五等分の花嫁~イベントでも五月のお団子が美味しい御話~   作:鈴木ヒロ

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4月1日
『エイプリルフール』
毎年4月1日には嘘をついても良いという風習のことである。

※朝思いつき夜に急いで書き上げたため、内容は薄く展開も無理やりな点があります。
 後日、時間ある時に清書したいと思います。

※こちらのみ移動したので投稿日が異なります。


4月1日
エイプリルフール


「学食に今日限定の牛タンランチ!?」

教科書をまとめていた手が止まる。大学の講義室で2限目の講義を終えて、腹の虫が騒ぎ始めたタイミングの衝撃的な情報だった。

「えぇ、何でも新学期初日ってことでサプライズらしいわよ。特に公表しないで食堂で初めて分かるって仕組みみたい」

「そうそう、たまたまゼミ担当の研究室に行ったら先生たちが話していたのを聞いたのよ」

仲の良い同期生の彼女たちが嬉々として話してくる。この大学の学食はどれも美味しく、大学3年目の今も毎回メニュー選びには迷うほどだ。

「こんな悠長なことをしている暇じゃないよ!早く行かないと売り切れちゃう!」

いつもなら一枚一枚丁寧に整理整頓してから片付けるプリントを、今回に限ってはファイルに閉じず雑に教科書とまとめて鞄に入れる。

「私は先に行ってるよ!後から来てね!」

友達の返事を待つことなく、許される速度の早足で食堂に向かう。途中、入口近くで談笑していた学生が不思議そうな目で見てきたがそんな事を気にしている余裕はなかった。

 

「―――って話をされて急いで食堂に向かったのにそれは嘘で、『牛タンはないですよ』って食堂の人に笑われて凄く恥ずかしかったの!ご飯に関する嘘は流石に酷くない!?」

大学帰りの駅構内、ベンチで参考書を読んでいた上杉君に偶然出会い、嫌がる彼を無理やり捕まえて近くの喫茶店で今日の悲劇を話した。

「あー、エイプリルフールか。てか普通に考えれば分かるだろ」

「上杉君まで!?だって牛タンだよ、反射的に飛びついちゃうよ・・・・・・」

何も注文せず参考書に書き込みをしている彼。対して私は鬱憤を晴らすように大きめのイチゴパフェとパンケーキを注文した。

「そもそもエイプリルフールなんてくだらない。今日に限らず嘘付いている癖に『今日はエイプリルフールだからー』とか合法のつもりで嘘つくやつの気持ちが知れない」

「全くだよ。ホント、そんな人の気持ちが知れな―――」

ピコンッ

彼のスマホにメッセージが受信されたようだ。

参考書に書き込む手を止めて、机に乗ったスマホをそのままタッチしてメッセージを開く。

 

From 中野四葉

風太郎!

今UFOから宇宙人が降りてきて誘拐されちゃった!

To 上杉風太郎

 

自然と見てしまったメール画面。おそらく姉にとっては本気の嘘だが、内容が稚拙過ぎて思わず顔を背けてしまった。

「すみませんうちの姉が」

「気にするな今更だ」

そんな彼の慣れた反応で、彼らの日頃のやり取りが容易に想像できる。

彼はスマホを手に取り、少し考えた様子で画面を操作し始めた。

(四葉だってイベントとして楽しんでいるんだ。私も誰かに嘘つこうかな)

一花は嘘ついてもバレそう。二乃は内容によっては本気で心配しそうで怖い。

三玖なら嘘ついてもバレなさそう。四葉は、まぁ・・・・・・。

(上杉君には効かないだろうな)

澄ました彼の表情を困らせたい。密かに悪巧みをしながらパフェを食べていると、彼のスマホからもう一度通知音が鳴った。

上杉君は一通り操作したスマホをコートのポケットに入れ、開いていた参考書を片付け始めた。

「用事ができた。ちょっと付き合え」

 

連れて行かれた場所は、今月オープン予定の二乃と三玖の喫茶店だった。

「二乃たちに何か用事でもあるの?」

「いいから行くぞ」

扉を開けるとお洒落な内装には合わない野性的で美味しそうな匂いが充満していた。

「あ、来たわね。いらっしゃい」

「フータロー、四葉、もう少しでできるから席に座っていて」

促されるまま席に着く。店内を見渡すと、内装はオープン前ということもありほとんど完成しているが、ところどころ段ボール箱がおいてある。

「えぇっと、二乃、何が何だか分からないのだけど・・・・・・」

「はい、お待たせ」

私と上杉君の前に運ばれたのは湯気をまとった鉄板。その上に乗っているのは厚めに切られたお肉だった。

「これは、牛タンですか?」

「正解。たまたま、商店街の特売になっていたから買ってきたのよ」

「二乃、3店舗くらい見て回ったけどね」

「うるさいわよ三玖!」

逃げるように厨房に戻る三玖と、それを追いかける二乃。

まだ理解しきってない私とは対象に、上杉君はそれを気にすることなく牛タンに手をつける。

「これが牛タンか。初めて食べたが歯ごたえがあるな」

決して小さくはないひと切れを一口で食べたせいか、頬を大きく動かして頑張って噛んでいる。

そこに二乃が透明なドリンクを持ってきた。前に二乃がお冷代わりにレモン水を使う、と言っていたのを思い出す。

「私も牛タンは焼いたことないから味付けが分からなかったわ。とりあえず塩とレモンで味を付けたけどどうかしら?」

「あぁ、普通に上手いぞ」

「フー君のそれは素直に誉め言葉として受け取るわ。癪だけど」

「そんなこと言われてもなぁ。俺に繊細な味付けが分かるはずないだろ」

「味もそうだけど、急に言われてこの出来栄えなんだから、もっと褒めて欲しいわ」

「あ、いやぁ、今日誉めたら嘘と思われそうだからな」

「それこそ嘘じゃない」

そんな2人を見て自然と口が動く。

「ありがとう、二乃」

突然のお礼に二乃だけではなく上杉君も固まった。

「私のために急いで用意してくれたんでしょ。ありがとう、これは嘘じゃないよ」

本気で拗ねていた訳じゃない。少しだけ心残りあっただけなのに、わざわざ用意してくれた姉妹思いの姉に感謝を。

「それに三玖もありがとう」

「私はほとんど何もしてない。二乃が頑張ったから」

「別に感謝されるほどじゃないわよ。ただ、次までに勉強しておくから今度は早めに言いなさいよ。・・・・・・テールスープも作りたいし」

料理上手の二乃のことだ。次お願いした時は老舗にも負けないくらいの牛タン定食が出てくるだろう。

それから―――

「―――ありがとうね」

「なんの話だ」

「何でもない。ただの独り言」

4月1日。嘘が飛び交う日も悪いものではない。

 




日を超えてないギリギリ4月1日。

こういうイベント物もあったら面白そうかな、といった試作品です。
余裕があれば事前に書き溜めておき、ある程度溜まったら特別編専用のページを作ろうかと思います。

また、誤字脱字誤表記がいつもより多い可能性があるので、時間ある時に再度書き直したいです。

みなさんは嘘がある1日を過ごしましたか?
鈴木は上司に「今月減給ね」と言われてマジで焦った1日でした。
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