Nodding anemone   作:不思議ちゃん

86 / 86
八十六輪目

「おはよう、優」

「……おは、よう」

 

 まだ眠い、と強く思いながらも何かを感じて目を開ければ。

 ジッとこちらを見ていた冬華と目が合う。

 

 寝起きでまだ頭がボーッとしているし、声も掠れているが……まあ、いっか。

 

 渡すタイミングを逃し続けていたプレゼント。

 ヤることヤってからで日付が変わるギリギリになってしまったが、受け取った指輪を嬉しそうにしながら撫でている冬華を見て色々と満足である。

 

 

 

 ふと、目が覚めた。

 なんか一度起きたような気がするが、気付いたらあのまま二度寝していたようで。

 隣を見れば冬華も気持ちよさそうに寝ている。

 

 普段は知的な印象を受ける冬華だが、こう寝ている姿は無防備で、無邪気で──。

 

「かわいいな」

「んんっ」

 

 冬華の顔にかかる髪をのけながら思わず漏れた呟き。

 だけど思わぬ狸が釣れたようで。

 

「いつ起きたの?」

「優が起きた時、かな」

 

 聞かれて困るようなことでもないし、良いんだけど……なんか少し恥ずかしい。

 このままノンビリしているのも悪くはないが。

 お腹が空いてきてしまったし、シャワーも浴びたい。

 シーツもこのままってわけにもいかないため、行動に移すことに。

 

 良い天気だからと自分の服一式も洗濯機へと放り込まれてしまった。

 乾くまで裸で過ごさないといけないのかと思っていたら、服から下着まで新品で揃っていると言う。

 

 自分好みのゆったりとしたサイズでとても良いのだが、一体いつからこうなることを予想……いや、夢見て……おっと、これ以上深く考えるのはダメな気がする。

 

「「いただきます」」

 

 朝には少し遅く、昼にはまだ早い時間。

 ご飯に味噌汁、焼き鮭と素敵な朝食を用意してくれた。

 

 

 

 任せてもらった皿洗いなども済ませ、今は食後のお茶を二人でのんびりと飲んでいたのだが。

 先ほどから冬華がソワソワと落ち着きが無いように見える。

 

「どうかした?」

「へっ!? あっ、うん……その、ね?」

 

 何やら相談事というか、話したいことがあったらしく。

 友達の友達の話なんだけど、と前置きをして話し始めた。

 

 何でもその女性にはとても好きな男性がいるらしいが、その男性は既に素敵なパートナーがいるらしく。

 連絡先を交換しているし、誕生日には素敵なプレゼントを貰ったりしているが、これ以上の発展を望んで今の関係が壊れるのが怖いとの事。

 

「その人が男性のパートナーと仲が良いのなら、そこから男性に上手く伝えて貰うってのはどう?」

「……男性が鈍すぎて上手く伝わらなかった場合は?」

「あ、そっか。うーん、難しいな……他には何か情報ある?」

「……………………その男性が好きすぎて、一度寝ている時にキスをしちゃったって」

「凄いね……そういうのって実際にあるもんなんだ」

 

 ちょっと羨ましいような。

 なんてことは胸の内にしまっておく。

 

 友達の相談、って大体は自分の事ってパターンだったりするのだが……でも冬華は俺のパートナー、って事になるんだよね。

 自分の勘違いじゃなければ。

 

 だとしたら本当に友達の友達の話になる、のだろう。

 もし自分と同じタイプならもう勝利確定であるのだが……この世界の男性はそうとは限らないため難しい。

 

「優はさ、パートナーじゃないけど一緒に遊んだりする女性から寝ている間にキスされていたりしたらどう思う?」

「んー、人によるとしか言えないかな」

「そうよね……私とかだともういくとこいっちゃったし」

 

 良い感じの人がいないか冬華は考えてくれているが、残念ながら俺には友達と呼ぶような人はあまりいない。

 

「あっ、例えばだけど春とかだったら?」

「めっちゃ嬉しい」

「えっ」

「えっ」

「…………」

「…………」

「…………」

 

 

 

 …………あっ。思わず本音が。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

やはり俺の戦姫絶唱シンフォギアはまちがっている。(作者:亡き不死鳥)(原作:戦姫絶唱シンフォギア)

歌が聞こえた。▼聞こえないはずの、歌が聞こえた。▼一つしか聞けない、歌が聞こえた。▼


総合評価:6550/評価:8.47/連載:122話/更新日時:2021年06月15日(火) 12:00 小説情報

異世界転生して騎士になった僕(男)は、メスオークどもからくっころを強要されていた。 (作者:寒天ゼリヰ)(オリジナルファンタジー/戦記)

ミリオタを拗らせすぎて軍人になり、見事出世ロードに乗ることに成功した主人公。しかし、とある事件をきっかけに非業の死を遂げてしまう。▼運よく異世界転生に成功した彼は、第二の人生で再び軍人としての成功を望み騎士となる。しかし、その世界は男が性的に狙われる貞操逆転世界で……▼現代軍事知識を武器に成り上がりを狙う主人公に襲い掛かるのはセクハラ女!ストーカー女!ナンパ…


総合評価:27099/評価:8.77/完結:714話/更新日時:2024年12月02日(月) 07:05 小説情報

過去に戻った。知らない妹が居た。(作者:金木桂)(オリジナル現代/日常)

比影壮一はうだつの上がらない27歳のニートだった。▼ふと目を覚ますと社会は10年前。見知らぬ家族はいるし、男女比狂ってるし。でもまあやれることはやろうと思う。▼1章完結しました。▼小説家になろう様、カクヨム様でも投稿中。


総合評価:9528/評価:8.55/連載:31話/更新日時:2024年12月06日(金) 18:15 小説情報

死に別れENDばかりのゲームに転生しました。(作者:超高校級の切望)(オリジナルSF/冒険・バトル)

前世で大好きだったゲームに転生したよ。大好きだけどさ………この世界に転生したいとは思わないのよ。人死にすぎるだろこの世界。せめてチートくれチート。


総合評価:11826/評価:8.4/連載:42話/更新日時:2025年01月03日(金) 18:00 小説情報

貞操逆転世界旅行(作者:貞操逆転すこすこ侍)(オリジナル現代/コメディ)

アダルトコンテンツが未発達な貞操逆転世界における映画俳優の立ち回り▼実在する人物、作品、団体とは関係がありません


総合評価:31641/評価:8.85/連載:27話/更新日時:2026年04月01日(水) 17:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>