トレーナーさんは眠らない(ガチ)   作:HK416

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いつも感想、誤字報告ありがとうございます。
大変励みとなっています!

そして、フジキセキが来ますねぇ!
よくぞナーフせずに実装してくれた! 性能に関わらず回すぞ回すぞぉ!

では今回は完全にギャグ回です。どぞー。



『喧々諤々』

 

 

 

「彼女達の勝負服はどういったものになるだろう。聊か以上に楽しみだな」

「ん? 他の娘のも気になるもんか?」

「我々一人ひとりを輝かせる大事な勝負服だ。如何に他人のものとは言え、興味関心を持たずにはいられないさ」

 

 

 二人だけの細やかな叙勲式を終えて、衣裳部屋の廊下を進む。

 

 ようやく得られた、彼が隣に居るという実感。

 それが何よりも嬉しく、同時に頼もしくもある。

 

 トレーナー君との一時によって望んでいた心地良さを味わい、我ながら分かり易いほどの現金さを発揮していた。

 先程までは自己の欲望を優先していたと言うのに、今はチームメンバーの笑顔を心から想っている。

 

 トレセン学園のスタッフは格致日新。

 日夜、努力と労力を惜しまず、輝かしい舞台へ立つに相応しい道具を用意し、準備を怠らない。

 私の勝負服を手掛けてくれた際もそうだったが、今頃は草案となるデザイン画を完成させていることだろう。

 

 

「戻りましたよー、入っても?」

「あ、あぁ、はい、どうぞ」

「……?」

「何か、どもってたな……?」

 

 

 辿り着いた会議室の扉をトレーナー君がノックし声を掛ける。

 すると、僅かながらに動揺の混じった声で入室を促す言葉が返ってきた。

 

 思わずトレーナー君と顔を見合わせる。一体、中で何があったと言うのか。

 悲鳴が上がっていない辺り、怪我を伴うような危険ではないようではあるが……。

 

 トレーナー君も思い当たる節などないのか、困惑している様子。

 互いに頷き合い、意を決して扉を開ける。中に広がっていた光景は――――

 

 

「わぁ、二人の勝負服も素敵ね」

「スズカさんのも格好いいよ……!」

「ありがとう。マックイーンちゃんなんて二つも」

「これもメジロの者として恥じぬように努力してきた褒美でしょうか、ふふふ」

 

「きゃっきゃうふふしてんなぁ」

「そうだな、其方はいいのだが……」

 

 

 サイレンススズカ、ライスシャワー、メジロマックイーンの三人が笑い合っていた。

 その笑顔は同じ女である私から見ても魅力的で、背景には花が咲き誇っているかのよう。

 

 気持ちはよく分かる。

 私のために用意されたいくつかのデザイン画を目にした時は胸が熱く滾ったものだ。

 実物を身に纏い、相応しい舞台に立ちたいという逸る気持ちと自分でも理由の説明できない不思議な高揚感。

 あの得も言えぬ感覚は何ものにも代え難く、普段は冷静な彼女達でもはしゃいでしまうだろう。

 

 愛らしくはあるが、ウマ娘(われわれ)として通常の反応であり、問題視するような光景とは言い難い。

 

 問題であったのは、残されたオグリキャップの方だ。

 

 

「あの、二人とも、其処まで悩まずとも……」

「そうよ、オグリさんが困ってるでしょうに……」

「先輩は黙ってて下さい! オグリさんを最高に輝かせるために協力者まで呼んだのに、手を抜けるはずもない……!」

「くっ、推しの勝負服作成に携わる栄誉に与ったと言うのに、あたしのダメセンスは……! くきぃぃぃ~~~~~!」

 

「何故アグネスデジタルがいる……」

「いや、知らん。オレ呼んでないんだけど……すげーな、オグリがドン引きしてるぞ」

 

 

 三人とは少し離れた場所では地獄が展開されていた。

 

 机に向かって必死にデザイン画を仕上げようとするデザイナーの姿。

 そして、彼女の対面には何故かアグネスデジタルが居た。

 会話から察するに両者には個人的な付き合いのあるようだ。

 そう言えばアグネスデジタルは趣味で絵を描いていると耳にしたことがある。その繋がりだろうか。

 

 しかし、何という執念か。

 二人は血走った目と鬼気迫る表情で筆を振るっているのだが、デザイン画が一旦完成するとその度に奇声を発しながら自ら破り捨てるを繰り返している。

 

 その様子には顔を引き攣らせざるを得ない。

 普段、余り表情に変化が見られないオグリキャップですら同様らしく、主任スタイリストは頭を抱えているではないか。

 

 

「お母様が現役時代に使っていたと言う髪飾りに合わせて……はぁ……無理……しんどい……その母娘の絆……しゅきぃ……」

「気をしっかり持つのよデジタルちゃん! そう、髪飾りの色は黄色、そしてオグリさんは芦毛! これに合うのはトリコロールカラー……!」

「そ、それです! オグリさんの主人公味溢れる経歴に合わせるなら……!!」

「「………………」」

「ダメじゃダメじゃ! これじゃあただのミンキーモモなんじゃ!! バッドエンド不可避になる! トレーナーさんは既に交通事故に遭ってるから更に不吉……!」

「ダメですダメです! どうしてもガンダムになってしまう! 確かに主人公機ですけどロボ味はブルボンさんの特権なのに!!」

 

 

 二人揃ってデザイン画を破り捨て、紙吹雪のように舞い散らせると同時に頭を抱える。

 デザイナーなど口調が変わっているではないか。そう言えば、広島出身とか言っていたような……。

 

 どうやら納得のいくデザインが決まらないらしい。

 芸術家にはそういったエピソードには事欠かないが、二人にも当てはまるようだ。

 

 

「ハッ!? ト、トレーナーさん! 良い所に!」

「そ、そうだ! 推しの担当なら魅力を最大限に引き出す何か、何かヒントを……!」

「えぇ、オレぇ……? そういうのはオグリに聞いた方が……」

「いや、私も特に考えがあるわけでもない。トレーナーの方からアドバイスしてやって欲しい。色々と助けて貰っている君の意見なら、私は何の不満もないぞ」

「そう? そうねぇ……」

 

 

 ……むぅっ。

 

 オグリキャップは全くそのつもりはないのだろうが、何と言うべきか。

 距離を詰めていないだろうか。物理的な距離ではなく精神的な距離が、だ。

 

 確かにトレーナーとウマ娘は信頼で結ばれて然るべき。

 其処に信頼関係がなければトレーナーはウマ娘の潜在能力全てを引き出せず、ウマ娘もまた自らの全身全霊を発揮できない。

 

 オグリキャップの気持ちは分かる。

 慣れぬ環境の中で自身を思って心を砕いてくれる存在を頼りにしないわけもない。それだけで全幅の信頼を預けるに値する存在だ。

 

 ……だが、うむ。やはり、()()()()()()()()であるという事実を忘れないで欲しい。

 

 

「そうだなぁ。オーソドックスに制服に近いタイプでいいでしょ」

「な、何を仰います! それでは推しの魅力が……!」

「奇を衒ったものが優れているわけじゃない。シンプルイズベストって言うだろ。勝負服はあくまでも当人の魅力を際立たせるものなんだからそれで十分だよ」

「た、確かに……!」

「あ、あぁ、推しの魅力に目が眩んであたしはなんて馬鹿な……! でも、答えは得た……!」

「やるんじゃ、デジタルちゃん! うおぉぉぉぉぉ――!!」

「うひょぉぉぉぉ――!!」

「もうなんか怖いなこの娘。アグネスのやべー方と覚えておこう」

「アグネスは彼女だけが……いや、何でもない。忘れてくれ」

 

 

 トレーナー君の言葉で脳裏に浮かんだのは学園の問題児である()()であるが、今は関係ない故に口を噤んでおく。

 

 デザイナーとアグネスデジタルは、これから戦場に向かう兵士のような闘志を露わに一枚の紙に二人で筆を走らせている。

 正直、私も怖いほどであるが、これだけの熱意であればきっと素晴らしいものが出来上がるだろう。多分。恐らく。

 

 

「まあいいや。皆のも確認しときますか」

「そうしよう。見せて貰っても構わないか?」

「ええ、どうぞ」

 

 

 トレーナー君も私と同じ事を考えていたのか、汗を流しながらも狂気の沙汰から目を逸らす。

 

 私の言葉が聞こえたのか、サイレンススズカがいの一番にデザイン画をトレーナー君に手渡した。

 こう言った所でも先頭に立つのは気質なのだろう。

 但し、普段と異なっていたのは、先頭だけを狙う真剣な表情ではなく頬を綻ばせていることか。

 

 

「おっ、スズカも制服系か。いいじゃん」

「ほう。これこそシンプルイズベストだな」

「ふふっ、そうですよね……!」

「緑のケープとか合わせてもいいかもなぁ」

「ああ、それは私も思ってました。パドックで投げるパフォーマンスにも使えるし」

「そういうのもあるんですね。でも、折角考えて頂いたのに御迷惑じゃ……」

「まだ実物が完成したわけじゃないから気にしなくてもいいわよ。最高の勝負服を用意する、それが私達の仕事だから」

 

 

 差し出されたデザイン画には、制服調の勝負服が描かれている。

 白を基調に緑を添えた絵は、彼女の栗毛と普段から使っているメンコに合わせたのだろう。

 黒いタイツと手袋を合わせて一切素肌を見せず、白と黒の色違いの靴がアクセントになっていた。

 

 トレーナー君が言うように緑のケープもよく合うに違いない。

 サイレンススズカの何処か儚げな雰囲気と何とも言えない色香を際立たせるに違いない。

 

 これはサイレンススズカは勿論の事、トレーナー君や主任、私も文句の付けようのない出来だった。

 

 

「じゃあライスは?」

「う、うん、ライスはこれ……!」

「ふむ。これも素晴らしいな」

 

 

 続いて見せてきたのはライスシャワー。

 

 彼女の勝負服は打って変わってドレス調。

 青みがかった黒を基調に、肩を大きく出したカクテルドレスに近い形状。胸元の青い薔薇と腰に携えた短剣が目を引く。

 青い薔薇は普段からしている帽子に合わせているのだろうが、偽物とは言え短剣の装飾は愛らしい彼女には一見似つかわしくない。

 

 綺麗な薔薇には棘がある、とも言う。

 ライスシャワーの実力はまだまだ未熟であるが、侮れないものがある。

 そういった未覚醒の、或いは彼女すら気付いていない未知の部分を表しているようだ。

 デザイナーの彼女が其処までを見抜いたとは思えないが、私はよく合っているような気がした。

 

 しかし――――

 

 

「…………」

「ど、どうしたトレーナー君!?」

「お腹痛いの……!?」

「いや……そ、そうか。ライスはこういう奴か……一個だけ聞かせて? ライスはこれがいいのか?」

「う、うん……だ、ダメ、だった……?」

「駄目じゃない。駄目じゃないんだけど……肩が……」

「君は、少し過保護が過ぎるぞ……」

 

 

 突如としてトレーナー君は膝から崩れ落ちた。

 その表情は下唇を噛み締めて、痛みにでも堪えているようだ。

 

 一瞬、事故の古傷でも痛み始めたのかと思ったが、漏らした発言を聞く限り違う。

 どうやら、彼はライスシャワーの勝負服で肩が露出しているのが気に入らないらしい。

 

 思わず呆れてしまう。

 以前から思っていたのだが、彼が我々を見る視点は兄や父のそれに近い。

 露出が多ければ多いほど、心配になってくるのだろう。

 

 しかし、この程度の露出で此処まで心配するとは。

 これではエアグルーヴやブライアン、ヒシアマゾンやフジキセキの勝負服を見たらどうなってしまうのか。

 

 

「よ、よし。次はマックイーンだ」

「え、ええ。此方ですわ。二つも考えて頂いて」

 

 

 トレーナー君の心境をいまいち理解していないメジロマックイーンは、動揺を見せながらもデザイン画を渡す。

 片膝をついたまま受け取ったトレーナー君の後ろから私は覗き込んだ。

 

 一つ目は黒を基調としたドレスコート調のデザイン。

 コートの裾や袖、胸元には白いフリルがあしらわれており、エメラルドグリーンのリボンとソックスが遊び心となっていた。

 黒と白は彼女の大人びた冷静さを、エメラルドグリーンは消え切っていない子供心と無邪気さを表しているようで、絶妙なバランスだった。

 

 問題は、もう一つの方だった。

 

 白を前面に押し出した礼服とドレスを合わせたかのようなデザイン。

 シンプルなように見えて、金のボタンや宝石を散りばめたかのような刺繍は華美でさえある。

 しかし、その華美さはあくまでも彼女の愛らしさと凛々しさの同居した美貌を際立たせるレベルで収まっているのは流石であった。

 

 ただ、その……臍が……。

 

 

「イ゛ィ゛ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

「「「ヒェッ」」」

「ト、トレーナー君」

 

 

 歯を食い縛り、眼球が零れ落ちそうなほど目を剥いた表情は恐ろしいの一言。

 そして奇声を発して四肢をついた姿は、デザイナーやアグネスデジタルに通ずる狂気を感じさせる。

 

 ある程度予想していた私は兎も角、過剰過ぎる反応に三人は小さく悲鳴を上げていた。

 

 

「許さんっ……! 許さんぞ! トレーナー権限で、この白い方は却下! 却下です!」

「な、何故ですの!? こんな素敵な!」

「素敵じゃねぇ! だってこれ、こんな、この……臍ぉ!!」

「こ、これくらいの露出なんてことありませんわ! 普通です普通!」

 

 

 色々と言いたいことはあるのだろうが、言いたいことが多過ぎて語彙がなくなり、端的に気に入らない部分だけを指摘していた。

 必死の形相で却下を提案するトレーナー君に対して、メジロマックイーンもまた必死に食い下がる。

 直截的に露出している部分を口にされるのは流石に恥ずかしいのか、顔を赤らめさせていた。

 

 その様は、正に派手な格好を咎める父兄と望む妹娘。

 サイレンススズカとライスシャワーはどちらの肩を持つべきか迷っているらしく、はらはらと両腕を所在なさげに彷徨わせている。

 

 私と主任はと言えば、片手で顔を覆って首を振ることしかできなかった。

 

 

「こんな、こんな破廉恥な格好させてレースに出走させるなんて、オレは親御さんに顔向けできねえよ! 女の子が腹を冷やすなぁ! 頼むからやめてぇ!」

「は、は、破廉恥だなんて! そんなことありません! ありませんわ! それにトレーナーさんがサブトレーナーをやっていたリギルの方々の方がよっぽど破廉恥な勝負服ですわよ!」

「マジかよ!? あ、でもマルちゃんは胸元が! いやでもこっちよりはマシだよ!」

「ナリタブライアンさんなんて胸元は殆どサラシですのよ!?」

「サラシぃ!? マジかよ!」

「ヒシアマゾン寮長なんてもう殆ど水着ですわ!」

「水着ぃ!? おハナさん何考えてんの?!」

「フジキセキ寮長なんて、一見すると男装の麗人と言った感じですけど、胸元はガバガバ! 破廉恥以上のドすけべですわ!!」

「胸元ガバガバでドすけべ!?!!?」

「お、落ち着くんだ、二人とも……」

 

 

 メジロマックイーンから矢継ぎ早に明かされる事実に、トレーナー君は絶叫染みた声を上げた。

 

 続き、私の方を見たが、私は目を逸らさずにはいられなかった。

 彼女の主観的な意見は兎も角として、客観的な事実としては殆ど間違ってはいないからだ。

 

 其処で、語られた言葉全てが事実だと察してしまったのだろう。

 トレーナー君は四肢をついたまま身体を震わせて、顔を上げた。

 

 

「最近の娘は進んでいると思っていたが、まさか此処まで……仕方ない。かくなる上は――――もがぐぐ」

「食べましたわーーーーーーーーーー!?!!?」

「ウソでしょ?!」

「トレーナーさん、山羊さんじゃないんだよ……?!」

「や、やめるんだ、トレーナー君?!」

「何をしてるんですか?!」

 

 

 決死の覚悟でトレーナー君の取った行動は、デザイン画を口に放り込むという暴挙だった。

 

 真っ赤な表情と血走った目で紙を咀嚼する姿は山羊と言うよりも悪魔のそれ。

 どうあってもあの勝負服を現実のものとしたくないらしい。いや、いくら何でもやり過ぎだぞ……!

 

 

「わ、分かりました! 勝負服は此方の黒い方にしますから!」

「もがが、もぐ、もぐぐぅ……!」

「皆、落ち着くんだ。私に任せて欲しい」

 

 

 見かねてメジロマックイーンが折れたのだが、トレーナー君の咀嚼は止まらない。

 

 その時、動揺する我々を割って現れたのは未だに狂気の中にいるデザイナーとアグネスデジタルの様子を見守っていたはずのオグリキャップ。

 私には預かり知らぬところではあるが、何か秘策でもあるのか表情には自信が満ち溢れている。

 

 この自信、此処は任せるべきか……。

 

 私が首肯するとオグリキャップは満足げに頷き、トレーナー君の前に片膝を付く。

 

 

「トレーナー、そんなものを食べてはダメだ。お腹を壊してしまう」

「もが、もがががが」

「そんなにお腹が空いているなら、これを食べるんだ」

「もがっ!?」

「そうだ。トレーナーが作ってくれた私の軽食用のおにぎり、その最後の一つだ。さあ……!」

「もごごご」

 

 

 違う。そうじゃない。

 狂気に陥ったトレーナー君も含めて、その場にいた全員の心は一つになったろう。

 

 トレーナー君は咀嚼を止めないながらも、信じられないものを見る目でオグリキャップを眺めていた。

 それもそのはず、彼女の弁を信じるのならば、差し出したのはアルミホイルに包まれたおにぎりであり、彼が作ったのなら見覚えもあっただろうから。

 

 我々も同様の視線を送ってしまっていたに違いない。

 何せ、この状況で空腹の余りにデザイン画を食べているとオグリキャップが信じ込んでいるのだから。

 トレーナー君も言っていたが、これでは本当に彼女は走っている時以外、食べることと寝ることしか考えていないも同然ではないか……!

 

 拒絶の意を示すために首を振ったトレーナー君を見ると、オグリキャップはキョトンとした表情をする。

 そして、ふっと笑うと立ち上がり、アルミホイルの包みをおもむろに開けながら我々の方を振り返る。

 

 

「駄目だった。もぐもぐ」

 

 

 差し出したはずのおにぎりを食べながらの一言は強烈なインパクトを伴っていた。

 その日、私達は芦毛の怪物と呼ばれる彼女の天然(恐ろし)さ、その一旦を垣間見たのであった。

 

 本当に、そんな方面での恐ろしさなど、知りたくはなかったのだが。

 

 結局、トレーナー君は意地でデザイン画を飲み下し、メジロマックイーンの勝負服は最初に見せたドレスコート調のものに強制的に決定。

 オグリキャップのデザイン画もデザイナーとアグネスデジタルの手により、渾身の作品が書き上げられた。

 勝負服を作る手始めになるはずが、一体全体どうしてこうなったのか。

 

 唯一私に出来たのは、二度と同じ事態を招かぬよう、こうしたデザイン画はトレーナー君よりも先に確認しようと誓いを立てることだけだった。

 

 

 

 

 




主任スタイリストさん
東京出身。年頃はトレーナーと同じくらいだが、割と重要なポジションについてる才女。
極めて真面目。時折暴走する後輩デザイナーちゃんの手綱を握り、ウマ娘の意向を拡大解釈してスケベ衣装を作るゲス眼鏡(フジキセキの勝負服担当)に制裁を加えたりする有能な苦労人。理事長も全幅の信頼を預けている。


デザイナーちゃん
広島出身。デジタルとは絵師繋がりで個人的な友人。
ウマ娘に最高の勝負服を! という一念でトレセン学園に就職してきた新進気鋭。
デザイン画ばかりでなくアニメ絵や漫画調の絵も描ける。裏アカで健全絵を投稿しまくっている神絵師。休日はデジタルの同人誌作成を手伝ったりするくらいに仲がいい。

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