踏んでキレ始めたキングヘイローにニシノフラワーはアワアワと慌てる。
楽しそうに笑いながら娘をからかう
傍目から見れば配役としてはこんな感じだろうか。
【……やはり大勢で食べる飯は良いな。遠い異国の地であってもこうして楽しむことが出来る】
【そうですね。こうやって食を楽しむことに生まれも育ちも違いなんてありませんからね。楽しい会話と一緒に美味い飯を食べれば誰だって笑顔にもなりますよ】
【……違いない。だが、我々にとってはあと1つ大切な物を忘れてないか?】
【おっと、こりゃ失敬。楽しい会話に美味い飯、あとは美味い酒があれば最高ですな】
【クク……分かってるじゃないか】
缶ビール片手に少女達の楽しそうな喧騒を遠巻きから眺めている2人の大人達は、目尻を緩めながらゆったりと美味しい肉を食べ続けた。
◆◆◆
そして宴もたけなわとなり、全員の腹がいい具合に膨れてきた頃だった。
「ん……?」
「おや……?」
全く同じタイミングでニシノフラワーとセイウンスカイの2人のポケットに入れていたスマホが着信音と共に振動し、2人は揃って首を傾げながらスマホを取り出す。
そして、画面に出ているヒシアマゾンとフジキセキの名前を見た瞬間、2人は一気に血の気の引いた顔になった。
「やっばい……そういや学園になんも連絡してなかった……!」
「いつの間にかもうとっくに門限も過ぎてる時間じゃないですか……!」
ヒシアマゾンとフジキセキの寮長達からの連絡となればもはや言われることは1つ。即ち『こんな時間までどこをほっつき歩いているんだ』と問い質されるに違いない。
「いやぁ〜……こりゃ説教確定コースかな……」
「そう、ですよね……」
いつもは優しい寮長達だが、こと寮のルールに関してはとにかく厳しい。
門限を破っての帰りなど、余程の理由でも無い限り絶対に許してはくれない。絶対に怒られるに決まっている。
そのこともあって余計に電話に出づらくなっているセイウンスカイとニシノフラワーがスマホの画面を見たまま固まっていると、その様子に気が付いたセクレタリアトが2人に声をかける。
「2人とも急にどうした? なんかこの世の終わりみてぇな顔してるけど」
「あぁ、実は───」
セイウンスカイがセクレタリアトに事情を説明すると、セクレタリアトは苦笑せずにはいられなかった。
「あ〜、すまん。さすがにそこまでは考えてなかったわ……よし、代わりに俺が事情を説明しとくから2人ともスマホ貸しな」
「え、いいんですか?」
「おう、勝手にバーベキューに誘っちまった俺達も悪ぃしな」
そう言いつつセイウンスカイとニシノフラワーからスマホを受け取ったセクレタリアトはセイウンスカイ達から少し遠くへ離れた後、数分通話した後に帰ってきた。
「寮長達に説明は済んだから、2人とも今から荷物持って学園に帰るぞ。ただ、本当は車で送っていきたいところだが……」
チラッとセクレタリアトはこの場に居る大人達へと目を向けるが。
【……zzz】
「うぇへへ……もう食べられねぇよぉ……」
どちらも完全に酔い潰れ、見るも無惨な姿で夢の世界へと旅立っていた。
「チッ、ダメだこりゃ……」
トレーナー兼保護者として来ている大人達が完全に使い物にならなくなっていることにセクレタリアトは一瞬苛立たった表情を見せたが、ため息を吐きながら頭をガシガシと掻き毟って気を落ち着かせた。
「2人には悪いが学園まで歩いて帰るぞ。って言ってもさすがに2人だけで夜道を帰るのは不味いから、俺も見送りとして同行する。すまないがウララとキングは俺が帰ってくるまでそこのおっさん共の面倒を見てやってくれ。最悪何か起きそうだったらトレーナー達をどんな方法で叩き起しても構わん。俺が許す。あと、車の中に熊よけスプレーとか色々と置いてあるから有事の際には使ってくれ」
「分かったわ」
「りょーかい!」
キングヘイロー達にちゃんとそう伝えてから、セクレタリアトはセイウンスカイ達を連れて学園への帰路についた。
辺りはすっかりと暗くなり、満天の星空と大きな満月がセイウンスカイ達の頭上に浮かんでいるが、そんな光景を見て感嘆を感じていられる程、セイウンスカイ達の心に余裕は無かった。
「はぁ……今度は何を言われるかなぁ……ヒシアマゾンさん説教長いんだよなぁ……」
「スカイさんはまだ怒られ慣れてるからいいじゃないですか……私なんて初めて門限を破ったからフジキセキさんに何を言われるか全く予想がつきませんよ……」
誘われたからバーベキューに参加したとはいえ、それを決めたのはセイウンスカイ達自身だ。
ならばこそ、学園に帰れば待ち受けているであろう寮長達の説教を想像し、揃ってため息を吐いた。
しかし次の瞬間、話を聞いていたセクレタリアトの発言により2人は目を見開くこととなる。
「あぁ、それなら大丈夫だぞ。俺がお前達を強引に誘ったからってことにしといたから怒られるのは俺だけだ」
「「え……?」」
あっけからんとそう言い放ち、いやぁ〜参った参ったと言いながら軽く笑っているセクレタリアトにセイウンスカイとニシノフラワーは驚きのあまりポカンと口を開いて固まった。
「な、なんで……?」
「ん? いや、そうした方がお前達もありがたいだろ? それに、実際に誘ったのはこっち側だしな」
セイウンスカイの口から咄嗟に出てきたその言葉に対し、セクレタリアトはあくまで悪いのは自分達の方だと告げる。
「まぁ後輩を遅くまで連れ回した悪い先輩みてぇな噂は立てられるかもしれねぇが……今更だから別にどうってことねぇわ」
「そんな……悪いのは私達の方で───!」
「気にすんな……って言っても無理か。んじゃ、代わりと言っちゃ何だが、これからも仲良くしてくれや。また今度でいいから今日みたいに一緒にウララ達も含めて遊ぼうぜ。それで手打ちってことにしようや」
軽い口調で何ともなさげに呟かれたその言葉にニシノフラワーが声を荒らげるも、セクレタリアトはニシノフラワーの言葉を一蹴した。
「……今日会ったばかりの私達に、どうしてそこまでしてくれるんですか?」
罪悪感で胸がいっぱいになったニシノフラワーが口を閉ざすや否や、我慢し切れなくなったセイウンスカイは自分の中の疑問を吐き出す。
「それだけじゃない。ウララ達の指導を受け持ったのも、あんな噂が学園で蔓延ってるのを放置してるのも、そもそも日本に来たのだってどうして……!?」
まるで濁流の如く流れ出る疑問の嵐。セクレタリアトの為人を理解しても、その目的が明瞭にならないが故に、1度堰き止めていたものの決壊してしまったその感情をセイウンスカイはもはや止めることが出来ず、矢継ぎ早にセクレタリアトへ問いかける。
「……俺はな、日本に会いたいウマ娘達が居たんだ」
自分達以外には誰も居ない夜道に立ち止まり、セクレタリアトは静かに語り始めた。
「最初はただ会えるだけでよかった。あわよくば話も出来たらとは思ってたが、最悪遠巻きに一目直接見れればそれで良かった。けれど、この学園にやって来た初日、ウララの走ったレースを見て気が変わった」
見てみろ、と。セクレタリアトは懐からスマホを取り出し、少し操作をしてからセイウンスカイ達に画面を見せつける。
映し出されていたのは数枚のスクリーンショット。ウマッターと呼ばれる国民的有名なアプリに載せられていた数々の呟きだった。
『【速報】トレセン学園一の非才(笑)現る』
『トレセン学園って一流のウマ娘しか入れないって入学前に聞いてたけど、全然そんなことないのね』
『足遅すぎワロタwww』
上記は数ある呟きの中のほんの1部にしか過ぎないが、その全てはチームリギルの選抜模擬レースが行われた日に呟かれた物であり、誰に対して言ってる言葉なのかは明白だった。
「必死に頑張って走るウララを応援してくれた奴らも居るが、こうして陰口を叩くバカどもがこの学園には多いんだよ。俺にはどうにもそれが許せなくてな。全員見返してやりてぇと思ったんだ」
「ッ、だからウララを弟子に……!」
「そうだ。幸いと言っちゃなんだが、ウララはこういうのを全然見ないから、アイツはまだ自分がどんな風に思われてるのか知らねぇ。だが、これから先レースに出るようになれば自ずと人の悪意は見えてくるようになる。人ってのは自分よりも劣っている奴を叩くのが大好きだからなぁ」
なにせ、この俺がそうだったんだから、と。セクレタリアトから告げられたその言葉にセイウンスカイ達は再び目を見開いた。
「セクレタリアトさんが……ですか?」
「あぁ、今でこそアメリカのスターだとか言われてるけど、こう見えて俺はかなりの面倒くさがり屋でな。練習をよくサボっては一日中昼寝や散歩と自由気ままにのんびりと過ごしていたせいで、デビュー前の時は『のんびり屋』って呼ばれて大勢からバカにされたもんだ」
「「え!?」」
とても頼れるお姉さんとばかり思っていたセクレタリアトがそんな風に言われていたことにニシノフラワー達は驚きを隠すことが出来なかった。
ましてや、セイウンスカイにとっては自分と同じような行動をあのセクレタリアトが取っていることに対して人一倍驚いていた。
「まぁそんな練習も碌にしてねぇ状態でレースに出れば1着なんて夢のまた夢。俺のデビュー戦は4着に終わったよ……っと、そこまでだったら昔の俺にとっては別にどうでもよかった。レースなんて楽しく走れれば順位なんて関係ないと思ってたからな……だが、レース後に周りの連中からなんて言われたと思う?」
想像だにつかないその問いに2人は何も答えることが出来ず、セクレタリアトは淡々と答えを告げる。
「走るポニー、一流の親から生まれた無才の落第お嬢様、みかけ倒しの赤いデカブツ……まぁ、他にもまだあるが今思い出すだけでも散々な言われようだったな」
そう語るセクレタリアトの表情に笑みはもう浮かんでいない。あるのは凪いだ海のように静かな表情だけがそこにあった。
「実を言うと、俺もキングに負けず劣らずのお嬢様として育てられたんだが、生憎とお嬢様なんて生活は性にあわないからトレーナー……クリスおじさんに頼んでおじさんの所に住まわせて貰ってたが、うちの両親はそれでも元気に育ってくれるなら構わないって言ってくれたんだ。こんな親不孝な奴を、あの二人はそれでも愛してくれたんだよ」
だからこそ、自分だけならともかく大切な家族をバカにするような発言を耳にした時、セクレタリアトは今生で初めてブチ切れた。
「俺がバカにされるのはまだいい。だが、両親を、育ててくれたおじさんを、俺の大切な人達をバカにするのは断じて許せなかった。だから、俺はバカにしてきた奴ら全員を死んでも見返すことにした」
その果てに掴み取ったアメリカ三冠ウマ娘という称号。それがどれだけの血反吐を吐いてまで手に入れた物か、セイウンスカイ達には想像すらつかなかった。
「ウララの師匠になったのも、アイツの周りが俺の周りに居たクソ野郎共と似ていて、つい自分と重ね合わせちまったからってのもある。だが、それ以上に俺はアイツの絶対にゴールまで諦めず、仲間からの声援を背負ってなおレースを楽しんで走る姿に見惚れちまってな」
それを見たらもうダメだった、と。セクレタリアトは苦笑しながら白旗を上げるかの如く両手を挙げヒラヒラと軽く振った。
「ウララの走りが周りのクソ共のせいで穢される訳にはいかねぇ。だからこそ、俺はウララを強くすることに決めたんだ。どんな悪意に晒されようとも全てをねじ伏せられる力を手に入れさせるために」
そして、その為に学園に蔓延る噂をも利用しているのだ、と。セクレタリアトは暗に語る。
「ウララが俺の弟子になったことはいずれバレる。その時までにウララに力を付けさせなきゃ、とち狂ったバカどもがウララに何をするか分からねぇ。だから、その時までに準備が要る。そのために生徒会に無理言ってまで『裏』でコソコソとしている奴らの人数把握を徹底することにした」
「生徒会に……?」
「あぁ、実は少し前にブライアンから生徒会として今の学園の空気は見過ごせないから噂を抑えるように尽力するって内密に言われたんだがな、俺としては今のままの方がバカどもを管理しやすくて丁度いいんだ。下手に抑えちまうとそういう姑息な奴らは表には出てこようとせず、コソコソとウマッターのような場所で陰口を呟き続けるんだ。そういったSNSだと個人を特定しようにもかなり難しいが、現実世界ならちょっとした視線や仕草で大体は分かる」
あとは目に付いた連中をマークして、しかる後に片っ端から″お話″するだけだ、と。獰猛な笑みを浮かべながら拳をパキパキと鳴らすセクレタリアトに2人はかなりの本気度合いを感じた。
「ただ、そんなことしてたら今度は俺と関わったばかりにウララが孤立しちまう。自分を支えてくれる仲間ってのはレースに出る以上、思ったよりも力になるんだ。それをウララから奪う訳にもいかねぇから、今のうちにウンスやフラワーのようなアイツと仲良くしてくれる一定の人物が必要なんだ。まぁ、それとは別にして単純に俺も気に入ったから仲良くなりたいってのも本音だがね」
これが理由の全てだと。そう締めくくったセクレタリアトにセイウンスカイ達は言うべき言葉を見失っていた。
見せつけられた人々の悪意。セクレタリアトの思惑、そしてその目的。全てがセイウンスカイ達にとって予想を遥かに超えていた。
セクレタリアトが本気でハルウララを育成している理由の重さ、そして彼女の宿す全てを見返してやるという意志の強大さ、それらを全て飲み込むというのはまだうら若き純粋な乙女である2人にはとても出来なかったのだ。
「さて、いつまでも立ち話してたら寝る時間が遅くなっちまう。さっさと行こうぜ」
何かを言わなくてはと思う反面、何も言葉が出てこない2人にセクレタリアトはそう言いつつ前へと歩き出す。
呆然と立ち尽くす2人と歩き続けるセクレタリアト。その距離はドンドン開いているというのに───その赤い背はいつまでも大きく見えた。
……なおこの時。
(やっべぇ喋りすぎたか……? いやでも、さすがにウララの友達を誤魔化す訳にもいかないし……かと言ってファン魂爆発させたから日本に来ました! って言う訳にもいかねぇからそこは少し濁したけど……ギリセーフだよな? 引かれてねぇよな? ドン引きされてねぇよな俺?)
このウマ娘、内心でとても冷や汗をかいていた。
今日からスマートファルコン実装され、早速爆死しましたが代わりに世紀末覇王様が来て顔の良さに惹かれ速攻で育成を始めた結果、気付いたら1日が終わりかけていましたが私は元気です(死にかけ
いやね、アカンて……顔も良くて声も良くて更にキャラの組み合わせとイベントがエモすぎてマジでもうね……(語彙力死亡
ドンドン書きたいキャラが増えてくるのに、執筆が全然進まねぇ無力な私を許して欲しい……(泣
これからもマイペースで頑張っていきますので、応援よろしくお願いします!