恋歌   作:孤独なバカ

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プロローグ

”初恋の思い出は?”

”えっと、小学生のころですかね。今でもはっきりと覚えているんです”

 

数ヶ月前に自分のインタビューが載った雑誌を見て俺は少しだけ苦笑してしまう

数週間前にインタビューされた記事。今日発売の音楽雑誌のインタビューだ

 

”女の子って小学生一二年の時同じクラスだったんですよね。可愛いっていうよりも綺麗って方がいいのかな?小学生一二年でそういうタイプって珍しくて、その子いじめられてたんですよ。でも優しくて、可愛いもの好きで。お姫様に憧れていた人でしたね”

 

俺は少しだけ恥ずかりながら答えたことを覚えている

 

”その女の子とはどういう関係だったんですか?”

”俺にとって初めての友達であり、…初恋の相手でもあったんですよ。でも俺って前にも話した通りに転勤が多くて。今の事務所に入るまではずっと一二年で転校ばっかりしてたんです。だから小二の時に転校してしまったんですよ。一応告白はされたのかな?元々恋人未満親友以上の関係で、いつも一緒にいましたし、お互いにカップルって言われてもお互いに否定しませんでしたから。だからお互いに別れ際に再会したら付き合おうって約束しました”

”あら。素敵ですね”

”そうですかね?今となったら少し臭くて恥ずかしいですけど。でも…あれっきり恋ってことをしたことないんですよね。今になったら時効かもしれないですけど。約束を叶えないといけないって思ってしまって”

 

実際あれっきり俺は誰かを好きになることはなかった

誰かを好きになるってことすらできなかったと答えた方がいい

今も時々その人の記事を見てしまう

剣道で全国大会で負けなしと言われている美少女の記事が時々出るのだ

その記事を見るために剣道の雑誌を定期購読してたりするのだが……

未練たらしいとは思うけど

それが俺、速水春樹のいまだに続いている初恋の思い出だ

 

 

春、出会いと別れの季節

 

「やっべぇ。遅刻!!」

 

入学式の日俺は全力で走っていた

自分の雑誌を見て遅刻したとかなればシャレにならない

俺は全力ダッシュで高校へと向かう

桜並木の中で全力で走る俺は少しだけ情けなくなってしまう

 

まぁ自業自得であるので仕方ないことだが

少し走っているとざわめきが聞こえてくる

 

「あっ。あの人って。御城春樹じゃない?」

「えっ?本当?」

 

あっ。やばい。伊達メガネかけてくるの忘れてた

するとざわめきが聞こえてくるが俺は聞こえてないふりをしようと俺は走ろうとする

御城春樹とは俺の歌手としての歌い手としての名前であり、今は歌手としても活動している

 

「すいません!」

「……はい」

 

すると一人の女性から話しかけられる

 

「あの、御城さんですよね?握手してもらってもいいですか?」

「はい。俺でよければ」

 

すると集まりだす人集りと歓声が聞こえてくる

俺は表には出さないが内心小さくため息を吐きながらサインや握手をしていく

入学式から遅刻が確定した瞬間であった

 

 

「……本当にすいません!!」

「い、いや。さすがに有名人だから仕方ないとは思うけど……これから気をつけてね」

「うす」

 

俺は入学初日から先生の注意を受けた後俺はため息を吐く

御城春樹

中学生だったためテレビ出演はかなり控えているがオーディションに友達の勧めで出たところ最優秀賞を受賞した。今でも新曲を定期的に出しておりオリコンベスト3常連。小学校六年の時にデビューし最初は歌い手として活動。最近では夏休みを使いライブを開くなど、歌い続けている。春の新作はドラマの主題歌として歌っていることもありかなり認知は高い

 

「そうだ。白崎さん。この子同じクラスだから連れて行ってあげないかしら」

「はい?」

「ん?」

 

すると隣でどうやら入学式で隣の人とかなり話していたのか叱られていた少女が俺の方を見る

 

「えっ!御城春樹!!」

「……やっぱりメガネ必要かぁ。メガネあったら隠せるのに」

「そうね。出来るだけ変装はしておいてくれるかしら」

「了解です。ついでに白崎。それ本名じゃないから。……一応自己紹介しとくけど速水春樹。歌い手として活動している」

「初めまして。白崎香織です」

 

…まぁ覚えているわけないか

実は白崎とは小学一年のころ同じクラスだったんだけどな

 

「それじゃあ行くか。……初っ端遅刻とかマジでないんだけどなぁ」

「えっと?」

「春樹でいいぞ?俺名前はそのままだし」

「あの、後からサインもらっていいかな?」

「別にいいぞ」

 

と他愛のない話をしながら教室に向かう

そして入学式が終わりホームルームが始まっているのだろう教室に入る

 

「すいません。遅刻してきました」

「ま、マジ?」

「ほ、本物?」

 

俺が入った瞬間その声は騒めきへと変わる

やっぱりメガネを持ってこればよかったと思ったその時だった

とある少女と俺は目が合う

一瞬で気づいた。懐かしい思い出が思い出されていく

ポニーテールの少女は俺の方を見て驚いたようだった

今は言いたいけど少し我慢だな

軽く手を振るとすると泣きそうな顔をするその少女の姿に俺は笑う

胸が張り切れそうだった

久しぶりって言いたかった

そしてここから始まったのだ

幸せも地獄も経験することになる高校生活が

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