トレーナーさんは眠らない(ガチ)   作:HK416

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『笠松音頭』

 

 

 

 

 前日の急な参加者を交えた水練は何の問題もなく終了した。

 

 フジは寮長らしく面倒見の良さを発揮。

 不機嫌になっていたスズカと泳ぐこと自体に四苦八苦していたオグリの指導を手伝ってくれた。

 初めの内は大丈夫かなー、と心配していたが、其処は見た目もメンタルも宝塚系。

 元々寮長として顔見知りでもあったのも相俟って、心配は無用の長物だった。

 

 オレも含めた全員でキッチリ礼を言い、そのまま解散。

 

 

「ああ、そうそう。今度、お茶でもどうだい? 私だけでなくマルゼンさんや他のリギルメンバーも含めて」

「え……いやー、まあ、それはー……」

 

 

 ――になるかと思われたが、フジからの唐突なお誘いがあった。

 

 これまで会ったリギルメンバーは態度を見るに、オレの状態は既に知っていると考えていいだろう。

 だが、オレが相手の地雷を踏まないとは限らない訳で。正直、躊躇した。

 人を無自覚に傷付けてしまうのは仕方ないと覚悟していても、傷付ける可能性が高い場に出るのは流石に二の足を踏む。

 

 

「あぁ、安心して欲しい。フォローはするさ。君のために、ね」

 

 

 オレの右手を取り、安堵させるように微笑むフジ。

 刻まれた笑みは正に王子様と言った次第。こ、これが噂のスパダリ……! いや、違うか?

 

 

「ふぅーーーーーーーー………………」

「ど、どうかしたのかい? 急に溜め息なんて吐いて」

「いや、ちょっと本当の自分をね? 取り戻してる最中でね?」

 

 

 オレの長い長い溜息に、フジは動揺を見せたがそれどころではない。

 

 余りのイケメンぶりに、女の子にされてしまうかと思った……!

 精神に潜んでいた女性性を無理やり引き摺り出された気分。

 

 男性アイドルのライブに参加して、女性と一緒にきゃーきゃー騒ぐ男の気分が分かった気がする。

 そら男だって自分にはない男の魅力みたいなものを見せつけられれば騒ぐだろう。

 尤も、フジの場合は女性的な柔らかい魅力も詰まっているので、極めて中性的な雰囲気ではあるが。

 

 いかんいかん、雰囲気に圧倒されている場面ではない。返事をせねば。

 

 

「分かった、フジの誘いなら断らないよ。必ず呼んでくれ」

「ンン゛ッ!」

「ど、どうしたの?」

 

 

 オレの返答に、フジは鈴の音色を連想させる普段の声色からは連想すらできない低い声で呻く。

 頬を紅く染め上げて、口唇を噛む様は何かに堪えているかのようだった。

 

 

「ふーーーーーーーーーーーー………ポニーちゃんにされるかと思った……」

「なんて???」

「ふ、ふふ、久し振りの破壊力を体験してね。これがギャップの破壊力…………普段からずっと真剣でいてくれないかな? 私の為に」

「普段はずっとふざけてるみたいな言い方やめてくれる???」

 

 

 水着のまま胸元を握り締めたフジからの提案は流石に心外だった。

 一体どんな気分だったのか、目を合わせようとしてもくれない。

 

 いや、確かにちゃらんぽらんの御気楽極楽、能天気に前向きな自覚はあるが、この反応はいくらなんでも酷過ぎねぇ?

 

 

「ま、まあ、兎に角、準備が出来たら連絡するから。絶対に来てよ、絶対だよ!」

 

 

 そう言って、フジはそそくさと帰っていった。

 

 普段は自信と色香に溢れた立ち振る舞いは消え去っており、何と言うか年相応な感じだった。

 歩き方からして身体の方に異常はなかったようだったが、一体彼女に何があったと言うのか。

 

 とは言え、其処まで心配はあるまい。

 フジの潜在能力はそれほどまでで、其処におハナさんの卓越した管理と指導能力が加わる。

 屈腱炎の再発の可能性を鑑みて未だデビューしていないが、出走したらあっさりクラシック三冠達成なんてことも在り得るかもなぁ。

 

 うん、これは負けていられないな。がんばるぞ、おーっ!

 

 

「はい、というわけで本日のレッスンを始めまーす」

「や、やる気がまるで感じられませんわ!!」 

 

 

 ――――なんて考えていたのは昨日の話。

 

 本日のオレはとことんやる気がないのであった。

 

 

「ど、どうしてそんなに……」

「トレーナーは何時もニコニコしているがやる気はあるのにな。今日は溶けたアイスのようだ…………アイス、食べたいな……」

「オグリ先輩、それはご飯のデザートにして、ね……?」

「デザートにアイスまであるのか。これが中央……!」

「…………はあ」

 

 

 オレはダンスレッスン用のスタジオに身体を投げ出して不貞寝していた。

 

 本日はコースもプールもジムも借りられなかった。

 仕方なしに稽古スタジオを借りてダンスレッスンにした。せざるを得なかった。

 

 オレの余りのやる気のなさに皆はそれぞれの反応を見せている。

 

 唖然とした表情でオレを見下ろすマックイーンにスズカ。こんなやる気のない姿を見せたのは初めてだから仕方ない。

 しゃがみ込んでオレの頬をツンツンしてくるオグリ。溶鉱炉の前のスーパーカップみたいになったオレからアイスを連想しているらしい。

 涎を垂らすオグリの口元を優しく拭いて諭すライス。自分のハンカチが汚れることすら厭うていない。やはり大天使か。

 そして、盛大に溜息を吐いている皇帝様。ただ、反応を見るに予想だけはしていたみたい。

 

 

「会長、これはどういうことですの……?」

「まあ、その何だ……トレーナー君は基本ダンスレッスンではやる気がない」

 

 

 困惑気味にマックイーンはルドルフへ問い掛けたが、見たままの光景を語られるだけ。

 

 意味分かんねーよ。

 レースで脚に負担かかってんのに、なんでその後ウイニングライブで歌って踊って更に負担かける真似すんの?

 

 ライブは基本、入着上位3名がそれぞれのポジションで、それ以下はバックダンサーとして歌って踊る。

 それもレース終了まで結果が分からないにも関わらず、だ。

 つまり、レースに出走した娘は最低でも1着、2着、3着、バックダンサーの振付と自分の歌詞パートを覚えねばならないことになる。

 

 アホなのか?

 学生生活、レースのトレーニングに加えて、ダンスレッスンて。

 もう全てがウマ娘の脚に負担を強いるシステムになっている。

 そんなんやってるからガラスの脚って形容されるほどポコジャカ壊れてしまうんだ。

 

 その癖、中央のお偉方はウマ娘よりも収益の方が大事なのか知らんぷり。

 世間もライブ中止にすると騒ぎ立てる癖に、故障したらトレーナーやトレセン学園が無理をさせていたに違いないと責め立てる。

 もうさー、ウマ娘を大事にしてるつもりなのだろうが、やってることはひとりの人生を娯楽として消費しているだけと気づいて欲しい。

 

 これが世界の歪み……!

 武力介入をせざるを得ない。いや、何処に武力介入すればいいかさっぱり分からないが。

 

 というわけで、オレはウイニングライブ廃止過激派なのである。

 

 

「そうは言ってもだ、トレーナー君。観客はライブも含めて一日千秋の思いで私達を待っている。期待を裏切るべきではない」

「知らねえ、関係ねえ、ライブやらせたくねぇ。オレは知らん人の期待に応えるよりも君等の人生の方が大事なんですー!」

「…………む、ふふ、そうかそうか。それほどまでに私のことを……ふふっ」

「むむむっ……トレーナーさんは会長だけを気に掛けているわけじゃありませんからっ」

「いや、これは私についてだけ言っているに違いない……もはや告白のようなものだな、ふふっ」

「違いますっ!」

「ほら、トレーナーさん、会長とスズカ先輩がバッチバチにやり合ってますわよ。何時ものように何とか収めて下さいまし」

「ライスも一緒に頑張るから……ほ、ほら、頑張るぞ、おーっ!」

 

 

 バチバチと火花散るルドルフとスズカ。

 しかし、そんな光景は最早日常茶飯事なので、慣れてきたマックイーンは軽く無視しつつも出汁に使ってオレにやる気を出させようとしていた。

 ライスは飛び交う火花にビクビクとしながらも、いつものおまじないをやっている。

 そしてオグリは相変わらずオレの頬をツンツンしてる。

 

 二人の華奢な身体からは想像も出来ない力で、ぐいと腕を引っ張られて無理やり上体を起こされた。

 くそぅ、真面目ちゃんどもめ。今度その優等生面が二度と戻らないように、三人揃って幸福いっぱい腹いっぱいのスイーツ天国に連れて行ってやるからなぁ……!

 

 三冠バトレーナーの給料を舐めるなよぉ、オグリの胃袋を簡単に満たしてやれるくらい稼いでんだ、こっちは。

 なおその時の記憶がないので使うのは怖い模様。オレ、本当に犯罪行為とかに手を染めてませんよね?

 

 取り敢えずルドルフとスズカは放置しておく。

 どうせ見栄と意地を張ってるだけで、殴り合いどころかキャットファイトにすら発展しない。

 

 何のかんのこの二人も仲が良いのだ。

 ルドルフは有望な後輩として可愛がっているし、スズカは超えるべき壁であると同時に尊敬する先達として見ている。

 時々、歯車が噛み合わなくなる時があるだけだからへーきへーき。流血沙汰になるならオレが意地でも止めるし。

 

 

「メジロ家のウマ娘としてウイニングライブで恥をかくわけには参りません。それにほら、トレーナーさんなら足腰に負担のかからない踊り方も分かるでしょう? 御指導お願い致しますわ」

「へーい…………はぁん、駄目だ。力が入らない。見てほら、生まれたての小鹿」

「ハッ……確かにそっくりかもしれない……!」

「ふぐぐぅ――!」

「んぐっ、ひぇっ……ト、トレーナーさん、貴方という人は……!」

 

 

 立ち上がろうとするもやる気がなくて膝と腰に力が入らない。

 両手両足を床に付けたまま、力が入らないよアピールのために手足をぷるぷるさせてやる。

 

 そして続くオグリの迫真の表情と肯定を見たマックイーンとライスは堪えきれずに噴き出した。

 

 デデーン、マックイーン、ライス、アウトー! 

 

 ふっ、流石はオグリ、ナイスアシスト。

 狙ってないのに笑いを取りに行くなんて才能の塊だ。オレ達は無敵のお笑いコンビだぜ!

 もうこのままボケ倒して、ダンスレッスンの時間も踏み倒してやる……!

 

 それでウイニングライブで担当が恥をかいたらどうするか?

 じゃあもう面倒だからライブ会場に爆破予告の電話してライブそのものを中止するね?

 オレが逮捕されるのは考えないものとする。

 

 それぐらい嫌なんだよ、ライブ。

 観客は大喜びしてるかもしれないけど、オレはいつ脚が壊れる音が聞こえるかと気が気じゃない。

 

 やるのはまだいい。

 それがこれまでの伝統と慣習であり、無意味とは言わない。

 ファンだってウイニングライブを楽しみにしている側面もある。

 そのために決して安くない金でチケットを買っている以上、相応の権利というものは発生する。

 

 だが、そこはそれ。

 オレは断じて彼女達を娯楽としてなど消費させん。

 脚に不調変調が発生したら断固としてライブ中止を宣言するし、ライブ中に異変が発生したらステージに飛び込んででも止める所存である。

 

 

「しかしトレーナー、二人の言うことも尤もだぞ。私もカサマツにいた頃、ウイニングライブでやってしまってな」

「え? 何を?」

「ウイニングライブでカサマツ音頭を踊ったのだが、新聞で槍玉に挙げられてしまったことがある…………よくよく考えてみると何故なんだ?」

「いや、オグリキャップ、それはそうだろう……」

「ウソでしょ……」

「何故だ、一生懸命踊ったのだが……」

 

 

 マジかよ。

 コイツ、新聞の一面を飾った理由が分かってない……!

 

 何時の間にやら睨み合いを終えたルドルフとスズカも来て、皆と一緒に唖然としている。

 

 槍玉に挙げられもするだろう。

 ローカルシリーズだって設備も少ない中で簡易的なウイニングライブはある。

 中央から離れた土地では数少ない娯楽。中央(こっち)でもそうだがレースよりもライブの方を楽しみにしている客だっているに違いない。

 

 其処でお出しされたのが盆踊り。

 

 観客は確実に真顔でポカン、地方新聞も一面飾らずを得まい。

 

 クソ……クソゥッ! 何だよ、それ面白い!

 そういう感じのライブなら見てみたかった!

 皆が真面目なダンスを期待してる中、盆踊りをお出しするんだぜ?! そんなの絶対面白いじゃん!

 

 

「よし、我々チームはライブの際にはカサマツ音頭を踊ろうと思います! 世界に広がれカサマツ音頭の輪!」

「トレーナーは分かってくれるんだな、カサマツ音頭の素晴らしさを……!」

「却下だ」

「嫌です」

「お断りしますわ」

「ラ、ライスもちょっと……」

「ダメかーーーーーーー!!」

「何故だ……」

 

 

 勢いで押し切ろうとしたけど駄目だった。

 割と真面目にいいと思うんだけどなぁ、盆踊りライブ。

 ライブ会場の中心にステージとやぐら立ててさ、その周りをウマ娘が踊るわけだ。

 で、観客も一緒に踊る。サイリウム振るよりも絶対一体感あって楽しいよ。

 

 そう考えると是が非でもやりたくなってきた。

 いきなりライブは無理だから、ファン感謝祭の日にお試しでやって大盛況だったらそのまま押し通してライブに正式採用して貰おう。

 何がいいって、盆踊りみたいなゆったりした動きならそんなに脚へ負担がかからないのが最高だ。

 

 

「全く、斬新奇抜も結構だが、少しは真面目に、な。私の時はそれなりに真面目にやっていたぞ?」

「それは多分ルドルフの気持ちを汲んでいただけであって、内心は死ぬほど嫌だったと思う」

「其処までか…………むっ?」

(つまり、私の時は――――私の時だけは、ということか。他意はないのだろうが……ふむ、これは悪くない、悪くないな、ふふふっ)

「どうしたんだ、突然笑い始めたよぉ?」

 

 

 今の今までしかめっ面だったのに、突如として微笑み出すルドルフ。

 マウントルドルフ、ションボリルドルフ、嫉妬リルドルフと続いて今回はニッコリルドルフですね、これは。

 どれだけバリエーションが増えてしまうんだ、我が皇帝様は……!

 

 分からん。ルドルフの情緒が分からん。

 負の感情ではなく正の感情だからまだいいが、情緒不安定は情緒不安定だと思う。 

 でも怖いので、それ以上触れないでおく。

 なんかぽやぽやしているから大丈夫だろう、多分……!

 

 

「しかし、スズカがライブにやる気なのはちょっと意外だな」

「そう、ですか? うーん……何だか、多くの人に夢を魅せてあげられるような気がして」

「成程、ちょっと誤解してた。ゴメンな、ずっとスズカのこと先頭民族だと思ってたよ」

「せ、先頭民族?!」

「ああ、確かに……」

「そういうところありますわよね……」

「ウソでしょ?! 皆の中で私はそういう感じになってるの!?」

 

 

 ストイックというか、スズカのレベルまで行っちゃうともうちょっと怖いレベルだもん。

 レースに出ても周りの競争相手とか一切気にせず先頭だけ走って、終わるとファンサもせずに悦に浸ってそうなところあるじゃん。

 

 寝ても覚めても頭にあるのは先頭を走ることだけ。それが先頭民族である。

 “唯一抜きん出て並ぶ者なし(Eclipse first, the rest nowhere.)”は学園の標語だが、多分スズカみたいな意味じゃない。

 

 オグリとマックイーンがやや引き気味にスズカを見ている。

 どうやらオレと同じようなことを考えていたらしい。オグリに引かれるとか相当だぞ。

 

 

「ラ、ライスは、いいと思う、よ……?」

「ラ、ライスちゃん……!」

「ほんとぉ? ライス、無理しなくていいんだぞ。引いてるなら引いてるってちゃんと言ってあげないと、本人は何時まで経っても先頭民族だって気付かないんだ」

「また言った! 折角ライスちゃんがフォローしてくれたのに、どうしてそういう意地悪ばっかり言うんですかぁ!」

 

 

 スズカは顔を真っ赤にしただけでなく耳まで垂らして、涙目でポカポカ背中を叩いてくる。

 ウマ娘の力で叩かれたらドワォ! バキィ! と音がするがポカポカと可愛く済んでいる辺り、スズカも自分自身に思うところがあるようだ。

 

 冗談は兎も角、良い傾向だと思う。

 

 独特の世界観と価値観を持つことはいい。

 それは天才にのみ許されたある種の特権で、才能をより伸ばすために必要な要素でもある。

 

 しかし、閉じた世界には限界がある。

 膨れ上がった才能と能力に精神は驕りを抑えきれなくなり、周囲もまた理解から遠い位置にいる存在を忌避するものだ。

 俗に天才と呼ばれた者の生涯が悲劇と共に幕を引くのはそうした理由ではないか、と愚考する。

 

 他人の言葉に耳を貸せる余裕の分だけ視野が広がり、彼女の世界は広がっていくだろう。

 そうして得られるのは理解と助け。天才であるだけでは得られない強さが其処にはある。

 

 ……スズカも成長している。

 走るばかりではなく、見たい景色ばかりでなく、他者の夢にまで目を向け始めている。

 ならば、オレも手は抜けない。ようやくやる気のエンジンがかかってきた。

 

 

「よーし、やるかー」

「ようやく、ですわね。もしかして、ダンスレッスンは出来ない、とは仰いませんよね?」

 

 

 ちょっと前振りが長くなりすぎたのか、マックイーンが両腕を組んだジト目を向けてくる。

 成程、確かに心配にもなるか。オレがやる気のないのは、ダンスの指導が出来ないから、と思っても仕方がない。

 

 勿論、そんなわけがない。

 拷問部屋はトレーナーの専門学校。必要な知識も技能も全てが叩き込まれる。

 無論、歌やダンスの指導は言うまでもなく、ライブの演出なども学ぼうと思えば学ぶことが出来た。

 

 

「そりゃそういうのも勉強してるが――――オレよりも上手な奴がいてね。特別講師をお呼びした」

「「「特別講師……?」」」

「そう、ウマ娘をキラキラさせる天才だ!」

 

 

 オレの言葉に、ライスとオグリとスズカは揃って首を傾げていた。

 マックイーンなんて、またいい加減なことを、と言いたげだ。

 

 講師らしき人物を連れてきていないので、それも当然。

 だが実は、特別講師は初めからスタジオの中に居た。

 

 コースなんかもそうだが、他のチームと使用が被る場合もある。

 自分の担当するウマ娘の情報を少しでも絞っておきたい場合は、被らないように気を付けるのがセオリー。

 トレーナー同士が相談し合い、そうでなくとも申請を受け取る学園の事務側が気を使ってくれる。

 

 しかし、レースに直接関係のないスタジオ、ジム、プールなどはその限りではない。

 事前に担当トレーナーへとどこそこのチーム、或いは担当と一緒に使用して欲しいとの旨で連絡が入って合同使用する。

 今こうしている間も、スタジオの離れた場所で別チームが此方を気にせずダンスレッスンに没頭していた。

 

 オレは今日、このスタジオを使用するに当たって頼もしい講師を見つけていたのである。そう、その別チームの中に!

 

 

「頼むぜ、南坂ちゃん――!」

「え、僕ゥっ!?」

 

 

 その孤独なシルエットは、紛れもなく奴さ。

 オレの幼馴染にして後輩にして、チーム“カノープス”を引き継いだトレーナー、南坂ちゃん!

 

 

「いや先輩、僕なにも聞いてないですからねっ?!」

「細かいことは言いっこなしにしよう南坂ちゃん!」

「んんんんんんん、いつもこれだこの人は~~~!」

 

 

 

 

 




南坂トレーナーの紹介は次回で。

今回も思いついた別世界線。



アグネスタキオン


ウマ娘でも在り得ない眠らない体質に目を付けたタキオンにモルモットにされる。
相性はそんなによくない。一歩間違えればどっちも破滅しかねない。
が、トレーナーがそれに気付くので、基本相手に合わせてる奴にしては珍しく自らハジケリスト化。狂気に勢いで対抗する。


タキ「ふふ、いいモルモット君が手に入った。さて、今日も研究を――――」
トレ「なぁにトレーニングサボってんじゃボケェ! オラ、対ウマ娘犯罪用ネットランチャー発射ぁ!」
タキ「ぬわーーーーーーーーーーー!!」
トレ「何が研究じゃ! そんなことよりフォーム改善だ!」
タキ「くっ、この程度、ウマ娘の身体能力ならば……!」
トレ「バカなのか? ウマ娘犯罪用だっつってんだろ。倒れてる奴を引きずってくのに身体能力関係ありませーん(ズルズル」
タキ「いやこら拉致だよ!」


そして始まる私とモルモットくんの千日戦争。
扉を塞がれれば屋上からラペリング降下して窓から突入。窓も塞がれれば隙間から消火器をぶち込むして、あの手この手でトレーニングさせるトレーナー。タキオンは時々大泉洋になっちゃう。

薬などに関してもトレーナーのつもりだけどモルモットのつもりはないので断固拒否。


タキ「ちょうどいい。モルモット君、紅茶でもどうかな?」
トレ「(コイツなんか入れたな)貰うけどタキオン、この前作った薬の成分表見せろ。警察にでも入ってこられるとオレとお前だけじゃなくて学園が困る」
タキ「やれやれ、信用がないなぁ……さて、何処だったかな、と(ゴソゴソ」
トレ「…………」←自分とタキオンの紅茶を入れ替える
タキ「ああ、これだ。ほら……うーん、今日もいい香りだ、味も上出…………」
トレ「ぶふぉ! お、まえwwwwマwジwかwよwww黄緑色に発光してんぞwwwwwこうはならんやろwwwww」
タキ「なにわろてんねん」
トレ「オメーが人に何飲ませようとしてんだよ、イカれてんのか?」


頭脳と身体能力で敵わないなら小技と人間力で対抗していく人間の鑑。
が、最後まで見捨てないし離れもしないので、何のかんの信用は得られる。


トレ「おーいタキオン、メシ出来たぞー」
タキ(…………あれ? モルモット君を飼育してるつもりだったけど、飼育されてるの私のほうじゃ?)


最終的にこうなる。
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