引き続きお楽しみください。
フラクシナスの艦橋では、天宮駐屯地の映像が映し出されていた。集まったメンバーの中にはいつものクルーたちに加え、士道と真那の姿もある。
「状況を教えてちょうだい」
中央の一際大きな艦長席に座り、そう短く指示を出す琴里の声に反応して、各々がすぐさま状況報告を開始する。
「はっ! 観測していた〈プリンセス〉……十香ちゃんの霊力が急速に減少するのを確認! 数値が0ではないことから、
「それと同時に搬送列車の配備を確認! DEM日本支社に向けて発車準備を進めているとの情報です! にやにや」
「駐屯地内にエレン・メイザース、ジェシカ・ベイリー及び18名のDEM
「ん、報告ありがとう。あんたたち3人は後で
「「「ありがとうございます!!」」」
「兄様、大丈夫でいやがりますかこの人たちは」
「気持ちはわかるけど悪い人たちじゃないんだよ。気にしたら負けだ」
当然だが琴里とのデートはフラクシナスで全て観測していたらしい。弱音を吐くところやキスでしおらしくなるところを見られていただけでなく、戻ってきてからずっとクルーたちが生暖かい目線を送ってくるので、琴里の機嫌は急転直下だった。因みに士道は今更キスを見られるくらいで動揺などする訳がないので、平然としている。
『現実逃避は良くないわよ? 最初っから観測されてたならゲーセンの様子もばっちり見られてたでしょうね』
「うごごごごごごご」
「兄様!?」
万由里のいらんフォローのおかげで無事にダメージを負った士道だったが、心配する真那を制して話を続けた。
「大丈夫だ。それより真那の方には何か情報は入ってないのか?」
「えぇ、実は少し前に招集命令が下ったところです。緊急の任務があるから13時までに集合するように、と。間違いなくプリンセス護送の件でいやがりますね」
「13時……。あと30分もないわね。かなり急だけど、作戦を開始するならそのタイミングしかないわ。みんな、覚悟はできてるかしら?」
「「「はっ!」」」
一瞬のずれもなく揃って敬礼を返すメンバーたちを見て、琴里は満足げに頷いた。
「それじゃあ神無月。改めて作戦概要を」
「はっ! 天宮駐屯地は現在、ASTとDEMによる厳重な警備によって要塞化しております。ここを突破する戦力は現在のラタトスクにはありません。そこで、プリンセス奪還作戦の開始は列車での護送が始まった後。ASTの増援に時間がかかる位置まで移動したタイミングがベストと考えられます」
「位置的には丁度山間部の辺りね。周りに民家は無いし都合が良いわ」
「成程……。でも列車内にはDEMの魔術師たちが待機してるんだろ? そもそもASTの搬送列車は地下深くを走行するって話だし。どうやって十香を連れ出すんだ?」
「ミストルティンを使うわ」
「ミストルティン……でいやがりますか?」
聞き慣れない言葉に、真那がはてなマークを浮かべている。
「えぇ。我がフラクシナスの誇る高性能の収束魔力砲よ。これなら地面の分厚い岩盤をブチ抜いて敵にダメージを与えられるわ」
「おいおい、そんなもん当てて大丈夫なのかよ? 弱った十香も乗ってるんだぞ?」
「ご安心ください。当てるのは車体ではなく進行方向のレールです。進路さえ壊してしまえば列車は動けない。奴らを閉じ込める監獄同然です」
「神無月のエイムは世界トップクラスよ。安心なさい、狙いを外すなんてこと絶対にないから」
「それならいいんだけどな」
『普段の言動がアレだからねぇ。信じろって言われても不安なのはよく分かるわ』
「動きを止めた後は修復が完了した〈
「私がプリンセスを保護、周囲の連中と距離を取ったところでフラクシナスに回収してもらう。って流れでいいんでいやがりますね、司令官殿?」
「そうなるわ。貴女にばかり負担が大きい作戦で申し訳ないのだけれど……」
「構いません。私から言い出したことですから。むしろついこの間まで敵だった私を信用してくれて礼を言いてーくらいですよ」
「大丈夫なのか、真那?」
「なんてことねーです……とは言い切れねーですね。何せエレンとジェシカを相手に逃げおおせなきゃなんねーんですから。ま、やれるだけやってみますよ」
「お願いするわ。こっちも最大限のサポートはする。とは言っても、その余裕があればの話だけどね」
「気は使わなくて結構でいやがります。恐らく……。いや確実に〈バンダースナッチ〉と〈アルバテル〉の妨害が入りやがるでしょうから」
中央のモニターには大型の空中艦の写真が映し出されている。威圧感を感じさせる紅いボディは、いかにも悪の組織が使いそうな雰囲気を醸し出していた。
『〈アルバテル〉……。バンダースナッチの制御装置を積んだDEMの空中艦ね。フラクシナスと違って戦闘に特化した機体で、
(随分と詳しいんだな、万由里)
『説明書を読んだのよ』
(???)
「敵が空中艦を持ってるなら、それで十香を連れて行くってことはないのか?」
「それはねーです。結果はどうであれ、先日の戦いでDEMはフラクシナスの存在を確認していやがります。敵が
成程、と士道は嘆息する。確かに敵からしてみれば精霊討伐を邪魔する組織など、得体の知れない存在でしかない。どんな戦力を保持しているか分からない以上、少しでも安全策を取るのは当然のことと思えた。
そんな風にひとり納得していると、琴里にしては珍しく遠慮がちに話しかけてくる。
「そして士道。貴方の役割だけど。その……」
「分かってるよ。俺には救出した十香をデレさせるって大事な役目があるからな。今回は家で大人しくしてるさ」
「……そう、ね。ごめんなさい、気を使ってもらって」
妙な間があったような気がしたが、深くは考えないことにした。重苦しい雰囲気を少しでも緩和しようと、あえて明るい話題を出す。
「謝るくらいならさっさと帰ってきてくれよ。今夜はハンバーグだからな」
「……えぇ! 必ず十香を連れて帰るわ。それで、作戦中の分担についてだけど――」
◆
「兄様」
これ以上ここに居ても仕方ないと判断し、士道が艦橋から退室したところで、後ろから声が掛けられた。振り返ると、真那が少しバツの悪そうな顔をして佇んでいる。
『そういえばこの間は喧嘩別れみたいになっちゃってたわね。フォローした方がいいんじゃないかしら?』
言われて思い出す。そういえば前回会ったときは緊急事態だったこともあってか、結構強い口調で責め立ててしまったような気がする。今更になって士道の胸中に罪悪感が湧き上がってくるのだった。
「兄様、その……」
「ごめん!」
「え!?」
「俺、あのとき結構テンパっちゃってて……。そっちの事情も考えないで酷いこと言っちゃったよな。本当にごめん」
何かを言おうとする真那を遮って、士道は勢いよく頭を下げる。真那が怒っていないということは態度を見れば分かることだったが、なあなあで済ませるのは士道の許すところではなかった。
「頭を上げてください! ……怒るのも無理ねーです。琴里さんから聞きました。ラタトスク機関は精霊と対話するための組織だと。兄様はその手伝いをしていやがるんですよね?」
「あぁ。精霊は悪意を持って暴れてる奴ばかりじゃないんだ。そういう奴らが人と争わなくて済むようにしたいと俺は思ってる」
士道の記憶が確かならば、真那は最悪の精霊〈ナイトメア〉、時崎狂三と幾度となく戦い、殺害しているはずである。悪意のない精霊と言われても納得するのは難しいと思っていたが、そこはどうやらフラクシナスが上手く説明してくれたようだった。
「殺す以外の対処方法なんて考えたことも無かったんで、最初はかなり驚きましたけど。その辺りの思想はまぁ理解できました。……でも正直、なんの訓練も受けていない兄様が交渉役ってのはリスクが高すぎます」
「それは重々承知してるさ。でも、これは俺にしかできないことなんだ」
「そこが理解できねーんですよ。ナンパ紛いの方法で懐柔したいのなら、それこそもっと顔が良くて口の回る男なんていくらでもいやがります!」
曇りのない瞳で断言する真那の言葉が突き刺さる。言葉の刃は時としてレーザーブレードよりも鋭い武器と成り得るのだ。
『この子心配するフリしてちょっとあんたのこと馬鹿にしてない?』
(やめてくれ万由里。その言葉は俺に効く)
心の中で涙を流す士道を余所に、真那は心配そうな顔で士道の服を摘まんだ。
「どうしても兄様がやらなくちゃなんねーんですか? ……やっと会えた肉親が目の前で傷つくところなんて、真那は見たくねーです」
「……あぁ、どうしてもだ。誰かにやってもらえば済むって話じゃないんだよ。それに、そういうのはお互い様だろ? 真那だって今まで散々危ないことしてきたらしいじゃないか」
急にしおらしい態度を取られて少し心が痛んだが、ぐっと我慢して言い返すと、真那は痛いところを突かれたといった風に目を逸らし、掴んでいた服を離すのだった。
「うぅ、それは……。分かりました。この件については一旦保留ということで手を打ちましょう。それより、兄様は真那のことを覚えていやがるんですか?」
「ごめん、正直昔のことは全然覚えてないんだ。真那が本当に妹だってことは分かるんだけど」
「そうですか……。もし知っているのであれば、色々と訊きてーことがあったんですが……。でも、流石は兄様です。真那はこのロケットの写真があったからこそ兄様だと分かったのに、兄様は一発で真那を真那だと言ってくれました。やっぱり兄妹の絆ってやつでいやがるんですかね?」
言いながら、真那は胸元から銀色のロケットを取り出し中を見せてくる。そこには10歳位の士道と、それよりも少し幼い真那の写真が収められていた。
『あら可愛い。こうして見るとやっぱり兄妹よねあんたたち。そっくりだもん』
(けど、なーんにも覚えてないんだよなぁ。この写真と五河家に引き取られた時期も一致しないし、相変わらず謎だ)
この件についてじっくりと話をしたかったが、それよりも確認したいことが他にあった。
「訊きたいことと言えば、そういえば俺も気になることがあったんだ。真那たち、というかDEMはもともとイギリスが活動拠点なんだろ? どうして急に日本に来たんだ?」
「あぁ、それはですね。表向きは精霊被害頻発地域の戦力増強ってことにはなっていやがるんですが、本当はここ、天宮市で妙な霊力反応をキャッチしたからでいやがります」
『ん?』
「妙な霊力反応?」
「えぇ。確か4月10日の正午辺りでしたか。超高密度の霊力反応が一瞬だけ観測されて、すぐに消えちまったんですよ」
『んん?』
初めて聞く現象に、士道は首を傾げた。これは前の世界では無かったことである。或いは、あったことを士道が知らなかっただけなのかもしれないが。
何故か妙に引っかかっている万由里の様子が気になり、声を掛ける。
(さっきからどうしたんだよ万由里?)
『いや、ちょっとね……。続けてもらってちょうだい』
「……? それで、それがどうかしたのか?」
「はい。そのときは丁度プリンセスが暴れてた時間だったんで、最初は彼女の能力の1つかとも思ったんですが。よくよく調べてみるどうやら霊力のパターンが全く違うものだったんですよ。それが上層部の目に留まって、念のため調査が必要ってことになりやがりましてね」
「へぇ。それで何か分かったのか?」
「いえ何も。同じような霊力はあれ以来1回も観測されねーですし、正直計器の故障か誤作動ってことでケリがつきそうです」
「成程。つまりたまたまタイミングが悪くて十香は捕まっちまったってことか」
『…………』
半ば事故のようなもので十香が苦しめられているということに怒りを覚えたが、それを今更言っても仕方ない。深く息を吸い込み、なんとか気持ちを落ち着けた。
「本当に申し訳ねーです。彼女と話してみて、少なくとも悪人ではねーってのは分かりました。兄様の代わりに、なんとしても彼女を救い出してみやがります」
「あぁ、頼んだぞ」
DEMの戦力ナンバー2である実の妹。敵としては恐ろしいが、味方になるとこんなにも頼もしいのだと改めて実感する。と、何故か真那は士道の顔を覗き込み、疑るような目でぐいっと顔を近付けてきた。
「……本当に作戦中大人しくしていやがりますか?」
「…………トウゼンデスヨ?」
「………………本当の本当に?」
「……………………」
「あ、目を逸らした」
心の中を見透かすような瞳を直視できず、汗が吹き出す。妙に勘が鋭いのは兵士として訓練を受けたからか、或いは血の繋がりからか。
しどろもどろになりながらも、とりあえず弁明を試みる。
「何もしないに決まってるだろ! というかしたくてもできないっての。たった1発くらっただけで3日も寝込んだ男を舐めるなよ」
「威張ることではないんですが……。ま、分かってるならいいです。自分の力量を見誤らないことも、戦場で生き抜くコツでいやがります」
「そ、そうか。肝に銘じておくよ」
追及が終わった安堵よりも、真那が生き死にを経験するような戦場を渡り歩いてきたことを改めて実感し、士道の心に暗い影が差した。
「それはそれとして、これを兄様に渡しておきます」
そう言って真那が差し出したのは、手のひらに収まるくらいの銀色のカードのようなもの。よく見ると細微な装飾が施されており、機械的な物だということが分かる。
「これは?」
「
「そんなものを、どうして俺に?」
「兄様はどうも見ていて危なっかしいですからね。緊急用に持っていてもらえば少しは安心できます。因みに顕現装置と言っても真那の予備なので搭載されてるのはワイヤリングスーツのみ。CR-ユニットは積んでませんのでご理解を。まぁ、搭載されてても簡単に使えるもんでもねーですが」
どうやら護身用に持っていろということらしい。「わいやりんぐすーつ」というものがよく分からず、万由里の解説も飛んでこないので、自分でなんとか記憶を探ると該当するものがあった。確か折紙やASTが戦闘時に着用しているものだ。
「ワイヤリングスーツ……。あの全身ぴっちりタイツのことか」
「ぴっ……。み、見た目はともかく、身に付ければ防御力が上がったり、感覚が研ぎ澄まされたりしやがります。使用者の体格に応じて自動でフィッティングしてくれやがるので、その点も心配ありませんよ」
「そ、そうか。良かった。もし真那のサイズに合わせてあるんだったら、お兄ちゃん身体は守れても心が粉々になるとことだったよ」
自分の恐ろしい姿を思い浮かべ、思わず頬を汗が伝う。また1つ黒歴史が生まれるところだった。
「一体何を想像していやがるのですか兄様は……。それに、同じワイヤリングスーツでもASTとは性能がちげーのですよ。いくらか装甲や武器があるので、これだけでもある程度戦うことはできます。ま、今回渡したものは小型のレーザーエッジ以外は抜いてありますけど」
「そうなのか?」
「兄様が他人に向けて引き金を引けるとは思えねーです。エッジもあくまで護身用。使えねー武器は持っていても邪魔になるだけです」
「……おっしゃる通りで」
そういえば、以前十香を救いにDEMを襲撃した際に、何人かと戦ったことを思い出した。よく覚えてはいないが、胸部装甲やフルフェイスマスクがあったりと、見た目的には結構悪くなかったような気がする。なんにせよ、相変わらず防御面に不安のある士道にとってはかなりありがたい代物だった。
「これでいくらかは生存率を上げられるはずです。……でも、本当に気休めにしかならねーですからね。ちゃんと大人しくしててくださいよ?」
「あぁ、分かってるって。恩に着るよ、ありがとう真那」
「……本当に分かってるならいいんですけどね。それじゃあ、真那はそろそろ行きます」
「あぁ。気を付けて」
真那は未だ疑り深い顔をしていたが、士道の返答を聞くととりあえずは納得したようで、横を通り抜け早足に歩いて行った。と、少し進んだところで思い出したように振り返る。
「あ、そうそう兄様」
「ん、どうした?」
「兄妹同士でキスすることは、その……。あまり人に言いふらさねー方が良いですよ」
「しょっちゅうしてる訳じゃねーよ!?」
それだけ言うと、今度こそ真那は去っていった。残された士道は「義妹とキスしているところを実妹に見られた」という恐ろしい現実を突きつけられ、未だ心臓がバクバクしている。
「……はぁー、まさかそんなとこから見られていたとはな。気を付けないと」
『…………』
「さっきからどうしたんだよ万由里。随分静かじゃないか」
いつもならうるさいくらいに話しかけてくる万由里だが、どういう訳か会話に茶々を入れず黙り込んでしまっている。しばらく待ってみると、やがて重い口を開くように語り始めた。
『……DEMが10日に観測したっていう霊力反応、恐らく私たちがこの世界に来たときに発生したものだわ』
「なんだって?」
『あのときは相当量の霊力を使って制御不能だったから……。奴らにとって脅威となりえるほどの力が漏れ出ていたとしても不思議じゃないわ』
そういえば、と記憶を探る。士道がこの世界で最初に目を覚ましたのはフラクシナスの医務室。4月10日に十香と出会った直後のタイミングだ。言われてみれば謎の霊力反応があった時間と一致する。
「ってことは……。十香が今危ない目に合ってるのは、俺のせいってことじゃねぇか!」
ギリッと奥歯をかみしめる士道に対して、万由里は優しく語りかけた。
『俺「たち」ね。そうやって1人で抱え込もうとしないでよ。でも、原因が私たちにあるってんなら、尚更黙って見てる訳にはいかない……。そうでしょ? 士道』
「あぁ。琴里は大丈夫って言ってたけど、今回の戦いが相当厳しいってのは素人の俺でも分かる。足手纏いだったこの間とは違うってとこ見せてやるぜ」
手のひらを見つめ、ゆっくりと握る。見た目に変化があったわけではないが、そこには確かな力が秘められていることを、今の士道は感じとることができた。
『その意気よ。男子三日会わざればなんとやら。実妹から素敵なプレゼントも貰ったみたいだし、調子に乗ってる奴らの常識にどでかい風穴開けてやりましょう!』
「おう!」
◆
時刻は14時10分。フラクシナスは不可視迷彩を展開しながら、天宮駐屯地近くの上空に待機していた。
優雅に空中を漂う姿とは裏腹に、艦内は今までにない緊張感に包まれている。潜入した真那からの報告によれば、十香は搬送列車の最後尾車両に幽閉されているらしい。
その情報を最後に、彼女からの通信も途絶えている。限られた情報と武装しかないが、今はただ、そのときが訪れるのを待つのみだった。
そして、時計の秒針が何度目かの周回を終えたとき――。
「搬送列車の始動を確認! 車内に複数の魔力反応を感知、間違いありません!」
「来たわね。総員戦闘配置! 厳しい戦いになると思うわ。みんな、気合い入れていくわよ!!」
「「「はいっ!!」」」
「いい返事ね。……さぁ、私たちの戦争を始めましょう!」
モニターに映る熱源を追いながら、フラクシナスは移動を開始する。相変わらず真那からの連絡は無いが、周囲に魔術師がいる状況で迂闊に動けないのでは、との見解が多数だったためひとまずは置いておく。些細な変化も見逃さないよう、聞き逃さないよう全員が集中しているので、時間の経過と共に艦内は静寂に包まれていった。
重い沈黙の中でどれほど時間が経っただろうと時計を見やると、10分も経っていないことに驚く。極度の緊張で時間の感覚がおかしくなっているようだ。作戦開始ポイントが目前に迫ることろで、琴里はふと気付く。
「静かね……。いえ、余りにも静かすぎる。〈アルバテル〉はまだ現れないの?」
「はっ! 上空2万メートルまで探索していますが、姿はありません」
「車内の魔力反応にも変化なし! 何の動きもありません」
「…………」
追跡は順調、作戦を遂行する上で僅かな障害も無いはずだ。しかし、まるで背中にじっとりとへばりつくような不快な感覚を、琴里は覚えていた。その正体が分からず苛立ちが募る。
フラクシナスは現在、飛行できる限界まで高度を落として進行中だ。全長がこの艦の2倍近いアルバテルが航行するには、当然それよりも高度を上げなければならないが、未だに上空には影も形もない。ならば本当にこのまま現れないのか、それともそもそも襲撃を予測すらしていなかったのか。不安を散らすように、あえてそんな楽観的な想像をしてみたところで、通信機器に僅かなノイズが走った。
『ザザッ……です…………げやがっ…………ザザッ――』
(いや違う。何かを見落としてる。空中艦が航行しているなら空の上にいるのは当然。でも……)
「この通信は……真那さんからのようです! 良かった、無事だったんですね!」
「いえ、何か様子がおかしいですね。このノイズ、まるでジャミングを受けているような――」
(なら、もしも航行していなかったら? 例えば私たちの襲撃ポイントを予測して、あらかじめ地上で待機していたとしたら――)
『ザーザザッ……罠です……ザザッ…………逃げやがって……ザザ――」
「琴里!!」
罠。その単語が聞こえた瞬間、令音は今まで誰も聞いたことが無いような大声で琴里の名を呼ぶ。一瞬遅れて琴里が敵の真意に気付き、ありったけの声で叫んだ。
「ッ! 今すぐ高度を上げなさい! 全速力!!」
『ザザッ……罠です! 今すぐ逃げやがってってください! 罠です!!』
その瞬間、轟音と共に下方向からの砲撃がフラクシナスの
「きゃっ! 何、一体どこから!?」
「まさかこの反応……。下です! 地表から巨大な魔力反応を感知! 〈アルバテル〉です!!」
「…………やってくれるじゃない、DEM!!」
なんと、アルバテルは突如として地表から現れ、フラクシナスに砲撃を浴びせたのだった。否、実際は最初からこのポイントに待機していて、数瞬前に起動を開始したに過ぎない。余りにも単純で、だからこそ効果的。しかし、こちらの動きをあらかじめ知っていなければできないような作戦に、琴里は背筋に冷たいものが走るのを感じた。
「待ち伏せされてたってことね。不可視迷彩に加えて
「
「制御室に火災が発生、1分以内に消火完了の見込みです!」
「ちっ! 幸先悪いわね全く! 神無月、制御サポートは任せたわよ!」
「お任せください。サポートと言わず顕現装置は1基以外魔力生成に回して問題ありませんよ。制御は全て
「頼りにしてるわ。令音、真那の様子は?」
「通信は回復している。……が、今は取り込み中だ」
「取り込み中?」
「……どうやら最初から泳がされていたようだ。現在トンネル内で交戦中、相手はバンダースナッチ数体と……エレン・メイザース」
「!!」
通信機器から聞こえてくる会話の内容から察するに、状況はかなり悪いようだ。最悪琴里自身が出撃する可能性も考慮するが、最強の魔術師相手に一体どこまで戦えるだろうか。
いつの間にか空は分厚い雲に覆われ、今にも泣きだしそうな色に変わっていた。
すぐ傍に黒い影が迫るのが、見えた気がした。
◆
「はぁ……はぁ……。ひでーじゃねーですかエレン。同僚に刃を向けるなんて」
「元、同僚ですよ。裏切り者に手心を加える理由はありません」
出血した腕を押さえ荒く息を吐く真那の前に、レーザーブレードを携えたエレンが悠然と立ち塞がる。その眼には冷たい光が灯っていた。
数分前。十香救出のために最後尾車両まで移動した真那は、扉をくぐり愕然とした。車両の中には十香がいないどころか、数機のバンダースナッチが待機しており一斉に銃を掃射してきたのだから。
咄嗟に随意領域を展開し攻撃を防いだものの、罠に嵌められたことをフラクシナスに報告している隙を突かれ、天井を突き破り襲撃してきたエレンに手痛い一撃をくらってしまった。
顕現装置で治療を試みるも傷は深く、戦いで使い物になるかどうかは怪しいところだ。利き腕をやられたことに内心相当な焦りを抱えながらも、真那は努めて冷静に対処を試みる。
「どういう了見でいやがりますか。私はただプリンセスの様子が気になったので見に来ただけでいやがります。急に暴れださねーか心配で――」
「取り繕わなくても結構ですよ。先ほどの通信は傍受させてもらいました。それに、ここ数日の貴女の行動は全て監視していましたから」
その言葉で自分が最初から泳がされていたことを知り、真那は今更になって自分の失態を悟る。心中で琴里に謝りながらも、この場を切り抜けるための策を考える。
「……随分と信用がねーんですね、ちょっとショックです。会社のために今までそれなりの働きはしてきたつもりでいやがりますが?」
「プリンセスと戦闘した後から様子がおかしかったもので、念のため。それに、これでも結構心配していたんですよ?」
「はっ、どうせ裏切るかどうかの心配に決まってます。あんたが誰かを思いやるなんてありえねーですから」
それを聞いたエレンは不愉快そうに顔をしかめると、ブレードを構え息をつく暇もなく距離を詰めてきた。
「くっ!?」
「その傷で大言壮語とは大したものです。威勢が良いのは口だけでなければいいのですが、ねッ!」
真那はそれを片手に構えたブレードで受け止めつつ、随意領域を全力展開する。並みの魔術師ならそれだけで圧死してしまいそうな密度の魔力を平然と受け止め、それどころか押し返してくるエレンを見て、改めて人類最強の恐ろしさを実感した。
絶対の壁であるはずの随意領域が、ミシミシと不気味な音を立ててひび割れていく。後ろに下がろうにもバンダースナッチが弾幕を張っており、身動きが取れない。
「プリンセスは……十香さんはどこでいやがりますか」
「ほう、この期に及んで情報収集ですか。仲間に最後の希望を託そうと? いいですよ、もうジャミングも解除済みですし、教えてあげます。どうせ全員ここで死ぬんですから」
そう言いながらも、決して力を緩めることはしない。話すのは油断でもなんでもなく、本当に皆殺しにできるという自信の表れのようだった。
「簡単な話です。搬送列車は2台用意していたんですよ。本命は既にプリンセスを乗せて別ルートを進行中、こちらは敵対勢力を炙り出すための囮、という訳です」
薄ら笑いを浮かべるエレンに一泡吹かせてやりたかったが、話を聞く限り既に事態は最悪の展開を迎えているようだ。一矢報いることもできない歯がゆさでせめてもの抵抗にと、真那も引きつった笑みを浮かべてみせた。
「ご協力感謝しますよエレン。貴女が馬鹿なおかげで有益な情報を得ることができました。これでこちらも切り札を切ることができやがります。今からでも戻ったほうが良いんじゃねーですか?」
「……本当に口が減らないですね貴女は。おとぎ話に出てくるようなヒーローでも現れて助けてくれるんですか? くだらない。これ以上見苦しい姿を晒すのもいい加減不憫ですし、そろそろ終わりにしましょう」
そう言うと同時、エレンの随意領域の密度が一段階上がり、とてつもない圧力が襲い掛かる。真那は既に身体を支えきれなくなっており、片膝を着いてどうにか耐えている状態だった。
「残念です。私に次ぐ魔術師である貴女の最期が、こんなにもつまらないものだなんて」
本当に。心の底から「つまらない」という感想以外を抱いていない様子で、更に力を込めたエレンはあっさりと真那の障壁を切り捨てた。そして――。
「さよなら」
真那の視界を、暗闇が覆った。
◆
「折紙さん!? 駄目ですよまだ寝てなくちゃ!」
「平気。ちょっと内臓の損傷があるだけ。もう歩ける」
「歩く以外できませんよね!? 大丈夫の基準がおかしいですよ!」
「大きな声を出さないで。傷に響く」
「あ、ご、ごめんなさい……。ってやっぱり全然大丈夫じゃないじゃないですか!」
そう言って折紙の身体を支えるのは、岡峰美紀恵二等陸士。折紙のことを慕うASTの隊員である。捕獲したプリンセスの搬送作戦が開始されるということで、様子が気になった折紙は居ても立っても居られず病院を飛び出してきたのだった。
2人は現在、天宮駐屯地観測室のモニターで作戦の様子を確認している。
先日の戦いの後、集中治療室で目を覚ました折紙に告げられたのは、まさかの「処分なし」という通達。表向きは民間人の保護活動を考慮してとのことだったが、こともあろうか精霊と手を組んでDEMの魔術師を負傷させたのに問題にならないはずがない。AST上層部に何かしらの圧力が掛かったに違いなかった。事実、周囲にいるASTの隊員たちからは訝し気な目を向けられている。恐らく折紙の行動と処遇に対して、あられもない噂が飛び交っているのだろう。
しかし、誰のどんな思惑があろうと折紙の知ったことではない。精霊を殺す、そして士道を守る。この2つさえ実行できるのであれば、悪魔に魂を売っても構わない。そう思っていた。
――そう、思っていたはずなのに。
士道の言葉が、プリンセスの行動が。折紙の心を揺さぶって止まなかった。今まで盲目的に精霊と戦うだけだった自分が、これで正しいのかと考える日が来るなんて思ってもみなかった。否、本当は心のどこかに常にあった思いなのかもしれない。精霊と会話してこなかったのは何故か。表情を見ないようにしていたのは何故か。ぐるぐると同じ疑問が頭の中に浮かび、答えの出ないまま沈んでいった。
「うわ、本当にいたんですね、空中艦……」
と、思考の波に呑まれかけていた折紙を、美紀恵の声が引き戻した。中央の1番大きなメインモニターを見ると、激しい砲撃に曝される見たこともないような機体の姿が見える。白銀の装甲に木の枝のようなものを生やしたそれは、ある種の神々しささえ感じさせる。
(あれが、士道の……?)
折紙は目を覚ました後、自分のIDが凍結されていないことを確認してすぐにASTのデータベースにアクセスし、ことの顛末を知った。しかし、そこに記載されていたのは「プリンセスを捕獲した」ということだけであり、一緒にいたはずの士道の情報は一切無かったのである。
ならば、空中艦を逃がすためにプリンセスが戦ったという記述から、士道はそれに保護されたと考えるのが妥当だろう。DEMにも匹敵する技術力を持ち、尚且つ一切の情報を秘匿できるほどの組織となれば、裏の世界でも相当な権力を持っていることになる。そんな組織と士道がどういう関係なのか気になるところではあったが、今心配なのはそこではない。
この3日間、士道は家に帰っていないようなのである。玄関付近に設置した防犯カメラ(士道を守るためなのだから、防犯)の映像を見る限り、人の出入りは一切なかった。それはつまり士道だけでなく妹も家に帰っていないということである。念のため携帯番号(自主取得)と固定電話の番号(自主取得)にも掛けてみたが、繋がらない。
ということはもしや。士道はまだ、あの空中艦の中にいるのではないか? 今まさに命の危機に瀕していて、折紙の助けを待っているのではないか?
そう思った矢先、一際大きな爆発が起き、折紙は思わず目を逸らしてしまった。と、視界の端に入った小さなモニターに、奇妙なものが映る。
今この場には多くのAST隊員が居るが、ほとんどの者がメインモニターに釘付けで気付いていないだろう。因みに今回の作戦にASTのメンバーは誰一人として関与していない。DEMの精鋭3人と追加で派遣された18人の魔術師、そしてバンダースナッチのみで行われているため、彼女らは自分たちが自動人形にも劣るのかと憤慨していた。実際はエレンと真那の戦闘に巻き込まれないようにするための配慮だったりするのだが、それはまた別の話。
折紙は部屋の隅に移動し手持ちのタブレットでカメラにアクセスすると、先ほどの映像を拡大し、スロー再生させた。不思議そうな顔で後ろから美紀恵も覗き込んでくるが、気にしている余裕はない。
そこに映っていたのは、プリンセスを乗せ今まさに走り出しプラットホームを後にしようとする搬送列車と、その最後尾の展望デッキに飛び乗る1人の人物の姿。フルフェイスタイプのDEM製ワイヤリングスーツに身を包んでいるため顔は分からないが、体格からいって恐らく男だろう。
しかし、その体格、仕草、果ては手足の長さや重心の傾きなどから、折紙はそれ以上の情報を読み取っていた。あれは間違いなく――。
「うわわ、遅刻しちゃったんですかねあの人。DEMにもおっちょこちょいな人がいるんですね~、って。折紙さん、どうしたんですか? 急に立ち上がって」
「急用を思い立った」
「思い立った!?」
それだけ言うと、折紙は驚く美紀恵にタブレットを無理やり押し付け、ものすごい勢いで部屋を飛び出していった。
「折紙さん、歩くのがやっとのはずじゃあ……」
鳶一折紙は恋する少女である。愛する人を守るためならば、全ての常識は意味を成さない。
天宮駐屯地内に異常を知らせる警報が鳴り響いたのは、その直後のことだった。
◆
暗い。痛い。寒い。何度も気絶し、何度も目を覚ました十香が最初に感じるのは、いつもこれだった。しかし、今回は少し状況が違うようである。
(ここは……?)
瞼を開くと、そこに映るのは無機質な壁に囲まれた狭い空間。小刻みに揺れていることろを見ると、どうやら何処かへ運ばれていく際中であることが窺える。僅かに首を動かし部屋を見渡すが、それ以上のことは何も分からなかった。身体はガッチリと椅子に固定され、指を動かすことすらままならない。最も、それは今に始まったことではないのだが。
捕まってすぐにこの拘束椅子に縛り付けられた十香は、力任せに振り解こうと暴れ続けた。しかし、その度に電流やらガスやらを浴びせられ、眠ることすらも許されずありとあらゆる責め苦を受け続けた。苦痛によって気絶し、苦痛によって起こされる。そんな時間が延々と続き、いつしか十香は話す気力さえも削ぎ落されていた。
気が狂いそうな状況に疲弊しきった肉体と精神でいつも思い出すのは、あの不思議な少年のことだ。
『そんな奴らのことなんて気にするな。 お前はここに居ていいんだ』
『例え世界中の奴らがお前の存在を否定しても。 俺は、俺だけは! それ以上にお前を肯定してやる!!』
『お前を、愛してるからだ』
『何も知らないならこれから知ればいい! 教えてくれ、お前のことを。 俺はお前のことをもっと知りたいんだ!』
『お前の名前はとおか。十香だ。な、いい名前だろ?』
彼の言葉が心の中で蘇る度に、ほんの少しだけ心が温かくなるのを感じる。これが現実逃避であることは分かっていた。暗闇の中で、もう2度と聞くことはないであろう彼の声を思い出し、なんとか精神を繋ぎとめる。しかし、それももう限界だった。
(あやつは……無事に逃げきれただろうか……)
そんなギリギリの状態になっても、浮かび上がるのは彼への思い。自分でもおかしいと思いつつ、触れ合った僅かな時間で随分と毒されたものだと苦笑する。
思い返せば今日まで、随分と多くの人間に敵意を向けられてきた。捕まってからは尚のこと、目の前で直接罵られ、中には手を上げる者もいた。
家族を殺されただの、生きるすべを失っただの。
そのほとんどが身に覚えのないものだったが、十香はなんとなく理解してしまったのだ。そんな人間たちにも家族がいて、友達がいて、そして愛する人がいる。そしてその者たちの大切な存在を、自分は今まで奪ってきたのだと。悪意の有無など関係なく、自分が存在しているだけで、これほどまで多くの人間を苦しめてきたのだと。
あの少年は、たまたまそうならなかっただけにすぎない。もしも彼や、彼の身近な人が被害を被ったならば、きっとあんな風に声をかけてくれることもなかったのだろう。
(私は……なんのために生まれてきたのだろうな)
あの少年ならば、その問いに答えてくれるのだろうか。
(……あぁ、まただ)
どれほど否定しようと必ず彼のことを考えてしまう。
今なら分かる。初めて会ったときに感じた既視感は、気のせいなんかではなかったのだ。
もっとずっと前に知り合っていて、もっとずっと深いところで繋がっている。そんな確信が、十香にはあった。
しかし、それも今となってはなんの意味もない。この場所には十香の味方なんて誰もいない。彼と積み上げていくはずだった時間は、思い出は。闇の中に消えていったのだ。
身体から力が抜け、だらりと下を向く。
きっと今進んでいる先が、自分の人生の終着点なのだろう。だが、それでもいいと思う。これまで散々他人の命を奪ってきたのだから、今更自分の生に執着などあろうはずもない。
「精霊は死ぬべき」というのが、この世界の総意なのだから。
唯ひとつ心残りがあるとすれば、それは。
(もう1度だけでいい。会って、名前を訊きたかったな――)
と、そのとき。壁に備え付けられたスピーカーから、僅かにノイズが走った。なんてことはない、単なる通信の乱れ。そのはずなのに、何故か十香はとある人物の言葉を思い出していた。
『今すぐは無理かもしれない。でも……必ず。必ず彼はまた君の前に現れる。覚えておくといい』
(何故……今更、こんなことを……)
尚もノイズは続き、やがてそれはクリアな音声となって耳に届き始めた。とはいっても、それは人の言葉ではなく、轟轟と唸る風の音だ。しかし、そこに混ざる何者かの吐息を、十香は確かに聞いた。
(まさか……そんな、ありえない……)
一際大きな、まるで叫ぶ直前のように大きく息を吸う音が聞こえた直後、耳をつんざくような大音量が放出された。
それは絶対に聞こえるはずのない声で。
あまりにも都合の良い、おとぎ話みたいな出来事で。
死に瀕した自分の頭が勝手に作り出した妄想ではないかと疑ってしまうほどの、出来すぎた夢。
しかし、それは夢でも幻でもなく、確かにその存在を伝えてくるのだった。
「あぁ…………。あぁあ…………!」
あのとき彼は確かに言った。世界がお前を否定しようとも、俺だけは否定しないと。
あのとき彼女は確かに言った。五河士道は世界で1番、諦めの悪い男だと。
『十香あああああ!! 助けにきたぞおおおおおおおおおお!!!』
あまりにも小さくて、無力だったはずの少年が今、たった1人で。
――世界を相手に、戦いの火蓋を切った。
次回から士道視点です。
勢いで巨大組織に喧嘩売っちゃう士道君すき。