Nodding anemone   作:不思議ちゃん

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八十六輪目

「おはよう、優」

「……おは、よう」

 

 まだ眠い、と強く思いながらも何かを感じて目を開ければ。

 ジッとこちらを見ていた冬華と目が合う。

 

 寝起きでまだ頭がボーッとしているし、声も掠れているが……まあ、いっか。

 

 渡すタイミングを逃し続けていたプレゼント。

 ヤることヤってからで日付が変わるギリギリになってしまったが、受け取った指輪を嬉しそうにしながら撫でている冬華を見て色々と満足である。

 

 

 

 ふと、目が覚めた。

 なんか一度起きたような気がするが、気付いたらあのまま二度寝していたようで。

 隣を見れば冬華も気持ちよさそうに寝ている。

 

 普段は知的な印象を受ける冬華だが、こう寝ている姿は無防備で、無邪気で──。

 

「かわいいな」

「んんっ」

 

 冬華の顔にかかる髪をのけながら思わず漏れた呟き。

 だけど思わぬ狸が釣れたようで。

 

「いつ起きたの?」

「優が起きた時、かな」

 

 聞かれて困るようなことでもないし、良いんだけど……なんか少し恥ずかしい。

 このままノンビリしているのも悪くはないが。

 お腹が空いてきてしまったし、シャワーも浴びたい。

 シーツもこのままってわけにもいかないため、行動に移すことに。

 

 良い天気だからと自分の服一式も洗濯機へと放り込まれてしまった。

 乾くまで裸で過ごさないといけないのかと思っていたら、服から下着まで新品で揃っていると言う。

 

 自分好みのゆったりとしたサイズでとても良いのだが、一体いつからこうなることを予想……いや、夢見て……おっと、これ以上深く考えるのはダメな気がする。

 

「「いただきます」」

 

 朝には少し遅く、昼にはまだ早い時間。

 ご飯に味噌汁、焼き鮭と素敵な朝食を用意してくれた。

 

 

 

 任せてもらった皿洗いなども済ませ、今は食後のお茶を二人でのんびりと飲んでいたのだが。

 先ほどから冬華がソワソワと落ち着きが無いように見える。

 

「どうかした?」

「へっ!? あっ、うん……その、ね?」

 

 何やら相談事というか、話したいことがあったらしく。

 友達の友達の話なんだけど、と前置きをして話し始めた。

 

 何でもその女性にはとても好きな男性がいるらしいが、その男性は既に素敵なパートナーがいるらしく。

 連絡先を交換しているし、誕生日には素敵なプレゼントを貰ったりしているが、これ以上の発展を望んで今の関係が壊れるのが怖いとの事。

 

「その人が男性のパートナーと仲が良いのなら、そこから男性に上手く伝えて貰うってのはどう?」

「……男性が鈍すぎて上手く伝わらなかった場合は?」

「あ、そっか。うーん、難しいな……他には何か情報ある?」

「……………………その男性が好きすぎて、一度寝ている時にキスをしちゃったって」

「凄いね……そういうのって実際にあるもんなんだ」

 

 ちょっと羨ましいような。

 なんてことは胸の内にしまっておく。

 

 友達の相談、って大体は自分の事ってパターンだったりするのだが……でも冬華は俺のパートナー、って事になるんだよね。

 自分の勘違いじゃなければ。

 

 だとしたら本当に友達の友達の話になる、のだろう。

 もし自分と同じタイプならもう勝利確定であるのだが……この世界の男性はそうとは限らないため難しい。

 

「優はさ、パートナーじゃないけど一緒に遊んだりする女性から寝ている間にキスされていたりしたらどう思う?」

「んー、人によるとしか言えないかな」

「そうよね……私とかだともういくとこいっちゃったし」

 

 良い感じの人がいないか冬華は考えてくれているが、残念ながら俺には友達と呼ぶような人はあまりいない。

 

「あっ、例えばだけど春とかだったら?」

「めっちゃ嬉しい」

「えっ」

「えっ」

「…………」

「…………」

「…………」

 

 

 

 …………あっ。思わず本音が。

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