五等分の花嫁~イベントでも五月のお団子が美味しい御話~   作:鈴木ヒロ

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3年進級〜修学旅行編の辺り
中野家マンションにて勉強会

※原作では、この時期は5人で借りたアパートで生活していますが、今回は夢の内容を都合よく編集したものなので、「こんな場面もありそうだよなぁ」くらいの軽い気持ちで見てもらえると嬉しいです。


とある日の話1
眠れる上杉の裏側で


「…くん、上杉くん」

「–––っんはっ⁈」

呼びかけに反応して風太郎の意識が覚醒する

勢いよく顔を上げると、5人の似た顔が揃って風太郎を見ていた

「大丈夫ですか…?」

「あ、あぁ、大丈夫だ」

声を頼りに横を見ると、五月が心配そうに覗き込んでいる。改めて見渡すと、五月だけではなく、一花、二乃、三玖、四葉も同じような表情をしていた。

風太郎はその視線に罰が悪くなり、思わず視線を合わせずにそっぽを向いてしまう。

「すまんな、ちょっとうたた寝してたようだ」

「うたた寝というかガッツリ居眠りしてたわよ…」

風太郎の大事が確認できたところで、二乃が心配半分呆れ半分で訂正する。

風太郎はその言葉に恥ずかしくなったのか、わざとらしく咳をついてからパンッと手のひらを叩いた。

「さぁ、勉強を続けよう!何か分からないところがあれば遠慮なく聞いてくれ!」

威厳を取り戻すように大きめな声を出す風太郎に対して、五つ子全員が顔を見合わせて、1つの結論を出した。

「もちろん、勉強はするよ。でもフータローくん」

「フータローは私たちに気にせず、少し休んで」

「そうですよ上杉さん!睡眠は大事です!」

「フー君がそんなんじゃ私たちも集中できないわ」

「いやしかしだな…」

普段から睡眠を削ってるせいで睡眠不足の感覚が狂っている彼としては、この程度でと考えてしまう。さらには、責任感の強さから自分だけが寝ているわけにはいかない、という気持ちもある。

「ではこうしましょう」

今度は五月が手のひらを合わせて、強情な彼に妥協案を提示する

「今から1時間、私たちは問題集に付いていた模擬テストを始めます。その間、上杉君はやることがないので仮眠していてください」

その案に他の姉妹全員が納得して、各々が声を出して彼に促す。

いやそれでも、と引き下がる風太郎だが、自分が集中を乱す原因だと二乃に言われたことを思い出し、渋々と頷いた。

決まれば早く、どこで仮眠するのかという話になった。

二乃と三玖は自分のベッドを使っていいと勧めたが、それは風太郎が強く否定した。

一花も立候補したかったが、自分の汚部屋を思い出して自粛した。

自分はそこら辺の床でいいと風太郎が提案するも、客人にそんなことはできないと今度は五つ子側が強く否定した。

短い話し合いの末、勉強しているここリビングルームにある三人掛けソファーを使用することになった。

「んじゃ言葉に甘えて休ませてもらう…が、1時間後にちゃんと起こせよ?」

「分かってるってー、フータロー君は心配性だなぁ」

「テスト形式として、タイマーセットしてるし大丈夫。フータローこそちゃんと休んでよ」

まだ不服そうな様子の彼だが、一度ソファーに横になれば一気に睡魔が襲ってきて、抗う余裕もなく意識を失った。

イビキこそないが、聴こえる程度に寝息を立てて、それを確認してようやく一同は安堵する。

「やっと寝ましたね」

「上杉さん、私たちの家庭教師だけじゃなくて自分の勉強もあるもんね。そりゃ寝不足にもなるよ」

「そうそう。睡眠は大事だよ」

「一花、アンタの場合は寝過ぎよ」

そうして各々がテスト用紙に向き合おうとする中、三玖だけがジッと風太郎から目を離さなかった

「ちょっと三玖、いくらフー君が気になるからって–––」

「違う、フータローに何かかけなくていいかなって」

室内は決して寒くはなく適温だろう。しかし、寝ている人を見れば何か掛けてあげたくなってしまう、それが好意を持っている相手なら尚更だ

「そうだねー、上杉さんに何か布団とか持ってきた方がいいかな」

「あ、じゃあ私が部屋から布団持ってくるよ。私の部屋が一番近いし」

「そんなの誤差じゃない!…そうだわ、私のブレザーを代わりに–––」

「二乃のブレザーは匂いが強すぎる。フータローが起きちゃうかもしれない」

「言い方!それじゃまるで臭いみたいじゃない!」

「似たようなもの。人によっては臭い」

「こ・う・す・い、よっ!そんな下品な付け方はしてないわよ!」

「2人とも!上杉くんが起きてしまいますよ」

日常的な小競り合いならしばらく続ける2人だが、意中の相手が休んでるところで騒ぐことを良しとしないのは共通のようで、五月の一言で我に返り何とか矛を収めた。

「とりあえずフー君にはバスタオルを掛けましょう。それなら全員文句ないでしょ」

「文句も何も、言い争いしてたのは二乃と三玖だけなんだけどなぁ…」

あはは、と乾いた笑いで一花が話し合い(2人の言い争い)を締めた。二乃が浴室からバスタオルを持ってくると、それを風太郎のお腹を隠すように掛ける。バスタオルとはいえ、彼の身長を覆い被せられるサイズではない。

「さて、彼の件はこれで終わりですね。さぁ、上杉くんが起きるまでにテストを終わらせましょう」

音が鳴らない程度に手を叩いて全員の集中を戻そうとする。しかし、

「いえ、まだよ」

バスタオルを掛けた二乃はその場でクルリと他姉妹の方に向き直る。

ポカンとする四葉と五月とは逆に、一花と三玖はその発言に納得して二乃の視線を見返す。

「そうだね。そこにフータローくんが寝てるとなると」

「次に話し合うべきは、誰がフータロー近くのソファー側に座るか」

うんうん、と頷きながら視線で互いを牽制する3人。剣術家が間合いをはかっているような雰囲気に、四葉と五月はアワアワと三者を見回す。

「そうね。座るだけなら3人掛けソファーだし、3人座れるわ。でも」

「勉強、って考えると2人が丁度いいよね」

二乃、一花が共通認識をすり合わせて、三玖が相槌で反応する。

最終的に、四葉五月を巻き込んだ五つ子ジャンケンの上位2名が上座(ソファー側)を手に入れる事となった。

こうなると、何となく結果が見えるようで–––

「えぇっと…私たちで良かったのかな…」

「しょっ、勝者の義務です!仕方がなく、仕方がなくです!」

勝利の女神は欲のない者に微笑んだようで、1発目で四葉と五月が勝利を手にした。

もちろん2人は辞退したが、三玖が「悔しいけど、公平な結果」と、二乃は「あんた達2人なら妥協できる」と、一花も意味深な笑みを浮かべて頷いた。

歪ながら5人の気持ちがまとまったところで、ようやくテストに手をつけ始めた。

彼が起きるまで終わらせないと、仮眠を勧めた手前ものすごく怒られる事を想像できる。5人は各々のシャーペンを握ってテストに立ち向かった。

しかし開始10分、誰かが消しゴムを落としたのを皮切りに、5人の集中力に切れ目が見え始めた。

まずは二乃。視線が四葉と五月の間を抜けて風太郎の寝顔にそそがれ、表情が崩れがち。

次に一花。他姉妹(特に二乃)を見回しながら、問題に手を付けず何かを考えている様子。

そして三玖。二乃と同じく風太郎に視線を送るが、二乃と違ってジッと見るのではなく、チラッと見てはテストに戻りを繰り返している。

四葉はうーんっと口に出して悩むことが増え始め、五月も行動にこそ出ないが、二乃と一花(たまに三玖)の視線に気付くほどには集中が切れている。

「皆んな!ちゃんと集中してください!」

「き、急にどうしたの五月ちゃん」

「ちょっと五月!立ち上がったらフー君の顔が見えないじゃない!」

「わ、私は別にフータローを見てないっ」

「うわっビックリした!どうしたの五月?」

四者四様の後、あーだこーだの言い合いが始まった。

さて、ここまで来るとオチは決まった様なもの。

テーブルを挟んで五つ子喧嘩が始まっている後ろで、ソファーからむくりと起き上がる姿があった。

それに気づいたのは反対側にいた一花、二乃、三玖。そして五月をなだめる為に偶然にも体の向きを変えていた四葉だった。

急に鎮まる4人を好機と見た五月は、ドンっとテーブルを叩いて注意を集めようとした。

「テスト中なんですから!皆んな静かに集中して–––」

「静かにするのはお前の方だァァァ!」

「きゃぁ!?」

突然背後から声が上がったことにビックリして勢いよく振り向く五月。そこには当たり前だが、寝起きの風太郎だった。

「お前が一番真面目だと思っていたが、まさか俺が寝ている隙に騒いでるとはなぁ…この馬鹿が!」

「んなぁっ!?ば、馬鹿とは何ですか!私は貴方の為にと思って注意したのに、貴方には人を思いやる気持ちがないのですか!?

「人が寝ている所で大声を出すやつが、人を思いやる気持ちを語るな!大体お前が発案者で仮眠を取り始めたのに–––…」

「それを言うなら貴方だって–––…」

2人の喧嘩は他4人が仲裁に入ってもしばらく続いた。

こうして彼と彼女らの勉強会は、思い出の一コマとなって幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




思いつきの執筆です。
前書きにもありますが、こちらの内容は私が夢の中で見た内容を、都合よく精査・編集して執筆したものです。
ちょうど5人のコミカルな絡みを書きたかったので、書いていてとても楽しかったです。
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